世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(35)

2023-04-14 00:00:00 | Weblog


メルセデス・ベンツの最新EV「EQS 450+」(筆者撮影)ギャラリーページへ

大気中のCO2量を「増やさない」燃料

 では、カーボンニュートラル燃料、e-fuelとはどのような燃料なのか

 ネット上でカーボンニュートラル燃料やe-fuelについて検索すると様々な説明が出てくるが、本稿では、富士スピードウェイで2022年6月4日に行われた「ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook・スーパー耐久富士24時間レース」における、トヨタ、スバル、マツダのエンジニアが参加した報道陣向けラウンドテーブルの発表内容を基に説明する。

 配布された資料では、カーボンニュートラル燃料を「光合成や工業合成でCO2を回収することで、大気中のCO2量を増やさないような燃料の総称」と定義している。

 内燃機関でカーボンニュートラル燃料が燃料(燃焼)するとCO2が発生するが、カーボンニュートラル燃料の製造工程でCO2を回収しているため、CO2排出量が相殺(カーボンニュートラル)されているとの解釈だ。

 そのうち、光合成による方法では「バイオ燃料」となる。第1世代または第2世代のバイオ燃料では、エタノール、ETBC(エチルターシャリーブチルエーテル)、そしてバイオディーゼルなどがある。さらに、近年開発が進む次世代バイオ燃料では、既存のガソリンやディーゼル燃料と同じ炭化水素系の燃料となる。一方、工業合成による方法では、その製造工程においてCO2を回収する。

 その上で、e-fuelについては、「eはElectro、再生可能資源からの電気エネルギーを化学的に蓄える、という用語。水素の由来が再生エネルギーでない場合、厳密にはe-fuelとは呼べない」と説明している。また、「現在は用語に混乱が見られ、定義を外れてe-fuelと呼んでいるケースがままあるため注意」との但し書きを添えている。

Fit for 55で目指す産業競争力の強化

 EUでは2月14日に、Fit for 55の自動車分野の扱いについて賛否を問う採決が行われた。その結果は賛成が340票、反対が279票、そして棄権が21票だった。ドイツ関係者の投票の詳細は非公開だが、投票結果を見る限り、EU内でFit for 55については賛否両論あることが分かる

 その原因として考えられるのが、国や地域ごとに社会インフラに対する取り組みに違いがあることだ。

 EV社会を実現するには、ガソリンスタンドの業態を大きく変化させる必要があるほか、公共の場所で充電設備も増やさなければならない。また、欧州の都市部には駐車場のない共同住宅が多いため、住民用の充電インフラを備えるには自治体と事業者が連携した大がかりな街の構造の再編が不可欠となる。

 欧州内の国や地域は財政状況にも差があり、Fit for 55の実現に向けて足並みを揃えるのは難しい状況だ。

 それでもEUがFit for 55実現を目指すのは、地球温暖化への対応を踏まえた欧州の産業競争力の強化がある。つまり、アメリカ、中国、そして日本なども巻き込んで、この分野でのイニシアティブを取ろうとしているものと考えられる。

 実際、欧州グリーンディール政策は、ESG投資(環境、社会性、ガバナンスを重視した投資)に対して大きな影響力を持つようになっている。

 そのほかEUは、欧州グリーンディール政策という大きな枠組みの中で、蓄電池の材料の採掘から生産、再利用、廃棄までのプロセスをデジタルデータ化する「バッテリーパスポート」の義務化を進めるなど、新たな経済システム体系を構築しようという動きも目立つ。

欧州と日本の自動車産業界の温度差

 欧州の自動車産業は政治主導による産業構造の変化に対応しようとしているが、日本の自動車産業は温度差があると言わざるを得ない。

 世界の自動車産業は、いわゆる「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリングなどの新サービス、電動化)の進展により「100年に一度の大変革」を迎えている。CASEの様々な技術開発を牽引しているのは主にIT産業であり、「うかうかしていられない」と考える自動車業界の関係者は多い。

 しかし、自動車メーカーの経営陣が強く感じている「100年に一度の自動車産業大変革」に対する危機感は、技術よりも、むしろ欧州に見られるような政治主導による規制強化や新たな標準化に対する懸念からくるものだろう。そうした経営陣の心配が、社員やサプライヤー、販売店などの関係者にまだうまく伝わっていないようだ。

 自動車産業の歴史を振り返れば、1970年代のアメリカの排気ガス規制や、カリフォルニア州での環境車対応法案のZEV(ゼロエミッションヴィークル規制)法、さらに中国でのNEV(新エネルギー車)政策、欧州での衝突安全や予防安全のアセスメントなど、政治と関わりが深い様々なルール、規制が施行されてきた。だが、欧州グリーンディール政策は、こうした過去の事例とは一線を画すような、政治主導による大きな動きだと言える。

 日本の自動車産業界としては、まずは欧州グリーンディール政策に代表される世界での政治主導の自動車関連の動きを十分にキャッチアップし、日本国内向けの対応、そして海外での事業展開についての議論を深める必要があるだろう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/74197?page=5



だが、欧州グリーンディール政策は、こうした過去の事例とは一線を画すような、政治主導による大きな動きだと言える。」とは一帯どんなことを言おうとしているのか。
(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(34)

2023-04-13 00:00:00 | Weblog

ICEは合成燃料と言うCO2フリーの燃料が存在するのであるから、一切の例外は設けるべきではない、と小生は考えるのである。必要であれば、真剣に合成燃料の革新を進めるべきであろう。こうすれば早めに、合成燃料のコストダウンなどの研究開発が進むのではないのかな。

そしてEUのEVシフトには、2つの理由がある、と述べているが、その理由がよく読んでも、小生にはうまく理解できないのだ、出来ればご教授乞う。

ESG投資が重視され、エネルギー安全保障の必要性から、EVシフトが急激に進んだ、と言う理論には納得しかねるものである。単純に環境問題からCO2を排出しない車として、バッテリーの電気自動車が推奨されてきた訳であり、そのため発電のためには化石燃料を燃やす火力発電ではなくて、原子力発電や太陽光や風力・水力発電が推奨されるようになったものであり、BEVが増えるから原子力発電や再生可能エネルギー問題が注目を浴びるようになったのであり、それらがBEVを増加させたものではないのである。まあ環境問題にかこつけた、一種の話題ではないのかな。

