世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

ならず者国家・中国、アレコレ!(21)

2015-12-14 00:00:00 | Weblog

中国の成長率への疑心暗鬼

 実体経済に表れているこういった現象を捉えて、中国のGDPは信頼できず、実際はさらに悪いといった意見もある。また、それとは逆に、「中国経済が減速しているというが、あまりに悲観視しすぎている」といった声もある。

 中国のGDPに信頼が置けないという意見は以前からあった。だが、中国の高度成長が続いているうちは、「信頼が置けない」ことを前提に置きながらも、高い成長を実感し、期待した上で多くの企業や投資家が資金を投じてきた。

 だが今夏、中国経済の減速が徐々に鮮明になり、株式市場の急落人民元切り下げを巡る当局の対応などを見るうちに、改めて中国の成長率への信頼性に注目が集まっている。実際の中国の成長率は3%を切っているといった試算結果を出す調査会社も登場した。

 中国経済の実情を知るために、GDP以外の指標を参考にするという動きはこれまでもあった。代表的なものとして知られているのが「李克強指数」だ。李克強首相が遼寧省共産党委員会書記時代に「GDPは人為的」として、鉄道貨物輸送量、電力消費量、中長期貸出残高の3つの指標を重視したことから、その名がついたとされる。

「李克強指数の落ち込みは経済構造転換の証」

 確かにこれら3つの指標はGDP成長率と比べても落ち込みが目立っている。その一方で、李克強指数では中国経済の実情を正確に知ることはできないといった意見がある。中国共産党の機関紙「人民日報」は今年6月に、現在の状況を予見するような記事を掲載している。記事では「確かに鉄道貨物量や電力消費は落ちているが、それは産業構造の転換によるもの。中国経済はサービス業の占める割合が高まってきており、実態を表す指標が必要だ」と主張している。

 野村国際の趙揚チーフエコノミストも「2%、3%の成長率しかないという見方は一部の部門の数字に基づくもの。これは中国経済の劇的とも言える構造転換と関係しており、鉄鋼やセメントなどの重工業は減速している一方で、サービス業などは20%から30%の成長を遂げている」と話す。実際、中国の映画興行収入は昨年に比べ50%近く伸びていると言われており、こうした指標が現在の中国経済を正確に表しているといった意見もある。

 いずれにしても、こうした論争が起きる背景にあるのは、政府が発表するGDPへの不信感だ。こう考えると、今年の夏、世界を同時株安へと巻き込んだのは、中国経済の減速そのものではないのかしれない。中国政府が公表する数字の信頼性と、それに伴う経済減速の実態の不透明さが疑心暗鬼を生んだ結果と言えそうだ。

 さらに言えるのは、仮に中国の経済が公表されている成長率より低かったとしても、13億を超える人々が日々の生活を営む巨大なマーケットがあるという事実は変わらないということだ。工業や貿易の指標が落ち込むなかで、個人消費は今も高い伸びが続いている。GDPと同時に発表された9月の小売売上高は前年同月比10.9%増だった。日本では「中国バブル崩壊」といった見方も出ているが、冷静に実体経済を見つめることがさらに重要になりそうだ。

ニュースを斬る

日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/101900112/?n_cid=nbpnbo_mlp



いまや中国では、自動車矢鉄鋼などの製造業・いわゆる第2次産業では不況の状況に入っているのであろうが、反対に教育、娯楽、飲食、小売と言ったサービス産業は堅調で、二桁の成長を維持していると言う。

ただ製造業がマイナス成長となれば、その影響はかなりのものとなろう。いくらサービス産業が堅調だと言っても、中国経済を引っ張ってゆくにはまだまだ力不足ではないのかな。

先の津上俊哉氏の「総力特集 どん底の中国経済 グローバル・リスクに備えよ」の内容を概略しよう。


(1)中国は7.0%成長を標榜しているが、過剰投資による不良資産の蓄積に病んでいる。正直な経済統計より推察すると、ほんとうの成長率は5%を割り込んでいる

(2) 4兆元(57兆円)もの経済対策による不動産ブームが止まり、地方政府は債務が膨れ上がり財政は火の車だ。しかし景気が急減速すると中央政府は地方政府のために金を工面するようになった。

(3) 国有企業も地方政府と並んで過剰債務だ。習近平政権は株バブルを起こして金を工面しようとしたが、その株バブルも6/上旬に崩壊した。そして国有企業は株バブルで大損をしている。

(4) 元安を見込んだホットマネーは元売り・外貨買いに走り、中国外貨減少していった。おりしもIMFが元の国際化にはレートを市場にあわせよ(実勢は元基準値より安い)との指摘もあり、輸出産業支援もかねて、8/11に突然元を切り下げた。それだけ中国景気は悪化していたと言うことか。

(5) 元の国際化(元のSDR化)を希求していた中国政府は、悪化している状況でも元を切り下げた。しかし中長期的にも元安は進むし、中国経済の不景気は長期化するであろう。このチャイナリスクは、すぐにもグローバルリスクとなり世界全体を揺るがすことになる、と覚悟しておくべきだ。


と言ったところが、小生の偏見と独断でまとめた津上俊哉氏の論考の内容であるが、結論的に言えば、「中国経済は不透明で、景気の低迷は長引く。そしてそのチャイナリスクは世界に広がり、グローバルリスクに結びつく。」と言うものであった。

習近平は元の国際化に執念を燃やしていた。いわゆるIMFの国際通貨基金の特別引き出し権の構成通貨として認定してもらいたかったのである。これがSDRである。

なぜ中国が人民元の国際化を希求しているかと言うと、これは小生の偏見と独断での解釈であるが、[以上見てきたように中国は過剰投資で生産設備が過剰で景気が低迷している。そのため海外から資金を調達して、人の金でその設備の稼動と雇用を拡大させようと考えた。それがAIIBのアジアインフラ投資銀行なのである。そのカネの投資先は中国ではなく、一帯一路などで示されるように、開発途上国である。それにはどうしても人民元の国際化が必要である]と言ったストーリーを習近平は魂胆したのではないかと勘ぐっている。

しかしアメリカはSDR(Special Drawing Rights、特別引き出し権)と言う一種の国際通貨の中で、最大の割合41.9%を占めている。そのアメリカはIMFで拒否権を持っているにも拘らず、人民元のSDR化を拒否しなかった

(続く)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(20)

2015-12-11 00:00:00 | Weblog

夫々の経済統計の傾向はわかると思う。
これらは中国では、比較的正しいと思われている統計数字である。

(1) 鉄道貨物量(トン・キロ)の対前年同月比

明らかに低減していることがわかる。2013年は-3%、2014年の数字は-5%、2015年数字は、-12%ぐらいで、4倍の落ち込みだ
鉄道貨物量は重厚長大産業を代表する指標と見られている。従って東北三省(黒龍江省、吉林省、遼寧省)などは不況の真っ只中であろう。

(2) 電力消費量の対前年同月比

これも鉄道貨物量の伸び率と同じように低減しているが、低減の仕方は鉄道貨物量よりも緩やかだ。電力は重厚長大産業もサービス産業も同じように使っているので、低減の割合は必然的に穏やかになる。サービス産業はそれほど不況ではなかったと言うことであろう。
それでも(大雑把に言って)前半の7~8%から後半は3~4%と伸び率は半減している

(3) 国有企業売上高

これも鉄道貨物量の伸び率と同じような割合で逓減している。簡単に言うと三分の一になっている。二桁の伸び率が、今年に入り-5 ~ -6%とマイナスに転じている。
相当GDPの伸び率には影響しているはずでGDPが半減していてもおかしくない数字だ。

