電脳筆写『 心超臨界 』

忍耐は知恵の付き人
( アウグスティヌス )

「競争に勝つ論文」と「競争を始める論文」――山本尚さん

2020-10-14 | 05-真相・背景・経緯
「東京裁判史観(自虐史観)を払拭して本来の日本を取り戻そう!」
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《拡散希望》
アジア解放【感動】独立のことアジア人に聞いてみた!日本のこと本当はどう思ってるの?
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《 いま注目の論点 》
「学問の自由」もてあそぶ欺瞞――阿比留瑠比さん
米台急接近 外交関係樹立は…――矢板明夫さん
台湾有事 欧州で強まる危機感――三井美奈さん
戦場的情報による分断に乗るな――島田洋一さん
「蜜な」時間で生きる危険――曽野綾子さん
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◆「競争に勝つ論文」と「競争を始める論文」

『日本人は論理的でなくていい』
【 山本尚、産経新聞出版 (2020/10/2)、p85 】

本当に世の中を変えるほどの論文は、「競争に勝つ論文」ではなく、「競争を始める論文」である。

「競争に勝つ論文」を出すのは比較的簡単で、ある程度、知識のある研究者なら、決まったルールで、決まった研究範囲で競争して、頑張れば勝つことはそれほど難しくはない。見える目標を達成するのは、努力だけで済むからである。

一方、「競争を始める論文」、つまり新しい競争の新しい意義や、これまでになかった新しい価値を見出し、それを世界に広め、それに対する答えを促す論文は稀有(けう)だと言ってよい。新しい分野を見出し、それに対する課題を示し、その解決を探すことを提案するのは、そう簡単ではない。すぐには見えない目標を発見することは、とても難しい。長い思考が必要であり、場合によっては血が滲(にじ)むほどの努力が必要になる。

また、研究の分野をしっかりと把握することも大切であるが、もっと大切なのは周辺領域の学問や技術がその分野にどう影響するかを知ることである。それによって、競争を始める方法がわかるときもある。さらに重要なのは、誕生する新しい分野が社会にどのように役立つかを、明確に表現することである。

昨今、発展途上国の論文数が我が国を遥かに凌駕(りょうが)していることを問題視する人は多い。しかし、そうした発展途上の国では、「競争を始める論文」を出すことは非常に難しい。途上国では何よりも「競争を始める論文」を出すだけの、科学技術の土壌が十分にはできおらず、また、「競争に勝つ論文」の数のみに、目が行っているようにも見受けられる場合が多い。

すなわち、途上国には競争に勝てばいいと思っている研究者が非常に多い。そうした国からの「競争に勝つ論文」はあまり怖くない。しかし、早晩、そうした途上国においても、「競争を始める論文」が誕生する時期が必ず来る。我が国はそうした世界を先導する論文が今のようなスピードで発展途上国から発表された場合こそ、総力をあげて、対応しなければならない。
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