さらに言えば、日本(トヨタ)のHEVに勝つために、ディーゼルエンジンで対抗しようとして技術開発に取り組んだものの、窒素酸化物の処理に失敗して(あのVWが)ディーゼルゲイト事件を起こしてしまい、慌ててディーゼルからBEVに鞍替えしてトヨタのHEVの排除を進めようとしたものであり、更にはICEを使うHEVを排除するためにも、2035年からはICEの新車販売を禁止すると、欧州委員会・ECが決めたものである。

しかし完全に内燃機関・ICEを排除して2035年からはBEVだけにすると言うことは、EUの車メーカー(例えばVWでも)にとってもかなりの重荷だったのである、真っ先に根を上げたのはルノーであったのであるが。

合成燃料(e-fuelなど)の使用許可は、当然の帰結だったのではないのかな。
当然と言えば当然なのであるが、EUとしては、環境対策を口実として(HEVの排除のために)欧州グリーンディール政策を打ち出したものの、域内の自動車産業にもそれ相応の影響があるものであり、合成燃料(e-fuelなど)の使用可は必然のものであったと、小生には思えるのである。当然HEVと合成燃料とは、相性が良いのである。


欧州の全面EVシフトに「待った」、EUの政策に注文つけるドイツメーカーの本音
エンジン車存続のための妥協案「e-fuelの導入を」

2023.3.8(水)桃田 健史

EU(欧州連合)の関連施設(出所:EU)ギャラリーページへ

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 CO2排出量を相殺するとされている燃料「カーボンニュートラル燃料」の使用に関して欧州で大きな動きがあった。

 ドイツ政府は2023年2月27日、欧州連合(EU)に対して、2035年以降にカーボンニュートラル燃料の一種である「e-fuel」を使う内燃機関を搭載する新車販売を認めるよう要請した。

 この要請は、EUの政策パッケージ「FIT for 55」の修正を求めたものと言うことができる。

 EUは2021年7月に、気候変動対策「欧州グリーンディール」政策を包括的に推進する政策パッケージ「FIT for 55」を発表した。2030年の欧州の全産業での温室効果ガス削減目標(1990年比で少なくとも55%削減を達成する目標)を達成するための政策パッケージである。

 自動車業界においても、欧州域内で新車販売される乗用車と小型商用車について、温室効果ガスの排出量を2030年に1990年比で乗用車で55%削減、また2035年には100%削減を目指すとしている。

 この“100%削減”は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関を利用する新車販売を事実上禁止することを意味する。内燃機関とモーターなどの電動機を複合的に使う、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の販売もできなくなる。

 これに対して、自動車産業が主要産業であるドイツが、内燃機関自動車(エンジン車)を延命させるべく、妥協案としてe-fuelの導入を働きかけたというわけだ。

 ドイツメーカー(およびその傘下メーカー)がつくる車は、メルセデス・ベンツやBMWといった高級車から、フォルクスワーゲン(VW)、VW傘下のセアト(スペイン)とシュコダ(チェコ)、オペルなどの大衆車まで、欧州全土で普及している。そのためドイツとして、EVとエンジン車の並存の必要性を、改めて欧州連合に訴えた、ということだろう。
(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(33)

2023-04-12 00:00:00 | Weblog

 それにしても欧州ではなぜ、FIT for 55による事実上のEVシフトが一気に加速しているのでしょうか。
 背景には、大きく2つの理由が考えられます。



トヨタは2021年12月に実施した「バッテリーEV戦略に関する説明会」において、トヨタ及びレクサスブランドで今後販売を予定する新型BEV(電気自動車)を一気に公開しました

トヨタは2021年12月に実施した「バッテリーEV戦略に関する説明会」において、トヨタ及びレクサスブランドで今後販売を予定する新型BEV(電気自動車)を一気に公開しました

ひとつは、ESG投資です。

 従来の財務情報だけではなく、E(エンバイロンメント:環境)、S(ソーシャル:社会性)、そしてG(ガバナンス:企業統治)を重要視した投資のことを指します。 

 2010年代後半からESG投資に対する考え方がグローバルで一気に広がる中、欧州連合が掲げていた欧州グリーンディール政策がより強固な形に変化していったように感じます。

 それまでも、地球温暖化について協議するCOPを筆頭に、SDGs(持続可能な達成目標)という考え方が欧州内でも徐々に広まっていきました。

 それがESG投資の躍進によって、自動車産業に対する経済対策と金融対策が融合するようになり、これが欧州にとっての強みになるという考え方が広まり、欧州の一部の国や地域でのEVシフトに向けた政治的な判断が強まった印象です。

 もうひとつは、エネルギー安全保障(エネルギーセキュリティ)です。

 言うまでもなく、ロシアのウクライナ侵攻が大きなきっかけとして挙げられます。ロシアからの天然ガス供給を受けていた欧州では、電力を含めたエネルギー価格の高騰が庶民を直撃している状況です。

 こうした「万が一」の状況に備えて、エネルギー全体のあり方についても欧州の国や地域で様々な動きが生まれています。

 その中で、社会全体における、バッテリーや燃料電池を使う移動体の役割についても、抜本的な政策転換の議論が高まってきたと言えるでしょう。

 元来、世界的に見てEVシフトと言えば、1990年に施行された米カリフォルニア州のZEV法(ゼロエミッションヴィークル規制法)を筆頭に、同州との技術的な連携を基盤として考案された中国のNEV(新エネルギー車)政策が目立つ存在でした。

 日本の自動車メーカーも、こうしたアメリカと中国の動きの両方を睨みながら、EVやFCVを含めた将来の電動化戦略を練ってきたという経緯があります。

 もちろん、欧州でのCO2規制は世界で最も厳しいということは、日本の自動車メーカーも十分に理解していました。

 とはいえ日本の自動車産業界では今でも「まさか、欧州でここまで急に話が進むとは想定外だ」という人が少なくないでしょう。

 欧州ではバッテリーの資源採掘や製造工程における人権問題も含めたバッテリー規制が、アメリカでは対中政策も含めたインフレ抑制法がそれぞれ強化されるなど、欧州でのEVシフトは多方面に飛び火しており、日本メーカー各社は対応に追われている状況です。

