電脳筆写『 心超臨界 』

人生は良いカードを手にすることではない
手持ちのカードで良いプレーをすることにあるのだ
ジョッシュ・ビリングス

大変転した共産党の憲法解釈――阿比留瑠比さん

2015-07-21 | 04-歴史・文化・社会
★ついに「心超臨界」の時来る → http://tinyurl.com/l7v2lbt
  百万人目のあなたの参加が求められています!
( 心が臨界質量を超えるとは ⇒ http://tinyurl.com/5kr6f

大変転した共産党の憲法解釈――阿比留瑠比・政治部編集委員
【「阿比留瑠比の極言御免」産経新聞 H27(2015).07.09 】

共産党の不破哲三前議長が7日、約4年ぶりにテレビ番組(BS11)に出演して気を吐いていた。老いてますます盛んなのはけっこうだが、その憲法論には得心がいかなかった。

集団的自衛権を限定容認する安全保障関連法案に関する違憲論をめぐり、司会者に「共産党は厳格に今の憲法を守る立場か」と聞かれた不破氏は、「はい」と答え、こう続けた。

「憲法には国際紛争の解決の手段として武力放棄と書いてある。いくら解釈を持ち出しても、絶対に乗り越えられない壁だ」

だが、果たして共産党はこれまで、憲法やその解釈をそんなに大事にする立場をとってきただろうか。

  9条は「一個の空文」

共産党の野坂参三元議長は昭和21年8月、政府提出の「帝国憲法改正案」に対して各党が最終態度表明を行った衆院本会議で、憲法9条についてこう反対の論陣を張っていた。

「(国際的に不安定な状態にある)現在の日本にとってこれは一個の空文にすぎない。わが国の自衛権を放棄して民族の独立を危くする危険がある」

共産党のナンバー4である政策委員長を務め、後に決別した筆坂秀世氏の近著『日本共産党と中韓 左から右へ大転換してわかったこと』によると、共産党は一貫して改憲政党だった。

また、共産党は現在も自衛隊を憲法違反の軍隊と位置づけているが、これは自衛隊は合憲とする政府の憲法解釈と全く異なる。政府解釈と正反対の見解を掲げる政党が、集団的自衛権めぐる従来の政府解釈に限って「順守しろ」と言っても説得に乏しい。

  天皇制も見直し

筆坂氏は著書でこう厳しく指摘している。

「(共産党は)自衛隊解消までに、もし急迫不正の侵害があったなら、共産党が与党ならば自衛隊を活用するが、与党でなければ活用しないという支離滅裂な方針を掲げている」

さらに共産党は、天皇に関しても「憲法解釈を見直した」(筆坂氏)。当初は天皇条項は「君主制」だとして現憲法の反動的条項と決め付け、「天皇制打倒」を主張してきたのに、国民に受け入れられないとみると、「政治的機能を持たないから君主制とはいえず、打倒の対象とする必要もない」と憲法解釈を変えた。

共産党は現在、「安全保障環境の変化だけ振りかざして憲法解釈を180度変えることは立憲主義に反する」(井上哲士参院国対委員長)と政府・与党を批判している。だが、共産党自身が国際環境や時代の変化に合わせて柔軟に憲法解釈を変更してきたのだ。

そもそも憲法9条をめぐっては、すでに政府解釈の一大転換がなされている。吉田茂首相(当時)は21年6月の衆院本会議で、「侵略された国が自国を守るための戦争は正しい戦争」と主張する野坂氏に対し、こう明言していた。

「国家正当防衛権による戦争は正当なりとせらるるようであるが、私はかくのごときを認むることが有害であると思う。ご意見のごときは有害無益の議論と考える」

つまり政府は当初、憲法解釈上、自衛戦争そのものも否定していたのだ。それが警察予備隊(25年創設)、保安隊(27年創設)、自衛隊(29年発足)…と国際環境の変化に基づく現実社会の要請を受ける中で、明らかに変わっていったのである。

今さら、政府解釈を少しでも変えることはまかりならぬといわれても、ちゃんちゃらおかしい。

★これらの記事を発想の起点にしてメルマガを発行しています。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 前の戦争は侵略戦争ではない―... | トップ | 日本列島が海上の孤島になる... »
最新の画像もっと見る

04-歴史・文化・社会」カテゴリの最新記事