野球の無い日は客の気を引く記事を書かなければならないのがスポーツ紙の宿命ではあるのですが、開幕からのゴタゴタがようやく鎮静化の兆しがでてきた中での今回のニュースは、腹立たしいというのが正直なところです。
ロッテの次期監督として、西村、高橋の両コーチ、黒木、与田の次に名前が挙がったのは、誰もが予想だにしなかった江川でした。
江川氏がロッテ監督へ…ボビー後任に超大物急浮上 (6/5 スポーツ報知)
ロッテの来季監督有力候補として、元巨人の江川卓氏(54)=野球解説者=が急浮上したことが4日、分かった。
ボビー・バレンタイン監督(59)の今季限りでの退団が決定。
すでに後任人事に着手し、江川氏をリストアップ。
球団首脳はカリスマ性と卓越した野球理論を高く評価している。
球団生え抜きの西村徳文ヘッドコーチ(49)の内部昇格案もあり、今後は2人を軸として、本格的な絞り込みに入る見込みだ。
ボビーの後任には、超大物の名前が挙がっていた。
球団フロントは水面下で球団OBや元メジャー経験者ら、幅広く人選を進めてきたが、複数の関係者の話を総合すると、ここへ来て「昭和の怪物」と評される江川氏が急浮上した模様だ。
クローズアップされた最大の理由は、そのカリスマ性とみられる。
球団は昨年末に早々と今季限りでのボビー退団を決めたが、一方では来季以降の営業面における「ボビー・ショック」を危惧(きぐ)していた。
「赤字を抱えている球団で、約8億円以上かかるボビー体制を維持するのは難しい。ただ、ボビーの営業面での貢献は大きかった」と球団関係者。
能力面だけでなく、人気面でもボビーに勝るとも劣らない人材を熱望する声が上がっていた。
現役時代、巨人で135勝を挙げた江川氏は、右肩の故障で87年に引退した。
その後は、日本テレビの野球解説者に就任。
現在は「SUPERうるぐす」のメーンキャスターを担当している。
現場復帰で名前をとりざたされることは何度かあったが、これまでユニホームに袖を通したことはない。
今年2月にはヤクルト、楽天の臨時コーチとしてキャンプに招聘(しょうへい)され、引退後に初めて公の場でプロ選手を本格指導し、好評だった。
指導者としての実力は未知数だが、卓越した野球理論は、そのユニークさも手伝って、支持を集めている。
後任人事については、4月上旬に瀬戸山球団社長が「内部昇格の案も検討している。候補の1人ではある」とロッテ一筋28年の西村ヘッドが候補であることを明言。
現在のチーム状況を最も把握している西村ヘッドの昇格は、人件費を抑え、年間約30億円近い赤字を軽減するという意味でも、現実的な路線といえる。
しかし、6年続いたボビー政権からの脱却を図り、熱狂的なファンの支持を得るためには、外部招聘という選択肢も十分に残されている。
江川氏と千葉には縁もある。
05年5月、同氏が18年ぶりにユニホームに袖を通し、臨時投手コーチとして指導したのは、同じ千葉県内の社会人クラブチーム「サウザンリーフ市原」だった。
ヤクルト・キャンプを訪れた際も本人は復帰には否定的だったが、待望論は根強い。
後任は2人を軸として夏場までには絞り込まれる見込みだ。
「昭和の怪物」が、22年間の沈黙を破り、ついにユニホームを着るのか。
急展開を見せたロッテの監督問題に、全国の視線が注がれることになりそうだ。
例によって「関係者」という都合のいい情報ソースではあるのですが、そうでなくても記事の内容には矛盾と言いますか、無理がありすぎます。
キーポイントは赤字削減と人気、そして指導者としての実績です。
まず赤字削減ですが、腐っても江川ですからバレンタイン監督ほどとは言わないまでも、億の声が聞かれてもおかしくはありません。
それでも5億とも8億とも言われるバレンタイン監督がらみのコストを考えれば安くつきますが、久保を売り払った経緯を考えれば1円でも安くとの意向が働くと見るのが妥当でしょう。
コストの見返りでもあるのが人気ですが、確かに全国区の知名度を誇る江川ではあるものの、ことロッテファンに対するアピールで言えば黒木の方が数段上ですし、初芝であっても負けてはいないはずです。
この3人に共通するのがコーチ経験が無いことで、重光ジュニアだか瀬戸山球団社長だかが次期監督の条件にコーチ経験があることを挙げていましたし、有藤の二の舞を避けるべきというぐらいの判断は出来るはずです。
そう考えればロッテの次期監督に江川という選択肢はありえないのですが、あるとすれば政治的な動きによるものでしょう。
古巣の巨人は原監督が盤石な体制を敷きつつありますので、江川は現場復帰の意思は無いとも言われていますが、もし本人がそれを望むのであれば他球団しかなく、そうなるとフューチャーズやシリウスで蜜月状態となっているロッテが候補となってもおかしくはありません。
ロッテとしても読売グループがバックアップをしてくれるのであれば、先に挙げた問題を棚上げにすることに躊躇はしないでしょう。
もしかしたらご祝儀トレードをしてくれるかもしれず、言葉は悪いですが親会社から子会社への天下り、出向といった形になるのかもしれません。
ちょっと卑屈な発想ではあるのですが、ロッテの監督に江川が就任をするとすれば、このぐらいしか思いつきません。
何にせよチームが強ければこんな話題は封印をできるはずで、今はとにかく頑張ってくれとしか言いようがありません。