名家老列伝 |
主君を支えた、あるいは支えるべき家老の列伝です。
その舞台は戦国期ではなく江戸期ですので、合戦に臨んでのそれではなく藩政においての立場を語っています。
真田幸弘の恩田木工、三宅康直の渡辺崋山、南部利済の楢山佐渡、浅野長矩の大野九郎兵衛、黒田忠之の栗山大膳、徳川頼宣の安藤直次、水野忠邦の二本松大炊、細川重賢の堀平太左衛門、池田光政の熊沢蕃山、そして井伊直政の長野主膳と多士済々、初めて聞いた名前もありましたのでいろいろと調べながらの読書となりました。
その切り口は経営学であり、家老としての事績を紹介しながら現代の企業経営にどう反映をすべきか、学ぶべきところ、そうでないところはどこかが語られています。
さして厚くはない中で11人もが紹介をされていますのでエピソードは限られていますし、必ずしもそれが一般的に知られている内容とは一致をしない、あるいは正反対のものもありますので小説の域を出ない感じもありますが、戦国期の生き死にを賭けた戦いに優るとも劣らない覚悟、そういったものが伝わってきました。
派手やかに討ち入りをした大石内蔵助、藩札の回収と藩士への退職金を手当てした大野九郎兵衛、世の評価はもちろん大石内蔵助が高く大野九郎兵衛は卑怯者扱いをされている現状ですが、しかし大野九郎兵衛の生き様もまた組織として必要不可欠なものではなかったかと、そんなことも考えさせられる一冊です。
2013年10月22日 読破 ★★★☆☆(3点)