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電脳筆写『 心超臨界 』

強みは物理的な能力がもたらすものではない
それは不屈の信念がもたらすものである
( マハトマ・ガンディー )

米中対決…活路探る台湾・蔡政権――矢板明夫さん

2020-06-06 | 04-歴史・文化・社会
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《 いま注目の論点 》
コロナ禍で見えた中国の正体――阿比留瑠比さん
ご破算にされた台湾政策――石平さん
空白を中国に埋めさせるな――石井聡さん
香港 一国二制度は崩壊した――藤本欣也さん
中国 微笑外交の陰に牙――櫻井よしこさん
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米中対決…活路探る台湾・蔡政権――矢板明夫・台北支局長
【「KAI解DOKU読」産経新聞 R02(2020).06.06 】

台湾で5月20日に発足した蔡英文政権は、米中対立の本格化と、香港版国家安全法の導入など複雑な東アジア情勢に直面している。対応を一歩間違えば台湾を危険にさらす恐れがある。蔡氏は中国を刺激することを避けつつも、香港の民主化を応援し人材を積極的に受け入れる。米国との連携も強化して、親米反中路線を慎重に歩みながら、コロナ後の世界秩序の行方もにらんだ台湾の活路を見いだそうとしている。

《 香港の民主派応援・人材流入に期待 》

▼「銅鑼湾書店」訪問

中国の全国人民代表大会(全人代=国会)で、「香港版国家安全法」の制定方針を採択した翌日の5月29日、台湾の蔡英文総統は、台北市中心部にある香港系書店「銅鑼湾(どらわん)書店」を訪れた。

2015年まで香港にあった同書店は、中国共産党体制を批判する書籍を販売したことなどを理由に、経営者ら5人が中国の治安当局に拉致・連行され、閉店に追い込まれた。その後、台湾に逃れた店長の林栄基氏はインターネットなどを通じて資金を募り、4月下旬に同書店を再開させたばかりだった。

蔡氏が、台湾にいる香港人活動家らの重要拠点にもなっている同書店を訪問したことは、香港の民主派を応援する意思表明である。林氏に対し「台湾は香港人のみなさんを歓迎する。困ったことがあれば何でも言ってください」と述べた。

蔡氏は書店に約20分滞在したが、微妙な光景もあった。中国共産党内部の権力闘争に関する本や中国の民主化活動家らの著書を並べた本棚をしばらく眺めたが、「お金を持ってくるのを忘れた」と言って本を1冊も購入しなかったのだ。

その理由について、民進党関係者はのちに「中国の内政に踏み込んだ刺激的なタイトルが多く、買ってしまうとメディアに『深読み』されてしまう可能性がある」と説明した。「香港の人々を応援するが、中国の内政に干渉しないというのがわれわれの基本的スタンスだ」とも強調した。

▼中国を刺激しない

5月20日の2期目就任演説でも、香港問題で中国に配慮する場面が見られた。

昨年の総統選キャンペーンでは、演説で何度も香港の反中デモに触れ、ライバルの中国国民党の候補、韓国瑜高雄市長の親中的姿勢を痛烈に批判した。

1月の選挙で蔡氏に投票した有権者には香港の反中デモを支持する若者が大勢いるといわれる。このため就任演説では、蔡氏がどのように香港問題に触れるかが注目され、思い切った香港支援政策を打ち出すことを期待する向きもあった。

しかし、蔡氏は演説で香港を直接的に言及することなく「人権委員会」の立ち上げを表明したにとどまった。「人権委員会で香港と新疆ウイグルの人権問題も取り扱う」と関係者は説明したが、中国を刺激したくないという蔡氏の気持ちを表しているともいえる。「裏切られた」と思った若者も少なくなかったという。

今年になってから、中国は台湾周辺で軍艦、軍用機の活動を活発化させ、8月には南シナ海に位置し、台湾が実効支配している東沙諸島の侵攻を念頭に置いた大規模な軍事演習を実施する計画もある。

