シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ミーシャ~ホロコーストと白い狼

2014-08-11 | シネマ ま行

ケーブルテレビで見ました。このレビューを書くために調べて初めて知ったのですが、原作の作者ミーシャデフォンスカ(本名はモニクドワエル)が実話だと偽って発表し、ベストセラーになった後、実はフィクションだったことを公表。今年になって作者に23億円の返還命令が出て随分ケチがついた作品となってしまったようです。この作品のヴェラベルモン監督も撮影当時は実話だと思って作っていたらしくビックリの結果なりました。

ワタクシはこの作品を見たときには、まったくそのようなエピソードを知らず、特に実話だとも思わずにホロコーストに着想を得たフィクションだと思って見ていましたので、その事実を知ったからといって特にがっかりすることはなくこの作品の評価そのものも変わらないので、そのまま純粋に映画作品に対する感想を書きたいと思います。

1942年ベルギーのブリュッセル。両親と一緒に支援者の屋根裏部屋に隠れて生活をしていた8歳のミーシャマチルドゴファール。ある日一斉検挙で両親はナチスに連行されたが、ミーシャは難を逃れた。支援者のおじさんエルネストギイブドスの両親は東へ行ったという言葉を頼りに東へ東へと向かうミーシャ。食べ物はなく、着の身着のままでナチスから隠れながらミーシャはひたすらパパとママを想って東へと進んだ。

ミーシャを演じる女の子が、最初は特に可愛いって感じじゃなかったんですが、旅を続けてどんどん汚くなっていくうちに不思議と可愛く見えてくるようになってきました。両親といる間はこまっしゃくれた子っていうイメージだったからかな。途中お腹が空き過ぎてミミズを生のまま食べたりするシーンがあってオエーってなるんですが、当然本物を食べているわけじゃないにしても、体当たり演技がリアルで上手でした。

途中で白い狼と出会って、まるで犬のようにミーシャになついてきます。その前からミーシャはなぜか動物とすぐに仲良くなれる少女という描写があったし、狼が犬の祖先であることを考えればあのメス狼がミーシャを娘のように可愛がってもおかしくはないと思いました。その白い狼にミーシャはエルネストおじさんのところにいた白い犬の名前・ママリタの名前をそのままつけて、一緒にいた黒い狼にもパパイタ、と同じくおじさんの黒い犬の名前をつけます。

もうねー、このミーシャと狼たちの交流がねー、大型犬を飼っているワタクシにはもう涙腺を刺激されまくりでした。多分、犬を飼う前だったらここまで感動しなかったと思うな。ママリタの行動がなんかうちの犬と重なってしまって。心優しい犬だったら小さい人間の子どもに対してママリタみたいに接することができると思うし。

途中からママリタとパパイタに子どもができてミーシャと一緒に群れとして生活するところも可愛らしくて良かったなぁ。狼たちが獲った獲物をミーシャが一所懸命運んだりしてね。群れの一員として生活してるところが良かった。ちょっとこの辺りはホロコーストから逃れて両親を探している女の子の物語ってのを忘れてしまいそうでした。

幸せだったママリタたちとの生活も人間が狼を狩りに来てみんな撃たれてしまったことで終止符が打たれてしまいます。その後ソビエト兵の一家に会い少しの間家族のように暮らさせてもらったりしたミーシャですが、そこも爆撃に遭い一緒に逃げようと言うロシア人の家族に自分の両親を探したいミーシャは別れを告げました。このシーンも泣けたなぁ。だってたった8歳やそこらの女の子がはるかに安全で温かいと思われる道を選ばずに両親を探すほうを選ぶんだもの。まぁそれこそ子どもだからなのかもしれませんが。

それにしても旅の中で身についたものなのか、ミーシャが元々持っていたものなのかは分かりませんが、彼女のサバイバル能力というのは結構すごかったです。雨に濡れないようにビニールシートみたいなのを盗んだり、ミミズや生肉を食べたり、ナチスのわなに気付いたり。それでもサバイバルの中での彼女の衰弱はひどくなっていきました。最後はまさか死んじゃうのーーーー?と思ったけど、助かって良かった。

そして、両親とは会うことはできなかったけど、エルネストおじさんと犬のほうのママリタ、パパイタに会えたときには号泣してしまいました。殺された狼のママリタたちを想って。そして、そこまでがんばったミーシャを想って。

これだけの感動を人に与える物語ですから、実話だと言われて感動した人が怒るのも無理はないですね…そういういざこざを忘れて鑑賞できる方であればぜひオススメします。

オマケもしレンタルで見ようと思う方がいらっしゃったら題名が「狼少女ミーシャ~虐殺の戦場、3000マイル」というなんかすごいタイトルになっていますので注意してください。

そのパッケージがこんなんで…



なんかゾンビ映画みたいになってるんですけどー!



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