ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『バレンタインデー』

2010-02-08 23:06:50 | 新作映画
(原題:VALENTINE'S DAY)

バレンタインのバラ


----あれっ?映画の話だと思ったのに、
なぜ、ブーケの写真ニャの?
「それはね。この映画の主人公のひとり、アシュトン・カッチャーが演じているリードが、
お花屋さんだから。
彼は、バレンタインデーのその日、大忙し。
予約のお花を作ったり、売ったり、届けたり。
この写真のブーケはその中の一つをコトリ花店風にアレンジしてみたもの。
映画では、秋色あじさいと赤いバラのコンビネーション。
でも、それだけじゃさびしいので、ラナンキュラスとアネモネを…」

----へぇ〜っ。バレンタインデーというとチョコのイメージだけど
アメリカでは違うんだね?
「チョコやキャンデーも送られるんだろうけど、
お花も重要なアイテムの一つ。
バレンタインデーには、赤いバラだけで、
アメリカ全土でなんと1億1000万本も売れるらしい。
この映画、アカデミー賞スターも含めた豪華俳優の共演が売りに。
複数のエピソードが同時進行しながら絡み合っていく、
『ラブ・アクチュアリー』タイプの作品。
出演者は、ざっと次の通り
ジェシカ・アルバ、キャシー・ベイツ、ジェシカ・ビール、
ブラッドリー・クーパー、エリック・デイン、パトリック・デンプシー、
ヘクター・エリゾンド、ジェイミー・フォックス、ジェニファー・ガーナー、
トファー・グレイス、アン・ハサウェイ、アシュトン・カッチャー、
クイーン・ラティファ、ジョージ・ロペス、シャーリー・マクレーン、
エマ・ロバーツ、ジュリア・ロバーツ

----それじゃ、とても話しきれないね。
「そう。というわけで、
コトリ・ロゴお花屋さんもやっている、ぼくならではの目線で、
お花中心に見どころを語ってみようかなと…。

まず、嬉しかったのが、ロサンゼルス花市場が見られること。
ふだん行っている世田谷花市場と思わず比較しちゃった。
リードのお店は、カフェも兼ねている。
中ではクッキーを食べている人もいて、
これは、お店の形としてひとつの憧れだったね。
で、バレンタインデー=お花というのは、
ほんとうに根付いているんだなと思わせられたのが、
お客さんの行列のすさまじさ。
まるで、クリスマスのケンタッキーという感じ。
壁の後ろには予約注文票がずらり貼られている」

----へぇ〜っ。でも、お花って
家まで持って帰るのが苦労しちゃうよね。
満員電車には持ち込みたくないし…。
「そう。だから、必然的にお届けも増える。
だけど、やはり大切な人には手渡ししたいもの。
そこで、映画の中では
『なぜ、配達を頼むんだ?』などというセリフも出てくる。
あと、配達途中の追突事故なんてのもあったな。
これは、焦るだろうな…。
それと守秘義務」

----どういうこと?
「リードが頼まれたブーケのお届け先に、
仲のいい小学校教師のジュリア(ジェニファー・ガーナー)が…。
ところがその花を頼んだ相手の医師ハリソン(パトリック・デンプシー)は、
もうひとつブーケを頼んでいる。
じつは、それはいないはずの妻宛て。
つまり、ジュリアはハリソンの浮気相手に過ぎなかったってことだね。
さあ、それを彼女に言うべきか言わぬべきか?」

----ニャるほど。
でも、そうやって聞いていると、
主人公はリードのようだけど…。
「いや、お花のエピソードはこれだけじゃなく、
たとえばエステル(シャーリー・マクレーン)は、
夫のエドガー(ヘクター・エリゾンド)が
庭から摘んでベッドに運んできたバラの香りで目が覚めるし、
グレース(エマ・ロバーツ)と、
関係を次の段階に進めようとするアレックス(カーター・ジェンキンス)は、
部屋の中にバラを敷き詰めて準備万端。
というように、いろんなところで花は大活躍。
最後の最後に、リードが橋の上で語るエピソードも含めて、
これは『バレンタイン花物語』という感じの映画だったね」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「このブーケ、頼んでくれた人に先着でフォーンのカードも付けるのニャ」フォーンのカード修正版


※お店には、ワーナーさんのご好意でいただいたポスターとチラシもある度

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画像は映画に出てくるブーケをアレンジしたオリジナル・バレンタイン・ブーケ。
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『抱擁のかけら』

2010-02-06 15:23:06 | 新作映画
(原題:Los abrazos rotos)


