シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

顔のないスパイ

2014-07-30 | シネマ か行

ケーブルテレビで見ました。リチャードギアは歳を取るにつれ魅力が増してきた人だと思っています。多分リアルタイムで彼の若いころにキャーと言っていた人は違う印象を持っているかもしれませんが。

アメリカの上院議員が殺され、その手口から死んだはずのロシアのスパイ・カシウスの犯行と思われた。CIA長官マーティンシーンは引退した元CIA諜報員でカシウスに誰よりも詳しいポールシェファーソンリチャードギアを呼び戻し、若手FBI捜査官で“カシウスオタク”のベンギアリートファーグレイスと組ませる。

ネタバレになりますが、結構早い段階で実はカシウスはポール自身であることが観客には分かります。え?こんなに早く彼の正体が分かってしまっていいの?と思ったのですが、カシウスの本当の目的は何なのかとか、ベンがいつポールの正体に気付くのかという部分を楽しむことができました。

ネットのレビューを見ていると評価は高くなくてスパイものとしての謎解きやハラハラが物足りないと感じている方が多いようなのですが、ワタクシはどちらかと言うと、謎解きそのものよりもこのポールとベンのベテランと若手の心の交流的なものを中心に見たので最後まで楽しむことができました。

カシウスが暗殺をしている理由と言うのが、イデオロギーや組織のためというものではなくて、殺された家族のためというところに哀愁を感じました。どちらかというと昨今のアクション満載のスパイものや、驚愕の陰謀、みたいな系ではなくて、往年のハードボイルド系の話に近いといった感じです。そういうちょっと古い雰囲気にリチャードギアがとてもマッチしていると思います。

ポールがベンの家族と親しくなり、彼の家族のことを考えてやるという部分も、彼が組織に愛する家族を殺されたことを考えれば非常に納得がいきましたし、そういうソフトな面を持っているスパイというのもリチャードギアっぽかったです。まぁ、実のところ家族を持たないというスパイのコードを破ったのは彼が悪いのかもしれませんけどね…

最後にベンまでもが、ロシアのスパイでカシウス暗殺を命じられていると分かるところは、ちょっと、えー?と思いましたが。結局ポール(カシウス)は自らが犠牲になってベンを助けてくれましたが、ベンがロシアの組織から抜けることはできないだろうから、あれでベンも安泰ってわけにはいきませんよねぇ…これからどうするんだろ。

上映時間が98分と、とても短いのでその分まどろっこしいシーンがなくてその点も好感が持てました。劇場で見るほどの作品ではないかと思うのですが、渋いギア様がお好きな方にはオススメです。