孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アメリカ  高止まりする物価 家賃高騰で増えるホームレス 家賃40万円、サンフランシスコの現状

2024-02-24 22:58:29 | アメリカ

(サンフランシスコの歩道 歩道にはテントが張られ、バス停は路上生活者、いわゆるホームレスの荷物で埋め尽くされています。座り込んで顔を突っ伏し、動かない人もいれば、小刻みに震えている人、奇声を上げる人。こうした光景は、サンフランシスコの中心部で決して珍しくなくなっています。【23年9月26日 NHK】)

【インフレはピークを過ぎたものの、物価は高止まり】
今月8日から15日にカンボジア・シェムリアップを旅行して帰国した際に実感したのは、(最近、よく言われることですが)「日本はモノが安いね」ということ。
日本では、空港のコンビニで美味しいおにぎりが百数十円、1ドル弱で買えます。ファストフード店では3~4ドル程度でも簡単なものが食べられます。

「カンボジアの方が高い」とは言いませんし、ローカルな食べ物などならまだカンボジアは安い。でも、そこそこの品質のものを買おうとすると、日本と同じぐらいの価格で、以前感じた圧倒的な格安感はなくなりました。

カンボジアでもそんな感じですので、円安の影響もあって欧米になるとビックリするぐらいモノが高い・・・というのもよく言われるところです。

****ホットドッグ“720円”! アメリカでインフレ抑制の急激「利上げ」に終止符か…景気後退の兆しも***
記録的なインフレ下のアメリカでは、急激な利上げで政策金利は5%台に達した。日米の金利差拡大により、およそ1年ぶりに1ドル150円台にまで、円が下落した2023年。急激な利上げの副作用への懸念が高まる中、2024年の円相場と景気後退の見通しは?

■街角のホットドッグが700円超…「インフレと円安」“ダブルパンチ”のピークは?
ニューヨーク・マンハッタンの街を歩いていると、至るところで食べ物を販売するフードトラックに出くわす。パン、プレッツェル、アイスクリーム、ハラルフードなどが早朝から深夜まで購入でき、ニューヨーカーのみならず多くの観光客でにぎわっている。

人気メニューの1つが「ホットドッグ」だ。あるフードトラックでは、パンにソーセージを挟んだだけのシンプルなホットドッグが4.99ドル、日本円でおよそ720円で販売されていた(1ドル144円計算)。インフレは落ち着く兆しを見せてきたといえども、日本のファストフード店では400円前後で購入できる。アメリカの物価の高さが改めて身にしみた。

22年は、消費者物価指数が前年同月比で9.1%上昇する月もあり、FRB=連邦準備制度理事会は、インフレを抑え込むために、これまでにないペースで急激な利上げを行った。その結果、23年11月の消費者物価指数は前年同月比3.1%まで下がった。アメリカのインフレはピークをこえたのか。

岡三証券ニューヨーク駐在員事務所の荻原裕司所長は、値段が下がっているモノもあり、インフレはピークをこえたのではと話す。

「家賃など住宅の値段が高く、『サービス』価格は高止まりしていますが、モノの項目は家電やおもちゃなど前年より安くなっているものもあります。インフレはピークをこえたといえます」(後略)【日テレNEWS】
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もっと高い話もよく見聞きします。

****米で「ビッグマック」がとんでもない価格になってしまった…****
パンデミックの頃から始まった物価上昇。「収入は上がらないのに、物価ばかりが上がる」と嘆いている人が日本でも多いでしょう。しかし、そんなインフレは米国でもっと激しく、最近ではマクドナルドのビッグマックセットが2700円になる店もあることが分かりました。

気軽に食べられない
(中略)(マクドナルドの)メニューの価格は店舗によって異なりますが、例えば、コネチカット州のダリエンという町にある店では、ビッグマックにフライドポテトMサイズ、ソフトドリンクMサイズがついたセットメニューは、18ドルとのこと。これは、日本円で2700円ほど。ファストフード店とは到底思えない金額です(なお、日本でビッグマックのバリューセットの価格は750円〜)。

これだけの物価上昇の理由は、材料費やエネルギー価格の上昇、さらに人件費の上昇でしょう。実際、カリフォルニア州では、最低賃金をこれまでの時給16.21ドル(約2500円)から時給20ドル(約3000円)に引き上げる法案が決まったばかり。

