孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アメリカ  明らかにされた国家安全保障局によるネット情報監視 当局は「法律の範囲内のもの」

2013-06-11 23:01:00 | アメリカ

(「市民の名の下で何が行われ、また市民に対して何が行われているのかを公に知らせたいというのが、私の唯一の動機だ」と語る、機密を漏えいしたエドワード・スノーデン氏 “flickr”より By AJstream)

エシュロン
電話やインターネットの個人情報が政府によって監視されている・・・・というのは、映画の世界ではごく当たり前の話になっています。

現実世界においては、「エシュロン」がアメリカ・国家安全保障局(NSA)を中心とした世界的情報監視システムとして有名です。(アメリカ政府はエシュロンの存在を公式には認めていません。)
青森県の三沢基地にレーダー施設が、日本におけるエシュロン傍受施設であるとも言われていますが、真相は定かではありません。

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エシュロンはほとんどの情報を電子情報の形で入手しており、その多くが敵や仮想敵の放つ電波の傍受によって行われている。1分間に300万の通信を傍受できる史上最強の盗聴機関といわれている。

電波には軍事無線、固定電話、携帯電話、ファクス、電子メール、データ通信などが含まれており、同盟国にある米軍電波通信基地や大使館・領事館、スパイ衛星、電子偵察機、電子情報収集艦、潜水艦を使って敵性国家や敵性団体から漏れる電波を傍受したり、時には直接通信線を盗聴することで多量の情報を収集していると言われている。

今日では、データ通信の大部分は、光ファイバーを利用した有線通信によって行われており、傍受することは極めて困難である。それでも例えば、20世紀末までは海底ケーブルの中継器に傍受装置を取り付けることで光ファイバでも盗聴が可能であったが、1997年以降からは電気アンプから光学的に増幅するアンプに変わったために不可能になった。

電気通信事業者の協力を得てデータ収集を行っている可能性も指摘されている。電子フロンティア財団は、NSAがサンフランシスコのSBCコミュニケーションズ(現AT&T)施設(Room 641A)に傍受装置を設置してインターネット基幹網から大量のデータを収集・分析していたとし、アメリカ合衆国政府およびAT&Tに対し訴訟をおこしている(アメリカの連邦法はNSAやCIAが国内で盗聴はもちろんのこと、一切の諜報活動を為すことを禁じている。これは活動即ち、政府が主権者たる国民を敵視している事を意味するからである)。

この情報収集活動には、米国のみならずエシュロンに加盟している各国もアンテナ施設の設置を認めるなど、さまざまな形で協力していると言われている。【ウィキペディア】
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【「PRISM」】
この「エシュロン」との関係はわかりませんが、アメリカ情報機関・国家安全保障局(NSA)が大量のインターネット上の情報や電話通信記録を入手していることが暴露され、改めてパライバシー保護と対テロ防止のための安全対策の兼ね合いが問題となっています。

****米情報機関、ネット通信監視…外国人情報を収集*****
米英の有力紙が5、6の両日、米情報機関「国家安全保障局(NSA)」が大量のインターネット上の情報や電話通信記録を入手していたと相次いで報じた。
オバマ政権は「テロ対策のための合法的な活動」としているが、プライバシー保護とのバランスを巡る議論が再燃しそうだ。

米紙ワシントン・ポスト(電子版)は6日、NSAが2007年以降、会員制交流サイトのフェイスブックやグーグル社などインターネット大手9社の中央サーバーにほぼ無制限にアクセスし、通信内容を大量入手していたと報道。

これに先立ち、英紙ガーディアン(同)は5日、NSAが米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ社から数百万人分の電話通信記録の提出を受けていたと伝えた。

米情報機関を統括するクラッパー国家情報長官は6日夜、声明を出し、両紙の報道を事実上、認めた。長官は、ネット情報の収集については「重要で合法的な活動」と強調した上、「最重要情報が多数含まれ、様々な脅威から米国を守るために使われている」とした。対象は「米国外に住む外国人に限られる」という。
ワシントン・ポスト紙は、テロやスパイ活動、大量破壊兵器の拡散に関与した疑いがもたれる人物が対象と伝えている。【6月7日 読売】
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対象となっているとされるインターネット大手9社は、マイクロソフト、ヤフー、グーグル、フェイスブック、アップル、スカイプ、AOL、YouTube、PalTalkの各社で、一番早かったのはマイクロソフトで2007年から行われています。
NSAがインターネット上のデータ収集に使っている監視プログラムは「PRISM(プリズム)」と呼ばれており、対象データは、メール、写真、音声、動画、文書、接続ログなど殆どすべてです。
PRISMの分析者はまず「selectors(検索ターム)」から外国人かどうかを見分けて(当たる確率は51%)、情報収集を始めるそうです。

