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孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アフガニスタン  米軍撤退後を見据えた中国との関係 スパイ摘発事件 メス・アイナク鉱山開発問題

2021-02-03 23:33:23 | アフガン・パキスタン

(奥には、中国国有資源大手・中国冶金科工集団(MCC)がリース契約したメス・アイナク銅山の開発のためのテントが見える。手前は、仏教遺産の採掘を急ぐ考古学者たち。2011年撮影 【2016年12月24日 大紀元】)

 

【止まないタリバンの攻勢 バイデン新政権は撤退計画「検証」の動き】

米軍撤退がタイムスケジュールに上がっているアフガニスタンで、相変わらずテロ行為が絶えないのは周知のところ。

 

****アフガンで女性判事2人が暗殺 米軍撤退で不安高まる****

アフガニスタンの首都カブールで17日、最高裁判所の女性判事2人が銃で撃たれて死亡した。同国ではこのところ、政治家やジャーナリスト、活動家などの暗殺事件が相次いでいる。

 

名前の明かされていない2人は、裁判所へ向かう際に襲撃された。2人の乗っていた車の運転手も負傷している。

犯行声明は発表されていない。

 

アフガニスタンをめぐっては、アメリカのドナルド・トランプ大統領が米軍撤退を指示したことから安全上の懸念が高まっている。アフガニスタンには現在、米兵が2500人しか残っていない。

 

同国のアムルラー・サレフ副大統領はBBCの取材に対し、米軍撤退によって国が不安定になり、さらなる暴力のリスクが高まっていると話した。

 

相次ぐ暗殺事件

昨年12月には、エニカスTV・ラジオでジャーナリストとして働いていた女性ジャーナリストのマララ・マイワンドさんが、ジャララバードに仕事で出かける途中に銃撃された。

 

マイワンドさんは公民権運動の活動家でもあり、女性がこの国でジャーナリストとして働く苦難について語っていた。北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)が、アフガニスタンでのジャーナリスト暗殺を非難する声明を出したばかりだった。

 

このほか、元テレビ司会者のヤマ・シアワシュさんが11月、首都カブールの自宅近くで、車に仕掛けられた爆弾で殺害された。

 

南部ラシュカル・ガーでも、ラジオ・リバティーのアリヤス・ダイー記者が自動車爆弾で殺された。

また、映画監督のサバ・サハルさんはカブールで銃撃されたが、一命を取り留めている。サハルさんはアフガニスタンで最初に映画監督となった女性の1人。

 

一連の暗殺をめぐっては、反政府組織タリバンの関与が疑われているが、タリバンは認めていない。

アフガニスタン政府とタリバンは現在、カタールの首都ドーハで和平交渉を進めている。【1月18日 BBC】

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今のアフガニスタンで女性が社会的に目立つ活動を行うのは、まさに命がけのようです。

女性の地位・権利は、今後もしタリバンが大きな政治的影響力を行使するようになるとしたら、最も懸念される問題のひとつです。(上記記事にあるように、一連の暗殺については、関与をタリバンは認めていないとのことですので、IS関連組織の犯行かもしれませんが)

 

上記暗殺は別にしても、アフガニスタン政府に圧力をかけるようなタリバンの攻勢は続いており、アメリカ・バイデン新政権は、トランプ大統領が政権末期に加速させた撤退計画について見直す動きが出ています。

 

****アフガン米軍の撤退、慎重姿勢 テロやまず、タリバーンとの合意を検証****

アフガニスタンに駐留している米軍の撤退計画をめぐり、バイデン政権から「検証」への言及が相次いでいる。

 

トランプ前政権は昨年2月に反政府勢力タリバーンと合意を結び、今年5月の完全撤退を目標に撤退を進めてきたが、バイデン政権は「テロ組織の活動を許さないという約束が守られていない」として、慎重な構えだ。

 

米軍は2001年の同時多発テロ直後から、アフガニスタンに駐留してきた。これまで約2400人の米兵が死亡し、駐留経費は7700億ドル(約80兆円)を超す。トランプ政権は「終わりなき戦争に終止符を打つ」として撤退を進め、政権交代直前には駐留米軍を過去最少の2500人に減らした、と発表した。

 

だが、ブリンケン米国務長官は28日、アフガニスタンのガニ大統領と電話協議し、撤退の前提となっているタリバーンとの合意について、米政府が検証していることを伝えた。国務省の発表によると、タリバーンが(1)テロ組織との関係を絶つ約束を守っているか(2)暴力を減らしているか(3)アフガニスタン政府などとの実質的な交渉に取り組んでいるか――を検証しているという。

 

