シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

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手紙は憶えている

2016-11-04 | シネマ た行

これから見に行かれる方は読まないほうがいいかもしれません。

ワタクシは見ちゃったんですよねー。「ラスト5分の衝撃。すべての謎が解き明かされるとき、あなたの見ていた世界は一転する」という宣伝文句を…あ~これを見ていなかったらもっと楽しめたと思うのですが、、、この表現を見て、オチはアレかなぁと予想してしまって、それが当たってしまったので全然衝撃でもなんでもなかった。残念。まぁ、この宣伝文句を見ていなくても途中で予想がつくくらいのことはあったかなぁと思うんですけどね。

老人ホームに住む認知症の老人ゼヴクリストファープラマー。目を覚ますたびに妻のルースがすでに亡くなっていることを忘れてしまう。同じ老人ホームにいる車イス生活のマックスマーティンランドーはある日ゼヴに手紙を渡す。その手紙を読んだゼヴは夜中にホームを抜け出しタクシーに乗り込んだ。

ゼヴが目指すのは「ルディコランダー」という人がいる町。第二次大戦後、ナチスの兵士たちは名前を変えてアメリカに入国し素知らぬ顔で暮らしてきた。ルディコランダー。マックスとゼヴの家族をアウシュヴィッツで殺した男。その男を探し出して殺す。ゼヴは妻のルースが死んだらそれを実行すると言っていたとマックスの手紙に書いてある。認知症のゼヴに乗る列車、泊まるホテル、お金、など必要なものをすべて準備し手紙にすべて書き出して送り出すマックス。車イスの自分にはできないことをやってもらおうというわけだ。

マックスのリストに載っている「ルディコランダー」は4人。一人ずつ訪ねていくゼヴ。このゼヴの旅がゼヴが認知症を患っていることや彼の穏やかな気性のためか、途中見知らぬ子供との交流なんかもあったりして、なんだかのんびりとしたロードムービーのような錯覚を起こしそうになるのだけど、バックには終始平穏ではない音楽が鳴っていた。

オチは想像していた通りで正直あ~やっぱりと落胆する面はあったのだけど、途中の旅はまったく退屈することなく見ることができた。1人目はナチの兵士だったことを誇りにしているような男ブルーノガンツだったが、彼は戦時中北アフリカに従軍していたということでアウシュヴィッツのブロック長とは別人だった。2人目は病床にいる男だったが「アウシュヴィッツにいた」と話したので、もしやと思いきやナチとしてではなく同性愛者だったために収容されたほうの人だった。3人目はすでに死んでいたが、その息子ディーンノリスがナチの信奉者だったため、これまたもしやと思ったが、彼の父親は年齢的に戦時中まだ子供だった。しかし、このナチの信奉者の息子にアウシュヴィッツの収容者の番号のタトゥーを見られてしまいユダヤ人であることがバレて逆上されゼヴは彼を殺してしまう。突然やってきた知らない男に殺されたこの息子も悲劇なのだが、ナチの信奉者をアウシュヴィッツの生存者が殺したということで見ているこちらはそんなに罪悪感を感じなかった。

そしていよいよ4人目のおそらく本物であろうルディコランダーユルゲンプロホノフを訪ねる時がきた。この家のピアノでワーグナーを見事に演奏してみせるゼヴ。「生存者はワーグナーなど嫌いなはずだが」と言うルディコランダーに、「音楽に罪はないよ」と話すゼヴだったが、、、オチを分かってから考えると“生存者”として生きている彼にとってゼヴがワーグナーを弾くのは冷や汗ものだったことだろう。それを嫌って生きないと素性がバレてしまうから。彼の素性もゼヴの素性も…

結局のところ、「ルディコランダーを殺す」という当初のゼヴとマックスの目的は果たされた。正確にはマックスの目的は果たされたわけだ。それにしてもどこまで入念にゼヴに全人生を吹き込んだのだろう。ゼヴはマックスが吹き込んだ嘘の人生を実際に生きてきたわけだから、それを本当だと思いこませるのはもはや赤子の手を捻るようなものだったのかもしれないな。ゼヴが「嘘の生活なんて本物の人生じゃない」と最後の“ルディコランダー”に言いますが、それがなんとも皮肉なセリフとなってしまいました。

クリストファープラマーの飄々とした認知症老人の演技を見られるだけでも結構贅沢な時間でした。そこにマーチンランドー、ブルーノガンツ、ユルゲンプロホノフもいるわけですから映画ファンにとっては豪華な顔ぶれと言えるでしょう。

オマケ1アメリカの映画やドラマを見ているといつも思うのですが、彼らは結構簡単に知らない人を家に入れますね。この物語もその習慣があるからこそ成り立つのですが、急に全然知らない人が訪ねてきて家に入れるのって怖くないのかなと不思議に思います。

オマケ2ゼヴがホームを出てすぐに拳銃を手に入れるシーンがありますが、あんなに簡単に認知症の老人に銃が売られるって怖いですね。カナダとの国境も簡単に越えてたし、スーパーで銃を持っていることを警備員に見られても「僕の最初の銃もこれだったよ」とかなんとか思い出話されちゃうなんて、やはり日本人としてはカルチャーショックですね。


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