埼玉愛犬家連続殺人事件をベースにした作品ということで以前から興味があったのですが、なんせ「愛のむきだし」の園子温監督だったもんで躊躇していました。「愛のむきだし」は一般的な評価は高い作品ですが、ワタクシはダメだったもので。面白い部分はあったけど、4時間あるでしょ。あれ、2時間くらいにまとめられたよね?っていうくらい無駄なシーンが多く感じたので。でも、今回は2時間20分と頑張ってまとめてくれたみたいだし、見てみようと思ってレンタルしました。
小さな熱帯魚店を営んでいる社本吹越満は、後妻妙子神楽坂恵と娘・美津子梶原ひかりの関係がうまくいっておらずうんざりしていた。そんな時美津子が万引き事件を起こし、それを助けてくれた巨大熱帯魚店を持つ村田でんでんと親しく付き合うようになる。その途端、社本は村田が金をだまし取った吉田諏訪太郎という男の殺害、遺体遺棄に加担させられる。
この村田ってやつが胡散臭いのなんのって。最初からめちゃくちゃ馴れ馴れしいし、妙子や美津子へのボディタッチもやたらに多い。でもなんかあれだな、こういうおっさんってなんか人懐こいというか、油断してるとふっと懐に入られちゃうみたいなとこあるんだろうなー。天性のソシオパスってとこなんだろうけど、人の弱みにつけこんだり、親切にしてくれたかと思えば恫喝するようなこと言ったりしてグイグイそいつのペースに持ち込まれてしまうんでしょうね。このおっさんを演じるでんでんがうますぎて怖いよ~。ビックリした。
そして、村田の妻・愛子を演じる黒沢あすかっていう女優さんもめちゃくちゃ怖いね。自分も十分に強い女でありながら、より強いオスに支配されることを切望している女とでも言えばいいのか。ある意味こいつのほうが村田よりずっと壊れているのかもな。
犯人像までは分からないけど、実際の事件の内容を見ると結構流れ的には忠実に再現されているっぽい。村田がずっと言ってた「ボディを透明にする」という表現も本当に犯人が使ってた言い回しらしい。犯罪の残虐さ的に北九州監禁殺人とか尼崎事件と似ている気はするんだけど、この事件の犯人は他のと違って自ら死体を解体したりしていたんだよね。それをどうやら楽しんでいたっぽいふしもあって、北九州や尼崎事件とは少し性質の違うものなのかもしれない。
その死体の解体シーンなんてのが、あまりにリアルに本当に臭いまでしてきそうなほどに映し出されるのがめちゃくちゃグロくて閉口してしまった。ワタクシは結構グロいのは平気なほうなんですけどね。この作品のシーンも目を伏せたりはしなかったし。でもやっぱ気持ち悪くなるくらいのシーンでした。しかも何回もあるしね。あれをあそこまで全部見せつけることができる監督はやっぱ園子温くらいしかいないかもしれない。
村田と愛子の性欲まみれのシーンも気持ち悪かったなー。エロいシーンを見せられているのにこちらの性欲は減退してしまいそうな気持ち悪さでした。社本の妻を演じてた神楽坂恵も無駄に谷間強調してたしな。その気持ち悪さは監督の狙いだったんだろうけど。
社本がキレてからエンディングに向かうところは蛇足だったなと思っていたら、監督ももう一度編集しなおせるなら社本がキレたところで終わると言っていたらしいから、やっぱ蛇足と感じたのは間違いじゃなかったんだろう。警察があんな現場に社本の妻子を連れてくるわけないし、結局みんな死んじゃうってのはあんまり面白くない。娘の美津子が死んだ社本をざまあみろって蹴ってたのはさすがにビックリしたけどね。
普段からこういう事件に興味があるからかもしれないけど、146分間かなり釘づけになって見てしまいました。悪趣味だなと自分でも思いますが。エログロ映画が嫌いな人は見ないほうがいいです。というか見ちゃダメです。とは言え、実際の事件っていうのはこの作り物よりもずっとずっとエグいんでしょうね…
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いや~何とも気もち悪かったです。
山田とリリーフランキーの『凶悪』のようなものを想像していたので余計にグロい部分が衝撃でした。
自分的には終盤の吹越さんがキレ側になる部分は、ある意味やられっ放しからの脱却を見れたので救いでした。
コメントありがとうございます。
本当に気持ちの悪い作品ですよね。
確かに「凶悪」よりも映像的なグロさが目立ちますね。
やられっ放しの人がキレたら逆に手がつけられないのかもしれませんね。