国防総省のカービー報道官も28日の会見で、「タリバーンは暴力を減らし、(国際テロ組織の)アルカイダとの関係を絶つ約束を守っていない」「約束を守らない限り、(撤退の)合意が前へ進む道筋は非常に見えにくい」と述べ、現状では予定通りの撤退が難しいとの認識を示した。

 

駐留米軍の撤退について、カービー氏は「米国やアフガニスタンの国益に基づいて、慎重に決定する。バイデン大統領が明確にしているように、この戦争は終わらせる時だが、責任のあるやり方でしなければいけない」と語った。現在の駐留人数について、軍高官は「任務に当たる上で十分」と考えているとも明かした。

 

バイデン氏は、アフガニスタンからの米軍撤退を目指す考えを示してきた。ただ、オバマ政権時代には米軍がイラクから完全撤退したことが、過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭を許し、米軍の再派遣につながったという経緯もある。それだけに、政権は慎重に判断するとみられる。

 

 ■市民の犠牲、後絶たず

アフガニスタンでは現在、タリバーンが米軍の撤退を尻目に攻勢を強めている。アフガン内務省によると、昨年10月中旬からの3カ月間で、タリバーンが関与したとみられる攻撃は542件あり、市民ら487人が死亡。首都カブールでは、治安機関や報道機関を狙った爆発が増えている。

 

タリバーンとしてはアフガン政府を追い詰め、実権を握りたい思惑がある。タリバーンとアフガン政府の停戦協議も、膠着(こうちゃく)が続く。タリバーン幹部は昨年12月以降、ロシアやイラン、パキスタンを歴訪して外相らと会談し、米国を締め出す包囲網を固めようとしている。

 

一方、タリバーンの復権を阻止したいアフガン政府は、米軍の一部が残留する展開を望んでいる。アフガン政府軍や警察の士気は低く、自力で治安を維持できないのが実情だ。【1月30日 朝日】

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もっとも、タリバンからすれば、「合意に反しているのは相手方だ」ということになります。

 

****「合意不履行」批判に反論=タリバン****

アフガニスタンの反政府勢力タリバンの広報担当者は29日、和平合意を履行していないと米政府がタリバンを批判したことを受け、「合意は全て順守している」とツイッターで反論した。

 

別の広報担当者もAFP通信に「ほぼ毎日、合意に反しているのは相手方だ。民間人や家々、村々を空爆している」と米国を非難した。(後略)【1月29日 時事】

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北大西洋条約機構(NATO)の当局者も、アフガニスタンに駐留する外国軍が、タリバンが米国と昨年結んだ和平合意で撤退期限として設定された4月末以降も駐留を続ける計画を明らかにしています。

 

昨年2月のトランプ米政権・タリバンとの和平合意では、タリバンが合意を順守すれば、調印から14カ月以内に米軍と同盟国軍が完全撤退するとしていました。

 

【米軍撤退後を見据えた「グレート・ゲーム」】

米軍完全撤退が今後どのように進むかは不透明ですが、すでにかなり規模を縮小しており、バイデン大統領も基本的には、アフガニスタンからの米軍撤退を目指す考えです。

 

そうなると、アメリカの空白を狙って・・・という動きも出てきます。

 

****米アフガン和平 「米国後」のアフガン、中露進出で「グレート・ゲーム」再来へ****

和平が成立したアフガニスタンは米軍の存在感低下で生まれる空白を狙って、大国が勢力を争う場となりそうだ。興味を隠さないのがロシアと中国で、“米国後”を見据えた布石を打つ。

 

アジアと中東の結節点であるアフガンは地政学的に重要性が高い。19世紀、アフガンを舞台に大国が覇権を争った「グレート・ゲーム」が再来する可能性がある。

 

「パキスタン、インドネシア、ロシア、中国などの国はアフガン再建に参加することを望む」

イスラム原理主義勢力タリバンのバラダル幹部は2月29日、カタールの首都ドーハで具体的な国名を挙げて、将来的な関与に期待を寄せた。イスラム教徒が多数派でない国で、名前が挙がったのはロシアと中国だ。

 

かつてロシアはイスラム原理主義勢力タリバンをテロ組織とみなし、旧タリバン政権の対立勢力である北部同盟を支援した。

 

しかし中央アジアで伸長するイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)への牽制(けんせい)のため、2015年ごろからタリバンへの接近を強めた。複数関係企業を仲介する形で、水面下でタリバンに燃料などを提供していると報じられた。

 

01年の米中枢同時テロをきっかけに、自らの裏庭である中央アジアに駐留した米軍の存在感が低下する戦略的意味は大きい。17年からは複数回にわたり、モスクワにアフガン政府関係者やタリバン代表を招いて和平に関する会議を主催するなど、影響力拡大の布石を着実に打つ。