(4) 間接税収

間接税収は比較的堅調だ。サービス産業が好調だったためだ。日本に爆買いに来ている中国人は、きっとこんな業種の人種なのであろう。間接税収は2013年からは%で2~3ポイント程度の減少に収まっている。


これらの数字からGDPの変化を推察(伸び率は半分以下に落ちていると)すると、二つ前の論考では7.7%から7.4%へと僅かな減少しか示していないが、ほんとうの成長率はもっと減少しているのではないかと推察する方が真っ当な考え方であろう。しかも2015年の成長率は(7.5%から-0.5%して)7.0%としているが、とてもじゃないが、納得できるものではないであろう。

比較的正直と見られているこれらの経済統計数度から推察からすると、中国のGDPの成長率は、半分近くの減少と見てもおかしくはないのではないか、との考え方もうなづける。

半分とすると、7.7%×1/2=3.9% と計算できる。まあもともと7.7%と言う数字もバイアスがかかっているから、単純に半分と計算してよいものかは?であるが、4%前後ではないかと推察できる。

これは小生のこじつけであるが、 津上俊哉氏もこの論考で5%前後ではないかと記述している。

中国政府は目標成長率を7.0%としているが、2015年4~6月の実質国内総生産(GDP)成長率は、前年同期比7.0%であり(「中国バブル崩壊」日本経済新聞社編、41ページ)面目を保ったものの、2015年7~9月のGDPは6.9%と、リーマンショック後の2009年以来の6年ぶりの6%台となっている。しかも中国国家統計局の数字でも、前期より低下の傾向を示しているのだ。




成長率7%割れでも中国がしぶとい理由
伸び続く個人消費、「バブル崩壊」は起こるのか
2015年10月20日(火)小平 和良

(写真:AP/アフロ)

 中国国家統計局は10月19日、2015年7~9月のGDP(国内総生産)を発表した。物価変動の影響を除いた実質のGDP成長率は前年同期比6.9%増と、リーマンショック後の2009年以来、6年半ぶりに6%台となった。政府が2015年の目標としている7%も下回った。

 固定資産投資や工業生産、貿易などの指標を見ても減速は鮮明だ。中国税関総署が9月13日に発表した9月の貿易統計では、輸入は米ドルベースで前年同月比20.4%減と、大きく落ち込み、輸出も3.7%減と3カ月連続で前年の水準を下回った。19日に発表された9月の鉱工業生産は、前年同月比5.7%増となり、8月の6.1%増から伸びが鈍化している。

 こうした景気減速の影響は、一部で目に見える形で表れ始めている。上海市郊外の工業地区に工場を構える、ある日系の消費関連企業のトップは、最近、従業員募集に応募してきた人物を見て驚いた。応募してきた男性は、「自動車関連の工場の方が給料が高い」といって数年前にこの日本企業を去った人物だったからだ。

 これまで急成長を謳歌してきた中国の自動車産業だが、今年に入ってからは減速がはっきりしてきている。米ゼネラル・モーターズなどの大手は、販売価格の引き下げまでして在庫処分に走った。こうした影響は自動車関連の部品工場などが集まる上海郊外のこの工業地区にも波及し、ある工場では残業がなくなり、ある工場では事業が続けられなくなった。その結果、自動車部品メーカーを辞めた従業員が、古巣の日系企業に舞い戻ってきたというわけだ。

 この工業地区では、優良企業を誘致する狙いもあって土地や建物にかかる税金はこれまで免除されていた。だが、「今年になって突然、徴収されるようになった。景気減速で税収が不足しているのではないか」(日系メーカー社長)。
(続く)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(19)

2015-12-10 00:00:00 | Weblog

人民元の上昇余地乏しく

 企業収益低迷の副作用として、人民元のドルに対する上昇余地が乏しくなっていることも指摘しておきたい。輸出の伸びが鈍化していることから分かるように、元高は少しずつ中国の輸出競争力をそいでいる。2005年夏の管理変動相場制への移行後、元は対ドルで2割以上も切り上がった。


 企業業績の不振は雇用や労働者の所得を通じて中国経済に大きな影響を及ぼす。ただ、個人消費への波及にはタイムラグがあるうえ、都市化という後押し要因もある。今後の中国経済の動向を見定めるには、個人消費がどこまで持ちこたえるかを丹念に見る必要があるだろう。
(構成:張 勇祥)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/research/20120913/236752/?leaf_ra


まあ投資も減り、消費も減ってゆくので、景気は下降してゆく。中国共産党政権はリーマンショックの後、4兆元(57兆円)もの景気刺激策を施したので、景気はすぐには下降してゆかずに、場合によっては上昇することもある。更には必要なところに金が回らずに、いびつな状態もあるのではないのかな。
なんと言ってもに4兆元(57兆円)よる過剰投資による過剰設備・過剰在庫が問題なのであろう。

国民所得は、国内消費と投資だけではなく輸出入も絡むので、更に複雑となる。輸出入には為替相場も絡むので、更に(人民元)相場も影響してくることになる。景気は誠に複雑である。

ついでに消費を増やすためには、一般的に言って企業の給与水準を上げてゆけば、それだけで(消費性向が一定とすれば)増えた分の給料の消費性向分だけは増えることになる。また見通しがよいと判断すれば、消費性向自体を増大させることになるかも知れないのである。消費が増えれば、GDPも増えることになる。政府が来年の給料を上げてくれ、と言っているのは至極当然のことであり、企業減税を進めようとしていることは、先に言及した企業の投資意欲を高めたいためでもある。勿論技術開発投資も投資であり、技術開発の推奨にもなるのである。


二つ前に紹介した論考では



「中国の政府系シンクタンク、中国社会科学院は先日、2015年のGDP成長率が7%前後になるとの予測を出した。」

と言う文言がある。中国の経済成長は7%を切る、と予想しているようだ。しかし7%前後でもかなり高い成長である。これは政府側の目標値であり、おいそれとそれ以下になりそうだ、などとは口が避けても言えないことはよく判る。

しかし現実はそんなには甘くない。中国の経済成長は既にそんなに高いものではないのではないか、と言った議論が出てきているようだ。

先に言及したPHPの雑誌・Voiceの10月号には、津上俊哉氏の「総力特集 どん底の中国経済 グローバル・リスクに備えよ」と言う寄稿文がある。

これによれば、中国のほんとうの成長率は五%以下、だと言っている。


次のグラフを見てほしい。





このグラフは、先のPHPの雑誌・Voiceの10月号には、津上俊哉氏の「総力特集 どん底の中国経済 グローバル・リスクに備えよ」に掲載されていた「図1 比較的「正直」な経済統計が示す中国経済成長の低下」と言うグラフを、簡易的に数字を拾い表計算ソフトを使ってそれをグラフに置き換えたものである。
(続く)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(18)

2015-12-09 00:00:00 | Weblog

この論考に掲載されている中国のGDPの成長率は、2012年に7%代下降していることがよく判る。まあそれでも7.7%と、とても高い成長を見せているが、それ以前の10%以上の成長率に較べると、成長率は格段に下落していると言ってよい。中国は余剰労働力が豊富にあったので、その余剰労働力を吸収する事によって経済成長が出来たし、また雇用を維持するためにも必要だったのである。

表題の「中国7.3%成長は生みの苦しみか」は、成長が低下していると言うことを意味しているのだが。

一旦成長率が下がるとその影響は等比級数的に波及することになる。成長率が下がり続けてゆくことになる、と言うことである。これが景気循環を惹き起こすことになるのである。