----これって、今日から始まった映画だよね。
ペドロ・アルモドバル監督ペネロペ・クルスの黄金コンビ!
「そう。始まった映画について話すときの通例で、
ストーリーはほとんど省略しちゃうけど、
ざっと、こういう流れ。
主人公は執筆業で生計を立てている盲目の男ハリー・ケイン(ルイス・オマール)。
実は、彼にはもうひとつの名前があった。
それは映画監督時代に名乗っていた本名のマテオ・ブランコ。
なぜ、彼がその名前を捨てたか。
その裏に隠された切なくも激しい愛が
ミステリーの要素を交えつつ語られるというもの」

----ニャるほど。そこにペネロペ・クルスが絡むんだニャ。
「うん。ペネロペが演じるのは、
マテオが一生を賭けて愛した女レナ。
だが、その彼女はもういない。
そのわけとは?
それは彼が視力を失った理由とも重なり合ってくる。
と、いま話しては見たものの、
こういう全体像が見えてくるのは、かなり後。
まず冒頭からして、この映画がどういう映画か
皆目見当がつかない。
と言うのも、自分が盲目であることから
家までやさしく送ってくれた女性を
この主人公の男は、なんとベッドおインに誘い込んじゃう」

----それはまた、毒のある映画だニャあ。
「でしょう。
よく、この映画は、往年のハリウッドのミステリー、
ヒッチコックなどにも譬えられるけど、
それをそのままなぞったわけではないところが、
やはりアルモドバル流。
この後、ヒロイン、レナの若いころもちらり出てくるけど、
それもあっさりと描かれ、彼女に感情移入するまでにはいかない。
物語は、その後、レナと、彼女を女優に起用するマテオの、
レナのパトロンの目を盗んでの熱愛へと進んでいく。
この設定に、共感できるかどうかが、
まずこの映画に入り込めるかどうかの第一関門かなあ」

----おやおや。なんとなくノッてないニャあ。
どうりで、2か月近く、話さなかったわけだ。
でも、評判は高いようだけど…。
「そうだね。
実を言うと、この映画は、
ある“損なわれた映画”の“回復”の物語でもあるんだ。
そこに“失われた愛”の“回復”が重ねあわせられていく。
ペネロペも、オードリー・ヘップバーンマリリン・モンローを意識させる、
いわば往年のハリウッド女優の雰囲気をあでやかに振りまくし、
また、劇中にロベルト・ロッセリーニ監督『イタリア旅行』を挿みこんだり、
自らの出世作『神経衰弱ぎりぎりの女たち』を再現(?)してみせたりと、
映画ファン感涙のシーンが随所にちりばめられているんだ。
ただ、ぼくはあのオープニング・エピソードから
全く違う映画を想像していたため、
どうもノリきれなかった。
そんなところかなあ」


フォーンの一言「でも、あいかわらず色はポップだニャあ」
ぱっちり


※だれが観てもアルモドバルの映画と分かる度


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『シャーロック・ホームズ』

2010-02-04 19:07:55 | 新作映画
(原題:Sherlock Homes)

※熱狂的なホームズ・ファンというわけではありません。
※普通に子どもの頃、読んだ程度ですので、
原作ファンの方は、間違いがあったら教えていただけると幸いです。




----あれっ。観る前は、あんなに危惧していたのに、
意外と気にいっているみたいだね。
確か、予告の段階ではシャーロック・ホームズらしくないって、
そう言っていなかった?。
「うん。ロバート・ダウニーJr. がホームズというのもさることながら、
最初に流れた予告の最後で、
彼がホテルで裸になっていて、メイドがキャッ。
こんなお色気シーンは、子どもの頃読んで知ったホームズっぽくないし、
アクションに次ぐアクションが、
あまりにも現代の観客を意識しすぎているのではないかと…」

----そういえば鳥打帽をかぶっていないね?
「そうなんだ。製作サイドは
この鳥打帽を“悪名高い”とまで言う。
というのも、この鳥打帽はコナン・ドイルの小説に書かれているのではなく、
初期の挿絵から広がったものなのだそうな」

