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孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

イランとアメリカ  ともに国内に強硬派 譲歩が困難な状況での“チキンレース”

2021-02-26 22:14:30 | イラン

(【2月24日 FNNプライムオンライン】右はイラン最高指導者ハメネイ師

ハメネイ師は22日、核活動を巡るアメリカの圧力に決して屈しないと述べ、兵器に利用する意図はないとしつつも、必要に応じてウラン濃縮度を最大60%に引き上げる可能性があると述べています。【2月23日 ロイターより】)

 

【バイデン政権 イランを背景とするイラク武装勢力の挑発に「相応の軍事的対応」】

イラク北部アルビルでは15日、米軍駐留拠点がロケット弾攻撃を受け、1人が死亡、米兵を含む9人が負傷。

20日にはイラク中部のバラド空軍基地ロケット弾数発が撃ち込まれ、駐留米軍の仕事を請け負っているイラク人1人が負傷。

22日日には首都バグダッドにある旧米軍管理区域(グリーンゾーン)の米国大使館近くに、少なくとも2発のロケット弾が着弾。

 

イラクでは、イランと連携するイスラム教シーア派の民兵組織によるとみられる米軍・アメリカを標的とした攻撃が相次いでいました。

 

執拗な攻撃は、アメリカへの「挑発」と思われ、背後にはイラン・・・といっても、イラン・ロウハニ政権というより、イラン・ロウハニ政権とアメリカ・バイデン政権の核合意復帰に関する交渉を阻止したいイラン革命防衛隊などの対米強硬派の存在があるのでは・・・とも想像できます。

 

“2月23日、バイデン米大統領は、イラク軍や連合軍に対する最近のロケット弾攻撃についてイラクのカディミ首相と電話で協議し、関与した者の「責任を全面的に問う」必要があるとの考えで一致した。”【2月24日 ロイター】

 

攻撃側の背景・意図を考えると、アメリカがどのように対応するのか注目されましたが、アメリカ国防総省は25日、シリア東部にある親イラン民兵組織の施設を空爆したと発表。バイデン政権になって初めての軍事行動となります。

 

****米シリア空爆 バイデン政権、イランの武装勢力支援許容せず****

米国防総省のカービー報道官は25日、米軍がシリア東部にある親イラン系イスラム教シーア派武装勢力の施設に対して空爆を実施したと発表した。バイデン政権が親イラン系武装勢力に軍事行動をとるのは初めて。

 

米政権はイラン核合意への復帰を目指しつつも、中東地域を不安定化させるイランによる近隣諸国の武装勢力支援を許容しない立場を明確に示した。

 

報道官によると、今回の作戦はバイデン大統領の指示で実施された。2月中旬以降に相次いだイラクの米軍関連施設に対する攻撃への対抗措置とし、「大統領は米国や有志国連合の人員を守るために行動するという明確なメッセージを(イランに)送るものだ」と強調した。

報道官は「シリア東部とイラクの情勢の緊張緩和を図るために慎重な行動をとった」とも説明した。(中略)

 

空爆では、シーア派武装組織「神の党旅団」(カタイブ・ヒズボラ)などの親イラン系勢力が利用する国境管理地点の複数の施設を破壊したとしている。米紙ワシントン・ポスト(電子版)は米当局者の話として、空爆で数人の武装勢力メンバーを殺害した可能性があると伝えた。

 

シリア人権監視団(英国)によると、空爆先はイラク国境に面するシリア東部アルブカマル周辺で、弾薬を積んだトラック3台が破壊され、少なくとも親イラン勢力の民兵22人が死亡、多数が負傷した。

 

バイデン政権は、イランの核合意復帰に向けた外交交渉に着手しようとしており、大規模攻撃で対話路線が頓挫するのを避けたい思惑があったとみられる。

 

一方で米政権はイランに合意から逸脱した核関連活動を順守状態に戻させた後、イランによる武装勢力の支援と弾道ミサイル開発の停止に向けた追加合意の締結を目指したい考えだ。

 

しかし、イランは米国が経済制裁の緩和に応じない限り、応じない構えだ。一方、議会では共和党を中心にトランプ前政権で進められたイラン封じ込めを緩和することに反対論が根強い。

 