 こうした中、日本は2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」や「GX実現に向けた基本計画」を明らかにしています。

 その上で、自動車メーカーや二輪車メーカーによる業界団体である日本自動車工業会は「日本市場はもとより、国や地域の規制や社会情勢によって、電動化や環境対応は適材適所で行うべき」という姿勢を貫いているところです。

 そのため日本市場では、モデルラインアップの今後の変化を含めて、欧州メーカーと日本メーカーの間でもEVシフトに対する温度差があるのが実状です。

 欧州でのEVシフトは今後、日本市場に対しどのような影響を与えるのか、これからの市場動向を注視していきたいと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

https://kuruma-news.jp/post/615184/2


この論考によれば、EUのCO2の排出規制は次の通りである(FIT for 55)。

1990年比
(CO2排出) 2030年    2035年
乗用車    55%削減   100%削減
小型商用車  50%削減   100%削減

(注)
・小規模メーカー(販売、乗・千~1万台/年、商・千台~2.2万台/年)
→2035年末まで規制適用を考慮すること有。
・極小規模メーカー(販売、千台以下/年)
 →適用対象外とする。

と言った内容の様だが、こと環境対策である以上このような適用除外は設けるべきではないのではないのか、と思うのである。

やるとなれば、一律に例外規定なしで、CO2の削減に向かわなければならないのではなかろうか。今となれば、極小メーカーであろうがなかろうが、ロータリーエンジンであろうがなかろうが、ICEはすべてCO2の排出は出来ないと規制しなければいけないのではないのかな。

(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(32)

2023-04-11 00:00:00 | Weblog

そのためEUは、2035年以降ICEの新車販売を禁止しているのだ。しかも途中の2030年には、CO2を1990年比で55%も削減する必要があると言うことだ。


乗用車の新車は、CO2を1990年比2030年55%削減、2035年100%削減
なぜ!? EU連合が2035年「EV以外売らない」宣言! 欧州が電動車シフトに急ぎ出した「理由」とは

2023.02.19 桃田健史

欧州連合(EU)は2023年2月14日、現地で販売される全ての新車乗用車及び小型商用車が、2035年までに全てゼロエミッションEVもしくはFCVになると宣言し、話題を呼びました。欧州でいま起きている事について解説します。

HEVやPHEVもNG!? 厳しすぎるEUの「ゼロエミッション」宣言

 2月中旬、「欧州では2035年、事実上ガソリン車だけではなくハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)も新車販売できなくなる!」とのニュースが日本で一気に増えました。
 
 欧州では一体何が起こっているのでしょうか。


欧州では「脱ガソリン車」宣言!? 2035年の完全EV化を推進する法案が可決されました

 これらのニュースは、欧州連合(EU)が2023年2月14日に報道発表したものを受けて、各種報道やSNSでの個人の意見などが広まったからです。

【画像】「トヨタが今後市販予定のEV」の画像を見る(21枚)
https://kuruma-news.jp/photo/615184#photo8

 こうした報道やSNSでの情報では、「事実上」という表現が使われる場合が多い印象があります。

 ここで注目したいのが、今回の報道の根拠である、欧州連合が公開した新しい法案「FIT for 55: zero CO2 emission for new cars and vans in 2035(以下FIT for 55)」です。

 EU議会ではこの法案について投票が行われ、賛成340、反対279、棄権21によって法案は可決されました。

 FIT for 55の詳細を知ると「事実上」という一連の報道での書き方の意味が分かります。

FIT for 55の「55」とはCO2排出量の削減率を指す数字です。欧州域内で2030年時点に販売する乗用車について、1990年比でCO2排出量を55%削減することを目指します。

 また、VAN(小型商用車)は、2030年に50%削減と定めました。

 さらに、2035年には乗用車と小型商用車のそれぞれで1990年比100%削減となります。

 この100%削減とは、いわゆるZEV(ゼロエミッションヴィークル)と「事実上、同じ」だと考えられるため、現時点での自動車技術の中では、EV(電気自動車〉またはFCV(燃料電池車〉のいずれかに該当します。

 そのため、ガソリン車のみならず、ガソリンエンジンとモーターを融合して使うハイブリッド車やプラグインハイブリッド車も販売できなくなる、という解釈です。

 エンジンを発電機として使う、シリーズハイブリッド車の日産「e-POWER」や、これから市場導入されるロータリーエンジンを発電機として使うマツダのプラグインハイブリッド型シリーズハイブリッド「e-SKYACTIV R-EV」も2035年以降は欧州で新車販売できないことになります。

 なお、FIT for 55では、販売台数が乗用車では年間1000台から1万台、また小型商用車で年間1000台から2万2000台と比較的小規模なメーカーについては、2035年末まで規制の適用を考慮する可能性があります。

 例えば、スーパーカーブランド「ランボルギーニ」の2022年販売総数は9233台であり、この対象になります。

 同社のステファン・ヴィンケルマン社長は2022年11月、筆者の質問に対して「2028年にEVを量産するが、プラグインハイブリッド車を含めて(内燃機関も継続するため)カーボンニュートラル燃料の活用を考えていきたい」と欧州規制を踏まえた発言をしています。

 そのほかEUは、年間1000台以下の小規模メーカーについては、2035年以降も対象外になる可能性があるとしているため、富裕層向けの超高級ブランドやスーパーカー/ハイパーカーでは当面の間、内燃機関が存続するでしょう。

 あくまでも筆者の私見による発想ですが、例えばマツダの2シータースポーツカー「ロードスター」の開発や製造について、FIT for 55や他の国や地域への電動化規制への法的な対応をしっかりクリアすることを前提に、「ロードスター」事業をマツダ本体から完全に分離させ、台数限定で次世代化していくという道筋も考えられるかもしれません。

 マツダは現時点で、今後の新車ロードマップにロードスターが組み込まれていることを対外的に認めています。

 しかしマイルドハイブリッド車などで法規制をクリアするという発想ではなく、内燃機関の継続という観点でロードスター事業を見直すことも一考の余地があるように筆者には思えます。

欧州でEVシフトがここまで一気に加速し続ける2つの理由とは
(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(31)

