孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アメリカ  「好景気」の家賃上昇で増加するホームレス 脱出は困難な事情も

2019-06-06 22:41:16 | アメリカ

(ロサンゼルス中心部の路上に置かれたホームレスのテントや所有物【66日 CNN

 

【家賃高騰で増加するホームレス ワンルームアパートのためには最低賃金では週80時間労働が必要】

TouTubehttps://www.youtube.com/watch?v=rtQMzIlGiuM】に、アメリカ・ロサンゼルスのホームレスの状況を紹介した動画があります。

 

激しく車が行きかう道路の歩道に乱雑に並んだテント・・・・インドのムンバイで見たスラム街をも彷彿とさせる光景です。

 

そんなホームレスに関する動画を見たのは、以下のような記事があったからです。

 

****LA郡、ホームレスが12%増 全米最悪水準 手頃な価格の住宅不足 家賃高騰****

米カリフォルニア州ロサンゼルス郡の保護施設や車内、路上で寝起きするホームレスの数は昨年1年間で12%増加し、約59000人となった。当局が4日、明らかにした。

 

カリフォルニア州最多の人口を誇るロサンゼルス郡は昨年、路上で生活していた数万人を恒久住宅に入居させたにもかかわらず、絶えず増加するホームレスの数に対応が追いついていない。

 

ロサンゼルスのホームレス支援機関「LAHSA」のピーター・リン事務局長は同郡のホームレス危機に関する年次報告書を発表し、「わが郡の保護されていない人々の数は全米最多、ホームレスの数も全米トップクラスだ」と述べた。

 

「どの夜でも、ホームレスとして過ごす人の数が(ロサンゼルス)より多いのは、ニューヨークだけだ」(リン氏)

 

ホームレス増加の主な原因は、手頃な価格の住宅の不足と家賃の高騰だという。

 

リン氏によると、ホームレスの増加数が最も多い都市はロサンゼルス市で、その数は昨年1年間で16%増加し、36000人を突破した。

 

ロサンゼルスは手頃な価格の住宅が全米で最も不足しているため、ホームレス危機の規模と範囲の両面で特有の難題に直面しているという。

 

ロサンゼルス市民約70万人が収入の半分以上を家賃として支払っており、最低時給の13.25ドル(約1430円)で働く人々は、週に80時間働かなければ市内のベッドルームが一つあるアパートの家賃さえ支払うことができないという。 【65日 AFP】

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収入の半分以上を家賃として支払う、週に80時間働かなければワンルームの家賃が払えない・・・・そのあたりの事情は、後出の記事でも。

 

生活に困窮するホームレス生活者の増大は、薬物や犯罪といった社会問題の温床ともなりがちです。

 

****増え続けるLAのホームレス人口、立ち並ぶテントが犯罪の温床に****

 カリフォルニア州ロサンゼルスのホームレスサービス局はこのほど、ロサンゼルス市内のホームレス人口が前年より16%増えたと発表した。好景気や自治体が対策のために費やした多額の予算を考えると、考えられない数字だった。

 

ホームレスが増え続ける背景には、家賃の値上がりや手ごろな住宅の不足、施設に入ることへの抵抗感、心の健康や中毒症状に苦しむ人たちの安全対策の欠如、刑務所から出所したばかりの人たちの問題など、幾つもの複雑な要素が絡む。(中略)

 

ロサンゼルスでは今や、昔からホームレスが集中していた市中心部のスキッドロウ地区を越えて、歩道上や幹線道路沿い、公園、オフィス街、さらには高級住宅街にまでテントが立ち並ぶようになっている。

 

公衆衛生や治安上の懸念も強まる。例えば2017年12月に起きた大規模火災について消防局は、近くの路上で寝泊まりしていたホームレスが調理に使った火が出火元だったと断定した。スキッドロウ周辺では、商店主らが市に対し、テント火災の増加に対する対策を求めている。

 

CNNの取材に応じた警官やホームレスの人々によれば、テントの住人から家賃を取ろうとする犯罪集団による放火も発生しているという。

 

増え続けるテントはこうした犯罪集団による人身売買や麻薬取引の温床となり、スキッドロウの路上には使い捨ての注射針が散乱する。

 