武装勢力支援をやめないイランを牽制(けんせい)するために中東での米軍の軍事行動が続く事態となれば、中国の脅威をにらんだインド太平洋地域に軸足を移すことを目指す米国の軍事戦略に支障をきたす恐れもある。【2月26日 産経】

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“国防総省は今回の空爆について、連合諸国との協議を含む「外交手段」と合わせて実施した「相応の軍事的対応」で、「あいまいなところのない明確なメッセージ」を発するものだったと説明。

 

「バイデン大統領はアメリカと連合国の人員を守るために行動する。同時に、シリア東部とイラクの全体状況を鎮静化させるための、慎重な行動」だと述べた。”【2月26日 BBC】

 

イラン・ロウハニ政権が国内強硬派の反対でアメリカとの交渉において難しい立場にある現段階で、アメリカとしても、いたずらにイランとの緊張を高めることは本意ではないでしょうが、アメリカ国内にも反イランの強硬派が存在し、バイデン政権が何も対応しないと「弱腰」批判を受け、イランとの交渉も更に難しくなる・・・という判断でのバイデン大統領の微妙な「報復」に思われます。

 

【イラン、アメリカともに国内に強硬派を抱え、先に譲歩はできないチキンレース】

イランとの交渉の方は、互いに相手が先に譲歩することを求める「チキンレース」状態にあり、イラン側の「国際原子力機関(IAEA)による核施設などへの抜き打ち査察を認める追加議定書の履行停止措置」という“揺さぶり”によって、時間的な制約も3か月と限定されています。

 

****イラン、核施設などへの抜き打ち査察停止=欧米揺さぶり加速****

イランは23日、国際原子力機関(IAEA)による核施設などへの抜き打ち査察を認める「追加議定書」の履行を停止した。

 

IAEAとの合意で一定の監視活動は当面続く予定だが、今後はイランが申告していない核関連物質や核活動の検証作業が大幅に制限される見通しで、核開発の実態把握が難しくなる恐れがある。

 

イランは保守強硬派主導の国会で昨年12月に制定された法律に従い、米国が21日までに制裁を解除しなければ、追加議定書で規定された抜き打ち査察の受け入れを停止すると警告していた。米国が制裁を解除するめどは立たず、核合意のさらなる逸脱により欧米諸国から譲歩を引き出そうと揺さぶりを強める構えだ。

 

イランのザリフ外相は23日、ツイッターで「米国は違反をやめず、欧州も合意を順守していない」と履行停止を正当化した。

 

追加議定書は、核兵器を持たない核拡散防止条約(NPT)締約国がIAEAと結ぶ「包括的保障措置協定」に追加する形で、より広範な査察をIAEAに認める。イランは核合意締結後の2016年から自主的に暫定履行した。

 

履行停止により、査察能力は「約2〜3割縮小する」(イランのアラグチ外務次官)という。【2月23日 時事】

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****米イラン「3カ月」の攻防 ロウハニ大統領の時間わずか****

イラン核合意に基づく義務の逸脱行為を続ける同国のロウハニ政権は23日に国際原子力機関(IAEA)の核施設などへの抜き打ち査察の受け入れを停止する一方で3カ月間に限り「必要な検証・監視活動」を認める妥協をした。

 

イランはこの間の交渉でバイデン米政権から制裁解除を引き出すことを狙っているが、両国間の隔たりは大きく、双方が歩み寄れるかは「3カ月」の攻防にかかっている。

 

 ■3カ月の時間稼ぎ

2018年に核合意を離脱したトランプ米前政権はイランに対して「最大限の圧力」政策を取り、合意に基づいて解除されていた経済制裁を復活させた。

 

イランのメディアによると、ロウハニ大統領は24日、制裁の早期解除を求め「そうすれば前進する道が開け、交渉が可能になる」と訴えた。IAEAとの妥協で確保した「3カ月の猶予」を浪費すべきでない−とのメッセージだ。

 

イランはバイデン政権や、核合意当事国などとの多国間の対話に前向きだ。同国のアラグチ外務次官は多国間会合への参加を「検討している」と述べ、近く回答する見通し。欧州連合(EU)は米イランを含む核合意当事国の非公式会合を呼びかけており、査察をめぐる「3カ月」の妥協は、外交交渉を視野に時間稼ぎをした形だ。

 

米イラン間では、双方で拘束されている自国民の解放をめぐる交渉も始まった。信頼醸成の一環とみられ、国交がない両国の交渉はスイスを介して間接的に行われている。

 