2023-04-10 00:00:00 | Weblog

【どうするEU?】2035年以降もe-フューエル限定で内燃機関車を容認へ
2023年3月27日(月)10時50分



EV普及が進む欧州で、内燃機関車が絶滅の危機から脱出できそうだ。となれば欧州以外でも、内燃機関車が生き延びる道が開けるかもしれない。    


◆ドイツから「待った」

事態が急展開し始めたのは3月初旬ドイツのヴィッシング交通大臣が、「CO2を排出するクルマの販売は2035年までとする」という、すでにEU各国が合意していた法案の決議に「待った」をかけたから。ヴィッシング交通大臣はCO2を排出しないe-フューエルの使用を認めるよう求めた。

もともと決議は形式的なセレモニーと思われていたが、ドイツの反対で法案が否決されるのを避けるためEUは決議を延期。イタリアなど数カ国がドイツに同調する姿勢を示し、行方が注目されていた。

EUの政策執行機関である欧州委員会気候変動政策を指揮するティマーマンス副委員長が24日、Twitterに「将来のe-フューエルの使用についてドイツと合意を見出した」と投稿。それにヴィッシング交通大臣が「方法は明らかだ。ヨーロッパは技術的な中立を守る。CO2ニュートラルな燃料だけを使う内燃機関車は2035年以降も新車登録できるということだ」とリツイートした。

とはいえ、法案が撤回されるわけではない。ゼロエミッションはキープしながら、それを実現する技術を電気自動車に限定せず。e-フューエルで走る内燃機関車も販売できるようにするという話だ。

◆背景にポルシェ?

ここで言うe-フューエルは、大気から回収したCO2と再生可能エネルギーで生産された水素を合成して作る燃料のこと。e-フューエルを燃やせばCO2が発生するが、もともと大気中にあったCO2を大気に戻すだけだからCO2ニュートラルというわけだ。

ポルシェはシーメンス・エナジーなどと共にe-フューエル企業のHIFグローバルに出資し、チリ南端のプンタアレナスにe-フューエルを生産するパイロット工場をすでに稼働させている。1年を通して風が強いチリ南端は、CO2回収や水素製造(水の電気分解)に必要な電力を風力発電でまかなえるのがメリットだ。

ここで生産したe-フューエルは、まずはポルシェ・カップのレースカーに使用するが、2026年までに生産量を年間5億5000万リットルまで拡大。内燃機関を積むポルシェのオーナーがそれを使えば、CO2ニュートラルなポルシェ・ライフを継続できると見込む。

これがヴィッシング交通大臣の「待った」の背景にあったことは想像に難くない。連立のショルツ政権のなかで、ヴィッシング大臣は経済界寄りとされる少数派の自由民主党の所属だ。

◆バイオフューエルはどうする?

CO2ニュートラルな燃料にはバイオマス(生物資源)を原料とするバイオフューエルもある。日本で研究が盛んなミドリムシ(別名ユーグレナ)もそのひとつだが、ティマーマンス副委員長がツイートで言及したのはe-フューエルだけで、EUが今後バイオフューエルをどう扱うかはまだ不透明だ

ティマーマンス副委員長の24日のツイートは、「我々は自動車規制のCO2基準ができるだけ早く採択されるように働く。欧州委員会はリサイタル11を履行するために必要な法的段階を迅速に進めるだろう」と続く。リサイタル11はEUが法案の文言を最終調整するプロセス。そこにバイオフューエルが含まれるかどうかが、次の焦点になりそうだ。
https:///response.jp/article/2023/03/27/369131.html


今は2023年の4月始めであるから、2035年と言えばあと12年と一寸しかないのだが、この12年のうちに、合成燃料の製造に関して技術革新が進んで、ガソリン並みの使用されるような状態になる可能性はどれほどあるのだろうか。そんな状態になるとは、小生は到底思えないのだ、具体的な理由はないのだが。

大雑把な感ではあるが、少なくともあと10年以上は必要なのではないのか、と思っている。2035年~2040年にならないと、合成燃料はガソリン並みの価格にはならないであろう、と小生は思っている。後10年で、合成燃料がものになれば、もちろんそれに越したことはないのであるが、20年近く掛かるかも知れない。

それまでは少量の合成燃料が出回ればよい方で、その場合には、法規制などで軽自動車に限定して供給される、なんてこともありうるかもしれない、と思っている。それほど地球温暖化は喫緊の課題だと思っての対処が必要なのであると感じている。

(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(30)

2023-04-07 00:00:00 | Weblog

しかし「水素」であれば、それを燃焼させてもCO2の排出はないので、トヨタなどはこちらに注目しているようだが、EUでは、BEV一辺倒から(ドイツの提案で)「合成燃料」の使用も許可されることになったようだ。


EUがエンジン車容認 高価格の合成燃料、利用は限定的か
ヨーロッパ2023年3月26日 17:27

欧州委員会と独政府は2035年に内燃機関車の新車販売を禁止する方針を撤回し、合成燃料の利用を認めることで合意した=ロイター    独政府合成燃料

【フランクフルト=林英樹】欧州連合(EU)が2035年にガソリン車など内燃機関車の新車販売を禁止する方針を事実上撤回した。温暖化ガス排出をゼロとみなす合成燃料の利用に限り販売を認める。ドイツの反発を受け入れた格好だが、合成燃料はガソリンの2〜5倍と高額で、船舶・航空など限定的な利用にとどまる公算が大きい。

「欧州は技術的な中立を保ち(35年以降も)手ごろな価格の車を選択肢として持ち続ける」。ウィッシング独運輸・デジタル相は25日、ツイッターでこう発信し、合成燃料の利用継続でEUの欧州委員会と合意したと明らかにした



電気自動車(EV)と燃料電池車への完全移行を進めていたEUに対し、ウィッシング氏が所属する独政権与党の自由民主党(FDPが「選択肢を狭める」と反発。欧州議会が2月、内燃機関車の禁止を承認したものの、EUのエネルギー担当相理事会が最終決定を先延ばししていた。

同理事会は28日にも修正した法案で合意する見通し。正式決定には加盟27カ国のうち15カ国以上の賛成などが必要になる。イタリアやポーランドも修正案を支持する一方「欧州議会の合意を覆すのは意思決定プロセスの崩壊を招く」(ラトビアのカリンシュ首相)との批判もあり決定に時間がかかる可能性がある。

