電脳筆写『 心超臨界 』

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( ジョン・ロック )

不都合な真実 《 緊急事態対処規定ないのは98か国中0――西修 》

2024-05-26 | 05-真相・背景・経緯
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私が1990年初頭から2011年末までに新しく制定された98か国の憲法を調べたところ、緊急事態対処規定を設けていない憲法は皆無であった。ちなみに憲法に平和条項を設けている国は96に上る。一方で平和主義を掲げ、他方で平和や安寧秩序を侵される場合に備えた措置を明文で規定しておくことは、世界各国共通の憲法構造になっているといっていい。[ 西修 ]


◆緊急事態対処規定ないのは98か国中0

『憲法の正論』
( 西修、産経新聞出版 (2019/11/2)、p116 )

国際条約においても、国民の生存を脅かすような緊急事態が発した場合にあっては、それぞれの国が一定の人権を制限して、事態の対処に必要な措置を講ずることが認められている。(1966年の国際人権規約B規約、1950年の欧州人権条約など)。

  国際人権規約B規約4条1
 (市民的および政治的権利に関する国際規約)
  国民の生存を脅かす公の緊急事態の場合において、その緊急事態の
  存在が公式に宣言されているときは、この規約の締約国は、事態の
  緊急性が真に必要とする限度において、この規約にもとづく業務に
  違反する措置をとることができる。ただし、その措置は、当該締約
  国が国際法にもとづき負う他の義務に抵触してはならず、また、人
  権、皮膚の色、性、言語、宗教または社会的出身のみを理由とする
  差別を含んではならない。

わが国同様、第二次大戦の敗戦国たるドイツでも、68年にキリスト教民主同盟(CDU)と社会民主党(SPD)との大連立政権下で、外国からの武力攻撃に備える「防衛事態」条項の新設など大々的な憲法改正がおこなわれた。このときの一連の改正・補充は「非常事態憲法」の制定と称されている。

永世中立国として知られるスイスでは2000年1月1日から、新憲法が施行された。新憲法は、政府に対して「大災害および緊急事態における民間防衛の出動のための法令作成」を、また男子に対しては軍あるいは民間防衛の役務につくよう義務づけている。

同国政府が全家庭に配布している『民間防衛』という冊子には「われわれは、あらゆる事態の発生に対して準備せざるをえないというのが、もっとも単純な現実なのである。わが国の安全保障はわが国の軍民の国防努力いかんによって左右される」との一節がある。

◆非常時に真価を発揮する憲法を

お隣の韓国憲法(1987年)は、「内憂、外患、天災、地変または重大な財政上および経済上の危機に際し、国家の安全保障または公共の安寧秩序を維持するために緊急の措置」をとる権限を大統領に与えている。そして、北朝鮮による2010年11月の韓国・延坪(ヨンビョン)島への砲撃で、韓国軍は直ちに、対抗射撃を行うと同時に、李明博大統領は全軍に臨戦態勢に入るよう命じた。島民らの被害が最小に抑えられたのは、日ごろからの避難訓練の実施と危機意識の高さによるものだったと伝えられている。

憲法上、もっとも大切な点は、憲法が定めている諸制度や公的機関の正常な機能を維持させることである。憲法秩序が破壊されてしまったような緊急事態の下で、一時的に権力を執行府に集中させ、人権を必要最小限に制約して、憲法秩序の維持を優先させることは、立憲主義の原則と何ら矛盾しない。むしろ、「憲法の保障」という観点から、積極的に是認されるものだ。憲法は平常時にあってのみならず、非常時にあっても、いや非常時においてこそ、その「真価」が発揮されるべきなのである。

2011年の大震災は、憲法を基軸とした国家の緊急事態法制について再点検する必要性を強く認識させたといえる。緊急事態条項の憲法への導入、外部からの武力攻撃だけでなく、大規模な自然災害にいたるまで、それらの対処を包括する緊急事態基本法の制定、そして、個別法(武力事態対処法、災害対策基本法など)を遺漏なく再整備するなど、重層的な検討が早急に加えられなければならない。
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