かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

青いバラの開発成功から5年、やっと市販されるところまで来たんですね。

2009-10-20 21:33:55 | Weblog
 今日は一日なんだか肌寒かったですね。天気予報では晴、となっていたのに日中はずっと今にも雨が零れ落ちてきそうなどんよりとした曇り空で、いつもの格好をしておりましたら、ぞくぞくするような寒気を感じて、風邪でも引いたか、と疑いたくなるような気候でした。この分ですと、今夜はしっかり暖かくして寝ないと、明け方寒さで目が覚めるようなことになりかねないです。

 さて、サントリーが生み出した世界初の青いバラ、ようやく11月3日に発売が決定したそうです。赤い色も青い色も、アントシアニンというフラボノイドの一種で、イソフラボンやカテキンと構造が非常に良く似ている物質ですが、わずかな違いによって赤色のシアニジンや青色のデルフィニジンになり、それぞれがまた、環境のpHとか、鉄や銅などの金属類の存在で千変万華に発色が変わる性質を持ちます。バラには、もともとこのデルフィニジンを作り出す遺伝子がありませんでしたが、その遺伝子をパンジーから取り出してバラに組み換え導入することで、青いバラを生み出すことに成功しました。開発は、平成2年からスタートし、14年がかりで成功したわけですが、結局技術的に可能になってから販売までこぎつけるのに、更に5年の歳月が必要だったことになります。
 これも作出方法が遺伝子組換だったためで、厳重に管理された実験用農場で、環境への安全性とかなんとか、七面倒な影響調査を延々続け、ようやく農林水産省の認可が下りて量産出来るようになったのだそうです。
 この開発で中心になって働いていた研究員の方に話をうかがったことがありますが、結局のところ遺伝子組み換えも従来の交配技術による新種作出もやっていることはほとんど同じで、その技法が違うだけなのに、何故にここまで規制を強いられねばならないのか、という点で意見が一致しました。自然界への影響調査といったところで、全く別種の生き物から取り出したり、それを適当に加工したり、あるいはアミノ酸を合成して人工作出したりというような種を超えてヒトの手を加えたような話なら慎重になるのも判らないではないですが、そもそもその遺伝子はパンジーやらツユクサやら朝顔やら、青色の花を咲かせる植物には大抵存在するごくごく一般的な遺伝子です。しかもデルフィニジンの合成経路とそれに関与する遺伝子は現在完全に解明されており、それがバラに組み込まれたからと言って不測の事態を招くようなことがありえないことは、専門家なら自明のことでもありました。それを延々5年も塩漬けせざるを得ない現在の制度の在り方に、憤懣やるかたない、という有様でした。
 別に食べるわけでもないものでこの体たらくですから、たとえば花粉症軽減を狙った抗アレルギー米なんか、到底認可されることは無いのではない気がします。一方で、大豆など大量に遺伝子組み換えのものが輸入され、普通に食卓に並び、日々消費されているわけですから、これもまた変な話です。消費者の皆さんは、巷にあふれる味噌やしょうゆや豆腐や納豆や油揚げなどに遺伝子組み換え体が一切入っていない、なんて、ほんとに信じているんでしょうか? 我が国の大豆生産量を考えれば到底ありえないことは容易に理解できるはずなんですけどね。
 まあなんにせよ、青いバラ発売はなによりでした。つまらない不買運動が起こったり、栽培を禁止する自治体が出たりしないことを祈るばかりです。

コメント
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