----へぇ〜っ。それは初耳。
監督はガイ・リッチーだっけ。
そうとうなホームズのファンなんだね。
「そういうことのようだね。
それだけにこれまで知らなかったことがいっぱい。
ホームズを熟練の武道家としていて、
労働者階級が集うパブの
パンチボウルで相手をノックアウト。
しかも観客を納得させるために
相手の特徴を即座に見抜き、
パンチを繰り出す順番を計算するという、
その思考過程を映像とモノローグで見せる。
ジュード・ロウ演じるワトソンにしても、
原作のイメージよりも、はるかにタフ。
こちらは復員兵ということもあり、
その戦いは接近戦で荒っぽい。
つまり、ふたりを対称的に描くことはこれまでと同じながらも、
その対称性を変えたって感じかな。
しかもホームズがワトソンを必要としていることは、
より強調されていて、
ワトソンの結婚相手メアリーを怒らせるようなことばかりズバリ言う。
結婚されることで推理のパートナーを取られてしまうってわけだね。
このメアリーをケリー・ライリーが演じているんだけど、
一見、悪女風に見せるところも、巧いと言えば巧い」

----ヒロインの方を演じているのは今人気の
レイチェル・マクアダムスだよね。
「そうだね。彼女の立ち位置がなかなか見えないところも、
観客をイラつかせて効果的かな。
さてここで少し映画の内容を…。
連続女性殺人事件の犯人ブラックウッド卿がホームズたちの活躍で死刑に。
この死はワトソンが確認したにもかかわらず、
なぜかブラックウッドは復活を遂げ、ロンドンを再び恐怖に陥れる。
そこでホームズが再び立ち上がる……というもの。
死者の復活という、もっともあり得ない設定、
しかもワトソンも確認というところが
ストーリーボードとしては、これまた巧い。
あと、『007』シリーズのジョーズ(リチャード・キール)を意識したような
大男ドレジャー(ロベール・マイレ)の使い方もね。
でも、この映画、最大の見どころは
ぼくは美術だと思う。
19世紀末のロンドンの猥雑さから生まれる熱気。
クライマックスはまだ建設途中のタワーブリッジでの格闘。
そこからの眺望なんて、
いくらCGIが使われていようと、やはりこれは嬉しいプレゼント。
絵的なこだわりで、捕逸すれば、カラス。
冒頭から、何度も重要なシーンでカラスを映像に挟み込んで
アクセントを作ってくる。
こういうこだわりは、ぼくは好きだね。
ロケだけに頼っていない」

----そういえば、先日発表されたアカデミー賞でも
作曲賞(ハンス・ジマー)に並んで
美術賞にノミネートされていたっけ。
で、肝心の謎解きはどうだったの?
「そこなんだよね(汗)。
この映画で、ぼくがやられたなって思うのは…。
実を言うと、謎の行方なんか忘れて、
そのときそのときの展開を楽しんでしまった。
でも、最後にホームズはちゃんと謎を解く。
しかも、彼の観察力がいかに優れているかを証明する形でね。
ポイントの一つは、途中に出てくる怪しげな実験室。
ここで彼が見たものが、すべて謎解きに繋がっている。
まあ、これは脚本で最初から作っていけばいい世界ではあるけどね」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「意外な誉め方だニャあ」身を乗り出す

※小説ファンが喜びそうな“イースター・エッグ”が
いろいろ隠されているらしい度


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『しあわせの隠れ場所』

2010-02-03 00:13:43 | 新作映画
(原題:The Blind Side)


----この映画ってサンドラ・ブロック
2009年度のゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞した作品だよね。
「そう。それもドラマ部門のね。
最近の彼女ってコメディ路線が多かったから、
まずそのことにビックリ。
作品の内容を知るまで、
これもラブコメだろうと決めてかかっていたら、
なんと感動の実話っていうじゃない。
これにはほんと驚いたね」

----えっ。実話ニャんだ。
それで、どういう役を演じているの?
「うん。この映画は
昨年4月にプロのアメフト・リーグNFLの
ボルティモア・レイブンズにドラフト指名され、
5年契約した新人プレイヤー、
マイケル・オアーの半生を描いたもの。
この映画によると、
彼は実の母親の元を離れてホームレス状態に。
Tシャツ一枚で寝る場所を求めて学校に向かっている彼を見かけた
裕福な家庭の母親リー・アン(サンドラ・ブロック)は、
オアーが娘の同級生だったこともあり、
彼を養子として迎えいれることにする。
温かい家庭の愛を初めて知ったオアーは、
その家族と共に自分の驚くべき才能を開花させていく」

----それは、運命だね。
みんなが、そんな奇跡が訪れるとは限らないもの。
「そう。そしてそこが引っ掛かるところでも…。
『ナイロビの蜂』では、
ひとりを助けることで起こる問題を描いていた。
富める人が貧しい人を救うというのも
なんだか、
乾いた砂を噛んだような、ざらざらした後味が残る。
ただ、この映画、そこで終わってはいなくて、
もしかしたら、このセレブの夫婦は、
自分たちの望みをかなえようとすることが第一義だったのでは?
という、批判的な見方も紹介しているんだ。
彼ら夫婦は、ミシシッピー大出身でその有力後援者。
アメフトでも当然、ミシシッピー大を応援していて、
宿敵テネシー大を嫌っている」

