シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

オールドボーイ

2014-07-09 | シネマ あ行

韓国版の「オールドボーイ」は見たんですけど、ここで取り上げていませんでした。巷で言われているほど良いとは思わなかったんですよねー。なんかエグいとかっていうのはワタクシはわりと平気なほうだから余計だったかもしれません。

ではなぜハリウッド版をわざわざ見に行ったかと申しますと、「とらわれて夏」のときのジョッシュブローリンがやたらとカッコ良かったことと、いま注目しているエリザベスオルセンが出ていること、そしてあの近親相姦話をハリウッドがどう料理するのか見たかったからです。

妻とは離婚し、幼い娘にもろくに会いに行っていないアル中の男ジョーデュセット(ブローリン)が、酔っぱらって女とモーテルにしけこんだところ、目が覚めてみるとそのモーテルの一室に裸で一人。さて、帰りましょかと思ったらドアが開かない。窓もない。電話もない。タンスには新しい下着。ドアをドンドン叩いてみるが何も反応がない。ドアの下の部分が開いたと思ったらギョーザとウォッカが差し入れられた。その小さな小窓から必死に助けを求めるが完全に無視される。

毎日毎日ギョーザとウォッカだけは差し出される。テレビは見ることができる。しかし、それ以外はただただその部屋に監禁されるのみ。犯人も理由もなにも分からないままテレビのニュースを見ていると元妻が殺害されて自分が逃亡中の容疑者ってことになっている。

こういう生活が20年も続く。その間テレビだけは見ることができ、未解決事件を追うという番組で元妻が殺害された事件を特集していたとき、残された娘の姿を見ることができ、そこからジョーは心を入れ替えて毎日差し入れられるウォッカを飲むのをやめ体を鍛え、娘にいつか届くようにと贖罪の手紙を書き始める。

20年経ったある日、ジョーは突然解放される。だだっ広いのっぱらにぽつんと置かれた箱の中に黒いスーツとサングラス、娘への手紙だけを入れられて解放された。ジョーはあの時モーテルに連れ込んだ女をそこで見つけ後をつけるが見失う。そこでボランティアでホームレスなどに医療を施しているマリー(オルセン)と出会う。

毎日毎日食べさせられていたギョーザを求めて中華街をさまようジョー。マリーも捜索を手伝ってくれることになり、ある日例のギョーザの味と同じ店を見つけたジョーはそこに大量にテイクアウトしていく男の後を追い自分が監禁されていた場所を発見した。ジョーを手伝ううちマリーとジョーの間には特別な感情が芽生えていた。

監禁場所での金槌を持ったジョーのアクションは、韓国版を踏襲しているんだけど、どうもこれがアメリカだとリアリティがない。アメリカであれほどの悪人たちがいっぱいいて誰一人として銃を持ってないというのはありえない。まぁねー、あそこの場面は韓国版でもメインイベントと言っていい場面だから、スパイクリー監督がやりたかったのは分かるんだけど、もう少しアメリカ風にアレンジしたほうが良かったかも。

この監禁場所でジョーの監禁を依頼した人物のヒントを得て、そこから本格的な犯人捜しが始まります。と言っても犯人捜しはメインではなくてすぐに犯人は自分から登場してきます。それが、エイドリアンシャールトコプリー「マレフィセント」でも悪役だった。彼は「第9地区」ではなんかどんくさそうな人っていうイメージで「特攻野郎Aチーム」ではイカれた奴を演じていたけど、こういう悪役が似合うとは思ってもみなかったなぁ。結構いやらしい演技ができる人なんですね。

エイドリアンがどうしてジョーを20年も監禁したかという理由の部分は、韓国版よりもこちらのほうがまだ納得いくものでした。それでもただの逆恨みには変わりないんだけど。日本の原作はどうなのか知りませんが韓国版のほうが逆恨み感が酷すぎてまったく納得できなかったから。

どうしても韓国版を知っているので、エイドリアンの本当の企みについてはもう知っていて衝撃がゼロなので、そこで評価が下がってしまうのはフェアじゃないかなという気はします。ただその後、その近親相姦関係をどう処理するかについては、やはりアメリカ版としては、父と娘でもいいじゃな~いっ、ってわけにはいかなかったんでしょうね。でも、マリーをのことを思って自ら監禁される人生を選んだジョーというのはよく考えたな、うまいな、と思いました。

肝心のジョッシュブローリンがカッコ良かったどうかなんですが、「とらわれて夏」のときほどではなかったな。彼がカッコ良かったのはあの作品限定か。エイザベスオルセンはやはりうまかった。文字通り親子ほど年の離れたジョッシュとのラブシーンもあんまり違和感なかったのは、彼女の普通ぽさのおかげかも。

全体的に韓国版をマイルドに料理しましたってな感じでした。もっとアングラ的な監督がリメイクしたほうが良かったかもしれません。