司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

役員の選解任に関する種類株式 その2

2011年03月08日 | 株式・新株予約権

おはようございます!! 早速昨日の続きでございます。

種類株式の設計ってホント~に難しい、と常々思っております。
会社としては、自分たちがしたいことを反映できれば良いのでしょうが、ワタシ(たち)が考えるのは、後日の運用です。

日本の会社が種類株式の導入に積極的でなかった理由は、上場会社が導入しにくいことや、コレまでの種類株式のバリエーションが少なかったこと、種類が増えてきてもそれなりの規制がかかり使いにくかったこと、などが挙げられると思います。

が、昨今の事業承継には、種類株式が欠かせない存在になっているような気がしています。(←気のせいかしら。。。^^;)
どうやら、税務上の問題で、株式はそのまま所有させることが難しい、でも、株式の所有が分散すれば支配権がなくなってしまう。。。ということのようです。
事業承継のさせ方は会社ごとに異なるのですが、ワタシが携わっている案件では、いわゆる「属人的株式」というヤツはなくって、それ以外の種類株式(会社法108条)の組み合わせで設計しています。

モノによっては、属人的種類株式を用いると良いな。。。ということもありますが、実際に運用するとなると、ギモンが多いのも事実です。

さて、ハナシを元に戻しましょう^^;

昨日のいわゆる「役員の選解任付種類株式」を用いますと、一応の目的は達せられるのですが、問題は種類株主総会です。
「選解任付」の場合、もはや通常の株主総会では役員の選解任は行うことが出来ません。
実際、クライアントさんの中には導入していらっしゃる会社もありますが、やっぱり、かなり面倒なんです。

「選解任付」にしなければならない場合というのは、ある一部の役員を種類株主総会で選任する場合ですよね。例えば、「A種類は取締役1名、B種類は取締役2名、AB共同で取締役1名を選任できる。」って場合です。
ただし、今回に関しては、取締役全員をある種類の株式が選任できれば良いのですから、AとBの株式を一部無議決権とすることでも同様の効果が出ます。

以前は、非公開会社といえども全部の株式の議決権を制限することは出来ませんでしたから、この設計は無理でしたが、現在は問題ありませんよね♪
で、そうすることによってどんなメリットがあるか、ですが、種類株主総会を開催する必要がありません。もちろん、議案によって議決権を行使できる株主が異なるので、議事録の書き方は少し工夫する必要があるのでしょうけど、種類株主総会が必要となると、株主総会の手間が増えてすごく面倒です。多分、司法書士サンの報酬も高くなりますし。。。^^;

そして、株式の内容も分かりやすくなります。
「選解任付」にしますと、3種類の株式全部に選解任の内容を定めなければなりませんので、無議決権である従業員の株式に関しても、わざわざ定めを置く必要が出てきます。

設計するのは、ある程度法律に詳しい方たちなのでしょうから、複雑な定款規定でも読み解けるのですが、これからしばらくの間、その定款規定を運用するのは基本的には社員の方々で、しかも担当者はどんどん変わる。。。ってことを考えると、やっぱり、「シンプルが一番!」だと思います。

種類株式の内容設計って、アタマを柔らかくする必要があるんでしょうね~。。。
ワタシが苦労してるのは、多分ソコだわ。。。 …(- -; )

コメント
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