先日のヤクルト戦以上に眉唾の2万5千と発表をされたスタンドは、1階席は埋まっているように見えても実は空席が目立ち、2階席に至っては半分以下の状態でした。
わざわざ通常の自由席を指定席扱いにする意味がないぐらいの拍子抜けで、平日とは言っても巨人戦の神話がもろくも崩れ去ってしまった現実を目の当たりにしました。
これで巨人戦が平日、阪神戦が休日に組み込まれた理由は明白で、今や人気ナンバーワンのチームは阪神と言ってよいのかもしれません。
渡辺俊と高橋尚の見事な投手戦は、4時間弱の試合時間を感じさせないぐらいの見事なものでした。
延長12回の0-0の引き分けはあまり記憶にないのですが、引き締まったよいゲームだったと思います。
こういった投手戦はなかなか見られるものではありませんので、非常にいい経験をさせてもらいました。
その渡辺俊は、球場に向かう途中にペダルを踏むのが嫌になるぐらいの風が神風になるのではないかとの期待通りに、持ち味を活かしたピッチングを見せてくれました。
8回を2安打無失点、ピンチらしいピンチは8回だけで、それ以外は点を取られるどころかヒットを打たれる気すらしませんでした。
90キロ台のカーブのブレーキが非常に利いており、待ちきれずに腰砕けでスイングをする打者が面白いぐらいに続出をし、まさに渡辺俊の独壇場でした。
あれぐらいにカーブが決まると慣れないセントラルの打者にとってはバットに当てるのが精一杯で、まともに外野に飛んだのは数えるほどでした。
先日の中継ぎで打ち込まれた鬱憤を、これで解消してくれたのではないかと思います。
打線の援護がなく勝ち星がつかなかったのが残念ではあるのですが、ヒーローインタビューに呼びたいぐらいのナイスピッチングでした。
その渡辺俊を継いだシコースキーと伊藤もそれぞれ2回を無失点に切り抜けましたが、今日は伊藤のピッチングが素晴らしかったです。
ここのところはピリッとしない投球が続いていたのですが、今日はストレートに力があり、小笠原から奪った三球三振は見事の一語に尽きます。
ああいった攻めのピッチングが伊藤の身上ですから、今日の好投がきっかけとなってくれればと思います。
打線は巨人の投手リレーに6安打の無得点に抑えられましたが、抑えられるだけのピッチングをされたのですから仕方がないところがあります。
とは言え、9回以降は毎回のようにサヨナラのチャンスを迎えながらも例によってあと1本が出ず、巨人にとっては勝ちに等しい、ロッテにとっては負けに等しい引き分けでした。
攻撃面でちぐはぐな攻めが多く、せっかくの好試合ながらもストレスが溜まったことは否めません。
その最たるものが、9回の無死一二塁のチャンスに井口にバントのサインを出したことです。
数々のチャンスに無類の勝負強さを見せてきた井口に、何を持ってバントをさせようとしたのかが理解できません。
直前に西村コーチにサインの確認をするぐらいに、井口本人も信じられない気分でしょう。
これが普段からバントをきっちりとやっているチームであればまだしも、バントをさせるべきところで強攻策を繰り返してきたバレンタイン監督ですから、まさにマジックと言われたいが為の、あるいは気まぐれでしかない愚策であったと思います。
井口もプライドを傷つけられたでしょうし、負けていたら一気に不協和音が聞こえてきたであろう、そんな情けなくなるようなシーンでした。
同様に7回の二死一塁で竹原に盗塁をさせたこと、これはサインミスであると思いたいぐらいの不可解なもので、いつも笑顔を絶やさない温厚なランビンがバットを叩きつけるような素振りをするぐらいの、ちょっと気の毒になるようなプレーでした。
確かに高橋尚の投球とランビンの調子を考えれば長打を望むのは厳しかったですし、意外にも俊足である竹原ではあるのですが、左腕に対しての盗塁術などはないはずです。
これも意外性を狙った、サプライズ的な一か八か野球の一端であると思います。
そして極めつけが延長12回の二死一塁で、大松の代走に小林宏を送ったことです。
大松よりも小林宏の方が足が速いのかもしれませんが、走塁術という意味では野手の方に分があるのが当たり前ですし、ふくらはぎに痙攣歴を持つ小林宏に慣れない走塁をさせることの影響を、そして万が一にでもクロスプレーになったときの怪我の心配を考えなかったのでしょうか。
投手を代走に送ることで話題にもなりますし、自己顕示欲が強いバレンタイン監督としては鼻高々の起用なのかもしれませんが、スタンドでは呆れたといった反応が大半でした。
8回の一死一三塁のピンチに、バックホームシフトではなくゲッツーシフトを敷いたのにも驚きました。
今日の渡辺俊のピッチングからすればボテボテのゴロになる確率が高く、どういう意図でこういった判断をしたのかを知りたいです。
私からすると、血迷っていたとしか思えません。
里崎を執拗に5番に起用し続けることにも、ちょっと辟易してきています。
今日も面白いように走者がいる場面で打席が回ってきましたが、気持ちはレフトスタンドに飛んでいますが打球が飛んでいきません。
3割を打っているベニーよりも里崎に信を置くバレンタイン監督に、チーム内がどういった視線を向けているのか、隠しマイクでも仕込みたい気分です。
今日の面子であれば5番ベニー、6番竹原、そして7番に里崎でしょう。
采配への批判が止まりません。
井口にバントの指示を出しながらも、竹原には延長12回の無死一塁では初球にバントを失敗すると諦めてしまい、大事な走者をスコアリングポジションに送ることができません。
クルーンのストレートを的確にバントをするのが難しいことは分かっていますが、それでもあそこはバントの指示を出し続けるべきでした。
この1球毎にサインを変えるやり方は、昨年に散々と失敗をしたことを忘れたとは言わせません。
そろそろ采配に対するブーイングが球場から聞かれるのではないかと思えるぐらいの、愚策のオンパレードでした。
投手陣の好投、井口や早坂、そして里崎の好守と、非常に引き締まった試合でした。
そんな試合を心から楽しめなかった原因を作ったバレンタイン監督を、そろそろ軟禁する時期が来たのではないかと思います。
こんな試合を見せられても「BOBBY 2010」を掲げるのかと、そう問い質したくなる今日の試合でした。
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