これを受けて、カリフォルニア州にあるマクドナルドのほか、チポトレというファストフード店は、値上げを発表しています。

あらゆるものの値段が上がりまくる米国。さすがに、マクドナルドでビッグマックのセットが20ドル近くするのなら、「気軽にマクドナルドに行こう」という気にすらならない現地人も増えてきそうです。
※1ドル=約151円で換算(2023年11月1日現在)
【23年11月1日 佐藤まきこ GetNavi】
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【金利上昇・物価高で増える生活困窮者 増加するホームレス】
アメリカ経済全体の今後の動向は金利政策がどうなるのかにもよりますが、これまでのところは比較的強い動きを示してきました。

“米GDP3・3%増、市場予想上回る 23年10〜12月期”【1月25日 産経】
“1月の米雇用統計 就業者数は前月から35万3000人増 市場の予想を大きく上回る”【2月3日 日テレNEWS】

しかし、物価の方は、インフレがピークを超えたとはいっても「高止まり状態」で、市民生活に大きな影響を与えています。特に、自動車価格や家賃の上昇は生活を大きく左右します。

****アメリカで若年層中心にクレジットカード延滞が急増****
アメリカで、若年層を中心にクレジットカードの支払いができず延滞する人が急増しています。

ニューヨーク連邦準備銀行によりますと、2023年10月から12月の間にクレジットカードの支払いを延滞した人の割合は8.52%と、およそ12年ぶりの高水準となりました。

また、自動車価格の上昇や金利が高止まりしていることから、自動車ローンの延滞率も急増しています。

ニューヨーク連銀は特に、若年層や低所得世帯の間で経済的なストレスが増加していると指摘しています。

市場関係者は「今後さらなる高水準となることも十分に考えられる」と、懸念を示す声が上がっています。【2月7日 テレ朝news】
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****米で家賃高騰が続く 生活困難者が過去最多の水準に****
アメリカでインフレが高止まりするなか、家賃の支払いのため生活が困難になっている人が増加し、歴史的な水準となっていることが明らかになりました。

ハーバード大学の調査によりますと、アメリカで賃貸物件で生活している人のおよそ半分にあたる2240万世帯が収入の3割以上を家賃に支払っていることが明らかになりました。

3年前の調査から200万世帯増え、過去最高の水準になっています。

特に年収3万ドル=およそ444万円以下の低所得世帯が最も打撃を受けていて、家賃と光熱費を支払った後に残る金額の平均は月額310ドル=およそ4万6000円弱にとどまっています。

AP通信によりますと、家賃の高騰を受けて、立ち退きの件数も急増し路上生活者の数も過去最高水準に達しているということです。【2月8日 テレ朝news】
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路上生活者、いわゆるホームレスは家賃の高騰に加えて、コロナ禍後の経済支援の打ち切りも影響して急増しています。

****米国のホームレス数が65万人に急増、コロナ対策支援の終了が背景に****
米国内のホームレスの数は昨年1年間で12%増加しており、家賃の高騰とコロナ禍後の経済支援の打ち切りが、何千人ものアメリカ人に重大な影響を及ぼしたことが見えてきた。

米国住宅都市開発省(HUD)は現地時間12月15日、今年1月時点で約65万3000人がホームレス状態にあったと発表した。これは同省が2007年に実態調査を開始して以来、最も多い人数だ。

HUDによると、2023年には人口1万人あたりのホームレスの数は約20人だったが、その割合は有色人種に偏りが見られるという。

アジア系およびアジア系アメリカ人のホームレスの数は、この1年で40%急増し、増加率は最大となった。ヒスパニック系またはラテン系アメリカ人のホームレスの数は、2023年に前年から3万9000人以上増加した。HUDによると、2023年のホームレスの数は2022年より7万650人増加したとのこと。

「このデータは、人々がホームレス状態から速やかに脱するのを助け、そもそもホームレス状態になることを防ぐための、解決策や戦略に緊急な支援が必要であることを示している」と、HUDのマーシャ・ファッジ長官は15日の声明で述べた。

米国のホームレスの数は、数年に及んだ減少傾向が終わり、近年は増加が続いている。最近のホームレス人口の増加は、家賃滞納者への立ち退き猶予措置を含む、新型コロナウイルス対策の支援プログラムが2021年に終了したことが一因だと報告書は述べている。

HUDがホームレスの統計調査を開始した2007年から2010年かけて、米国のホームレスの数は63万7000人から55万54000人に減少していた。

この数値は、2020年に約58万人に増加し、さらに今年になって急増した。米国ホームレス問題連絡協議会(United States Interagency Council on Homelessness)のジェフ・オリヴェット代表は、ニューヨーク・タイムズ紙の取材に、「手頃な価格の住宅の不足と家賃の高騰がホームレス問題に最も大きな影響を与えている」と語った。