FDPが土壇場で反対に転じた背景には、関係が深い独自動車業界の抵抗があった。フォルクスワーゲン(VW)のオリバー・ブルーメ社長はEVシフトと合わせて「既存車両の脱炭素化では合成燃料が有効だ」と強調する。独自動車工業会(VDAのヒルデガルト・ミュラー会長も「解決法をオープンに模索する必要がある」と合成燃料の利用を訴えていた。

急激なEV化に伴う失業懸念も後押しとなった。独公共放送ARDが3月に行った調査では、67%が内燃機関車の禁止に反対し、賛成の25%を大きく上回った。FDPは22年10月の独北西部ニーダーザクセン州議会選挙で議席を失っており、支持率回復のために動いた面も大きい。

自動車での合成燃料の利用は限定的にとどまりそうだ。工場や発電所から回収・貯蔵した二酸化炭素(CO2)と再生可能エネルギーによる電気分解で得た水素でつくる合成燃料の価格は高い。日本の経済産業省の試算では、再生エネが安い海外で製造すると1リットルあたり約300円、国内だと約700円で、ガソリン価格の2〜5倍に相当する。

ポルシェとシーメンス・エナジーが立ち上げた合成燃料の製造工場。陸上風力発電でつくる電気で水素を生成する(22年12月、チリ南部プンタアレナス) チリブンタアレナス

大量生産による将来のコストダウン効果も見込みにくい。VWグループ傘下のポルシェと独シーメンス・エナジーが22年にチリで合成燃料の工場を立ち上げたが、独ポツダム気候影響研究所の調査によると、35年までに世界で計画されている工場は60カ所にすぎない。

独自動車エコノミストのマティアス・シュミット氏は「合成燃料は航空船舶など電動化が難しい移動手段で優先的に使われ、乗用車向けにはほとんど回ってこないのではないか」と指摘。35年時点ではEVの価格が大きく下がり、車向け合成燃料はスポーツカーなど限定的な用途でしか使われないとの見方を示す。

制度の整備も課題だ。合成燃料は燃焼時にCO2を排出する。既存のガソリンとどの程度混合すれば実質的に排出ゼロとみなせるか、削減効果を企業間でどう分配するかといった具体的な指針も新たに必要になる。

日本勢が強いハイブリッド車(HV)を排除するなどEV一辺倒だったEU。課題は多いものの現実的な修正に動き出した意義は小さくない

【関連記事】
・EU、35年以降もエンジン車販売容認 合成燃料利用で
・欧州の商用車CO2規制、40年に90%減 インフラ整備が壁

深尾三四郎 伊藤忠総研 上席主任研究員   

分析・考察
高級車ブランドにとって都合の良いルール変更をしたに過ぎない。合成燃料の高コストを許容できるのは高級車を買う富裕者。VWは大衆車ブランドにおいては低価格EVのラインナップを拡充し、高級車のポルシェではe-fuelの有効性を訴求する。低コストのリン酸鉄リチウムイオン電池を積極採用するメーカーが増えたことでEVシフトの加速がより明確になった。この状況で合成燃料を容認したとしても脱エンジンの潮流を後退させるものにはならないとEUは判断したのだろう。グリーン水素を製造するためには依然として再エネが必要。脱エンジンで若干のブレーキをかけるだけであり、脱炭素に向けたポリシーメイキングを弱めるわけではない。
2023年3月26日 21:15
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR254FK0V20C23A3000000/?n_cid=NMAIL006_20230327_A
(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(29)

2023-04-06 00:00:00 | Weblog

と言うことは、発電エネルギーは「原子力」か「再生可能エネルギー」か「水素(含む合成燃料)」でなければ、EV・電気自動車でもCO2の削減はそれほど望めない、と言うことです。従って中国では、原子力発電を進めていますが、もっぱら石炭火力で発電していますので、BEVになってもCO2はそれほど減りません。

がBEVをやみくもに進めていけば、資源や環境問題に突き当たるものと思います。日本の火力発電では、輸入中国製BEVの増加は(充電環境も弱いので)百害あって一利なし、と思います(とは少し言い過ぎか)。


まあ言い過ぎとも思えませんが次に、既販車のCO2ゼロ対策に寄与すると思われる「合成燃料」について少し述べてみたいと思います。

これについては、
小生のブログ「世界の流れは、EV化(80~)」(2022.03.09~)で少し述べているので、そこから(NO.81,82)少し引用して述べて見たい。

・・・・・
合成燃料CnH2n という化学記号(https://bizchem.net/what-is-ft/)になっているので、二酸化炭素・CO2と水素・H2から作られるのであるが、一般的に工場から排出されるCO2やDAC(Direct Air Capture)による空気中からのCO2と水・H2Oの電気分解による水素・H2を高熱で分解して合成ガス・CO+2H2を作り、それをFT合成という方法で液体の合成燃料CnH2nとするものである、とものの本には書かれている。

FT合成とは、CO2を高温の水蒸気・H2Oで分解してCOとH2の合成ガスを作り、その合成ガスをコバルトや鉄の触媒で再度つなぎ合わせることによって、液体の合成燃料・C2H2nを作る方法である。

FTとは、第二次世界大戦中に石油に事欠いたドイツのフランツ・フィッシャーとハンス・トロプシュが発明した燃料で、その頭文字をとってFT(Ficsher-Tropsch)合成と呼ばれているものである。(https://bizchem.net/what-is-ft/)

先の論考にもあるように、次のような過程で合成燃料は作られるものである。

工場・DACよりCO2→
           →CO+H2(合成ガス)→FT合成→合成燃料・CnH2n 
高温の水蒸気・H2O →

小生はここら辺の技術的なことには詳しくはないので、間違いがあればどんどんご指摘を願うが、このような合成燃料が一般的となれば、ICE(Internal Combustion Engine)・内燃機関でもCO2フリーの燃料として重宝されることには間違いなかろう。