しかし、米政権は制裁解除よりも、イランが核合意の逸脱行為をやめるのが先だと主張している。米国は多国間会合に出席するとしているが、イラン側が核開発を止めることが前提という側面も大きい。

 

 ■勢い増す保守強硬派

核合意締結を主導した国際協調派のロウハニ師に残された時間は少ない。

 

保守強硬派が勢いを増すイランでは6月に大統領選が予定されている。ロウハニ師は任期満了で出馬できずレームダック(死に体)化が進んでおり、5月下旬までの3カ月、膠着(こうちゃく)状態のまま推移すれば、対米批判一色で柔軟性に欠ける保守強硬派から次期大統領が選出され、米国との和解が遠のく可能性がある。

 

抜き打ち査察の受け入れ停止に先立ち、ロウハニ師が率いる政権とIAEAが21日に妥協案で合意したのを受け、反米の保守強硬派が多数を占めるイラン国会は22日、同師個人を非難し、訴追を求める決議を採択。国会では昨年12月、米国が制裁を解除しなければ核開発を加速させるよう政府に義務付ける法律を成立しており、同師はこの法律に違反したとの主張だ。

 

ロウハニ師には保守強硬派の攻撃をかわしつつ、欧米との間で核合意を立て直す困難な仕事が待ち受ける。エジプトの政治評論家、バセム・アリ氏は「ロウハニ師にとって非常に厳しい3カ月になる」との見方を示した。

 

 ■米、膠着打開に動くか

バイデン政権は「外交は、イランに核兵器を得させないための最善の方法」(サキ大統領報道官)とし、トランプ前政権下で悪化した米イラン関係を対話により打開する方針に転換した。しかし、両国の立場の違いは大きく、米国が現在の膠着状態の打開に動くかは不透明だ。

 

米政権は18日、EUがイランとの対話の場を設定すれば米国も参加する用意があると表明した。ブリンケン米国務長官は、イランが核合意を順守すれば「米国も同様の対応をとる」と述べた。対話の意思はあるが、イランが核合意に基づく義務を履行するかによるというメッセージを送ったものだ。

 

バイデン政権が、トランプ前政権の「最大限の圧力」路線から「対話」にかじを切った背景には、前政権の政策が「イランの核開発計画を促進させ、中東地域でイランの態度を一層、攻撃的にさせた」(国務省高官)との反省がある。

 

サキ氏は24日の記者会見で「より長期的で強力な枠組みを構築する」とし、イランの弾道ミサイル開発なども交渉に含める考えに言及。「欧州の誘いにイランがどう反応するか待っている」と期待をかけたが、核開発に加え弾道ミサイル開発に制限をかける路線はトランプ前政権が模索したものの頓挫しており、交渉が長期化する可能性がある。

 

「対話」を重視するバイデン政権の姿勢は、イラン側に足元を見られる恐れもあり、「イランの脅しを前にしてとっている融和策ではないのか」(トランプ政権の元高官)との批判も上がる。米側にも容易に妥協できない事情がある。【2月25日 産経】

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イラン・ロウハニ政権、アメリカ・バイデン政権ともに何らかの形で「合意」したいが、それぞれ国内に強硬派を抱えている状況で、自国からの譲歩はできない、相手から先に譲歩してくれないと・・・といった“チキンレース”です。

 

特に、ロウハニ大統領は“レームダック”化しつつあり、国内強硬派による「米国が制裁を解除しなければ核開発を加速させるよう政府に義務付ける法律」もあって、非常に苦しい立場です。

 

ただ、上記記事が指摘するように、ここでロウハニ大統領を見放せば、6月の大統領選挙はおそらく反米強硬派の候補者が勝利し、イランとアメリカは交渉もできない状況となり、中東の緊張は現在以上に強まることが想像されます。中東石油に頼る日本としては望ましくない未来です。

 

一方、トランプ前政権と協調する形でイスラエルとともに「イラン包囲網」の中核にあったサウジアラビアに対するバイデン政権の対応も、カショギ氏殺害事件に関するムハンマド皇太子の関与を示す報告書を米国家情報長官室が近く公表するということで、微妙なかじ取りを求められています。

 

そのあたりは、長くもなりますので、報告書が明らかにされた時点で改めて取り上げます。

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