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速水御舟展

2009年11月01日 | 美術(09年)


 この10月1日にオープンした山種美術館で開催中の「速水御舟展」に行ってきました。

 山種美術館は、もとは兜町の山種証券のビルの中にあって、3、4回ほど行ったことがあります。その後10年近くは、九段の千鳥ヶ淵そばの「三番町KSビル」に入っていたところ、このほど広尾に新築したビルに移ったというわけです。

 九段にあったときはやや行き難いこともあってご無沙汰でしたが、今度の広尾は、恵比寿駅から歩いても10分足らずで随分アクセスしやすくなりました。
 それに、山種美術館といえば速水御舟で、それが開館記念につきおよそ120点もまとめて展示されるというのでは、見に行かないわけにはいきません。


(建物外観)

 付近のバス停あたりから新しい美術館を見ると、かなり高い建物(地上6階建て)となっています。これがすべて美術館なのかと思ったら、実際には、1階が受付と喫茶室、そして地下が展示場です。自然の光ではなく人工照明を使いながら、最善の環境の下で日本画を展示しようというわけでしょう。

 美術館のHPによれば、速水御舟(1894~1935)は、「40年の短い生涯におよそ700余点の作品を残し」ており、「初期の南画風の作風から、細密描写、象徴的作風、写実と装飾を融合した画風、そして水墨画へと、御舟はその生涯を通じて、短いサイクルで次々と新しい試みに挑み続け」たとのこと。
 今回の展覧会では、見るたびに感銘を受ける「炎舞」(1925)や「名樹散椿」(1929)といった人口に膾炙した作品のみならず、そうした「新しい試みに挑み続け」る彼の姿を明らかにすべく、「婦女群像」などが展示されていて、なかなか興味深いものがあります。


(炎舞)

 御舟は、1930年に10ヶ月もの間ヨーロッパ各地を歴訪して西洋の絵画を見、帰国してからはそれまであまり描いてこなかった人物画に挑戦し、その結果が未完の「婦女群像」(1934)。スケッチにすぎないながら、完成していたら必ずや素晴らしい作品になったろうにと思わせます。


(婦女群像)

 今回の展覧会は、山種美術館所蔵の御舟作品がすべて展示されるとのことで、著名な作品ばかりでなく、19歳の時の「錦木」から、死ぬ前の年に描いた「秋茄子」などの作品も展示され、それらの際だった美しさを堪能できます。

 ただ、最近発売された雑誌『別冊太陽 速水御舟』(2009.10)を見ると、他にもたくさんの優れた作品があることがわかり、そうした作品をも集めた大「速水御舟」展が開催されないものでしょうか?


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