 

中国も中央アジアから新疆ウイグル自治区にイスラム過激派が流入することを警戒し、アフガンへの関与の度合いを深める。

 

これまでタリバン代表団を複数回北京に招待し、昨年6月にもタリバン関係者を招き、「テロ対策」と称して会合を開いた。過激派の封じ込めとともに、巨大経済圏構想「一帯一路」の重要中継地点として、アフガンで足場を作りたい考えだ。【2020年3月1日 産経】

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【アフガン政府の中国人スパイ事件摘発 中国への期待と裏腹の苛立ち?】

ここでも注目されるのは、他の地域同様に、中国の動向でしょう。

中国の思惑もさることながら、アフガニスタン政府、あるいはタリバンとしても、「米軍撤退後」の中国への期待はあります。

 

そのアフガニスタン政府と中国の関係で、昨年末にちょっとした「もめ事」が。

 

****「中国スパイ集団」異例の摘発 ウイグル独立派対策で活動か―アフガン****

アフガニスタンで先月、スパイ容疑などで中国人の集団が拘束されていたことが分かった。

 

アフガンでは中国やパキスタン、インドなど周辺各国が人道支援や復興事業などを通じ影響力拡大を狙っているが、同容疑での外国人拘束は異例。この集団はウイグル独立派対策のため、アフガン国内で活動していた可能性も指摘されている。

 

地元メディアなどによれば、首都カブールで昨年12月中旬、治安部隊が中国人10人を拘束。武器や爆発物などを押収した。報道をめぐり、アフガンの情報機関、国家保安局(NDS)のサラジュ長官は今月4日、議会で「中国人集団を拘束した。だが、機微に触れる話なので詳細は明かせない」と述べた。
 

中国のアフガン進出を警戒するインドのヒンドゥスタン・タイムズ紙によれば、拘束された集団は中国の情報機関である国家安全省と関係があり、10人のうち2人はアフガンの反政府勢力タリバン内の最強硬派「ハッカニ・ネットワーク」と接触していたとみられる。

 

アフガン治安当局が捜査を進めた結果、この中国人集団がアフガン国内で、国境を接する中国新疆ウイグル自治区の独立派、東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)の戦闘員対策を行っていた可能性も浮上した。
 

同紙によれば、摘発を受け、アフガンのサレー第一副大統領と中国の王愚・駐アフガン大使が会談。その後、拘束された中国人らは釈放された。

 

ロイター通信によると、中国外務省の華春瑩報道局長は、これらの報道について「承知していないが、中国とアフガンの関係はいつも友好的だ」と述べるにとどめた。【1月12日 時事】

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こういう外国人スパイ集団の拘束は異例のこととかで、アフガニスタン政府の中国への怒りが、その背後には、中国への期待と裏腹の、アフガニスタン政府とタリバンに二股かけたような中国の対応への苛立ちがあるようです。

 

****中国の二枚舌にアフガンが大激怒*****

資源 巨大な銅山の採掘権を中国に与えたものの開発はー向に進ます、経済危機が深まるばかり

その水面下で中国はタリバンとも交渉を進めている

 

昨年12月10日、アフガニスタンの首都カブールで中国のスパイ組織が摘発された。これをきっかけにアフガニスタンは、資源に飢えている強大な隣国・中国との関係の見直しを迫られている。

 

アフガニスタン政府当局者らによれば、同国は中国との石油・ガス契約を既に打ち切り、10年以上前に中国と契約

した銅山の採掘許可の条件も再交渉しようとしている。

 

この当局者らによれば、政府がスパイ容疑で拘束した中国人たちは、テロ組織タリバン内の強硬派ハッカニーネッ

トワークの支援を受けて、イスラム教徒のウイグル人を弾圧するため暗躍していた。

 

これまでテロ活動の疑いがあるウイグル人の拘束や強制送還について中国に協力してきたアフガニスタン当局は、中国がスパイ活動を行っていたことにショックを受けた。「これが友好国のやることか?」と、ある当局者は言った。

 

アフガニスタン政府は進行中の和平交渉の先にある不確実な未来を見据え、経済の立て直しを図ろうとしている。

今回の事件は、中国との巨額の採掘権を再交渉する上での「貸し」として利用できるだろうと、ある当局者は言う。

 

「私たちは中国に通告している。契約交渉を進めないのなら、改めて採掘権の入札を行うと。鉱業はアフガニスタン経済にとって非常に重要な分野であり、前に進めなくてはならない」と、別の当局者は語った。「中国に対しては長年、(ウイグル人の拘束・送還に)協力してきた。私たちはその見返りと、経済的な恩恵を得てしかるべきだ」

