電脳筆写『 心超臨界 』

一般に外交では紛争は解決しない
戦争が終るのは平和のプロセスとしてではなく
一方が降伏するからである
D・パイプス

人間通 《 昇進――谷沢永一 》

2024-10-18 | 05-真相・背景・経緯
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日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
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■緊急拡散宜しく『日本を崩壊へ導く「選択制夫婦別姓」問題』
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我が国では律気(りちぎ)に勤めてさえいれば誰でも昇進できる仕組みが出来あがっている。アメリカのように生涯を同じ職名で通すお国柄ではない。本人だけでなく家族も世間も昇進を当り前だと見做(みな)している。ゆえに誰もが自分の昇進は遅すぎると不満を抱いている。


◆昇進

『人間通』
( 谷沢永一、新潮社 (2002/05)、p74 )

阿刀田高(あとうだたかし)が国会図書館の採用試験を受けたとき、もし合格したらどんな仕事を望むかと聞かれた。打てば響くように、館長の仕事などやってみたら面白いだろうなと思います、と答えた。幸い人事係が冗談(ジョーク)を解する人だったのでめでたく入館を許された。これは機知(ウィット)に富む性格であるぞと売りこむ賭(か)けであり、試験官の性格をよく見定めたうえでの勇気ある一発であるから、何時(いつ)でも何処(どこ)でも通用する万能の術策ではない。以上は例外的な成功例として話の導入部(イントロ)に持ちだしたにすぎないが、一般になんらかの組織に属する人は、誰でも上司が現在たずさわっている程度の仕事なら、今すぐにでも自分はやれると秘(ひそ)かに思っている。昇進の辞令を受けて喜んだ振りをしているのは外面(そとづら)であって、或(あ)る人は当たり前だと自任し、また或る人は、こんな程度ではまだ己れの実力にふさわしくないと怨(うら)んでいる。部下を引き立てたら嬉(うれ)しがるであろうと期待するのは人情をわきまえぬ錯誤である。

我が国では律気(りちぎ)に勤めてさえいれば誰でも昇進できる仕組みが出来あがっている。アメリカのように生涯を同じ職名で通すお国柄ではない。本人だけでなく家族も世間も昇進を当り前だと見做(みな)している。ゆえに誰もが自分の昇進は遅すぎると不満を抱いている。人の鬱屈(うっくつ)を解消するためには歯車が休みなく着々と動いてゆくような誰もが正確と認めざるを得ない昇進制度の運行が必要である。世に公平な措置など実はないのだが、一応は公平だと受けとれるような仕打ちが人事の眼目である。
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