香港と台湾を共に「革新的利益」と位置付ける中国の習近平政権が最も警戒するのは、独立志向が強い民主進歩党の蔡政権と香港の独立派が連携することだ。中国を怒らせ台湾海峡の軍事的緊張が高まることを避けるため、蔡氏は香港の民主派支援を「人道上」に限定しているよう見える。

▼移民に積極的対応

中国による香港版国家安全法制定を受けて、台湾と香港の間にさまざまな動きがある。最も顕著なのは香港からの移民流入である。

政権内には香港移民に関する対策チームが設けられ積極的に対応している。台湾メディアの報道では、香港で反中デモが本格化した昨年1年間で台湾に移住した香港人は5千人を突破し、前年比41%も増えた。台湾の大学や専門学校への留学を申し込んだ香港の若者は今年約4千人と昨年より62%増えた。

これら公表された数字以外に、昨年の反中デモで過激的な行為を辞さなかった「勇武派」の大学生らが台湾に政治亡命を求めるケースも後を絶たない。台湾側は彼らに特別滞在許可の資格を与えたが、人数などは一切公表していない。

また、民進党に近い人権団体や宗教団体は昨年から防毒マスクやヘルメットなどを送り、香港の民主派と良好な関係を築いてきた。

蔡政権の狙いは香港からの人材と資金の流入だ。

香港で国家安全法が施行されれば自由や人権が大幅に制限され、外国企業が逃げ出し、香港が国際金融センターの地位を失う可能性もある。台湾がその受け皿になるべく、政権の対策チームは投資と人材を誘致する法整備を開始している。

蔡氏は2期目で「経済のレベルアップ」を打ち出している。香港から企業、人材、資金が大量に移れば台湾経済に大きなプラスとなるのは間違いない。

台湾にとり最大のライバルはシンガポールだ。英語が通用するなど台湾と比べて有利な側面もあるが、政治的スタンスはやや中国寄り。蔡政権は香港の民主派を支援することで、シンガポールとの差別化を図る狙いもありそうだ。

▼トランプ氏を応援

蔡政権は一方で、米国との接近も図っている。その象徴は、5月中旬に半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が発表した米アリゾナ州の半導体工場建設だ。

米トランプ政権の誘致を受けたもので、投資総額120憶ドル(約1兆3千億円)。「5ナノメートルプロセス」(1ナノメートルは10億分の1メートル)と呼ばれる最先端技術を使用したチップ生産が可能で、2024年に稼働すれば関連企業を含め数千人の雇用を創出するという。

「米国の安全保障や経済の繁栄につながる」とポンペオ米国務長官が歓迎の声明を発表したように、この投資には11月に選挙を控えるトランプ大統領を応援する意味もあるといわれる。

中国国内にも複数の工場を持つTSMCは当初、米国進出に躊躇(ちゅうちょ)したとされる。中国からの報復を警戒するほか、米国での人権費は台湾の2倍以上という事情もあった。台湾メディアによれば、蔡氏は自ら「政府は全力で支援する」と同社経営陣の説得に動いた。

新型コロナウイルスの最大の被害国となった米国とコロナ後の世界秩序の主導権を狙う中国との対立が深刻化する中、TSMCの米国進出は「米国とともに行動する」との強い意思表示と受け止められている。

中国は今のところ静観する構えだが、蔡政権は中国当局が台湾企業に税制上の締め付けを強化することを想定し、企業の「台湾回帰」を呼びかけ始めた。

ただ、台湾には、トランプ氏との関係ばかリを重視する蔡氏の外交姿勢に危うさを懸念する声もある。

野党、中国国民党系のシンクタンク研究者は「11月の大統領選挙で民主党のバイデン氏が勝てば、台湾は米国に見捨てられるリスクを考えなければならない」と指摘している。

昨年の総統選期間中、蔡氏は自らの外交方針について「安定、臨機応変、進歩」と語った。米中対決時代の荒波を台湾が生き抜くために、蔡外交の真価が問われている。
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