電脳筆写『 心超臨界 』

強みは物理的な能力がもたらすものではない
それは不屈の信念がもたらすものである
( マハトマ・ガンディー )

読むクスリ 《「人生は不公平」――J・F・ケネディ 》

2024-09-30 | 03-自己・信念・努力
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ある日の記者会見で、通信社の女性記者が質問した。「ベトナムでは、派遣されたアメリカ軍兵士の間に死傷者がふえています。一方、平穏な西ドイツに派遣された兵士たちは、家族同伴で快適な生活を楽しんでいます。大統領はこれを不公平だとは思いませんか」。並み居るホワイトハウス詰めのベテラン記者連も、テレビの前の溝口さんも、固唾(かたず)を呑んだ。


◆「人生は不公平」

『読むクスリ 23』
( 上前淳一郎、文藝春秋 (1995/06)、p106 )

「国が何をしてくれるか求めるのではなく、国のために何ができるかを考えよ」

アメリカの第35代大統領J・F・ケネディは、1961年1月の就任演説でそう国民に呼びかけた。

43歳、史上最年少の大統領のその訴えは、とりわけ若者の間で新鮮な衝撃とともに受け取られ、夢と理想を追い求めようとする熱気を呼んだ。

「私がワシントンの日本大使館へ一等書記官として赴任したのは、その演説の翌年でした。まさしくアメリカには、高い理想を掲げて前進しようという活気がみなぎっていました」

と日本商工会議所特別顧問の溝口道郎さん。

     *

一等書記官としての溝口さんの主な仕事の一つは、月に2、3回行われるケネディの記者会見をテレビで見て、その要旨を東京の外務省へ報告することだった。

今のように、ホワイトハウスでの会見の様子が衛星中継でただちに日本の茶の間へ届く、などということはない時代である。

「ブラウン管を通じてたびたび接しているうち、この確固たる信念と強い意志を持った若い大統領に、私もしだいに引きつけられていくのを感じました」

加えて、爽やかな笑顔と率直な人柄。なるほど人気が出るわけだと、うなずかされた。

「とりわけ記者会見での受け答えが、明快かつ才気にあふれ、胸がすくような快感があるんです。そうだ、そうだ、と思わず手を叩きたくなる。私も若かったですなあ」

のちにアメリカ公使、カナダ大使などをつとめることになるエリート外交官は、33歳だった。

     *

ある日の記者会見で、通信社の女性記者が質問した。

「ベトナムでは、派遣されたアメリカ軍兵士の間に死傷者がふえています。一方、平穏な西ドイツに派遣された兵士たちは、家族同伴で快適な生活を楽しんでいます。大統領はこれを不公平だとは思いませんか」

並み居るホワイトハウス詰めのベテラン記者連も、テレビの前の溝口さんも、固唾(かたず)を呑んだ。

むずかしい質問だ。たしかにベトナムの戦火は拡大しつつある。一方で西ドイツにも駐留軍は必要だし、不公平といったって、現実にはほとんど解決しようのない問題なのだ。

そうとわかっていながら、わざわざ持ち出す書生論好きの記者というのがときどきいるものだが、さあ、どう答えるか。

ケネディはためらう様子さえ見せなかった。口を開くと、ただひと言いった。

「LIFE IS NOT FAIR(人生とは不公平なものだ)」

その女性記者も、ほかの記者たちも、反論すべき言葉を持たなかった。

並みの政治家なら、くどくどもっともらしい理屈をいったかもしれない。

「しかし彼の答えは、率直かつ明快そのものでした。若いに似ず、悟りきった高僧の一喝のような威厳さえありました」

溝口さんはますますこの大統領が好きになった。

     *

その翌年、すなわち1963年11月22日テキサス州ダラスで、ケネディは暗殺者の凶弾に倒れた。大統領在任千日だった。

その悲報を東京へ打電しながら溝口さんは、

「人生とは不公平なものだ」

という言葉を思い出さないわけにはいかなかった。

「国民の人気の、そして彼自身の人生の、絶頂にありながら、なぜ突然暗殺されなければならなかったのか。これこそ、まさに不公平じゃありませんか」

しかし、現実に事件は起きた。その運命に遭遇するのが、彼の人生だったのだ。

ケネディは自らそのことを予感して、あのひと言をいったのかもしれない。
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