このメディア情報に対し、アメリカ国家情報長官は、アメリカ政府が企業サーバから単純に情報を収集しているかのような情報は誤解によるもので、裁判所の監督下で合法的に行われていると反論しています。

****米国家情報長官、「PRISM」プログラムについて説明:「法律範囲内のもの****
極秘監視プログラム「PRISM」報道に関する批判を受け、米国家情報長官が声明を発表し、PRISM関連の活動が「法律の範囲内のもの」で「米議会で十分に討議され、承認されたもの」であることを明らかにするとともに、PRISMについて、米政府が企業サーバから単純に情報を収集していないとする概況報告書を公開した。

概況報告書は、冒頭に米国家情報長官James R. Clapper氏の名前を冠し、「PRISMは、秘密の収集もしくはデーターマイニングためのプログラムではない」ことを述べている。「政府内コンピュータシステムであり、電子通信サービス事業者から国外に関する情報資料を米政府が裁判所の監督下で合法的に収集することの支援に使われる」(概況報告書)

概況報告書には次のようにも書かれている。
「外国諜報活動偵察法(Foreign Intelligence Surveillance Act:FISA)の702項に基づき、米政府は、米電子通信サービス事業者のサーバから一方的に情報を得ない。そのような情報すべては、FISA裁判所承認に加え、米司法長官および米国家情報長官の文書による命令に基づいた事業者の認識の下で取得されている。」

Clapper氏は、概況報告書を紹介する自身の声明において、調査活動の目的が国外に関する情報資料を得ることにあり、その情報には、米国および同盟国に対するテロやサイバー攻撃の防止に必要なものが含まれると説明している。

「最近の報道により大きな間違った印象が持たれている。極秘情報の更なる公開がなされなければ、不正確さのすべてを正すことはできない。しかし、私は、最近発生した不正な情報公開について、添付された詳細を機密解除することがまやかしの一部を一掃する一助となり、報じられていることに対する必要な文脈の追加となることを願っている。」【6月10日 CNET News】
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名前の挙がった企業も否定しています。
****アップル「聞いたことない」―米政府の監視プログラム****
米アップルは、同社を含むハイテク大手数社のシステムにアクセス権を与えていたとされる米政府の監視プログラム「PRISM」についての報道を受け、そのようなプログラムは「聞いたことがない」との声明を出した。(中略)

アップルは声明で、「われわれは、いかなる政府省庁にもシステムに直接アクセスできる権限は与えていない。また、政府省庁が顧客データの提示を要求するには裁判所命令が必要だ」と述べた。【6月7日 WSJ】
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政府・企業の説明によれば、PRISM(プリズム)は、当初の報道によって示唆したような政府が生データに直接アクセスして、すべてのデータを掘り出すようなプログラムではなく、特別な監視裁判所による広範囲な認可を得た上で、政府が膨大な量のデータを吸い上げ、フィルターにかけることを許す、目的がより絞られたシステムだということのようです。

なんだか門外漢にはよくわかりませんが、“PRISMが具体的にはどういうシステムかについて、クラッパー長官は詳しくは述べていないが、プライヴァシー問題を専門にする独立系技術者のアシュカン・ソルタニは、PRISMがインターネット企業に裁判所命令を提示して回答とデータを受信するプロセスを自動化するための、ある種のAPIのようなものではないかと憶測している。”【6月11日 WIRED】

ただ、そのであっても問題は残るとの指摘もあります。

****米国家安全保障局の「プリズム」の威力はどれほどか****
・・・・国土の安全保障に関するコンサルティング業務を行うポール・ローゼンツバイク氏はLaw Blogの取材に対し、「それは生の通信に対する無制限の直接的なアクセスではないことをわれわれは知っている」と話した。

しかし、政府の監視システムに批判的な団体である電子フロンティア財団のテクノロジー・プロジェクトを担当する責任者、ピーター・エカーズリー氏によると、プリズムについてはまだ多くの謎が残されているという。  

エカーズリー氏は「このシステムの規模や適用範囲について、われわれが知らないことが依然として多く残されている」と述べ、例えば、政府がどの程度広く監視の網を投げているのか、また標的にされている人々は何人いるのか、情報が何に利用されているのか、という点はあまり知られていないと指摘した。・・・・【6月11日 WSJ】
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また、“外国諜報活動偵察法(FISA)の秘密裁判所は2011年、政府がFISAをゆがめて憲法に違反した情報収集活動を行っているという意見を述べたが、それは非公開にされた”という問題もあるようです。【6月11日 WIRED】