景気が上昇するときには、投資が投資を呼ぶと言われる様に、投資が拡大してゆくのであるが、投資機会が減少して投資が減ると今度は次々と投資は減少するのである。これが景気循環となるのである。

ある企業がX円の投資(設備を購入)をしたとすると、その設備を納める会社はその設備を作るためにまた投資をすることになる。X円に対してαX円だけ投資(関連企業から設備・資材を購入)をする(αは投資性向という)。すると関連企業は投資を受けたαX円のα割合だけまた投資をすることになる(α×αX円)。次は α×α×αX円だけの投資となる。

・・・・・と言った具合で、投資額の総額は次のようになる。

X+αX+α2X+α3X+・・・・・=1/(1-α)× X となる。1/(1-α)が投資乗数である。

たとえば投資性向が0.2とすると、投資乗数は、1/(1-0.2)=1/0.8=1.25 となり、この場合投資額は25% 増えることになる。投資機会が多い開発途上国などでは、投資性向は比較的高く、たとえば0.5とすると投資乗数は、1/(1-0.5)=2.0となり投資額は初期投資額の2倍に膨らむ。これが高度成長の理由である。

http://asread.info/archives/560 なども参照されるとよい。


労働力で言えば「完全雇用」か、それに近い状態となるのであり、賃金は(爆発的に)上昇してゆく。一般的に給料が上昇するため、消費が拡大することとなり、景気にもよい影響を与えることとなり、景気下落を下支えすることとなる。そのため景気の上昇・下降の動きは、一概に言えるものではなく複雑である。

投資で言えば、投資機会がすべて掘り起こされてしまい、投資対象がなくなって(少なくなって)行く。そのため投資金額が減少して、次々と投資が減ってゆくのである。投資が投資を呼ぶことの反対の現象である。一般的に言って開発途上国では、消費よりも投資の変化の方が景気には大きな影響を与える。

消費も同じで、消費額が減れば次の消費額も更に減り、その次の消費額も更に小さくなってゆく、と言う連鎖が続くのである。

この中国での「ルイスの転換点」への言及は、景気の変換点を意識しだしたと言うことではないのかな。中国では国土が広大で企業や労働者が偏在しているために、沿岸部では完全雇用状態に近づき、内陸部ではまだまだ失業者が存在していると言うまだら模様状態なのであろう。経済格差の解消などと言う生易しい状態ではないのではないのかな。効率なども悪く、もっと厳しい状況があるのではないのかと、想像できる。


事実、次の2012年9月の記事ではあるが、企業の業績が悪化している、と言ったものである。

2014年ではなくて、2012年にはすでに企業の収益の下降が始まっていたのである。




中国企業、収益悪化が鮮明に
中国企業の業績動向
2012年9月18日(火) プ・ヨンハオ

中国の上場企業の収益は2011年後半から減益局面にある。製造業は在庫圧縮に苦しみ、底入れは来年後半になりそう。為替も一方向の元高・ドル安は期待できないだろう。

 中国経済は失速してしまうのか、すんでのところで持ちこたえるのか。景気刺激策など政府の出方次第の面があるので予想は難しいが、現状を分析する手がかりの1つとして、上場企業の業績動向を観察対象に加えることを提案したい。


 UBSは中国株の代表的な指数である「MSCIチャイナ指数」構成銘柄の業績動向を集計している。金融業を除くベースでは、既に2011年下期から減益局面に入っている。増益率の鈍化ではない。中国企業は2ケタ成長が当然という時代は終わりつつある。

 利益水準そのものはリーマンショック前を上回っている。これは過度の悲観が必要のない証拠ではある。ただ、物価の上昇を考慮すると、それほど力強い成長を遂げているわけではない。

 セクター別に見ると製造業、とりわけ鉄鋼や非鉄、セメント、機械などの不振が目立つ。鉄鋼などは輸入している鉄鉱石や石炭の値下がりがいずれ収益を下支えするだろう。しかし、今はまだ積み上がった在庫を少しでも早くさばかなければならない段階だ。

 どう見ても、2008年末に政府が打ち出した4兆元規模の経済対策の後遺症だ。(今後追加経済対策がない)自然体のままなら、企業業績の底入れは2013年の下期になってからだろう。足元におけるPMI(製造業購買担当者景気指数)の落ち込みも、この見方を補強している。

 今後、打ち出されるであろう景気対策にはどの程度、期待できるのか。実効性のある刺激策がパッケージとしてまとまるのは早くとも年末だろう。どこの国でも政権交代の直前に大胆な施策は出てこないものだ。
(続く)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(17)

2015-12-08 00:00:00 | Weblog

重ねて言うが、「中国人民抗日勝利・・・」何ぞと言う表現を大々的に掲げているが、これこそが大いなる捏造で日本は共産党軍などと戦争をしたことは一つもないのである。日本軍が戦った相手は蒋介石の国民党軍である。共産党がそう仕向けたのであるが、共産党軍(紅軍)が戦った相手は国民党軍である。

紅軍は国共内戦を戦っただけである。だから言うならば「中国紅軍対蒋介石勝利六十六周年記念式典」とだけにすべきことなのである。紅軍は「反ファシズム戦争」何ぞは戦っていない。


話は戻るが、

ただこの大爆発に対する「中央政府の不自然なほどの対応の鈍さと異例なまでに厳しい報道統制、そして奇妙な誤報などが、市民たちからみると、中央政府が何か重大な事実を隠ぺいしているのではないかという疑心暗鬼を生んでいる。」と先の寄稿文で福島香織氏が述べているように、市民達の不満の矛先が中央政府に向かいかねないし、それを逸らすために習近平はその矛先を外に向けかねないのだ、特に日本にぶつけてくる可能性が高いのである。

まあ丁度このときには習近平政権は、北戴河会議8/6~8/16)と言う重大な会議を開催していた最中であった。そのためおいそれとは李克強などの政府の要人を、爆発現場へ派遣できなかったのであろう。

李克強が現地に来たのは8/16であるから、この北戴河会議が終了する日に来たことになる。たぶん会議の終了式(はあるかないかは知らないが)を待たずに抜け出したものと思われる。

と言うことはよほど重要なテーマが議論されていたのであろう。後から思うのだか、きっと経済問題が喧々諤々と議論されていたのであろう。なんと言ってもこれ以上景気が後退すると、人民の不満が爆発して国が崩壊しかねないと、習近平達は危惧していたのであろう。なにはともあれ中国情勢には、注意するに越したことはない。

さて中国の社会の内情がこの天津大爆発事件で幾ばくかでも理解できたことにして、この事件はこの位にしておいて、次の話に移ろう。


次の話は、中国の景気後退である。

丁度一年前の十月、2014年10月24日(金)付けの次のような論考がある。

中国は既に「ルイスの転換点」を超えている、と言うものだ。

余剰労働力がなくなりそのために賃金が上昇し、経済の拡大が普通の形では困難になることであり、経済が更に拡大するためには大幅な産業構造の転換が迫られる状況になることである。




中国7.3%成長は「生みの苦しみ」か
ついに来た?「ルイスの転換点」
2014年10月24日(金)  小平 和良

 10月21日、中国の国家統計局は2014年7~9月期実質GDP(国内総生産)を発表した。GDPの成長率は前年同期に比べ7.3%増と、リーマンショック直後の2009年1~3月期以来、5年半ぶりの低い水準となった。1月から9月までの成長率は7.4%増で、7.5%前後としている中国政府の目標値の範囲内と言えるだろう。ただ、景気に減速感が出ていることは否めない。同日、日経平均株価は300円以上も値下がりし、中国経済の減速は即座に日本に波及した。