一方、全米ホームレス撲滅同盟(National Alliance to End Homelessness)のアン・オリバCEOは、公共ラジオ放送のNPRに対し、「米国の多くの都市における移民の増加が今年の数字に影響を与えた可能性が高い」と語った。各地のシェルターでは移民の数が増えているため、連邦政府に州の負担を軽減するよう求める声も多い。【23年12月19日 Forbes】
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【サンフランシスコ 商店の閉店、ホームレス増加、薬物蔓延で荒廃する街も】
従来はアメリカでも“明るい”イメージが強かったカリフォルニア・サンフランシスコはホームレス増加と治安の悪化で様変わりしているとのこと。

コロナ禍でリモートワークを牽引したシリコンバレーでは、オフィスに勤務する人が減少し、小売商店や飲食店の多くが立ち行かなくなり、従業員が失業しホームレスに・・・といった現象も。

****ハンバーガー1個4000円、バーで飲めば3万円……アメリカで一番物価が高く治安も悪化している地区はどこか?****
米国・サンフランシスコは、ゴールデンブリッジやチャイナタウン、ケーブルカーで日本人には馴染みのある観光地だが、最近は治安の悪化が盛んに報道されている。そこで、年末から年始にかけて現地を踏査してみた。  

ダウンタウンでは、明らかに治安が悪くて足を踏み入れないほうがよいと思われる通りと、市民や観光客が普通に行きかっている通りとに分かれる。市内周辺部では、良好に管理運営されている地域もある。通りや地域によって明暗が分かれるのはなぜだろうか。

高いオフィス空床率と物価
サンフランシスコに行くと誰でも最初に訪れるのがダウンタウンにあるケーブルカーの出発点だろう。ここは今日でも世界各地からの観光客であふれ、明るく華やかな雰囲気である。  

しかしその近くではデパートやフーズマーケットが閉店し、シャッターが閉められている。ちらほらと開店している店もあるが、閉店した小売店も多い。  

シリコンバレー銀行の倒産はあったが、サンフランシスコ大都市圏全体における景気は決して悪くない。スタンフォード大学やサンノゼ大学など工科系大学やベンチャーキャピタルの集積で新規開業も多く、新興テクノロジー系の企業が集積している。グーグル、 セイルスフォース、 X(旧ツイッター)、ウーバー、 リフト、 オープンAIなどIT企業が優秀な人材を大量に雇用し高給を支払っている。  

シリコンバレーに昨秋オープンしたグーグル・グラディエント・キャノピーはグーグル本社の社屋で、周辺では多くの人々が遊んでいる。サンフランシスコのゴールデン・ゲート・パークでも多くの人が楽しく遊んでいる。それなのになぜダウンタウンが荒廃するのか。  

IT関連の企業に勤めシリコンバレーに長く住む人に聞くと、コロナ禍でリモートワークが普及したためダウンタウンのオフィスに勤務する人が減少し、小売商店や飲食店の多くが立ち行かなくなったという。

サンフランシスコ大都市圏のオフィス空床率は約23%と、米国平均の約18%より高い。店が閉まるとそこに勤める従業員が失業するなどしてホームレスが増え、市のシェルターの収容能力を超えた。  

サンフランシスコでは家賃も物価も高い。ワンルームのアパートでも月に40万円くらいする。サンフランシスコでは景観を維持するため4階以上のアパートを建築することが厳しく制限されている。  

客がレジに並ぶファストフードのようなシステムの店でハンバーガー一つが4000円くらいだ。カフェバーでビール1杯、ワイン3杯、シュニッツェル1枚で3万4000円も請求される(いずれも当日のレートで換算)。

まちの人々も異口同音に「サンフランシスコは米国で一番物価が高い」とぼやく。治安の上でも価格の面でも観光客が安心して飲食できる店が減っている。ヒルトンなど大きなホテルのレストランやバーは安心できるが、日本における報道では、そのヒルトンも売りに出ているという。  

一歩裏通りにはいると、異様な雰囲気が漂う。ホームレスの小さなテントが路上に張られ、バス停の屋根の下にも荷物らしきものを抱えて住み着いているような人もいる。  

生活困窮による万引きが増え、商店や飲食店は警備員や用心棒的な人々を雇わざるを得なくなり、経費倒れとなる。警察官も傷害や殺人なら対応するが、窃盗などは被害が高額でないと捜査しない。そのためさらに閉店が増える。いわゆる負の連鎖が生じている。