----そうか。
有能な選手を母校に送り出すために、
オマーの後見人になったのではないか…
ということだね。
以後、同じことをする
裕福な後援者たちが増える可能性もあるし…。
でも、仮にそうだったとしても
それだけの財力があるってのはスゴいニャあ
「だよね。
そうそう。
彼ら夫婦自身、
この行為が自分たちが善行をしているという
満足心を満たすためでもあるということを自覚している。
ここも少し目新しい描き方だったな」

---ところでサンドラ・ブロックの演技って、そんなにいいの?
「いやあ。正直言って
これはぼくにはよく分からなかった。
プレスによると、
モデルとなっているリー・アンの言葉は
とても特徴があるものなのだとか。
同じ南部出身のサンドラ・ブロックでも
その発音、声のリズム、抑揚をマスターするのは大変だったらしい。
日本で言えば、
沖縄の言葉を喋っているようなものなのかもしれないね。
ぼくなんかには聞き分けられないけど…。
そういえばブロックは
2009年ピープル・チョイス・アワード女優部門1位
そして2009年マネーメイキングスター1位
このマネーメイキングスター部門で女優がトップに立ったのは
1999年のジュリア・ロバーツ以来らしいよ」

---彼女、そんなに大スターだったんだ。
でも、一見そうは思えないニャあ。
「そういう飾りのないところが、またいいのかもね」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「しっかし、大きな人だニャ」おっ、これは


※そういえば『かいじゅうたちのいるところ』の絵本読むシーンがあった度

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『ウディ・アレンの夢と犯罪』

2010-01-31 22:53:14 | 新作映画

(原題:Cassandra's Dream)


----あれっ。苦手なウディ・アレンの映画の割には、
どことなく顔が綻んでる。
「いやあ。
いつ以来だろう。こんなにアレン映画に引き込まれたのは…。
この映画、タイトルに監督の名前なんて付けているから
思わず身構えてしまうけど、
そんなことやめた方がいい。
本当にウェルメイドのサスペンス映画。
それも青春の夢と野望が思わぬところから挫折していくというタイプの、
なんとも懐かしい作品なんだ。
60年代のフランス映画には、こんなのが多かったような…」

----う〜む。60年代のフランス映画ね…。
「うん。それもヌーヴェル・ヴァーグではなくて、
どちらかというと、そのアンチの方。
たとえばルネ・クレマン『太陽がいっぱい』みたいな…」

----それって、船が出てくるから?
「あっ。それもあるかな。
日本でも『八月の濡れた砂』で、
やはりヨットが“犯罪”の小道具として使われている。
だれも見ている者がいない大洋の上は
犯罪に向いているという物語上の理由もあるだろうけど、
海=地上(社会)の縛りから解き放たれた若者の世界というイメージが
作者と観客の間で共有できうるからかもしれないね」

----ということは、これは犯罪映画なんだニャ。
「(笑)。それはそうだよ。
日本語タイトルが“夢と犯罪”だし…。
物語はこういうもの。
ホテルへの投資を目論み、
恋人のカリフォルニアでの新生活を夢見る兄イアン(ユアン・マクレガー)、
いまのささやかな暮らしに幸せを感じている弟テリー(コリン・ファレル)。
ある日、テリーがギャンブルで大穴をあけ、巨額の借金を背負ったことで、
大金持ちの伯父ハワード(トム・ウィルキンソン)と、
ある取引をしたことから、
とてつもない代償を伴う人生を賭けた運命の渦に巻き込まれていく…。
まあ、定番と言えば定番なんだけど、
これが3人の名優のこなれた演技もあって、
ひとときも目を離せないほどにオモシロい。
特に、殺人の重責から徐々に壊れていくテリーを演じたコリン・ファレルは秀逸だね。
あの太い眉を八の字にして、
何も知らずに見ていると
思わず笑ってしまいそうな顔だけど、実はその悩みは底がないほどに深い。
これって、ウディ・アレン映画の二面性。
悲劇と喜劇をよく表した顔だと思うね」

----そういえば、ウディ・アレンって
日本では最初、喜劇作家のようなデビューだったけど、
実はとんでもないペシミストなんだよね。
「そう。
この映画の中にも『人生において確実なのは“死ぬこと”だけだ』というセリフが出てくる。
アレンは、現実は不条理。
“表面的には楽しい瞬間のある本質的な悲劇”と言いきっている。
チャンスに恵まれている人あれば、そうでない人もいて、
彼らは違う列車に乗って旅をしているけど、行先は…」

