映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

山中千尋

2009年05月24日 | 音楽
 本日、渋谷のセルリアンタワーの2Fにある「JZブラット」に、今大人気の若手女性ジャズ・ピアニスト山中千尋が出演するというので、ミーハーとして取るもの取り敢えず駆けつけました。

 なにしろ、出されるCDの殆どが売上げNo1になるというのですから、その人気のほどがわかろうかというものです(尤も、ジャズ部門だけでの話ですが!)。

 今回は、「JZブラット」の8周年記念ということで特別に開かれたライブコンサートで、1月ほど前にわかって申し込んだところ、かなり奥まった席ながら予約することが出来しました。
 それでも、実際に行ってみますと、以前品川プリンスホテルのステラボールで行われたライブの時よりも(05年10月)、ズット間近な場所でホッとしました。とにかく、1時間チョットのライブで7,000円もするのですから!

 演奏の方はとにかく凄いとしか言いようがありません。大変小柄で華奢な体からヨクあのような凄い音が出せるのかと驚きの連続でした。

おっぱいバレー

2009年05月20日 | 邦画(09年)
 「おっぱいバレー」を渋谷TOEIで見ました。

 単に、時間が丁度当てはまったため映画館に入っただけのことですが、予想以上に楽しい気分で映画館を後にすることが出来ました。

 「自然な流れでごくまともな教訓が出てくるので、自然な形で受けとめた」との評がありますが、まさにその通りではないかと思います。

 ただ強いて言えば、綾瀬はるかは、戸畑の中学校で担任のクラスを持っていないのかとか(授業はせずに、男子バレー部だけ見ていたかのごとく描かれています!)、女子中学生がもう少し男女関係のレベルで話に絡んできたらストーリーの単調さを救えたかもしれないのにとか、NTVの「11pm」のことなど若い観客は知らないでしょうから、この映画はどの年齢層を当て込んで作られたのか、などつまらないことを思ってしまいました(それにしても、このところの綾瀬はるかのTV露出度はすさまじいものがあります!)。

ミルク

2009年05月17日 | 洋画(09年)
 「ミルク」を吉祥寺のバウスシアターで見ました。

 反差別の市民運動を描いた映画ながら、専ら同性愛者に焦点が当てられているようなので、見るのにかなり躊躇しました。ですが、やはり主演のショーン・ペンがアカデミー賞の主演男優賞を獲得していることもあり、出かけてみた次第です。

 映画では、ミルクが、市民権運動家として活動し、ついにはサンフランシスコ市の市政執行委員に当選、全米で初めて同性愛者であることを公言して公職に就くものの、しかし就任後に悲劇に襲われてしまうまでが、事実に基づきながら描かれています。

 日本の現実(同性愛者がTVタレントとして活躍しているなど)とは様子が違っていて共感を持てないところが多々あるものの(同性愛者に対する宗教的な反感など)、マイノリティーの社会的差別という次元ではどこにでも転がっている問題を取り上げている訳でもあり、そうやって考えればそれなりに感動できます。
 ただ、同性愛につきもののHIVについての言及が殆どなされていないのはどうしたことだろうか、とも思いました。

Goemon

2009年05月10日 | 邦画(09年)
 「Goemon」を渋谷シネパレスで見てきました。

 日本のCG技術がどのくらいのレベルになっているのかとか、かなり奇想天外とされるストーリーはどんな内容なのか、といったことを確かめてみたいという気もあり、出かけてきた次第です。

 実際に見てみますと、前田有一氏が言うように、「退屈しらずのアクション時代劇」であることは間違いありません。

 ただ、こうした類の映画を余り見ていない私にも、スターウォーズまがいの場面がいくつも出てくることくらいわかり(「ET」にオマージュを捧げているシーンもあります)、CG映画といえども大枠はどれも変わらないのだな、と思えてしまいます(出来上がりの優劣は、制作費としてどれだけの資金が調達できるのか、という点にかかってくるのでしょう)。

 それなら、ストーリー展開はどうかと言いますと、石川五右衛門とか霧隠才蔵、猿飛佐助、などといった講談本の世界に登場するキャラクターが活躍する映画ですから、「妄想を大爆裂」させたといった評語が当てはまる訳のものではあり得ません。
 粉川哲夫氏は、「思い切りフィクショナルに脱構築した石川五右衛門と霧隠才蔵をからませた歴史解釈」と述べていますが、歴史の外にいる「フィクショナル」な人物をいかに「脱構築」しようと、「歴史解釈」とは無関係ではないでしょうか?

