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孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

イギリス  5月総選挙でスコットランド独立派躍進か EU離脱を問う国民投票は?

2015-03-10 23:02:46 | 欧州情勢

(教育改革演説もあって学校(The GreenSchool)を訪問したキャメロン首相 生徒は多彩な民族構成のようです “flickr”より By Number 10 https://www.flickr.com/photos/number10gov/16578816638/in/photolist-rgRksD-rxuEUd-rg1MA7-rvithy-rxA74z-rg1LAb-regPy6-rx1kB4-qAdYZK)

英国はゲームを至近距離で見ている観客で、ボールを顔面に食らいやすい
昨日7年ぶりに来日したドイツ・メルケル首相のウクライナ東部やギリシャの問題での超人的な活動については以前ブログでも触れたことがありますが、対照的に最近非常に影が薄いのがイギリス・キャメロン首相です。

保守党のキャメロン首相は、今年5月7日の総選挙後も政権を維持することができれば、2017年末までにEU離脱の賛否を問う国民投票を実施すると約束しています。

現在もユーロ圏の外にいながらも経済的にはユーロ圏の影響を強く受けるイギリスですが、その立ち位置のため、ユーロ圏の問題、ギリシャの問題についてキャメロン首相が何を言っても冷やかな反応しかありません。

EU離脱は、今以上に“欧州に影響されるが、欧州に影響を与える力を持たない”という状況にイギリスを追い込むことにもなります。

****ギリシャ問題、誰も耳を貸さない英国の助言 これが欧州の外れで生きていく英国の未来か****
欧州連合(EU)加盟の是非を問う国民投票の恐らく2年ほど前に、英国は離脱がどんなふうに感じるかを学んでいる。

英国のデビッド・キャメロン首相は9日、ギリシャがユーロ圏から離脱する可能性に備えるために緊急会議を招集した。

会議の後、政府高官らは、ギリシャの離脱は英国経済に打撃を与えると警告した。しかし、キャメロン首相は結果を形成する力を持っていない。

EUに懐疑的で傍観者の英国が何を言っても・・・
ギリシャ新財務相のヤニス・バルファキス氏はベルリンを訪れる前にロンドンに来ることでジョージ・オズボーン財務相を喜ばせたかもしれないが、欧州大陸では誰も両者の話し合いなど全く気にかけなかった。
オズボーン財務相は「非常に悪い結末」になるリスクが高まっていると言うが、実力者は誰も聞いていない。(中略)

英国の傍観者の役割が最も馬鹿げて見えるのは、自分たちの重要性への妄想から、英国の政策立案者がユーロ圏に対し、ユーロ圏をどう運営すべきか指図する時だ。(中略)

ギリシャの問題については、英国はこれ以上ないほどゲームのプレーヤーであることから遠くかけ離れている。英国はゲームを至近距離で見ている観客で、ボールを顔面に食らいやすい。これは良い位置ではない。

だが、それは、ユーロ圏の外にいるが自国の利益がユーロ圏と密に絡み合っている国が必然的に占める位置なのだ。

EU脱退の代償
英国がEUから離脱した場合には、すべてのEU機関で同じことが起きる。
EU離脱のコストと効果に関する経済的議論は、党派色が強いが、不毛だ。EU脱退の条件が全く未知だからだ。(中略)

英国も、残るEU諸国の大半も、英国の離脱に関する交渉で明白な勝利を期待することはできない。十中八九は厄介な妥協に至るだろう。

もし英国が欧州市場に対する幅広いアクセス――例えば、ロンドンの金融セクターがEU全域で営業する権利など――を望むのであれば、その特権に対して対価を払い、その他の単一市場の規制の大半を受け入れなければならない。

英国の市民が他の欧州諸国で暮らし、働き、引退生活を送る大切な権利を維持することにも、相互関係が必要となる。英国は譲歩を勝ち取るだろうが、欧州市場に対するアクセスの縮小と、欧州市場の将来に対して全く影響力を持たないという形で代償を払わなければならない。