---STOP!あまり聞きたくないニャあ…。
「まあね。でも、そういうことを考えずに、
単純にサスペンスと見ても、これはオモシロい
ヴィルモス・ジグモンドを撮影に起用したことが功を奏しているのかも…。
ぼくは彼の撮影した作品の中ではブライアン・デ・パルマ『愛のメモリー』が好きなんだけど、
この映画もあの作品に共通したところが…。、
サスペンスの中に含まれる悲劇性。
やはり、この映画には彼の作り出すクラシカルな画はピッタリだったと思うよ」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「人生晴れたり曇ったりなのニャ」ぱっちり

※プレスもかわいい度

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『ハート・ロッカー』

2010-01-29 20:09:26 | 新作映画
(原題:The Hurt Rocker)


----この前、オモシロいメールが配信されてきたよね。
「あ〜あ。
ジェームズ・キャメロン監督
キャスリン・ビグロー(『ハート・ロッカー』)が獲得すると思って、
監督賞のスピーチは用意していませんでした。
本当は、彼女が受賞するべきでした。」と、
監督賞受賞スピーチにてコメント!』というヤツだね。
ぼくは、その昔、
ダスティン・ホフマン『クレイマー、クレイマー』
ゴールデングローブ賞の男優賞を受賞したときを思い出した。
本来ならばジャック・レモン(『チャイナ・シンドローム』)
受賞すべきと、スピーチ」

----それってカッコいいよね。
ところで
“ハート・ロッカー”って、どういう意味?
「“行きたくない場所、棺桶”。
この映画は、2004年夏のイラクが舞台。
爆弾の処理作業に従事する米軍兵士たちを描いたものなんだ。
物語は、ブラボー中隊にスポットを当てて描かれる。
リーダーのトンプソン軍曹(ガイ・ピアース)が被弾し、即死。
代りにジェームズ二等軍曹(ジェレミー・レナー)が赴任する。
ところが、ジェームズは爆弾処理用の遠隔ロボットを使わず、
目くらましようの煙を焚きながら爆弾に近づいていく。
死をも恐れないジェームズの無謀で突発的な振る舞いは、
中隊に波紋を投げかけていく。
と、この映画は、これ以上言わない方がいいだろうね」

----えっ。どうして?
「一種のサスペンスになっているから。
戦場という場所は、死と隣り合わせ。
何が起こるか分からない。
今日は生きていても、明日の保証はない。
ましてや、爆弾処理班というのは他の軍人に比べて
死亡率が5倍高い。
キャスリン・ビグローはそのことも考えた上で
主要な登場人物を、見慣れた有名俳優でない新人をキャスティング」

----ん。どういうこと?
「ふだん、ハリウッド映画では
有名スターは最後まで死なないという約束ごとがある。
その分、観客はかまえ観てしまう。
それを避けようとしたんだね。
前回の任務では、生き延びたけど、今回は?
テーマが重い映画に対して、そういう言い方は失礼かもしれないけど、
これは、そういうサスペンスの側面を持った映画なんだ」

----よく、このジャンルに新しい視点をもたらしたと言われているけど…。
それって、サスペンスではなく戦争映画のことだよね。
ベトナム戦争を扱った映画とはどう違うの?
「ベトナム戦争のころは徴兵制があった。
つまり、行きたくないのに戦争に駆り出されたわけだ。
ところが、イラク戦争における戦争の担い手は志願兵。
しかも、彼らはあえてこの爆発物処理という危険な任務を選びとっている。
プレスによると、
“陸軍は、重圧の下でも自信を失わず、素直で、
感情的に安定した兵士が志願してくるのを待っている。
(中略)
候補者は6カ月に及ぶ訓練の中で次第に選別され、
たった4割しか卒業することはできない”とか」

---へぇ〜っ。戦場なんて絶対に行きたくないところの、
さらにもっとも危険な地域に、
爆弾処理に志願する人がいるなんて…。
「そう思うよね。
そういう場所に自ら志願していく人々とは?
それは、たとえば第二次世界大戦の兵士たちのような
“名誉と栄光”ともまた微妙に違う。
それを解くカギともなっているのが、
日付が替わり、新しい仕事に従事するたびに出てくる
『ブラボー中隊、任務明けまで●×日』のテロップ。
ぼくは、通常のドラマの感覚で
いよいよ、あと1日のあたりで
主人公が爆死するのかと…」