 それに、前田氏は、「主人公が戦いながら、唐突に反戦テーマを語りだす紀里谷演出も絶好調。せんそうはんたいの地球市民・ゴエモンは、みんなの幸せのため、こなみじんになるまで戦うというわけだ」とストーリーの矛盾点を突こうとしていますが、その程度の話ならばどこにでも転がっていること(「平和のための戦争」!)、そう目くじらを立てるほどでもありません。

 むしろ、些細な点ながら、次のような問題があるのではと思いました。
貧民窟の道端で倒れている男を指して、“これが「自由」のもたらす結果なのだ、ごく少数の強い者しか勝ち抜けない世の中なのだ”などと猿飛佐助が唐突に叫びます。
 これは、直接的には当時行われていた楽市楽座を批判しながらも、間接的には小泉改革(市場原理主義!)に対するあからさまな非難でしょう。
 そのあとでは、信長→秀吉→家康という天下人の交代に対して、“勝手に支配者が何人も入れ替わりおって”などといった台詞も飛び出します。これも、明らかに、与党内での政権たらい回しに対する揶揄でしょう!

 いうまでもなく、「自由」に対する批判はいくら行おうとそれこそ「自由」ですが、その結果として、自分の発想の「自由」さが縛られてしまっては意味がないのでは、と思った次第です〔例えば、粉川氏が言うように、この映画は最近の流れを踏襲し、秀吉を悪役(明智光秀と結託して主君信長を葬った、など)にし、信長を理想化して描いているに過ぎません〕。

 とはいえ、最後まで退屈せずに見ることが出来ましたから、『週刊文春』今週号の尻馬に乗って映画の酷さを論う(「5分のPVを延々と2時間見せられているよう」などと言う)気は毛頭ありません。
 また、あるブログでは、「特に酷いのは千利休の平幹二朗である。頬の弛んだ薄気味悪い笑い顔は、もう醜悪としか表現のしようがない」云々と述べられていますが、だからこの映画が駄目だということにならないでしょう。この映画の中での位置づけを考えずに、従来の千利休像で判断しても全くのムダというものです。

 なお、近日公開される『五右衛門ロック』にも、「Goemon」で主役を演じた江口洋介が、五右衛門ではない役ながら出演しているのも興味深いことだなと思います。

博士の異常な愛情

2009年05月06日 | DVD
 『ニューズウィーク日本版』誌(ゴールデンウイーク合併号)には、特集「映画ザ・ベスト」が掲載されています。
 これは、米国の映画人(監督、脚本家、批評家など)1,500人が10年ぶりに選んだ名作ベスト100とされていて、10年前と同様にトップには「市民ケーン」が選ばれています。

 このようなランキングにどれだけの意味があるのかはさておいて、上武大学の池田信夫氏が、そのブログで自分のベスト10を掲げ、そのトップに、同誌で39位の「博士の異常な愛情」(1963)を持ってきています(4月30日)。

 同誌の掲げる映画の8割を見たと豪語する池田氏―こちらは数える気が起こらないほどごくわずかの映画〔せいぜい3割程度〕しか見ていません!―が、ベスト中のベストとする作品にもかかわらず、私は見たことがありません(さらに、同誌では「ホットな監督が掲げる「わが人生の映画ベスト5」というコーナーもあり、イギリス人のマイク・ニューウェル氏も、池田氏と同じ作品をトップに掲げています!)。

 そこで、TSUTAYAのDISCASでそのDVDを取り寄せて見てみました。
 この映画の原題は、「Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb」で、邦題は誤訳ではないかと当初から言われていたとのこと。
 ただ、映画は、その副題(「または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」)にあるように、核戦争の回避を巡るドタバタコメディと言ったところ。なにしろ、ピーター・セラーズが一人3役の大活躍なのですから、面白くないわけがありません。

 こうした見逃していた面白い作品に出会える効果くらいはランキングにもあるのでしょう!

レイン・フォール 雨の牙

2009年05月03日 | 邦画(09年)
 渋谷TOEIで『レイン・フォール 雨の牙』を見ました。

 特段見たいとも思っていなかったのですが、時間が適合したのと、以前のTVドラマ「警官の血」の印象もあり、椎名桔平でも見ようかと思った次第です。

 時間つぶしだったためどうでもかまわないところ、あえて言えば次のような点に興味を持ちました。
・日本でこういうハードボイルド・タッチの映画を作ろうとしても、やはり米国のCIAが一枚絡んでこないとうまく成立しないのだなと実感させられたこと。
・ただ、いくらCIAが絡む展開にしても、命をかけて奪い合いをしなければならないような秘密事項など、元々日本には何一つありませんから、どうあがいたところでリアルさを観客に持たせるわけにはいかないこと(まさに偽「World of Lies」といったところ!←衛星からの画像が監視カメラの画像に変わるだけ)。
・でも、椎名桔平も長谷川京子もヨク英語を勉強していること。中でも、久しぶりに清水美沙をスクリーンで見ましたが、彼女もまた英語をよく勉強していること。
・長谷川京子(映画「七夜待」と同様大層美しいと思いましたが)に、ニューヨークでジャズピアノを弾くミュージシャンなどという酷く月並みな役などさせずとも、やはりこうした類の映画はハリウッドに任せておけばいいのではと思わざるを得ないこと。