欧州に影響されるが、欧州に影響を与える力を持たない――。これは、欧州の偉大な国家の1つにとって、甚だしく無力な立場だ。

我々はギリシャに関するキャメロン氏やオズボーン氏(財務相)、カーニー氏(イングランド銀行総裁)の弱々しい態度を注意深く観察すべきだ。万一、英国の離脱が現実になったら、これが英国の将来なのだから。【2月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙】
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英国独立党(UKIP)は支持伸ばすも、大量議席は困難
EU離脱もかかった総選挙で、国民の反EU感情をリードして存在感を増し、保守党の票を奪うと予想されているのが英国独立党(UKIP)です。

****<英国>独立党大会開幕 総選挙で台風の目、EU不信背景に****
英国の欧州連合(EU)からの離脱と移民受け入れの凍結を主張する英国独立党(UKIP)の春季党大会が27日、マーゲイトで始まった。

5月の総選挙(下院)で同党が台風の目になるとみられる中、出席者からは、「英国の将来をブリュッセル(EU)に委ねるわけにはいかない」とEUへの不信の声が相次いだ。

UKIPの党大会は年2回開催。総選挙前の最後の党大会となった今大会のスローガンは「英国を信じよう」。自信を取り戻せとのメッセージだ。

会場に詰めかけた支持者は白人の高齢者が目立つ。(中略)

南部ハンプシャー州ベージングストークの次期総選挙候補者でもあるアレン・ストーンさん(50)は、「自分たちのことは自分で決めたいということに尽きる」と語る。

EUから離脱した場合、経済に深刻な影響を与えるとされていることについて「短期的にはそうかもしれないが、長期的にみれば、英国は、日本や中国、米国と直接、経済的なつながりを作り、経済回復できる」と主張した。

また、移民についてストーンさんは「私の妻は移民のイスラム教徒。移民自体に反対しているわけではない。EUに加盟すれば自由に移民できるという政策に反対しているのだ」と説明した。

英メディアなどによると、UKIPは総選挙で2~10議席程度(現在2議席)をとるとみられている。UKIPが多くの議席を獲得すると、同党が連立交渉の鍵をにぎり、EUからの離脱の是非が英国政治の最大のテーマになる。

政権与党である保守党、自民党、最大野党の労働党は基本的にEUに残る方針を堅持している。
しかし、英国民にはEU域内からの移民に職を奪われた低所得者層を中心に、EU離脱を求める声が強まっており、UKIPが受け皿となって支持を伸ばしている。

UKIPは、英国のEU加盟に反対して離党した保守党議員らが1993年に設立。英調査機関ユーゴブが26日に発表した世論調査によれば、英国の政党支持率は保守党と労働党が33%で並び、UKIPは15%で3位。【2月27日 毎日】
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支持率を大きく伸ばしている英国独立党(UKIP)ですが、小選挙区制のもとでは、かつての自由民主党同様に、獲得票数は議席数には直結しません。

スコットランド民族党(SNP)はスコットランドで議席総取りの勢い
議席数という現実問題で言えば、保守党・労働党の二大政党制を突き崩す可能性があるのは、イングランド独立を問う国民投票で世界の注目を集めた、あのスコットランド民族党(SNP)のようです。

****影落とすスコットランド独立派の躍進 英首相「最悪の結果も」と警戒 英総選挙まで2カ月****
英国の与党・保守党を率いるキャメロン首相は7日、2カ月後の5月7日に迫った総選挙(下院=定数650)で、スコットランド民族党(SNP)が躍進して次期政権に入る恐れが出ているとの懸念を初めて公の場で表明した。