大麻の合法化ではびこる違法麻薬
こういう通りには、何かわめいたり、あるいは工事用の鉄パイプを投げつけたりする錯乱状態に人もいる。冬なのに裸に近い姿や、バスローブ一枚でわめきながら歩いている人もいる。映画で見るゾンビのように立ったまま手をだらりと下げてふらふらしている人もいる。  

同行した看護大学の教授によると、麻薬の作用で脳は睡眠状態に近い中で身体は起きている状態だという。駅のコンコースにも立ったまま壁に寄りかかって寝込んでいる金髪の若い女性がいたりする。  

カリフォルニア州では2016年に大麻が合法化された。連邦政府は大麻も違法としているが、カリフォルニア州では大麻の所持、売買、吸引を取り締まることはしない。ちなみに「大麻は身体への悪影響がない」「依存性がない」という人もいるが、日本政府は「それは間違った情報」であるとしている。  

大麻が合法だと、そのほかの麻薬の路上売買等も取り締まりにくくなる。警察にとっては、その麻薬が大麻以外だと確信できなければ逮捕できないからである。結果として、大麻以外の違法麻薬、粗悪な麻薬がはびこることになった。  

20世紀の末にニューヨーク・マンハッタンの120丁目あたりから北側のハーレム地域が荒れ果てた時期があった。家主が放棄したマンションにホームレスが住みついて焚き火をするなど危険な状態が続いた。  

改善されたのは、ニューヨークの景気がとてもよくなったからである。雇用が回復するとハーレムの目抜き通りである125丁目通りのレストランや小売商店が開店し始め、これらの店も雇用を増やすなどしてまち全体がよくなった。  

このときのハーレムのホームレスは、アフリカンが中心で、次いで中南米からの移民が多かった。しかし今回、サンフランシスコのホームレスは、麻薬中毒患者を含めて、人種を問わない。

カストロ地区が安心して歩ける理由
ダウンタウンに荒れている地域がある一方で、市内のカストロ地区(このカストロは、メキシコ統治時代の州知事の名)では、小さいが3階建てのビクトリア調の良好な木造建築が立ち並び道路にもごみが散乱せず住みよいまちづくりが行われている。カフェやレストラン、そして本屋や小物を売る店も、高級な店はあまりないものの庶民的で落ち着いた雰囲気で、一人でもゆっくりできる店が多い。  

この地区のリーダーだったハーヴェイ・バーナード・ミルクは、海軍勤めを経て、ゲイであることをカミングアウトしてから、サンフランシスコ市会議員に選ばれた。LGBTQ(性的少数者)の権利を守ることに努め、40歳代で暗殺されたが、人権を守ることを主張し、差別のないまちをつくった。  

サンフランシスコ公共図書館専門員トレーシー・エアーズ氏によると、現在、カストロ地区にはLGBTQの人が3分の1くらい住んでいる。互いに人権を尊重するまちという雰囲気が横溢しているので治安も悪くない。  

暗殺されたあと、当時のオバマ大統領は、ミルク氏の功績を称え、海軍の給油艦をハーヴェイ・ミルクと命名した。またサンフランシスコ国際空港の第1ターミナルは「ハーヴェイ・ミルク・ターミナル」と名付けられている。  

またサンフランシスコから近いサンノゼ市でも荒廃している地域があるが、市内の旧日本人街は落ち着いた雰囲気で、レストランや小売商店も盛業中である。

サンノゼ市の日系アメリカ人博物館でボランティア活動を続けているIBIDENアメリカ法人社長のアンディ・ウチダ氏によると、ここでは第二次世界大戦中から戦後を通じて、人権を抑圧された歴史をもつ日系移民の後継者たちが協力してまちを維持してきた。  

このように、決して高級住宅地でない地域でも、人権に対する強い意志をもつ人たちがつくってきた地域は荒廃しない傾向が共通にある。マイノリティを認める気持ちを持った人々が住む地域は、日本人にとっても誰にとっても居心地がよい。サンフランシスコの状況は、コミュニティの大切さを改めて私たちに感じさせる。【2月22日 WEDGE】
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“人権に対する強い意志をもつ人たちがつくってきた地域は荒廃しない傾向が共通にある”・・・それはそうなんでしょうが、そうしたコミュニティのつながりを求めることは現代都市では難しい・・・

ワンルームのアパートでも月に40万円くらいするというのが、そもそも異常。まともに暮らせる家がなければ人心も街も荒廃するのは当たり前でしょう。家賃問題ならまだ政策的対応も可能・・・出血覚悟で臨めば。
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