司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

取得条項付株式の取得手続 その7

2011年01月21日 | 株式・新株予約権

添付書類のことでしたよね~♪

取得条項付株式の取得と引換えにする株式の発行の登記の添付書類は、一般的には次のとおりです(商業登記ハンドブックP296)。

1.一定の取得事由の発生を証する書面(会社が別に定める日の到来をもって取得事由とする旨の定款の定めがあるときは、株主総会又は取締役会の議事録)
ただし、一定の取得事由の発生について、直接的に証明する書面がないときは、代表取締役の上申書で良いそうです。

2.取得条項付株式の一部を取得した場合は、当該一部の株式の決定に係る株主総会または取締役会の議事録

3.株券発行会社の場合は、株券提供公告をしたことを証する書面(未発行の場合は株主名簿等)

今回は、2と3は関係しないので、問題となるのは1です。
つまり、一定の取得事由というのは、定款規定に「平成●年●月●日以降いつでも。。。」と定めてありますから、見れば分かるわけで、それを証する必要はないのでは?ということ、そして、「会社が別に定める日の到来をもって~」という取得事由ではないので、議事録は必要ないのでは?ということです。

昨日の記事にも書きましたとおり、「いつでも」とは言え、「いつなのか?」は誰にも分からないのですから、その決定は取締役会の決議が必要ということでして、ですから、登記の際も取締役会議事録は添付しなきゃダメなのだそうです。
そして、取得事由の発生自体は、特に証明する必要はない、とのことでした。

次に、一連の手続について。

今回は、一連の手続を同時に申請したワケですが、一応、どういうタイミングで決議等を行ったかをご紹介しておきますね♪
(日付は例示デス)

①H22.12.1 取得条項を付ける定款変更(株主総会決議、普通株主の種類株主総会決議、A種類株主全員の同意)
②H22.12.1 取得の日(H22.12.2)の決定、取得を条件とするA種類株式の消却決議(取締役会)
③H22.12.2 (A種類株式の取得後)取得した旨の(旧)A種類株主への通知、種類株式を廃止する定款変更決議(株主総会決議(招集省略))

↑ ほぼ最短でやる場合はこんな感じになりますが、取得の日を12月1日にして、③も同日にすることは可能だろうと思います。
また、③の定款変更に際しては、普通種類株主総会が必要な場合もあると思います。今回はA種類株式が配当優先、議決権なし、というものでしたので、普通株主には不利益を与える可能性がないということで種類株主総会の決議は行いませんでした。

ちなみに、①の定款変更で普通種類株主総会が必要になるのは、取得の対価が普通株式とされているためですよね(会社法111条第2項)。
取得条項が発動された場合には普通株式が発行されるのですから、募集株式の発行と比較できるのではないかと思うのですが、募集株式の発行の際は種類株主総会が不要であっても、取得条項を付ける定款変更は一律に種類株主総会の決議が必要とされているようです。

。。。というわけで、これでおしまい!

「なんでそんな面倒なことをする必要があったの?株式の種類の変更をすれば簡単なのにぃ。。。(ブゥブゥ)」と思われた方もいらっしゃるでしょうね。 ワタシも同じで、「こういう方法もありますケド。。。」と提案してみたのですが、どうしてもこれでやる!とのことで、理由は良く分かりませんでした(^_^;)

でも、こういう珍しい経験をさせていただいたのは、とてもありがたいな。。。と思っております_(_^_)_

コメント (5)
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