映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

七夜待

2008年12月10日 | 08年映画
 河瀬直美監督の「七夜待」を渋谷シネマライズで見ました。

 河瀬監督の作品は、「萌えの朱雀」以降気になる作品が多く、DVDも含めてかなりの数を見ているので、かつまた現在政情不安が伝えられるタイを舞台とする映画でもあるところから、この映画は時間があればと狙っていたところです。

 さて、「七夜待」について、「映画ジャッジ」というサイトで三人の評論家の評を読むことができます。福本次郎氏は、「意味不明のストーリーと共感できない登場人物、そして雑な撮影と脈絡のないエピソードの連続」というところから30点を、渡まち子氏も、「映画はいったい何が言いたいのかサッパリ伝わらず、異言語のコミュニケーションの行き違いも作品を混迷させるだけ。癒し系の映画のように見えるが頭を混乱させられてはたまらない」で゛30点を、ところが前田有一氏は、「映画の中身は相変わらずの無説明&非論理的ストーリー展開。芸術的理不尽=河瀬ワールド全開」としながらも、「長谷川京子の独身最後のナイスバディを堪能」できるといういつもの視点から70点、を与えています。

 前田氏と他の二人とは評点に大きな差があるものの、いずれの評論家も、この作品の意図するところがわからない点を指摘しています。ですが、この映画は、例えば最近見た「天国はまだ遠く」において、加藤ローザに代えて長谷川京子を、そして舞台を京都宮津の山奥からタイの貧しい農村に移し代えたものだと考えれば理解可能な作品ではないか、と思いました。
 さらには、“性的に淡泊”という点でも、二つの映画は共通しています。この映画では、日本で愛人との関係で問題があった長谷川京子が、一人日本を逃げ出して迷い込んだタイの農家に格好のフランス青年が住み着いているにもかかわらず、その彼がゲイだという設定ですから、結局何事も二人の間で起こるはずもなく映画は終わってしまいます。

 要すれば、二つの映画は“癒し系”映画なのでしょう。ただ、前者は、ヨク知る日本の原風景ですから、映画の登場人物のみならず観客も癒されるかもしれませんが、後者は熱帯雨林の中で展開されるため、いくら周囲の自然の風景が描写されていても簡単には親近感を持てず(ブラジルのアマゾンの風景に類似しているものの)、主演の長谷川京子ほどは観客が癒されることはないのではと思われます。

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天国はまだ遠く

2008年12月07日 | 08年映画
 「天国はまだ遠く」を渋谷セゾンで見てきました。

 この映画は、樺沢紫苑氏の11月27日付けメルマガ「映画の精神医学」において、「こんな素晴らしい作品を見逃さずに、スクリーンで見られて本当によかったと心から思」ったと評されていたので、そこまで言うのであればと見に行ってきました。

 確かに、描かれているのが、「好き嫌いという恋愛関係ではなく、癒し癒される。お互いのことを気遣いながら人間関係が深まっていく、そんな微妙な人間関係」であって、お笑いコンビの「チュートリアル」の徳井義実氏は、「ルックスだけではなく、しっかりとした演技を見せてくれ」るし、「ヒロインの加藤ローサが、実にチャーミング」なこともあって、マズマズの出来栄えといえるでしょう。

 特に、加藤ローザが、宮津の山奥にある徳井の家の近所を散歩するシーンが何度かあるのですが、そのたびに周囲の美しい風景がジックリと映し出され、ソレだけでも一見の価値がある映画だと思われます。マア、樺沢氏ならずとも、「「生きる喜び」を実感させてくれる。真の癒し系映画」といいたくなってきます。

 ただ、ソウ見てしまうだけではお人好しが過ぎるというものでしょう。
 いくら「民宿の主人と客という関係だったからこそ、適度な人間的距離間が維持され、非常に良い「寄り添い」が実現した」ように思われるとはいえ、徳井氏と加藤ローザとの二人だけが、暫くの期間一つ屋根の下で生活して、性的に何事も起こらないというのでは、“おままごと映画”、“子供向き映画”といわれても仕方がないかもしれません〔この間見た映画「秋深き」でもソウですが、このところの邦画(勿論、ピンク系は別です)では、性的な事柄が非常に淡白にしか描かれてはいないように思われます。この点は、ハリウッド映画の方がズット大人の関係がキチンと描かれているのではと思えます〕。

 要すれば、“癒し系”映画とは、男女がいても、その性的関係を度外視して、共同体の暖かい関係に嵌る様子を描くものではないか、と思えてしまいます〔それは、結局幼児に戻ることでしかないのではないでしょうか?〕。

 なお、TVをよく見る人にとっては、徳井氏が登場すると、どうしても「チュートリアル」のイメージが重なってしまい、本人が真面目な演技をすればするほど、そのアトでスグにズッコケるのではないかと思えてしまい、余り映画の中に入り込めない、といった問題もあるようです〔特に、タクシー運転手に宮川大助・花子の大助が扮し、刑事役にチャンバラトリオの南方英二がなったりするので、一層その感が強まるようです〕。
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