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電脳筆写『 心超臨界 』

強みは物理的な能力がもたらすものではない
それは不屈の信念がもたらすものである
( マハトマ・ガンディー )

モンゴル人におけるチベット語はカッコイイものであった――司馬遼太郎

2025-03-10 | 05-真相・背景・経緯
20年に及ぶブログ活動の集大成 → <a href=https://blog.goo.ne.jp/chorinkai/e/3d8eb22fad45ce7b19d6a60e8a70b7e7" target="_blank">★仏様の指
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モンゴル人は、元帝国時代でも、儒教やイスラム教に鈍感で、固有のシャーマニズムのみを信じたほどに素朴であったが、ラマ教の到来によって、それなりに備えている形而上的体系というものにはじめて接した。このことは、この民族のなかの聡明なひとびとにとって魅力的だったようで、経典語であるチベット語が哲学的なことばとしてさかんに借用された。モンゴル人におけるチベット語は、明治後の日本人における英語やフランス語のようにカッコイイものであった。


◆モンゴル人におけるチベット語はカッコイイものであった

『ロシアについて―北方の原形』
( 司馬遼太郎、文藝春秋 (1989/06)、p214 )

ラマ教について、すこしだけふれておく。

この仏教は、たしかにインドで成立したものだが、仏教というよりも、いわゆる左道密教なのである。左道というのは、邪道という意だが、インド仏教の衰亡期の寸前にあらわれた派で、人間の欲望を積極的に肯定し、性交を密教原理の具象的あらわれとし、かつ秘儀とするものであった。これがインドから北上して8世紀のチベット高原に入り、9世紀以後、定着した。

モンゴルに入るのは、ずいぶん遅かった。16世紀の明代だった。土着の宗教であるシャーマニズムを衰弱させる勢いでひろまったのは、清朝になってからである。

ラマ教にあっては、生身(いきみ)の活仏を観音菩薩(ぼさつ)または阿弥陀(あみだ)如来であるとするのである。また男女合体の「妙適(エクスタシー)」像をあがめるだけでなく、ラマ僧自身が初夜権をもつ。結婚前の娘たちを性交によって祝福するのだが、それはいいとしても、ラマ僧に梅毒を保菌している者が多いために、それを新妻たちに感染させることになった。このことが、人口増加を衰えさせる結果になった(ロシア人がシベリア征服にあたって、女性が不足していたことはさきにふれた。それでもなお、ラマ教を奉ずる民族の女たちに触れることを怖れたのは、一つは性病のためであった。

モンゴル人は、元帝国時代でも、儒教やイスラム教に鈍感で、固有のシャーマニズムのみを信じたほどに素朴であったが、ラマ教の到来によって、それなりに備えている形而上的体系というものにはじめて接した。このことは、この民族のなかの聡明なひとびとにとって魅力的だったようで、経典語であるチベット語が哲学的なことばとしてさかんに借用された。モンゴル人におけるチベット語は、明治後の日本人における英語やフランス語のようにカッコイイものであった。最近、日本人の女の子の命名に、ヨーロッパ風の名前に通ずるような名づけが流行しているように、モンゴル人たちの間に、ごく半世紀ぐらい前まで、女の子の名をチベット名前にしたがる伝統がつづいていた。チベット名前ならそれだけでハイカラで可愛く、やや哲学的であるという響きが、かれらには感じられたのである。このことも、ラマ教の一影響といっていい。

清朝は、ラマ教がモンゴル人の悍気(かんき)を殺(そ)ぐ上で大きな効果があることを知ると、この普及と奨励を政策化した。具体的には細菌作戦というべく、儀式の奨励によって梅毒患者を大いにふやさせた。

ついでながら、いまのモンゴルには、内外とも梅毒患者はいない。
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