ホームレスの住宅確保に力を入れると表明してきたロサンゼルスのエリック・ガルセッティ市長は、ホームレスの現状を「私と私の市にとって最大の心痛」と形容した。ガルセッティ市長が2020年の大統領選出馬を断念したのは、この問題が主な原因だったと見られている。【66日 CNN】

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全米では、ホームレス人口は約55万人とかで、一番多いのがニューヨーク、次が上記記事にあるロサンゼルスです。

 

****米国で最もホームレスが多い都市ランキング、NY7万人以上****

米国では50万人以上の人々が、今年のホリデーシーズンをホームレスとして過ごすことになる。米国のホームレス人口は7年にわたり低下傾向にあったが、2016年から増加に転じ2年連続で増えている。

米住宅都市開発省のデータでは米国のホームレス人口は、約553000名に達しており、そのうち65%はシェルターに居住している。2018年は全アメリカ人の1万人のうち、17名が最低1日はホームレス状態だったことになる。

ホームレス状態に陥った人々の約半数が、米国の5つの州の人々だった。カリフォルニア州が最大で129972名。次いで、ニューヨーク州(91897名)、フロリダ州(31030)、テキサス州(25310名)、ワシントン州(22304名)の順だった。

また、ホームレスが多いのは都市部であり、全体の半数以上は米国のトップ50都市の人々だ。さらに、25%近くがニューヨークとロサンゼルスに集中していることも判明している。

非シェルターのホームレスの割合が最も低いのはニューヨークで、5%だ。一方でロサンゼルスのホームレスの非シェルター率は75%に及んでいる。(中略)

米国で最もホームレスが多い10都市のランキングを記載する。
1.
ニューヨーク市(ニューヨーク州):78676
2.
ロサンゼルス市及び郡(カリフォルニア州):49995
3.
シアトル/キング郡(ワシントン州):12112名(後略)【20181223日 Forbes

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“だが、ホームレス支援のNGO団体は、「同省が把握している数値には、住宅がなくモーテルなどで共同生活を送っている数百万人規模の米国人を除外している」と指摘しており、実態はその数倍にのぼると見られている。”【2018120日 長周新聞】ということで、実態は百万人規模になるようです。

 

【日本 減少するホームレス人口】

ちなみに、日本の場合は、2017年時点で約5500人(これもネットカフェ難民などは含んでいません)と、アメリカの百分の一規模で、その数は経年的に右肩下がりに減少(2002年は約25000人)しています。

 

****全国のホームレス5534 : 厚生労働省の2017年調査****

厚生労働省の調査では、ホームレスの数は年々減少しており、2017年時点の全国のホームレスの数は5534人だった。自立支援策などが効を奏している面もあるが、ネットカフェ難民などが調査対象から漏れ、実態を正確に把握できていないとの指摘もある。

 

厚生労働省が20171月に実施した「ホームレスの実態に関する全国調査」によると、国内のホームレスの総数は5534人となり、20161月の前回調査と比べて701人(11.2%)減少した。内訳は男性5168人、女性が196人、目視調査のため性別が確認できなかった人が170人だった。

 

都道府県別では、東京が最多の1397人。前年の調査では最多だった大阪は1303人だった。(中略)

 

起居の場所別では、河川が1720人(31.1%)、公園が1273人(23.0%)、道路が996人(18.0%)、その他施設が1315人(23.8%)などとなっている。

 

ホームレスの数が年々減少している背景には、各自治体が生活支援、自立支援などの施策に力を入れていることや、人手不足で求人が増加するなど就労環境が改善していることがある。(後略)【2018619日 nippon.com

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また、よく中国メディアで「日本ではホームレスすらルールを守り、小綺麗に生活している」「生活スタイルとして、自分から進んでホームレスを選択している人も多い」などと紹介されるように、アメリカなどのホームレスはやや異なる側面も。

 

ネットカフェ難民の関連で言えば、先日東京のカプセルホテル(12000円あまりの格安ホテル)を利用したところ、向かいのカプセルの客は、カプセル内に簡単な家具や電化製品を配置して、明らかにそこで“暮らして”いるようでした。

 

安いとは言ってもひと月では相当の金額になりますので(長期利用割引とかなければ)、郊外の安いアパートを借りた方が・・・とも思いますが、アパートを利用できない事情、あるいはカプセルホテル暮らしの方が都合がいいこと(冷暖房完備で光熱費が不要、WiFiも無料、シャワーも完備、駅も近い都心に立地など)などもあるのでしょう。