---違ったんだ?
「もっと見事な使い方だったね。
これには、だれもがなるほどと思わせられること間違いないよ」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「宇宙服か潜水服みたいな服だニャ」ぼくも観たい

※SFチックな効果があった度

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『アーマード 武装地帯』

2010-01-27 20:58:16 | 新作映画
(原題:Armored)


----また、古めかしい感じのアクションだニャあ
「うん。でもそこがこの映画のいいところ。
物語は、ほんとうにシンプル。
アーマード・トラック=装甲現金輸送車で日々、
現金の警備に命を削る6人のプロフェッショナルが、
輸送車が襲撃されたと見せかけて
その金をそっくりいただいちゃうという計画を立てる。
そのことをマイク(マット・ディロン)から
実行前夜に知らされた
新米のタイ・ハケット(コロンバス・ショート)は、
誰も傷つけないという約束を取り付けた上で計画に加わることになる。
だが、彼らが向かった無人の廃工場にはホームレスが一人。
かくして自体は思わぬ、しかも凄惨な方向へ転がっていく…」

----分かった。仲間割れが起きちゃうんだ。
なあんだ、ほんとうによくある話。
「うん。でも、この映画はそこがいいんだ。
シンプルで飾り気のない話をオモシロく見せるのは、
それ相応の手腕がなくてはならない。
この映画、ほかにもジャン・レノ
スキート・ウールリッチという芸達者が出演。
その演技の掛け合いだけでも見ごたえ十分だけど、
やはり決め手はその演出力だろうなあ」

----監督は誰ニャの?
ニムロッド・アーントル
と言ってもピンとこないと思うけど、
ぼくが珍しく気に入っているホラー、『モーテル』の監督。
あれも、最近のソリッドなホラーを見慣れている人には評判よくなかったけど、
ぼくは、なかなか楽しめた。
『モーテル』が85分で、こんどの映画も87分と、
いずれも90分を切っているところも嬉しい。
短い尺の中、かつてのハリウッドのB級映画をもう一度、
いまの時代に蘇らせてみるという実験でも行っているかのよう。
この脚本は、カナダの無名の新人ジェイムズ・V・シンプソンが、
映画芸術科学アカデミー主催のニコル映画脚本コンペティションに応募したもの。
それに惚れ込んだサム・ライミの製作会社で映画化されたというけど、
ぼくはそれでもやはり監督の方を買いたい。
監督のこと絶賛しているのはぼくだけじゃないんだ。
『クエンティン(・タランティーノ)を思い起こさせた』とは、
あのロバート・ロドリゲスの言葉。
彼の次回作は『プレデター』の最新作というから、
こっちも楽しみだ」



フォーンの一言「その『プレデター』最新作も90分切るのかニャあ」
小首ニャ

※そりゃ、もう一気に終わっちゃう度

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『ニューヨーク,アイラブユー』

2010-01-25 19:50:17 | 新作映画
(原題:New York, I Love You)



----この映画は、ニューヨークをモチーフに描くオムニバス。
日本からは岩井俊二が参加。
ナタリー・ポートマンが監督したというのも話題だよね
「いや、正確にはオムニバスではないんだ。
古くはロバート・アルトマン
最近ではポール・ハギスが得意とする
群像劇にそのスタイルは近い。
“視覚的にニューヨークと特定できる場所”を背景に
“広い意味での愛の出会い”描いたアンサンブル・ムービー。
そして、この企画に参加した監督たちにルールとして課せられたのが
ストーリーの終わりや始まりに“徐々に暗転を用いない”こと」

----でも、そんなにスムーズにいくものニャの?
「そう。実はぼくも何も知らないで観たものだから、
プレスを読むまではどうしても分からないことがひとつあった。
それは、10に及ぶエピソードとエピソードの間に、
他のエピソードの登場人物が顔を覗かせていること」

----確かに、それは不思議だ。
そこはどうなってんだろう?
「なんと、この10のエピソードを繋ぐ11番目の監督がいたんだね。
その担当は、タイトルデザイン界で活躍を続けてきた
ランディ・バルスマイヤー
ついでに他の監督も紹介すると
チアン・ウェン、ミーラー・ナーイル、シェカール・カプール、
ファティ・アキン、イヴァン・アタル、ブレット・ラトナー、
ジョシュア・マーストン

俳優の方も超豪華で
ヘイデン・クリステンセン、アンディ・ガルシア、オーランド・ブルーム、
クリスティーナ・リッチ、マギー・Q、イーサン・ホーク、
アントン・イェルチン、ジェームズ・カーン、
スー・チー、ロビン・ライト・ペン、クリス・クーパー、
さらにはイーライ・ウォラック、クロリス・リーチマン
などという
嬉しい顔合わせもある」