 

資源大国の切実な悩み

アフガニスタン政府の対中強硬姿勢は、銅出開発の遅れに対する不満と、アメリカや国際援助団体が支援を打ち切

った後に収入源を確保する必要性を反映したものだ。

 

世界銀行の2018年の報告によれば、アフガニスタンはGDPの40%を国際援助に頼っているが、援助額の水準は30年までに半減する見込みだ。政府は新しい資金源を早急に見つける必要がある。

 

アフガニスタンは資源に恵まれている。石炭、銅、鉄鉱石、リチウム、ウラン、金、石油、ガスと何でも豊富だ。

01年のタリバン政権崩壊以来、鉱業セクターは戦後経済の中心になるとみられてきたが、戦争で荒廃した国に進出しようという人手鉱山会社はなかなか見当たらない。

 

アフガニスタン政府は、カブールの南束約40キロにあるメス・アイナクの巨大な銅鉱床に大きな期待を寄せていた。

中国の国有資源会社、中国冶金科工集団有限公司(MCC)は07年、この鉱床の30年間の採掘権を28億3000万

ドルで獲得。しかし採掘は中止され、開発は進んでいない。

 

アフガニスタンのメディアは昨年、この鉱床が放置されていることで政府の収益20億ドル分か失われたと報じた。

 

一方、タリバンはアフガニスタンの豊かな鉱物資源を活用して、大金を得ている。情報筋によれば、鉱業だけで年

問数億ドルを稼いでいるという。

 

ハルーン・チャカンスリ鉱業・石油相は、メス・アイナクの銅の採掘事業が「双方合意の条件」で見直されない限

り、再入札にかけられる可能性があると述べた。鉱業部門を他国に開放していくと彼は語り、昨年9月に豪企業と交わした覚書を例に挙げた。

 

だが専門家らは、中国を標的にしてもアフガニスタン政府にとって得るものはほとんどないと指摘する。中国は近過ぎるし、大き過ぎる。アフガニスタンの採鉱部門に詳しいジャベド・ヌーラニは、中国と再交渉をめぐって腹の探り合いを続けてきたことで、アフガニスタンは既に高い代償を払っていると言う。

 

財政赤字に苦しむ政府にとっては、巨額の利益をもたらす可能性がある鉱業部門を開放する以外に選択肢はない。外国からの援助が先細りする一方で、アメリカや同盟諸国の圧力により、タリバンと政治権力を分け合う協議を行うことにもなりかねない。

 

さらにドナルド・トランプ前米大統領とタリバンとの和平合意の一環として、駐留米軍は今年5月までに完全撤退する。この決定によって政府は弱体化し、タリバンの攻撃が多発している。

 

米軍完全撤退を見据え

メス・アイナクは世界最大の未開発の鉱床の1つで、高純度の銅の埋蔵量は推定550万トンある。しかし採掘に向

けた汚職や、中国政府とタリバンとのひそかな結び付きをめぐる疑惑が尽きない。

 

09年には鉱業相がMCCから3000万ドルの賄賂を受け取ったとして罷免され、17年にはMCCの幹部が汚職を理由に中国共産党から除名された。 

 

メス・アイナクの当初の事業計画には、溶鉱炉や石炭火力発電所の建設、鉄道レールの敷設が含まれていた。チャ

カンスリによれば、MCCは「15年にメス・アイナク鉱山の実現可能性調査の最終草案を提出」したが進展はなかった。

 

あるアフガニスタン政府高官は、中国がタリバンとの問に「驚くほど強力な裏ルートの接触」があることを指摘したと話す。「中国側は(メス・アイナク)鉱山の開発を円滑に進めることもできたのに、そうしなかったのだ」(中略)

 

一方の中国は米軍がアフガニスタンから完全撤退する時期を見据え、タリバン指導部とインフラ契約の交渉を行っ

ていると報じられている。9.11同時多発テロ以前の関係に戻ろうとしているようだ。【2月9日号 Newsweek日本語版】

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“中国に協力してきたアフガニスタン当局は、中国がスパイ活動を行っていたことにショックを受けた。「これが友好国のやることか?」”というのは、あまりにナイーブな言い様でしょう。

 

お互いそのあたりは承知の上・・・メス・アイナク鉱山の開発を進めない中国、タリバンとも関係を持つ中国をけん制するために、敢えて表ざたにしたというところでは?

 

ただ、アフガニスタン政府としては、「米軍撤退後」を見据えれば、中国との関係を危うくするという選択はないのかも。

 

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