中国の実質GDP成長率(単位:%)
出所:中国国家統計局      

 「第3四半期のGDPの伸びはやや緩やかになったが、雇用や物価の情勢は安定している。経済の動きは合理的な範囲内にある」

 国家統計局の盛来運報道官は、7~9月期のGDPについてこう評価した。都市部の新規就業者数は1~9月で1000万人を超え、今年の目標を前倒しで達成。消費者物価については1~9月で前年同期比2.1%の上昇となった。盛報道官はこの2点を取り上げて、GDP成長率はともかくとして、景気は安定した状態にあると説明している。

5年半ぶりの低水準は「生みの苦しみ」

 では、なぜGDP成長率は5年半ぶりの低水準となったのか。その原因について、盛氏は「経済構造の調整による生みの苦しみが予想を超えた」と語っている。そして、その生みの苦しみは主に2つの側面、つまり鉄鋼業など伝統的産業の生産能力過剰問題不動産市場の調整に表れているとした。

 実際、中国の新築住宅の平均価格は9月まで5カ月連続で下落。不動産価格の下落で建築資材の需要が落ちたこともあって過剰設備の問題も表明化して、鋼材なども価格下落が続いている。

 ただこうした状況は、角度を変えて見れば、中国経済に大きな変化が起きていることの表れでもあると盛氏は説明する。例として、第3次産業の伸び率が第2次産業の伸び率を上回る状態が続いていることや、1~9月期のGDP成長率への貢献は最終消費が48.5%と資本形成(投資)を上回っていることを挙げた。中国経済は公共事業など投資が牽引する経済から、豊かになった国民による消費が牽引する経済に着実に転換してきているという主張だ。

 経済の構造転換は中国がこれから乗り越えなければならない大きな壁だ。「中国は『ルイスの転換点』を超えているのか。考えを聞きたい」。会見では記者からこんな質問が出ている。

 「ルイスの転換点」とは農村から供給される労働力が払底し、賃金が上昇産業構造の転換が必要になるターニングポイントを指す。中国では沿岸部の都市で労働力不足が起こった2000年代前半から「ルイスの転換点」の到来に関する議論が出ていた。

労働力人口は2年連続で減少

 質問に対し、盛氏はこう回答している。「この2年で中国の人口構造には新たな変化が生じている」。「労働力人口が減り、労働力市場の需給関係に変化が起きた」。

 中国は昨年、労働力人口が2012年に初めて減少したと発表。続く2013年も244万人減少した。こうした労働力の構造変化が「経済構造の調整や発展方法の転換を推し進める」としている。「ルイスの転換点」を超えたかどうかについては直接答えていないものの、盛報道官の発言からは、中国は転換点を既に超えたと読み取ることもできる。

 労働力人口の減少経済成長にとって大きな足かせとなりかねないだけに、中国政府も本気で経済構造の転換を進めなければならないと考えているのだろう。習近平指導部は政治の面では、中央政治局常務委員経験者は刑事罰を受けないというこれまでの不文律を覆し、周永康・元常務委員を立件した。はたして経済でも古い体質を一掃することができるかどうか。

 盛報道官は中国経済が変わり始めていることを強調しているが、まだ道のりは遠い。盛氏自身、鉄鋼業界を例に挙げてこう話している。「我が国の粗鋼生産能力は10億トンを超えている。一方で現在の需要は7~8億トンだ」。「それでも固定コストを負担しなければならないため、生産調整や在庫調整は以前よりも難しくなっており、時間もかかる」。

 中国の政府系シンクタンク、中国社会科学院は先日、2015年のGDP成長率が7%前後になるとの予測を出した。先進国に比べれば年7%成長は依然として高い水準であることに間違いはない。13億人超の人口を抱える中国が魅力的な市場であることも変わらないだろう。ただ、中国は今、大きな転換点を迎えている。その変化がもたらす痛みは中国自身だけでなく世界にも及ぶことを私たちは理解しなければいけないのかもしれない。

記者の眼

日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20141023/272949/?P=1
(続く)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(16)

2015-12-07 00:00:00 | Weblog

個人投資4400億元も消え、青色戸籍も打ち切り

 これは天津市が2007年から税制優遇措置とセットにして呼びかけた新区開発への個人投資募集で2011年までに4409.51億元を集めていた。だが、この投資募集にかかわる数十企業が汚職などで倒産、閉鎖に追い込まれ、事実上、個人投資家から金をだまし取ったことになった。この個人投資募集プロジェクトには汚職で失脚した前中央政法委員会書記・周永康氏の息子・周斌氏(逮捕済み)もかかわっていたという証言もある。

 なぜこのタイミングで大量の陳情者が詰めかけたかというと、ちょうど中央規律検査委の地方巡回チームが天津市政府に調査に入っていたからだった。被害者たちは中央規律検査委に直訴するつもりだったらしい。中央も天津市の開発失敗の背景に汚職・不正があるのではないかとみて調査を行っていたといえる。

 5月31日には天津市で20年に渡って取られてきた「青色戸籍制度」が打ち切りになる。青色戸籍制度とは高級マンション購入など相応の投資を行うことで天津市の都市戸籍が取得でき、地元の進学校などに優先的に進学できたり、大学進学が優遇されたりする権利も付与されるという政策だ。この制度があるからこそ、天津市の高級別荘・住宅開発は、必ず成功するといわれていた。だが、その皮算用が甘く、需要を上回る開発を行った末、武清区を含む7つの別荘・高級住宅開発区も大幅な売れ残りを抱えて、ゴーストタウン化している。青色戸籍制度終了とともに、それら開発区の失敗が明るみに出る、と言われている。

 天津のこれらの開発計画に号令を出したのは、当時市党委書記だった現・政治局常務委張高麗・副首相だった。派手な開発区計画を打ち上げ、それを政治的業績としてアピールし、中央の指導グループ7人の中に食い込んだのだった。だが今、この天津市浜海新区開発の失敗について、張氏の責任が問われかねない状況だという。

犬猿の副首相同士が権力闘争を激化

 香港誌・動向4月号によれば、今年2月の国務院内部会議の席で汪洋副首相が、天津市浜海新区開発失敗について「天津市財政は5兆元以上の債務が不履行に陥り、事実上破産している。今この責任を追及しても遅い。天津市の子孫末代まで、この債務を背負わされるだろう」と、辛辣に張副首相の責任を問うたと言う。

 ちなみに胡錦濤・前国家主席、李克強首相につながる共産主義青年団(共青団)派閥のホープ汪洋氏と、江沢民元国家主席にかわいがられ、曾慶紅・元国家副主席や周永康・前中央政法委書記に代表される石油閥に名を連ねる張高麗氏が犬猿の仲の政敵同士であることは言うまでもない。汪氏は政治局常務委(指導グループ)の末席を張氏と競り合って結局は敗れた恨みがあった。習近平政権発足以来、事あるごとに、お互いのアラを見つけ出しては攻撃し合っていることは、わりと知られている。

 汪洋氏は昨年7月、9月、11月、今年3月の国務院会議でも張氏の失政を批判。その中には、張氏の「学歴詐称」や、80年代の中国石油化工茂名石油工業社長時代のただれた生活や汚職問題まで含まれていたとか。一方、張氏も中央政治局会議上で、汪氏を攻撃する動議を提出することがしばしばだった。