----それじゃあ、とても全部のエピソードは語り切れないよね。
「うん。エピソードよりも、
それぞれの監督の作風を楽しんだ方がいいかも。
でも、ひとつだけ変わったエピソードがあるので、
それだけは話しちゃおうかな。
それはジュリー・クリスティ
シャイア・ラブーフという、
ふたつの映画史が出会ったような作品。
舞台はアッパー・イースト・サイドにあるホテルの一室。
元オペラ歌手と足の悪いホテルマンの会話で進むんだけど、
これがとても幻想的というか、思いもよらない結末を迎える。
そして、その止めに登場するのがジョン・ハート
なんでもこれは故アンソニー・ミンゲラが脚本を書き、
病に倒れた後、シェカール・カプールに監督を依頼したのだとか。
それもあって、本作『アイ・ラブ・ニューヨーク』
アンソニー・ミンゲラに捧げられている」

----そうだったんだ。
そういえば、アレッと思ったシーンがあったとか?
「うん。アニメーション映画の音楽に取り組んでいる作曲家デイヴィッド(オーランド・ブルーム)が主人公のエピソード。
彼の部屋には、マンガの『DEATH NOTE』のポスターが…。
へぇ〜っ。このマンガって本当に外国でも有名なんだって思ったら…」

---分かった。それが岩井俊二監督のエピソードだ。
ということは、彼の映画にオーランド・ブルームと
クリスティーナ・リッチ。
これは、興味惹かれるニャあ。

         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ニューヨークの猫たちは今の時期、寒そうだニャ」ぼくも観たい

※ニューヨークもいろいろ。次は上海だ度

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『コララインとボタンの魔女 3D』

2010-01-23 16:48:01 | 新作映画
(原題:Coraline)


----これって、前から観たがっていたアニメだよね。
でも、どうして苦手な3Dを選んだの…?
「それはいろいろと理由が…(汗)。
でも、いずれにしろ日本ではこの映画は全国すべて
3Dで公開されるらしい。
まあ、二番館になったときには分からないけどね…」

----ふうん。でも、どうしてそんなに観たかったの?
珍しく、黒猫がいい役だから?
「(笑)。それも確かにそうだけど、
監督が『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』というよりも、
ぼくの好きな『ジャイアント・ピーチ』ヘンリー・セリック
そして以前、亜蘭真主美士さんにこの映画の存在を教えてもらい、
さっそくそのとき内容を調べたところ、
自分の好きなジャンルということが分かったからかな」

----好きなジャンル?
これって、ダーク・ファンタジーの感じだよね。
「そう。
物語は、ざっとこんな感じ。
主人公の少女コララインは
引っ越して来たばかりの家で、
封印された小さなドアを見つける。
扉の向こうでコララインを待つのは、
彼女の願いを何でも聞いてくれる
ボタンの目を持つ“別の”ママとパパ。
現実のパパとママは、コララインをかまってくれず、
仕事ばかりで料理はまともにしないし、庭も荒れ放題。
ところが向こうの世界では、庭に花が咲き誇り、
食事も手の込んだものを作ってくれる。
ところが、これにはある罠があった。
“別の”ママは、コララインにこちらで暮らすことを勧め、
でも、その代りに目をボタンにしろと言う。
怖くなって、逃げ出したコラライン。
しかし、現実の世界ではママとパパが消えていた…」

----うわあ。オモシロそうだ。
親にかまってもらえないところは『かいじゅうたちのいるところ』
両親が消えちゃうところは『千と千尋の神隠し』だね。
「あれは豚に変えられちゃうんだけどね。
さて、この映画、実はストップモーション・アニメ。
つまり、人形をひとコマひとコマ動かして撮影しているんだ。
しかも、コララインの表情は20万通り以上。
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のジャックが15通りだったことを考えると、
これは天文学的と言っていいくらいの数字。
また、ストップモーション・アニメ史上初の変身シーン(別のママから魔女へ)では、
わずか6秒のシーンで50種類もの顔のパーツが使われたらしい。
と、技術的なことは言いだしたらきりがないんだけど、
なんと日本人イラストレーターでデザイナーの上杉忠弘
という人がコンセプト・アーティストに迎えられているんだ」

----あっ、だからか。
コララインが、これまでのハリウッドのアニメと顔つきが違うのは…?
「彼は
『ひょっこりひょうたん島』『新・八犬伝』といった、
日本の過去の人形劇も、
あたまのどこかにあったらしい。
しかし、なによりも素晴らしいのは
この映画がほんとうに怖いということ。
なんど、背筋がゾッとしたことか…。
まさかストップモーション・アニメでこんな気持ちになるとは…」