昨年9月の住民投票で英国を揺るがせたスコットランド独立派は、英国の行方に再び大きな影を落としている。

■単独過半数困難な二大政党
各種世論調査によれば、保守党と最大野党・労働党はいずれも単独過半数の獲得は困難とされる。

英紙ガーディアンは各党の獲得議席を保守党275、労働党271、SNP52、自由民主党26、英独立党4と予測。

このため、第3党に躍進する勢いのSNPが政権交代の鍵を握る可能性が出ており、同紙は労働党とSNP、保守党と自由民主党の軸で連立工作が進む可能性があるとみる。

しかし、キャメロン氏は7日の集会で、労働党とSNPの連立について「英国を倒産させようという人たちと、英国を崩壊させようという人たちの同盟だ」と述べ、警鐘を鳴らした。その上で労働党のミリバンド党首に対し、SNPとの連立は組まないと明確に表明するよう求めた。

■保守・労働党が大連立?
昨年9月の住民投票を機に躍進が目立つSNPは、スコットランドでは労働党の議席をすべて奪う勢いだ。

こうした「最悪の結果」を回避するため、保守党と労働党が大連立を組むという案が元保守党の重鎮たちから早くも出されるほど、SNPの「脅威」は現実的なものとなっている。

一方のミリバンド氏は7日、スコットランドのエディンバラで労働党の巻き返しを呼びかけた。SNPとの連立や与野党大連立についての言及はなかった。

総選挙では、キャメロン氏が財政赤字の改善など経済政策の成果を強調する一方、ミリバンド氏は貧富の格差を問題視し、富裕層への課税強化や大学の授業料の抑制を訴えている。

反欧州連合(EU)や移民規制強化を唱える英独立党は、二大政党の支持層を切り崩すには至っておらず、議席の大幅増は見込めないとみられている。【3月8日 産経】
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スコットランド独立問題ではかろうじてSNPの攻勢をかわしたキャメロン首相ですが、政権自体の首根っこをSNPにおさえられる「最悪の結果」もありうる・・・という話です。

SNPは完全な地域政党ですから、全国ベースの支持率では4%程度にすぎません。しかし、その支持はスコットランドに集中しているので“スコットランドでは労働党の議席をすべて奪う勢い”というのが、小選挙区制のもたらすものです。

【「ハング・パーラメント」どころか、3党が連立を組まないと政権が樹立できない混迷の時代に
大手世論調査会社YouGovは、保守党293、労働党270、SNP30、自由民主党30、英独立党5と予測しています。
前回選挙で2大政党と互角の戦いを繰り広げ、得票率23.0%を獲得した自由民主党は、連立与党に入った結果、独自色を出せず、見る影もない衰退ぶりです。

いずれにしても、“どの政党も単独過半数を獲得できない「ハング・パーラメント(宙ぶらりんの議会)」どころか、3党が連立を組まないと政権が樹立できない混迷の時代に英国政治は入りつつある”【3月7日 「木村正人のロンドンでつぶやいたろう」】という情勢です。

小選挙区制にしたからといって、二大政党制で政治が安定する・・・というものでは必ずしもないようです。
日本のように「1強多弱」という場合もあります。

キャメロン首相は選挙戦でも精彩を欠いているようです。

****キャメロン首相は臆病者」=TV討論拒否で批判―英総選挙****
5月の英総選挙に向けた政党党首によるテレビ討論会で、キャメロン首相(与党・保守党)が最大野党・労働党のミリバンド党首との直接対決を拒否し、物議を醸している。

逃げ腰とも受け取れる対応に「臆病者」との批判も出ており、再選を狙う首相に痛手となる可能性もある。(中略)

ミリバンド氏は「首相はおじけづいている。私はいつでも、どこでも討論に臨む用意がある」と表明。
保守党と連立を組む自由民主党幹部も「怖がって逃げている」と述べたほか、ツイッターでも「首相はチキン(臆病者の意)」「自分が首相にふさわしくないことが判明するのを恐れた」と批判的なコメントが相次いだ。【3月8日 時事】
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最初のEU離脱の話に戻れば、イギリスにとっては保守党・キャメロン首相が勝つと国民投票という厄介な事態になります。

その意味では、労働党を軸にした連立政権というのは現実的選択かも。
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