かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

きな臭い話が本当に業火となって火の手を上げそうです。

2010-02-28 21:38:57 | Weblog
 成人向DVD等の製造・販売が、最近大変な苦境に立たされています。原因は、不況による消費減退もあるのですが、それよりも、制作側への著しい締め付け強化により、これまで比較的自由に作ることのできた内容が不可能になってきている、ということも大きな要因としてあります。例えば、セーラー服など未成年者であることを伺わせるような衣装、強姦等女性の人格・尊厳を著しく損なうと見られるような表現などが厳しくみられ、自粛という名の完全禁止状態におかれているとのことです。なんともきな臭く窮屈な世界になってきているのだな、と関係者の方から話を聞いて思っていたのですが、東京都がこの24日に議会に提出した条例案は、更に輪をかけてそんな締め付けを強化し、その種のコンテンツ業を絶息せしめかねない過激な内容になっているとの話を見ました。詳しくはこのサイトにありますが
http://fr-toen.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-cbc1.html
中でも気になるのは、次の第3章第7条の一文です。

第三章 不健全な図書類等の販売等の規制
(図書類等の販売等及び興行の自主規制)
第七条 図書類の発行、販売又は貸付けを業とする者並びに映画等を主催する者及び興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条の興行場をいう。以下同じ。)を経営する者は、図書類又は映画等の内容が、次の各号のいずれかに該当する青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認めるときは、相互に協力し、緊密な連絡の下に、当該図書類又は映画等を青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は観覧させないように努めなければならない。
一 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
二 年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

 この内容を素直に読むと、実在しない想像の産物でも、その表現から18歳未満と認識されるとアウト! という事になりますから、ロリ系の漫画はもちろん、同人誌なども対象になるでしょう。また、未成年アイドルの写真集や映像コンテンツも、みだりに青少年の「性的感情」を刺激するような場合は対象になるのでしょう。
 
 果たして東京都議会がこの条例案を可決するのか否決するのか判りませんが、もし可決された場合は東京都に集中しているコンテンツ産業は、大半が廃業するか地方に拠点を移すか地下化するかしかなくなり、市場には、刺激の無い無難なつまらないものばかりが出てくるようになりそうです。もちろんコミケ3日目のかなりの部分がごっそりそぎ落とされることにもなるでしょうし、ネット社会にも強い圧力がかかることになるのではないでしょうか。個人的には、行き過ぎ、とか趣味に合わない、と感じるものも多々あるわけですが、そんなこんなもみんなひっくるめて表現として存在するこの混沌にこそ価値があると思うのです。それにそもそもそういう表現が、青少年の健全な成長を阻害する、ということ自体が何の証明もされていないのに、果たして「阻害するおそれがある」などとどう判定するのかがはなはだ疑問で、非常に恣意的・主観的な、判定というのもおこがましいような魔女狩りにしかならないのではないか、と危惧いたします。なんともイヤな世の中になりそうです。

コメント
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