なんといっても、クルマで言えば現在使用されている(いわゆる中古)車にも使える燃料であることが、最もメリットがあることであろう。

2020年時点における日本の自動車保有台数は約8,185万台だと書かれていたが、このうちCO2の排出の少ない電動車(HEV,PHEV,EV,FCV)は、11%ほどだという。残りの89%はガソリンエンジン車で、CO2の排出がある意味野放し状態となっている。もしリーズナブルな価格で合成燃料が提供されれば、これらの89%のガソリンエンジン車にも合成燃料が行き渡り、CO2フリーとなりうるのである。だから(小生は)合成燃料の時代が早く来ることを、心から願っているものである。

クルマに限らず、石油燃料を使うモビリティも、この合成燃料を使えばCO2フリーとなり得るものである。

電動航空機なんぞと言う代物は、重たいバッテリーをたくさん積まなければならないので、全くものになる乗り物とはならない代物である。だから、航空機などには、この合成燃料は最もふさわしい燃料となりうるものである。船舶も同様に、合成燃料であればCO2フリーの燃料として大いに重宝されるものである。いわんや、自動車においておや、である。

もちろん自動車においても同様に重宝される燃料であることは、言わずもがなである。

このように既存のインフラが使えて、且つ、内燃機関・ICEで使える燃料であるこの「合成燃料」は、まことに重宝するものである。何とか技術開発が進み、コストも競争力のあるものとなれば、あらゆるモビリティで使われることになろう。2030年、2040年と言わずに、早く一般的に流通する代替燃料となればよいと願っている次第である。

そんなこんなで、トヨタもカーレースでこの「合成燃料」を使って、その実用性を確かめてゆくことでしょう。合成燃料が流通しだせば、水素・H2も大量に市場に投入されることになり、いわゆる水素社会の実現が現実のもの(に近づくこと)となろう。

そうすれば、水素を燃やす「水素エンジン」も陽の目を見ることとなり、CO2フリーの燃料革命が起きることになる。すると次に起こることは、FCV・燃料電池車水素エンジンの時代となってゆくのではないのかな(もちろん合成燃料も)。とは少し大袈裟であるが、いわゆる「水素社会」の到来である。

(当然火力発電にも水素や合成燃料が使われている筈と思っています。)

次の論考は「合成燃料」ではなくて、直接「水素」を燃料として使うことを念頭に置いたものであるが、ご一読願う。水素も有望な「脱炭素燃料」である、合成燃料よりも有望かもしれない。

・・・・・


CO2は工場などで排出されているのでそれを使えば有効活用とはなるが、小生はDAC(Direct Air Capture)による物を推奨したい。火力発電所や工場などで排出されるCO2はその排出元で、責任をもって処理されることが必要と考えている。

工場などで排出されるCO2は、何らかの過程で新規に生成されたCO2となるものなので、そこで責任をもって処理されるべきものと考える。放っておけば地球上のCO2が増える(純増)ことになってしまうからである。

と言うのも、合成燃料では燃焼させればCO2が排出されるのではあるが、DACで空気中から取り出されたCO2であるので、それがまた空気中に戻されることになるが、空気中のCO2は増えないのである。取り入れたものがまた排出されるだけなので、-+で増加はしないのである。

火力発電所や工場などから排出されるCO2を使う合成燃料であれば、空気中のCO2は増加してしまうのである。だから工場で責任をもってそのCO2を処理してもらいたいのである。空気中のCO2は増えないように、処理されなければならないのである。

DAC(Direct Air Capture)によるCO2を使用した合成燃料であれば、燃やして排出されるCO2は、取り込んだものが排出されるだけなので、-+でCO2は増加しないのである。

だから少しはコストがかかるが、DACのCO2を使ってもらいたいのである。
(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(28)

2023-04-05 00:00:00 | Weblog

  豊田会長はオンライン上で記者団の取材に応じ、自動車業界では一貫して「電動化」という用語を用いてきたが、メディア報道では「EV化」になると指摘。用語の区別へ理解を求めた。

  販売される車をすべて純粋なEVに置き換えると夏のピーク時の電力需要が急増し、原子力発電所約10基分が新たに必要になるとの計算を示して、国のエネルギー政策で対応しなければ自動車メーカーの「ビジネスモデルが崩壊してしまう恐れがある」と述べた。

  国内自動車業界が用いる「電動車」という言葉には、EVや燃料電池車といったゼロエミッション車だけでなく、エンジンも搭載するハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車なども含まれている。


自工会の豊田会長(2019年11月2日)   
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  電力の89%を原子力発電や再生可能エネルギーで賄っているフランスなどと比べて日本は火力発電への依存度が大きく、政府の環境目標を達成するには、国のエネルギー政策の大幅な転換が必要との見方も示した。


  具体例としてトヨタの小型車「ヤリス」を挙げ、電力事情を考えると日本国内よりフランスで生産した方が環境によいということになると述べた。

  菅首相は10月26日の所信表明演説で「経済と環境の好循環」を成長戦略の柱に掲げ、温暖化対策で50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするなど脱炭素社会の実現を目指すと述べた。これを受けて経済産業省が30年代半ばに国内の新車販売をすべて電動車とする目標に設定に向けた議論を始めた、と日本経済新聞が10日に報じていた。

  温室効果ガスの削減にはEVとHVやガソリン車をうまく組み合わせることを考える必要があるとし、50年までのカーボンニュートラル実現に向けての取り組みは進めるものの、それは「非常に難しい」との見方を示した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-12-17/QLGZRGDWLU6P01


ことCO2の排出に関しては、本当にBEVが優れているのか、と言った疑問もあるのである。

火力発電で電気を作っているのであれば、その電気を充電するBEVは常時CO2を排出しながら走行している、と同じことなのである。

フランスのように殆どが原子力発電で電気を賄っているのであれば、BEVはCO2フリーのモビリティと考えても問題はないかもしれませんが、日本も含めて火力発電で電気を賄っているのであれば、BEVであってもCO2を排出しながら走っているものと考えざるを得ません。