 天津のゴーストタウン問題や財政破たん問題が中国メディアにも取り上げられるほど明るみに出たのは、当然、こういった権力闘争が背景にあるだろう。習政権の汚職キャンペーンの最大のターゲットである周永康氏の失脚と石油閥解体が、張氏に飛び火したとも考えられる。実際のところ、現役の政治局常務委の張氏が、こういった問題で何がしかの責任を取らされる、というのは従来の共産党政治においては考えられないことだ。だが、香港誌経由とはいえ、ここまであからさまな批判記事が中国ネットニュースに流れている以上、どのような顛末も考えられよう。

 北京の都市機能を河北省と並んで分散させる副都心として開発を優先され、特別に青色戸籍政策などもとられてきた天津が、ゴーストタウンだらけとなり、財政破たん問題も隠しようがなくなったのは、突き詰めていえば何が原因なのか。それは自分たちの出世を中央政府や上級政府に向けてアピールすることだけを考えた官僚政治家たちの浅知恵と汚職体質が、冷徹で客観的なプロフェッショナルの分析や調査よりも優先されて、開発計画や投資規模を決定したことにある。

経済の矛盾は政治問題に帰結。改革、待ったなし

 その計画が失敗とわかるころには、計画にゴーサインを出した官僚政治家たちは出世して別の土地に行っており、従来の共産党政治のシステムであれば、彼らは責任を取らずに済む。銀行の人事も関連企業の人事もそんな地元政府の官僚政治家が握っているとなると、たとえそれが野放図な開発計画であっても誰も異論を唱えることはない。彼らも最終的には中央政府や上級政府が尻拭いしてくれると考えているのだ。

 つまり中国の今の経済上の矛盾というのは、たいてい政治の問題に帰結する。必要な経済改革とは経済、特に金融システムを党政治と切り離すことであり、それは政治改革なしに行えない。そんなことは、中国の政治家本人たちがよく分かっているはずである。

 直轄市のゴーストタウン問題はあまりにショッキングなので、大きな注目を集めたが、実のところ、天津と同じような問題を抱える二級、三級都市は掃いて捨てるほどある。最近の報道によれば、CLSA証券が中国の600におよぶ不動産開発プロジェクトを調査したところ、過去5年に建設された不動産の空き室率は15%、1020万室が空き家のままで、2016年には空き室率は20%を突破する、との分析結果を発表した。米国の不動産の空き室率も最高10%までであり、この数字は十分深刻だ。

 中国国務院の発展改革委のアナリストの見解では、昨年10月の段階で、バブル崩壊地方からすでに始まっている。その規模と影響がどのくらいに及ぶのか、中国にどのくらいの痛みをもたらすのか、そしてこの後始末をどうやってつけるのか、いつ中国が政治改革は避けて通れないと決断する時が来るのか、まだ誰も予測しきれていない。中国の政治家たちは本当にどうするつもりなのか。まさか指をくわえて、中国経済バブル崩壊のシナリオを眺めているつもりなのだろうか。いくら、自分たちの私的財産が欧米のプライベートバンクに移転済みであるからと言って。

中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス

 新聞とは新しい話、ニュース。趣聞とは、中国語で興味深い話、噂話といった意味。
 中国において公式の新聞メディアが流す情報は「新聞」だが、中国の公式メディアとは宣伝機関であり、その第一の目的は党の宣伝だ。当局の都合の良いように編集されたり、美化されていたりしていることもある。そこで人々は口コミ情報、つまり知人から聞いた興味深い「趣聞」も重視する。
 特に北京のように古く歴史ある政治の街においては、その知人がしばしば中南海に出入りできるほどの人物であったり、軍関係者であったり、ということもあるので、根も葉もない話ばかりではない。時に公式メディアの流す新聞よりも早く正確であることも。特に昨今はインターネットのおかげでこの趣聞の伝播力はばかにできなくなった。新聞趣聞の両面から中国の事象を読み解いてゆくニュースコラム。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20140527/265507/?n_cid=nbpnbo_mlt



まあ、2015.9.3には「中国人民抗日戦争勝利および反ファシズム戦争勝利七十周年記念式典」で通常は10月1日の国慶節に執り行われている軍事パレードなんぞを大々的に行う余裕などはなかったのではないかと人事ながら心配(?)になるが、中国のことであるから苦笑い(?)して見過ごすしかないであろう。
(続く)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(15)

2015-12-04 00:00:00 | Weblog

浜の真砂は尽きるとも、中国に汚職の種は…

 これらの事実は反貪局による取り調べの中で李存要が供述したものであり、その供述を裏付けた重要な証拠が、李存要が克明に書き記していた『贈賄メモ』であった。なお、李存要は1審判決を不服として“昆明市中級人民法院(地方裁判所)”へ上告した。その結果、2015年4月8日に下された2審判決は、1審の懲役5年は重すぎるとしてくつがえし、改めて李存要に対して懲役2年が言い渡された。これで李存要の量刑は懲役2年で確定したのだった。なお、何先亮以下6人の団結中隊の隊員たちは収賄罪により別途処罰された。

 上記の内容から分かることは、トラもハエも、それぞれが持つ権力を活かして利益を得ることに何ら疑問も持たず、当然と考えていることである。その権力の大小は別として、一度権力を握れば、その権力を大いに活用して稼ぐ、それが中国の長い歴史を通じて培われた伝統なのだ。従い、習近平がどんなに厳しく汚職撲滅運動を展開しようとも、一朝一夕に汚職が無くなることはない。石川五右衛門のせりふを借りれば、「浜の真砂は尽きるとも、世に汚職の種は尽きまじ」となるが、汚職撲滅運動が一段落すれば、物影に身を潜めていた汚職役人がまたぞろ息を吹き返すに違いない。中国ではそれが自然の摂理なのだ。

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」

日中両国が本当の意味で交流するには、両国民が相互理解を深めることが先決である。ところが、日本のメディアの中国に関する報道は、「陰陽」の「陽」ばかりが強調され、「陰」がほとんど報道されない。真の中国を理解するために、「褒めるべきは褒め、批判すべきは批判す」という視点に立って、中国国内の実態をリポートする。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20150513/281088/?n_cid=nbpnbo_mlt&rt=nocnt



まあ天津大爆発の原因が明らかに人災であることがわかったことでしょう。いわゆる汚職による安全無視、金儲け主義がその根源的な原因であった。

中国社会では、賄賂が事を円滑に運ぶためのビタミンであり、不可欠な酵素なのである。だから法の支配なんぞは空制度であり、誰も法律なんぞは守らないし守れないのであろう。

と言うことは国民のために政治を行う、否人民のために政(まつりごと)を行うのではなくて、自分の懐を肥やすために政を行うことが、中国では常態化しているようである。


さてこの浜海新区の開発計画は、「中国のマンハッタン」を目指して鳴り物入りで進められたプロジェクトであったが、この大爆発で期せずして天津市の開発計画の頓挫、財政破綻、ゴーストタウン化などがより明らかになってしまった。

ちなみにこの浜海新区はその昔「塘沽(たんくー)」と呼ばれていた地区なのである。塘沽とは満州事変の終結の協定が結ばれたところである。いわゆる「塘沽停戦協定」である。この件は小生ブログ「支那事変の真相(11~15)」(2013.2.18~2.25)等でも言及しているので、参照されるとよい。


その天津のゴーストタウン(鬼城)の状況は、2014.5.28付けの次の論考を参照するとよい。ゴーストタウン振りがよく判る。ゴーストタウン(鬼城)は、今に始まったことではないようだ。