 

【シェルター利用しながら職探しは困難】

アメリカのホームレスの話に戻ると、前出【Forbes】にもあるように、宿泊場所を提供してくれるシェルターもありますが、実際の利用はなかなかむつかしいことも多いようです。(子供連れのホームレス男性がシェルターを確保しながらの求職活動に苦労するという映画もあったように記憶しています)

 

****ホームレスにまつわる意外な真実6選****

世界の主要都市には必ず存在するホームレス。

彼らが直面する残酷な現実とは

 

イギリスで実施された最新の調査によれば、同国におけるホームレスの80%が何らかの迫害を受けた経験があり、35%は路上で殴る・蹴るなどの暴行を受けています。また、9%は寝ているところに放尿され、7%は性的暴行を受けているのです。

 

そういった被害に遭っても、警察に助けを求める人は全体の半分以下。その理由は、警察に相談してもまともに取り合ってくれないと考えているからです。

 

以下の記事では、先進国の中でもホームレスが特に多いアメリカで、彼らが遭遇する厳しい現実を中心に、ホームレスの意外な事実をご紹介します。

 

1 ダントツでホームレスの多い都市

ホームレスは世界中の都市で深刻な社会問題となっていますが、ダントツでその数が多いのはフィリピンのマニラです。

 

2014年の統計では、2280万人がスラム地区で生活しており、そのうち120万人は路上で物乞いをする子供たち。

他の都市と比較してケタが違います。

 

アメリカ国内においては、ニューヨークとロサンゼルスがダントツ。(中略)

また、アメリカのホームレスの4分の1近くは退役軍人なのだとか。

 

やや皮肉な現実として、アメリカではホームレスの数の5倍以上の空家があります。(中略)

 

2 ホームレス問題の解決策

ホームレス増加の問題はどの国においても簡単に答えが出せるものではないですが、かなり思い切った解決策を試みた国や都市があります。

 

例えば、ハンガリーではホームレス状態でいることに罰則を与える法案を成立させました。

また、少なくとも世界の30の都市で、ホームレスに食べ物を与えることを違法としています。

 

ハワイを含む複数の都市では、ホームレスに飛行機の「片道チケット」を提供することで問題を解決しようと試みました。正に厄介者払いという感じです。

 

3 ホームレスに対する冷ややかな目

アメリカのプリンストン大学で行われた研究によれば、我々がホームレスを見るとき、目に入った情報を脳内で処理する過程は、人間を見ているときよりも「物体」を見ているときのそれに近いのだとか。

 

つまり我々は、ホームレスを人ではなく物として見ている面が強いということになります。

 

4 ホームレスに見えないホームレス

ホームレスだからといって必ずしも見すぼらしい格好をしているとは限りません。(中略)

 

5 路上生活から抜け出せないワケ

ホームレスが寝泊まりできるシェルターや食料、衣服などを提供してくれるサービスは、彼らにとっては生死にかかわるほど重要なものと言えるでしょう。

 

アメリカやカナダではこういうサービスが充実していますが、実はホームレスにとって良いことばかりではありません。

 

場所によっては、シェルターで寝床を確保するにも食料を確保するにも、とにかく長蛇の列に並ばねばならないのです。短いときで30分、長いときだと数時間並ぶこともあります。

 

シェルターでの生活を維持しようとすれば、そのためにかなりの時間を割かねばならず、職を見つけるべく行動を開始しようとしたらもう日が落ちていた、ということも少なくありません。

 

寝る場所をあきらめて職を探すか、職をあきらめて寝る場所を確保するか、厳しい選択を迫られるのです。

 

6 女性のホームレスを待つ過酷な現実

アメリカにおいて、女性がホームレス生活を余儀なくされる原因でもっとも多いのは、恋人や夫からの暴力です。

こういったDVの悩みを警察に相談したところで根本的な解決にはならず、反って火に油を注ぐ結果を招くこともあるので、彼女たちは取りあえず暴力から逃れるために家を飛び出し、シェルターを探すのです。

 

ある統計によると、シェルターで生活する女性ホームレスの90%以上がDVの経験者だそうです。

 

そんな彼女たちを待っているさらに過酷な現実が、性的暴行。

女性のホームレス全体の約半数が、路上で何らかの性的暴行を受けた経験があると言われています。

 