(火力発電の)日本の場合では、BEVHEVとでは、そのCO2の排出量は殆ど差が無いという計算になるようです。



環境省では、「CO2排出係数」なるものを公表している、と言う。


これは、1kWhの電気を作るのに排出するCO2の量(kg)を表す指標である。

それによると、大手電力会社1kWhの電気を作るのには、0.5kgのCO2を排出する、と言うことになっているそうです。

大手電力会社の「CO2排出係数」 = 0.5kg-CO2/kWh

これに対して、日産「リーフ」は、40kWhの電池容量で、実用航続距離200km程度だそうです。

カタログ値の航続距離は400kmだが、アメリカでは240kmがカタログ燃費となっているそうです。そこで仮に

日産リーフ
 
電池容量 40kWh
航続距離 200km     と仮定すると、40kWh÷200km = 0.2kWh/km

と言う事で、日産リーフは、1kmの走行では0.2kWhの電力を使うことになります。

これに先の「CO2排出係数」を使うと、
0.5kg-CO2/kWh × 0.2kWh/km = 0.1kg-CO2/km となり

日産「リーフ」は、1km走るのに0.1kgのCO2を排出すると言うことになる、訳である。

これは、次の論考に書かれているものである。早速それらを参照願いたい。
https://power-hikaku.info/column/ev-co2.ph

序に、その論考によるとガソリン車・ディーゼル車は次のようになる。
いずれも、2020年2月時点のデータである。


ガソリン車・ディーゼル車と比較して

 では、ガソリン車はどれだけのCO2を排出するのでしょうか。まずは「e燃費」というサイトから比較対象となるガソリン車・ディーゼル車の「実燃費」を拾ってきます。


 車種      実燃費   
日産ノート
MEDALIST X    16.39Km/L

マツダ・デミオ
XD(ディーゼル) 18.68Km/L

トヨタ プリウス
ZVW51       24.41Km/L

 ガソリン車の代表として日産ノート(非「e-power」)、ディーゼル車の代表としてマツダのデミオ、ハイブリッド車の代表としてプリウスをチョイスしました。

 環境省の資料によれば、ガソリン1LあたりのCO2排出量は2.322Kg、軽油は1Lあたり2.619Kgとのことです。上の燃費に当てはめてCO2排出量を計算します。

 車種        1KmあたりのCO2排出量
ノート(ガソリン)     0.142Kg
デミオ(ディーゼル)    0.140Kg
プリウス(HV)       0.095Kg
リーフ(EV)        0.100Kg

 僅差ですが最もCO2排出量が少ないのはハイブリッド車のプリウス、次点で電気自動車という結論になりました。電気自動車はハイブリッド車と同等、ガソリンやディーゼルのコンパクトカーと比較すると3割程度、排出量が少ないと言えます。

 なお、プリウスはプリウスでも1代前のモデルの平均実燃費は21.06Km/Lなので、この場合は1Kmあたり0.110Kgの排出量となり、リーフよりも排出量が多くなります。

・・・・・・・・・・・・・

これは小生のブログ「世界自動車大戦争(91~)」(2020.3.13~)で投稿したものであるので、細部はこれ↓を参照していただきたい。

https://blog.goo.ne.jp/atlas_centaur/d/20200313

(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(27)

2023-04-04 00:00:00 | Weblog

BEVの普及が進む中国では、「充電渋滞」が問題となっているのです。


中国の高速道路で電気自動車が「エラい目」に ユーザー急増で「充電の渋滞」が発生
2021.10.15

【10月14日 東方新報】中国は10月1日の国慶節(建国記念日)から7日まで秋の大型連休を迎えたが、今年は「電気自動車で高速道路を走ったら、エラい目に遭った」という複数の体験談が話題となった。

江蘇省海安市にある充電ステーション(2021年5月21日撮影、資料写真)。(c)CNS/翟慧勇
[画像のクリックで拡大表示]

 「8時間のドライブのはずが16時間。渋滞したのは、高速道路でなく充電ステーションだった」。1日に中国南部の深セン市(Shenzhen)から湖南省(Hunan)に電気自動車で帰省したユーザーがSNSにショートビデオを投稿し、ネット上でトレンド入りした。道路状況はスムーズだったが、充電ステーションの行列で4時間、さらに充電で1時間を要した。待機中はトイレにも行けないので、水を飲むのも控えたという。

 別のドライバーも「運転中に電池が切れそうになったため、車内温度が一時は40度近くになったがエアコンをつけるのを我慢した」という過酷な体験を披露。別のユーザーは「ガソリン車の友人とドライブしたが、目的地に着いた時間は大幅に違った。私の電気自動車は途中で2回充電し、1回の充電時間は30分以上。友人は給油が1回だけで時間も数分で済んだ」と報告した。

 国営電力配送会社の国家電網によると、今月1日の高速道路での充電設備の充電量は、通常の4倍にあたる142万9200キロワット時となり、過去最高を記録した。電気自動車がそれだけ殺到したため、各地で「充電渋滞」が発生した。

 中国では9月末時点で、電気自動車などの新エネルギー車は678万台に達している。今年に入ってからの新規登録台数は187万台と急激な勢いで増えている。国慶節で初めて長距離ドライブをするユーザーも多かったようだ。メーカーが「1回の充電で走行距離300キロ」とうたう電気自動車が実際には200キロほどで充電が必要になることも多く、ドライバーたちが困惑する大きな要因となった。

 電気自動車メーカーの上海蔚来汽車(NIO)は「当面は良い方法がなく、充電ステーションを今後増やしていく」、小鵬汽車(XPeng)も「携帯型充電器を使ってゆっくり走行してほしい」と呼びかけている。現時点では「どうしようもない」ということだ。

 電気自動車は日常生活の「普段使い」では大きな力を発揮する。あるユーザーは「燃費は10キロにつき1元(約17円)程度。街中を走るだけなら1か月100元(約1740円)ぐらいで済む。ガソリン車だったら数百元から1000元(約1万740円)かかる」とメリットを説明する。

 8月時点で全国の充電ステーションにある充電パイルは約210万台あり、車両との比率はおおむね3:1となっている。計算上はニーズを満たす数だが、充電に長時間かかるため土日にステーションを訪れるユーザーが多く、やはり「充電渋滞」が起きやすい。また、政府の補助金目当てで業者がへんぴな場所にステーションを建設し実際は利用されていない所もあれば、逆に都心の過当競争で業者が廃業し、「ゾンビ化」しているステーションもある。