中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス
天津にゴーストタウン、5兆元が泡
始まったバブル崩壊、対策は政治改革のみ
2014年5月28日(水)  福島 香織

 5月中旬に天津を訪れた。北京から高速鉄道で30分。港湾やコンテナターミナルが集中する唐沽地区まで1時間。首都北京に一番近い直轄市であり、東京と横浜のような関係に例えられる副都心である。その天津にわざわざ出向いたのは、天津市が事実上財政破たんとなっている、というニュースがちょうど話題になっていたからだ。「中国の未来のマンハッタン」を目指して鳴り物入りで開発されていたはずの響螺湾ビジネス区の工事が軒並み停止しており、中国最大規模のゴーストタウンが現れているとか。天津市だけでも7つのゴーストタウンが出来ているとか。本当かどうか、自分の目で確かめてみようと思ったのだ。

北京至近の直轄市、「絶対こけない開発」のはずが……

 ちょうど朝から雨模様の陰気な日だった。唐沽まで高速鉄道で行き、タクシーでまずは響螺湾ビジネス区に向かう。いわゆる浜海新区センタービジネス区のハイライトとなる開発地域で面積1.1平方キロ、総建設面積560万平方メートル、ビジネス、ショッピング、金融、コンベンション、観光などの機能が一体化した浜海地区の活力地帯、といった紹介記事が2012年11月の人民中国誌に掲載されていた。その当時は初期規模の街並みがすでにでき、一部「億元ビル」には企業誘致が始まっているということだった。

 だが、タクシー運転手に「ここが響螺湾ビジネス区」と連れてこられたのは、荒涼と静まり返った建築現場だった。小雨のけぶる向こうに、亡霊のように立ち並ぶ建設途中のビル群が見える。人の気配はなく、だだっぴろい道路は車が片手で数えられるほどしか通っていない。外見の建設が終わっているビルも、内装は未完成のまま。動いている建築現場はないかと、運転手にぐるぐるビジネス区内を走りまわってもらったが、行けども行けども、ゴーストタウン。ようやく見つけた現場作業員風の人に尋ねると、「給料をもらえないのに、作業する奴はいない。ここらあたり、もう2年くらい止まっているよ」と言い捨てた。

 中国の場合、工事が数年止まっても、しばらくしてから息を吹き返したようにプロジェクトが動き出すケースはある。資金が一時的に尽きて、2、3年現場放置、なんて言う事態は珍しくはないのだが、驚きは、ここが天津市浜海新区である、ということなのだ。首都北京から高速鉄道で1時間以内、渤海湾に面した最高の立地にあり、温家宝前首相の故郷で、現副首相、党中央政治局常務委員という指導グループの一人である張高麗氏がつい1年前まで市党委書記として開発の音頭を取っていた。絶対こけない開発プロジェクト、とまで言われた天津市浜海新区であるということなのだ。

 ちなみに浜海新区は総面積2270平方キロ、東京都がすっぽりおさまる広大な開発区で、ここにできる中国初のエコシティ建設には確かスマートグリッド方面で日系企業もいくつかかかわっていたはずだ。響螺湾ビジネス区を抜けても荒涼とした風景は続いていた。浜海新区のかなりの部分が工事停止に陥っているようだった。

公費600億元が消え、大ボス官僚は自殺

 天津市響螺湾ビジネス区のゴーストタウン化を写真付きで大々的に報じたのは独立系総合経済誌・財経だ。それによると、2006年から鳴り物入りで開発のゴーサインが出た同区では、今年夏までに地方政府および中央企業の投資で完成する予定の48棟の高層ビルプロジェクトのうち、実際に完成したのは2棟だけ。いくつかのビルは30億元以上のプロジェクトだったが、基礎用の穴を掘った段階で工事が止まっている。このほか、20棟ばかりのビルがすでに竣工しているのだが、いずれも無人。管理が行き届いておらず、外壁が崩れ始めている。

 海浜新区政府の財務上の統計によれば、2007年にこの区に投じられた政府ローンだけで500億元を超え、加えて国家予算から100億元が投じられていた。つまり政府系の投資だけで600億元が投じられている。響螺湾を中心とした3.2平方キロメートルの地域への投資は07年上半期だけで300億元。天津市の他の開発区、保税区、高新区の財政収入は239.4億元、財政支出は118億元。財経の見出しは「600億元投じてゴーストタウンを造った」だった。

 天津のゴーストタウン問題は数年前からちらちらと話題には出ていたが、中国メディアが特に注目するようになったのは、天津TEDA(経済技術開発区)投資信託公司の前会長で、天津市政治協商委員劉恵文氏が4月19日に自宅で自殺した事件がきかっけだ。浜海新区開発の旗振り役であり、天津金融界の大ボス的存在の官僚だ。正式に自殺とは報道されていないが、長らくうつ病だったと伝えられていた。詳報がないものだから、新区開発の失敗、あるいは汚職の責任問題で追い詰められていたのではないかという憶測が流れた。

 ちなみに地方官僚の自殺は習近平政権になって急激に増えており、昨年1月から今年4月まで不審死した官僚は54人、うち自殺は23人に上る。都市開発の資金繰りに失敗したり、汚職問題が背景にあると指摘されている。

 劉氏自殺事件に続いて、4月21日、「天津投資詐欺事件」が明るみに出た。全国各地、3000人の被害者が天津市の陳情局に詰めかけ、この騒動が微博などに流れたのだ。
(続く)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(14)

2015-12-03 00:00:00 | Weblog

 それでは、事の発端となった趙傳水が告発した贈賄事件とはどういうものだったのか。中国メディアが報じた事件の概要を取りまとめると以下の通り。

ネットで暴露、子会社糾弾が発端

【1】2014年の初春、ネットの掲示板に「徳州商人の“行賄日記(贈賄日記)”」という書き込みがなされた。それは徳州市の商人が地元の役人に対して行った贈賄を記録した日記を暴露したもので、世間の注目を集めて大きな話題となった。ネットに書き込みを行ったのは照東方紙業集団を率いる趙傳水であった。暴露された「贈賄日記」は“福洋生物科技有限公司”の法人代表である“張雷達”が書いたもので、その20冊近い日記には張雷達が多数の役人たちに賄賂を贈った詳細が記録されていたのだった。福洋生物科技有限公司は照東方紙業集団傘下の企業であり、どうやら告発者の趙傳水と被告発者の張雷達の間には経済的なもめごとがあり、告発は親会社の経営者が子会社の法人代表の不正を糾弾するという個人的な目的のためになされたものであった。

【2】「贈賄日記」の暴露が個人的な目的のものであったとはいえ、習近平総書記が主導する“反腐敗(汚職撲滅)”運動の推進を旗印に掲げる徳州市と平原県の紀律検査委員会および検察機関にとって、告発内容は格好の的であり、彼らは速やかに「贈賄日記」に基づきその内容の裏付け調査に着手した。その結果、以下の事実が判明したのだった。

(1)「贈賄日記」が暴露される以前、宋振興は平原県財政局の局長として平原県の財政を牛耳り、“財政爺(財政の旦那)”と呼ばれて権力を振るっていた。財政面で恩恵を受けようと思ったら、宋振興の特別配慮が不可欠だった。2008年から2012年の間に、宋振興はその県財政局長の地位を利用して、福洋生物科技有限公司の法人代表である張雷達が平原県財政局に「つなぎ資金」などの資金援助を申請した際に便宜を図り、張雷達から現金および商品券など、総額67万元(約1293万円)を受け取った。また、2009年から2012年の間に、“山東大蔡牧業有限公司”の法人代表である“蔡福涛”がつなぎ資金などの資金援助を申請した際に特別扱いし、返礼として現金や商品券など、総額17万5000元(約338万円)を受領した。