実際の運用については、“FISAに基づく情報収集の要請が実際にどのように行われているのかについては、政府は明らかにしていない。わかっているのは、米司法省による米議会への年次報告で明らかにされていることだけで、この報告には必要最低限のデータしかない。2012年の報告によれば、政府は記録を入手するために秘密裁判所に1,856件の申請を行っており、どれも却下されていない。この数字は2011年の申請件数(1,745件)を約5%上回る。”【同上】とのことで、政府が希望すれば現実にはそのまま認められるというのが実態のようです。

世論は容認
冒頭で触れたように、映画などを通して、政府による秘密の監視活動が行われていることは半ば常識のようにもなっており、今さら「じぇじぇじぇ!」という感もありませんが、アメリカ世論はその必要性について一定に理解を示しているようです。

****電話記録収集、56%が容認=テロ対策に理解―米調査***
米調査機関ピュー・リサーチ・センターとワシントン・ポスト紙は10日、国家安全保障局(NSA)が行っている電話通信記録の収集について、56%がテロ捜査の手法として容認できると答え、容認できないと回答した41%を上回ったとする合同世論調査結果を発表した。

連邦政府によるテロ対策と個人のプライバシー保護のどちらがより大切と思うか尋ねた質問では、62%がテロ対策を挙げ、プライバシー保護と答えた34%の2倍近くに上った。2006年の調査で同様の質問をした際も65%対32%で「テロ対策派」が上回っており、世論に大きな変化はないと結論付けている。【6月11日 時事】
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香港からの身柄引き渡しを請求した場合、中国の対応は?】
一方、今回の機密漏えいを行った元CIA職員で、在日米軍基地にあるNSAで外部請負業者からの出向職員として4年間働いていたエドワード・スノーデン氏は香港にいるようですが、アメリカが引き渡しを求めた場合、中国がどのように対応するかが注目されます。

****米政府の個人情報極秘収集、暴露した人物を「徹底追及」の構え****
米政府が極秘裏に個人のインターネット利用や通話の記録を収集していた問題で10日、米議員らからはスノーデン氏の行為を「国家への反逆」と非難し、香港からの身柄引き渡しを即刻求める声が上がる一方、当局周辺はスノーデン氏を徹底追及する構えを見せている。

政府による監視プログラムの存在を暴露したエドワード・スノーデン氏(29)の所在は現在、不明となっている。

米国家安全保障局(NSA)から仕事を請け負う民間会社に勤めていたコンピューター技術専門家のスノーデン氏は、9日付の英紙ガーディアン上で、米政府の監視プログラムに関する情報を漏えいした本人であることを明かした後、宿泊していた香港のホテルをチェックアウトした。

NSAが世界各地で個人のネット使用や通話記録を監視していたことを暴露したスノーデン氏は、透明性の確保を求める人々や自由至上主義者らの間で一躍、英雄となった。

しかし、米上院情報問題常設特別調査委員会の委員長を務める民主党のダイアン・ファインスタイン議員は、詳細は述べなかったものの、米当局はスノーデン氏を徹底的に追及すると語った。

フロリダ州選出の民主党上院議員ビル・ネルソン氏は、「これは内部告発などではない。(国家に対する)反逆行為だと思う」と述べ、スノーデン氏を国家反逆罪で起訴すべきだと主張している。

中国の特別行政区である香港は、10年以上前に米国との間で犯罪人引渡条約を結んでいる。

米国務省のジェン・サキ報道官によれば、香港との犯罪人引渡条約は1996年に締結し98年に発効。現在も有効で、長年にわたり米政府は積極的に活用してきたと同報道官は述べた。

また議員らが党派を超えてスノーデン氏の早期米国送還を求める一方、米紙ワシントン・ポストの世論調査では、個人情報の保護よりもテロの脅威に関する捜査をより重視するとの結果が示された。

スノーデン氏はガーディアン紙とのインタビューで、アイスランドへの亡命を希望する意向を語っているが、アイスランドの入国管理当局は正式な要請は受け取っていないとした上で、スノーデン氏がアイスランドに入国した上での亡命申請が必要だと語った。

米政府が香港当局にスノーデン氏の身柄引き渡しを正式に要請した場合、香港の主権を持つ中国政府が介入する可能性については、政治アナリストらの見方は割れている。【6月11日 AFP】
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