 中国政府は電気自動車を経済成長の柱の一つとしており、二酸化炭素(CO2)排出削減の切り札にも位置付けているが、電気自動車をサポートする環境整備も急務となっている。
(c)東方新報/AFPBB News 【翻訳編集】AFPBB News

https://www.afpbb.com/articles/-/3370474


これは2021年10月の中国のニュースであるが、2年半ほど前の中国では既にその「充電渋滞」が発生していたのです。

だから、BEVだけでのCO2フリーには、それ相応の問題点が存在ししかも既販車のBEV化は金がかかりすぎて、実用的ではないのではないでしょうか。



電動化=EV化にあらず、メディアに異例の注文-自工会の豊田会長
River Davis 2020年12月17日 18:09 JST

純粋なEVのみ普及ならエネルギー問題に、HVなどと併用検討必要
菅首相は2050年までに温室効果ガスの排出実質ゼロを目指すと表明

日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は17日、菅義偉政権が掲げた新たな温室効果ガスの排出目標について言及し、自動車の電動化とバッテリーの電力のみでモーター駆動する電気自動車(EV)明確に区別するよう、メディアに異例の注文を付けた。
(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(26)

2023-04-03 00:00:00 | Weblog

つまるところ、軽ではCO2の排出を防ぐためには「短い航続距離」でも我慢する必要がある、と言うことでは、何の工夫もない話だと言うことなのでしょうか。

CO2の排出を防ぐためには、BEVだけではなくFCVやe-fuelなど全方位が必要なのではないでしょうか。そして使う側の「使い分け」が、多分必要となってくるものと思われます。

バッテリーやモーターには希少金属やレアアースが使われて高価で、しかも重たくて、航続距離を稼ぐためには、沢山の高価なバッテリーを搭載しなければならないし、充電にも相当時間がかかると言った欠点があるわけで、バッテリーの革新が必要なことはわかり切ったことなのです。

と言うことで小生は、フェルさんは「まさに身を挺して航続距離と充電場所の問題提起をされた」ものと、高く評価したいと思っています。

軽自動車なら軽なりの使い方・使われ方、があるのではないかと、小生は思っています。
フェルさんは、「サクラ」があまりにも豪華であったために、少し長距離走行しすぎたきらいがあった、ようにも(小生には)思えます。もちろん軽でも、そんなケースがあって当たり前なのですが、所詮軽は短距離用のモビリティだと思っています。BEVであれば猶更(短距離用のクルマ)です。

近場だけと割り切るシティーコミューターとして使うなら、これ以上に優れたクルマはあるまい。しかし遠出はイカン。「充電難民」は本当につらいのである。」とは、まさに的を得た結論なのである。

しかもなんと言っても、BEV・電気自動車だけが「脱炭素」の手法だとは思えないのです。


しかもこの「サクラ」(と「ekクロスEV」)は、第43回の「2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した車なのである。

そんな車でも、電気自動車である限り乗り回していれば、早々にバッテリーの電力がなくなるわけで、再充電しなければならなくなることは自明の理であります。

たまたまフェルさんは長距離をこのBEVの軽自動車の「サクラ」で移動することになり、「充電難民」となってしまわれたと言うことであり、身を挺してEVの問題点を体験された貴重な経験者となられたのだと思われます。

振り返ってこのことを考えてみれば、

電気自動車・BEVでは、長距離を走る場合には、そして軽であれば猶更、その時と場所をわきまえて走らなければならない、と言うことが鉄則なのではないでしょうか。

このことは、当然ICEでも同じことで、ガソリンスタンドなどのない山奥や夜間などに走行するときなども、これと同じ状況となるものですが、特に走行距離に制約のあるBEVであれば、猶更です。

特にバッテリーの搭載量の少ない軽自動車であれば言うに及ばず、軽自動車であればある程、その使い方には注意が必要となるものと考えられるのです。


と言うのも、軽自動車と言うものはいわゆる(かっこよく言えば)「シティコミューター」なのではないでしょうか。

平たく言えば、「下駄替わり」のクルマなのである。長距離を走ろうとするクルマではないのです。だから、(高級化などのためには)それなりに便利な仕掛けは必要ではあるが、それほど豪華な内装などは(ある意味)邪道となる場合があるのではないでしょうか。

日本カーオブザイヤーの選考委員のコメントにも、支離滅裂なものが見受けられますので、そこらへんが(軽の在り方)まだ定まっていないことがわかります。と言うよりも、選考委員の先生方の評価の仕方が、ある意味幼稚であって評価の基準点が夫々ずれていることがわかります。

以下がそのコメントですが、

■価格(BEVを所有するハードルを下げた点)
■脱炭素社会に向けた暮らしの変化に対する対応
■軽自動車という“シティコミューター”としての役割に特化したこと
軽自動車の概念を変える走行性能
■SS(サービスステーション)過疎地の課題を解決するひとつの提案
■上質なデザイン


本当に”シティコミューター”としての役割に特化しているのでしょうか。私には、そうは思われません。特化どころか、次のコメントの”軽の概念を変える走行性能”とありますが、走行性能は別としても、軽としては背伸びしすぎた部分が多すぎたクルマではないかと、反面危惧した次第です。こんな車に(と言ったら失礼かもしれませんが)軽の恩典を与えるべきではないのではないか、とも思えるのです。


豪華な軽自動車もあれば(商売的には)、コストを下げた質実剛健な実直な軽のBEVとなるものも必要となるものではないでしょうか。軽のBEVであれば、こちらの方が(その使われ方として)よりマッチしたものでしょう。

そのような軽のBEVであれば、フェルさんもそんな時に長距離を移動しなかったものと、小生には感じられるのです。

そのうちにCO2の排出規制が強化されて、軽自動車でもCO2の排出が禁止されることにでもなれば、質実剛健な軽のBEVが現れることになるに違いないものと思われる。尤も合成燃料が使われるようになれば、話は別ですが。BEVよりも合成燃料使用の軽自動車が普及するはずです。ただし、e-fuelがそれなりに安くなればの話ですが。

やがては、新車はBEVに限らずすべてCO2フリーのクルマとなり、燃料は大半が合成燃料となり、モビリティでのCO2排出が限りなくゼロになる時代がやってくることになろうかと思われます。

とはいっても、そのためには、電力事情(発電や充電)にも考慮が必要となってくるので、BEVだらけとなるには問題も出てくると思われます。電力不足も大問題ですが、差し当たっては「充電渋滞」の発生を防ぐことが必須となってくるのではないでしょうか。
(続く)
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