(2)これ以外に宋振興は財政局長の地位を利用して、各県政府の関連部門、郷・鎮政府、県直営企業などの機関が財政配分や経費支払いを受ける際に良いように取り計らい、その見返りとして謝礼を受け取った。2007年の“中秋節(旧暦8月15日)”から2014年の“春節(旧正月)”までの間に、祝祭日の祝儀という名目で、多くの政府機関や事業組織、国有企業などが宋振興に贈った現金や商品券などの総額は315万1000元(約6081万円)に上った。

(3)収賄だけでなく、宋振興は各種の名目を立てて偽の領収書を発行し、国家資金を横領した。2009年9月、宋振興は平原県“水利局”副局長の“宋慶波”および徳州市“徳城区”にある“華建鋼結構”サービス部の業務課長“代斌”と結託して、架空の工事をでっち上げて財政資金から50万元(約965万円)を横領した。さらに、2006年から2009年の間に、宋振興は担当していた平原県農業開発弁公室主任と平原県財政局長の地位を利用して単独あるいは他人と共謀して、公金130万元(約2509万円)を横領し、他人から現金および商品券を受領したが、その総額は401万5100元(約7750万円)に上った。

発覚で返金も後の祭り

【3】宋振興は2007年12月の検察機関による会計監査と2014年3月の紀律検査部門による取調べの時点で前後2回にわたって、平原県財政局に全ての“賍款(汚職で得た金銭)”を返却していたが、こうしたあがきは後の祭りであった。2014年10月16日、“徳州市人民検察院”は宋振興を汚職罪と収賄罪で、宋慶波代斌を汚職罪で、それぞれ起訴した。2015年4月3日、徳州市中級人民法院は各被告に対する一審判決を下した。判決は被告人宋振興を汚職罪により懲役7年、収賄罪により懲役12年および30万元の財産没収とし、最終的に懲役14年と30万元の財産没収とする宣告を下した。また、被告人宋慶波は汚職罪により懲役5年、被告人代斌は汚職罪により懲役3年に処せられた。なお、被告人の宋振興、宋慶波、代斌が汚職で得た金額は押収した機関から元の組織に返還されるし、被告人宋振興が収賄で受け取った金額は押収機関から国庫へ納入されることになっている。

2.「贈賄メモ」によるハエ退治:

雲南省の省都“昆明市”で建築請負業を営む“李存要”は、“80后(1980年代生まれ)”というから年の頃30歳前後であろうか。李存要は貧困の故に故郷の中学校を中途退学してから昆明市へ出稼ぎに来た。昆明市では、建築現場の臨時雇いとして10年間ほど働いた。その経験を活かして独立した李存要は2010年の下半期から昆明市“北市区”にある“瓦窑村”で民家の建設を請け負うようになった。これらの民家はどれも違法建築で、建物が順調に建ちさえすれば、建築主は工事代金を気持ちよく支払ってくれるのが常だった。こうして徐々に資金を蓄積した李存要は、その後、昆明市郊外の農村4カ所で建設工事を請負ったし、2011年になると昆明市の西南部に位置する“西山区”の“団結街道”周辺でも請負工事を受注した。それは民家の建設にとどまらず、室内装飾にまで及んでいた。

“城管”が、ゆすり、たかり

 李存要が建設工事を請負った民家の工事費は、材料費込みの平均で1平方メートル当たり800元(約1万5500円)前後のレベルで、当時の業界価格に照らせば順調に建設が進みさえすれば十分に利益が望める水準だった。しかし、それは通常は“城管局”と略称される“城市管理綜合執法局(都市管理綜合執法局)”の役人に目をつけられなければという前提での話であり、一度城管局の役人に言いがかりをつけられて、厄介な要求をされたら、それに伴う損失の全ては“包工頭(請負業者の親方)”が負担しなければならないのだった。

 “城管局”とは都市の環境衛生、違法建築、違法駐車、無許営業などの取締りを行う法律の執行機関であり、昆明市の場合は、昆明市城管局の傘下に上述した“北市区”や“西山区”などの各区の城管局がある。一般的に“市城管局”の役人は“区城管局”の役人を統括する立場にあり、どちらかと言えばまともな役人が多いといえるが、区城管局の役人は現場に出て直接取締りを行うことから、役人風を吹かせて威張り散らし、違法行為を見付けては黙認するとして「ゆすり」や「たかり」に精を出す者が多い。もっとも、区城管局には役人だけでなく、ならず者や失業者が数多く臨時に雇われて取締り官として街を巡回しており、彼らが庶民を脅して小遣い稼ぎをすることは常態化している。従い、“城管局”の取締り官は庶民から忌み嫌われる存在であり、庶民は彼らを総称して「“城管”」と呼び捨てにしている。

 さて、上述の通り、李存要が建築を請負う民家はそのほとんどが違法建築であり、城管にとっては格好の獲物と言えた。当時、李存要は西山区の“和平村”、“小廠村”および“花紅園”区域で請負った住宅を建築していたが、この地域を管轄していた城管は“西山区綜合執法大隊団結中隊”の隊員たちであった。彼らは李存要が手掛けている民家の建築現場に顔を出しては、仕事の邪魔をしたり、車を差し押さえたり、施工工具を没収したりして嫌がらせを繰り返した。これは予定通りに建築工事を進めたい李存要にとって頭の痛い問題だった。このままでは建築主に約束した期日に建物の引渡しが出来なくなるし、利益も出なくなる。城管の嫌がらせを止めさせるには、彼らに“好処費(リベート)”を支払うしかない。

「さもなければ、建屋をぶち壊す」

 こうして李存要は団結中隊の中隊長である“何先亮”に3万元(約58万円)を賄賂として贈った。賄賂を贈った後、李存要は何先亮にあそこで民家を建築中だとだけ告げ、他の隊員に対しては、「あんたらの中隊長が了解済みだから、俺が建てる家にあんまり難癖をつけないでくれ」と頼んだ。これに対して、他の隊員たちは「あの親方は俺たちにはリベートのカネを払ってないし、どのみちあの建物は違法建築なのだから、皆で適当に難癖を付ければいいさ」と話していた。

 それからは、隊員たちは李存要をつかまえては、「タバコを買うカネがないから、1万元(約19万3000円)ほど用立ててくれないか。兄弟たちで分けてタバコを買うから」とか、「もうすぐ祝日だが、こんなに長い間あんたを守ってやったんだから、そろそろ俺たち兄弟を慰問しても良いんじゃねえか」とか、「俺の携帯電話が壊れたから、新しいのを買うのに5000元(約9万7000円)ほど都合してくれ」などと言ってはカネをせびり取った

 中隊長の何先亮に比べて、管轄地域を巡回するのが“執法組長(取締りチーム長)”の“林春”は公然と賄賂を強要した。2011年10月に李存要が民家3軒の建築を請負ったのを知ると、林春は李存要に面を向かって「3万5000元(約67万6000円)出した方が良いぞ。さもなければ、建屋をぶち壊す」と脅した。仕方ないので、李存要が一席設けて2万5000元(約48万3000円)を支払うと、林春はその後一切何も言わなくなった。