また、彼女たちは職を探そうにも大きな壁があります。

例えば、建設作業員として稼ごうとしても、フルタイムで雇われるのは主に男性。女性はパートでしか働けません。

 

事務職に就こうとすれば、それなりに身なりを小綺麗に保つ必要がありますが、そのハードルが高いのです。

シェルターでは日用品が配給されていますが、それらのほとんどはヒゲ剃りなど男性用のもので、女性用のものは生理用品なども含めてごくわずか。身だしなみを整えて面接に挑めるのは事実上男性に限られます。

 

つまり、女性のホームレスは肉体労働でも頭脳労働でも職を得るのが極めて困難なのです。【20161228 Trap Radar

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【アマゾンやマイクロソフトが生み出すホームレス】

****「ホームレス大国アメリカ」の現実 世界覇権どころではない国内の疲弊****

(中略)

賃金は減り 住宅価格は暴騰

ホームレス増加の主な理由は、工業の機械化による解雇や病気による失業の増加、実質賃金は増えず家計収入は減っているのに進む物価上昇、とくにリーマン・ショック以来続く住宅価格と賃貸料の異常な高騰である。


全米のホームレスは08年のリーマン・ショック直後に爆発的に増えた。(中略)


一方、労働市場は「完全雇用に近づいた」というものの、失業状態が1年をこえると失業人口の統計から外される。それら職探しを諦めた失業者や、正社員の長期雇用を失った後、食べていくために短期アルバイトに切り替えて働いている人を加えた失業率は20%にのぼり、とくに16歳~29歳までの若者では45%といわれる。

 

賃金上昇率もリーマン・ショック前の3~4%に比べ、2・5%程度に落ち込んでおり、物価上昇に家計が追いつけない。


その矛盾が集中したのがIT産業で急成長を遂げたシリコンバレーを抱える西海岸で、全米で進む不動産市場のバブル化に、企業進出や労働人口増加による需要増大という条件が加わり、住宅価格は高いところで年平均20%も上昇。

 

高級住宅に暮らす人人がいる一方で、低価格帯でもワンルームの家賃が3000㌦(約33万円)にもはね上がったため、多くの人人が住居での生活を諦め、路上生活をしながら働いている。


「更新手続きでいきなり家賃が500㌦(5万5000円)も上がった」「年収700万円稼いでも家族を養うのが難しい」というほど異常な高騰が家計を襲い、空き地や川縁にはテント村ができ、道路に連なる宿泊用の車両が急増した。

 

時給15㌦(1650円)程度の所得ではフルタイムで働いても、とても2000~3000㌦もの家賃は支払うことはできない。

 

いまや「ホームレス=失業者」という概念は過去のものとなり、工員やショップ店員、技師、教員までが路上や車上生活をしながら職場に働きに出て、シャワーを浴びるためだけにスポーツジムの会員になっている(AP通信)。


グーグルやアップルなどハイテク企業の本社が集中し、国内でもっとも平均収入の高いシリコンバレーの大都市が、米国最大のホームレス地帯となっている。

 

アマゾンやマイクロソフトが本拠地を置くワシントン州シアトル(人口70万人)では、ホームレスが1万人をこえて過去最大を更新し、ホームレス人口が全米ワースト2位になった2015年には緊急事態宣言を発令した。

 

人口が増えた反面、住宅価格が年平均10%上昇し、賃貸価格も六年間で57%も上昇しており、多くの一般家庭が家を失った。「好景気」によって富が集まり、経済活動が盛んになったのは数%の上流層だけであり、多くの人人は低賃金労働のもとで住む家すら失って社会の枠組みからはじき出されている。


2016年の公的調査では、全米のホームレスの人種比率は、白人が26万5660人(48%)と最も多く、次いでアフリカ系の21万5177人(39%)、ヒスパニック系は12万1299人(22%)、(中略)アジア系は5603人(1%)となっている。

 

移民層よりも地位が保障されている白人層のホームレスが多く、「白人層の地位向上」を約束したトランプ政権のもとでもこの傾向に変化はない。単純に人種間の格差だけでは片付けられないほど貧困化が加速している。(後略)【2018120日 長周新聞】

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アメリカと対立する中国が喜びそうなアメリカ国内事情でもあります。

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