----おおっ。久々の絶賛評ニャンだね。
「でもなあ。
やはり引っ掛かるのが3D。
今回は『アバター』の反省から、
真ん中の席、しかも前から3列目で観たんだけど、
あまり3Dの意味を感じなかった。
これじゃあ、ほんとうに人形劇になっちゃう。
また、ちょっとメガネを外してみたんだけど、
やはりこちらは映像が明るくてクリアー」

----でもダーク・ファンタジーなんだから
暗くてもいいんじゃニャいの(笑)?
「こらこら。ん?こらこらコラライン」
----mmmmm……。
         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「この黒猫さん、ニャんだか悪そうに見えるけどニャ」身を乗り出す

コララインの黒猫

※それでも、人間の言葉喋る度

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『ダレン・シャン』

2010-01-20 23:47:50 | 新作映画
(原題:The Vampire's Assistant)


----『ダレン・シャン』ってだれじゃん?
「バカなダジャレ言わないの。
よくタイトルを見てごらん。
この映画は、いま流行りのバンパイア映画。
それもティーンが主人公のね」

----ほんとだ。でもタイトルには
アシスタントってついているよ。
「うん。それはこういうこと。
平凡な家庭に育った成績優秀な少年ダレン・シャン(クリス・マッソグリア)。
その彼が、巨大蜘蛛に噛まれた友人スティーブ(ジョシュ・ハッチャーソン)を救うため
バンパイアとハーフ・バンパイアになる取引を交わす。
ハーフ・バンパイア、それはバンパイアの助手。
その仕事は主に、昼間、棺の中で寝ているバンパイアを見守ることにある。
ところが、そんな彼をバンパニーズが襲う!」

----なに?そのバンパニーズって…。
「バンパイアにとって人間は食糧源。
だから襲うのはやめよう。
人間を眠らせて、ちょっとだけ血をもらうのみでいい。
これがいつからか、バンパイアの決まりごとに。
ところが、その方針に反対しているのがバンパニーズ。
と、まあ、これはこの映画の中でのことだけどね」

----へぇ〜っ。
でも、どうして主人公はバンパイアと知り合うの?
「ある日、ダレン・シャンたちの住む町に、
フリーク・ショーがやってくる。
ダレン・シャンはスティーブに誘われて
そのショーを観に行くんだ。
ところが、このスティーブというのが吸血鬼マニア。
スティーブは、このフリークたちの中のひとり、
クレプスリー(ジョン・C・ライリー)が
本物のバンパイアであることを見抜き、
自分をバンパイアにしてくれと頼みに行くんだ。
でも、実はこういうストーリーはあまり知らない方が
この映画は楽しめるんだけどね。
ぼく自身、この時点まで、これがどんな話かは皆目見当がつかなかった。
というのも、このフリーク・ショーが、なかなか強烈。
これがバンパイア映画ということを忘れさせてくれるほど」

----そういえば渡辺謙も出ているんだよね。
まさか、彼もフリークの役?
「そう。しかも彼はミスター・トールという名の団長役。
その名の通り、背がバカ高い。
ほかにも髭が生える女性をサルマ・ハエックが演じたり、
バンパイアのひとりにウィレム・デフォーが扮したりと、
脇役が充実している。
それに比べて、主人公を演じるクリス・マッソグリアが
少し線が細くって…。
最初のうちは、彼で最後まで務まるのかが心配だった」

---そういえば、
ジョシュ・ハッチャーソンの方がシャープな感じする。、
「彼は、後にバンパニーズに加わるしね。
悪役ということで、かえって演技もしやすいかもね。
さて、ここで
ちょっと脇道にそれるお話を…。
それは、字幕翻訳について。
フリークの中に、小人に変えられてしまった一団が出てくるんだけど、
ここの訳ではそれを“リトル・ピープル”と名付けている。
これは村上春樹『1Q84』を意識したものに間違いない」

---それは考えすぎでしょ(笑)。
「いや。この映画の公開が3月。
これは、
ちょうどそのころ『1Q84』第3巻が出て
ブームが再燃することを織り込んでの訳。
リトル・ピープルに、わざわざ“”が付いていたことからしても、
ぼくは、これは確信犯だと思うな」

---どっちにしろ、たいした話じゃないニャあ(笑)。

         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「吸血鬼もいろいろなのニャ」複雑だニャ

※蜘蛛の色もポップで楽しい度

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