シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

トークトゥハー

2005-07-03 | シネマ た行
んーーー、これはどうなんだ?ペドロアルモドバルのことだから、偏狭的な愛を描くのは得意技だし、主人公ベニグノナヴィエルカマラの心の優しさは映画の前半で随分見せつけられているから、彼に同情している自分もいたりするのだけど、、、えっ、いやいや、それはあかんやろとハタと自分の同情心に歯止めをかける。

事故で植物状態に陥ったバレリーナのアリシアレオノールワトリングをかいがいしく看護する看護師のベニグノ。彼女の体を拭き着替えさせ、その間ずっと彼女に話しかけてあげる。

平行して描かれる闘牛の事故で植物状態になってしまったリディアの恋人マルコダリオグランディネッティは彼女に触れることも話しかけることもできない。

この対照的な二人が友情で結ばれていく、というところまでは静かだけどペドロらしい演出が効いている。しかし、この後ある事件が…

以下完全にネタバレ



植物状態のアリシアが妊娠していることが分かる...なんで?...答えは明白だ。ベニグノだ。冒頭に書いた“そりゃあかんやろ”の部分ですね。

批評の中には彼の孤独を浮き彫りにした、とか、宣伝では究極の愛ってなふうに書いてるのもあったけど、ワタクシはそうは思えなかった。

やっぱ、それやっちゃうとなー。孤独やからってレイプが正当化されることにはならない。たとえ、彼女を愛していても、それも絶対に理由にはならない。いかなる理由もレイプを正当化することはありえない。

最後にベニグノが自殺することでペドロもレイプを正当化はしていないと思う。ワタクシは彼がそういう終わらせ方をしてくれてホッとした。

気に入っていないようなのにどうして取り上げたのか…
刑務所に訪ねていくマルコとの友情やベニグノの心の内が丁寧に描かれているし、元彼とヨリを戻してしまうリディアの姿がきれいごとだけじゃない恋愛の世界を描いていて不思議な爽快感があったりもする。

ただのストーカー映画やん。なのになにか心に残るのはペドロアルモドバルだからなのか。


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