 こうした城管の狂気じみた賄賂要求に直面して、不満を禁じ得なかった李存要は城管に賄賂を贈るたびに、その記録を『“行賄筆記(贈賄メモ)”』に書き記した。それは普通のメモ帳にびっしりと書かれた支出の記録で、各種建材の購入代金や職人の給与といった支出のみならず、城管に贈った賄賂の明細が相手の氏名、金額、品目などを含めて克明に書かれていた。もっとも、李存要が当該メモを書き始めた当初の目的は、請負工事の損益を計算することであったが、それは後に接待費の金額を確認して建築工事の採算を見極めるためのものに変わっていたのだった。

 2014年に“西山区検察院”の“反貪汚賄賂局(汚職取締局、略称:“反貪局”)”によって国家公務員への贈賄容疑で逮捕された李存要の裁判は、2014年12月11日に“西山区人民法院(簡易裁判所)”で結審した。被告人の李存要は国家の法律を無視し、不当な利益を得ようと3人以上の国家公務員に財物を供与したが、その行為は贈賄罪を構成し、極めて重大であるとして、李存要に対して懲役5年の一審判決が言い渡された。

 当局の告発によれば、2011年から2012年の間に、被告人の李存要は団結街道で違法な民家の建築を請負い、約束の期日に建屋を引き渡そうと、西山区綜合執法大隊団結中隊の中隊長である何先亮に2万9000元(約56万円)の賄賂を贈ったのを皮切りに、同中隊の隊員である林春に5万7000元(約110万円)、同じく隊員の“楊東”に1万4000元(約27万円)、同じく隊員の“李彪”に3万9500元(約76万円)、同じく隊員の“李戸”に5000元(約9万7000円)、同じく隊員の“楊鎖柱”に6000元(約11万6000円)の賄賂をそれぞれ贈った。調査によれば、そのうち3回の合計2万9900元(約57万7000円)は李彪が自ら強要したもので、不当な利益を得ることを目的としたものではなかった。上記の事実から贈賄総額は11万6000元(約224万円)と認定された。
(続く)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(13)

2015-12-02 00:00:00 | Weblog

■庶民にはびこる腐敗

 中国には誰もが知る有名なことわざがある。

 「過了這個村,没這個店」

 村をいったん通り過ぎてしまえば、もうお店を見つけることはできない――。日本のことわざで言うなら、「柳の下の泥鰌(どじょう)」。柳の下で一度、泥鰌を捕まえたからといって、いつもそこに泥鰌がいるとは限らない。いつも幸運を得られるものではないという戒めを込めたことわざだが、今の中国では、こんな解釈がはやっている。

 「その職場で、権限を使わないと、2度とチャンスは訪れない」――。

 習近平は「虎(大物)もハエ(小物)も同時にたたく」とのスローガンを掲げ腐敗撲滅運動を推し進める。共産党内部の権力闘争はいまだ冷めやらず、大物取りが連日、報道で伝えられる。それを見てスカッとしている庶民が実は腐敗に漬かっているのだ。

 子供を有名大学に入れるための袖の下は序の口だ。将来自分の子を共産党幹部にしようと、小学校の学級委員にさせたり、病院で不機嫌な看護師から機嫌良く注射1本を打ってもらったり、ただそれだけのためにカネが動く。社会のありとあらゆるところで、賄賂の類いが頻繁に行き来するそれが中国の一面である

中国では、一般の民間企業に勤める社員が、激しい中国ビジネスの競争を勝ち抜くのは、容易な事ではない…(9月、広東省広州市)

 日本の場合、一般企業でも従業員が取引先から裏リベートを受け取れば就業規則違反による懲戒免職に相当する。それだけでなく、本来値引きで会社の利益になる分をキックバックとして受け取ったことが立証されれば、背任や詐欺、業務上横領などの刑事責任を問われる可能性もある。雇用主の企業にとっては思わぬイメージダウンにつながりかねない。独フォルクスワーゲンや東芝の不祥事で企業統治にこれまでにない厳しい目が注がれる中、日系企業はいつまで見て見ぬふりをできるだろうか。

 今年1月、日立製作所の中国エレベーター合弁子会社のトップが突然、当局に拘束されたことが明らかになった。汚職容疑だった。容疑は日立合弁での業務に関わるものなのか、別にトップを務める国有企業でのものなのか明らかになっていない。だが、彼の下で仕事をしていた中国人社員が最近、こんな事を話してくれた。

 「捕まったあの方は、我々のような日系の外資企業が、中国ビジネスでいかに勝ち抜くか、まさにそれを全身で教えてくれた立派な人でした。だからこそ、うちは中国では大きくなれました。ですが、あの方が突然いなくなり、今後、うちのような日系企業がどうなるのか心配です。中国では建前だけでは会社は大きくはなれません。大きな仕事を取るためには、人脈が必要です。人脈をつくるには、多くのお金がかかるのが現実です」

 今回の取材では、紹介し切れぬほど、数多くの日系大手の企業の名前が挙がってきた。改めて、中国に駐在する日本人ビジネスマンに感想をたずねてみると、こんな答えが返ってきた。

 「これ(腐敗)は、もはや中国の商習慣なんです」「中国の文化、必要悪なんです」「いまさら言ったところで、しょうがない」「目をつぶっておいた方がいいんですよ」「知らないふりが一番

 「そっとしておいた方がいいんですよ」

=敬称略
(広州=中村裕)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO92847300V11C15A0I00000/?n_cid=MELMG001


これを読むと、中国で汗水たらして働いている日本人のご苦労振りに頭が下がると言うものである。こんな状態であるからして、習近平の「”虎”も”ハエ”も一緒に叩く」と言う腐敗撲滅運動の必要性もわからないでもないが、問題は共産党一党独裁政治にその原因がある、と言うことに気付こうとしないところが大問題なのであろう。

先に紹介したPHPの雑誌Voice10月号福島香織氏の寄稿文「天津爆発をめぐる政治の暗闘」の末尾には、「報道の自由、言論の自由による事件の検証と、法の下のフェアな責任追及と再発防止策しかないのだが、それらは習近平政権に最も欠けているものである。」と書かれているように、自由・民主・基本的人権・法の支配と言った民主的国民国家を形成する理念なくしては、この問題の再発防止は無理なことであろう。

こんな状況であるから、天津大爆発事故の責任問題と原因追求や再発防止もウヤムヤとなってしまうであろう事は、自ずと理解できてしまう。この上記の論考の表題に「習主席も止められない」とあるように、習近平の腐敗撲滅運動の成功は覚束ないもので、単なる権力闘争で習近平の政敵が排除されて終わるのではないのかな。

もうひとつ中国社会に腐敗がビルトインされている例を掲げる。




世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」
「贈賄日記」「贈賄メモ」中国に汚職の種は尽きまじ
「反腐敗」に立ちはだかる「役人の伝統芸」
2015年5月15日(金)  北村 豊

 2012年11月の中国共産党第18期中央委員会第1回全体会議で中央委員会総書記に選出された習近平は、就任後間もない2013年1月に「“老虎(トラ)退治と“蒼蠅(ハエ)駆除を同時に行う」と述べて“反腐敗(汚職撲滅)”運動を積極的に展開する決意を表明した。

 トラとは庶民の上に君臨して大きな腐敗を行う指導幹部を指し、ハエとは庶民の周囲で小さな腐敗を行う官僚たちを意味する。それから2年が経過し、汚職撲滅運動は一定の成果を上げており、庶民は習近平が主導する汚職撲滅運動に喝采を送る一方、役人たちは身をすくめて嵐の通り過ぎるのをひたすら待ち望んでいる。

贈賄の詳細な日記が汚職逮捕の決め手に

 そんな中、中国メディアは、トラが「贈賄日記」によって退治された事件とハエが「贈賄メモ」によって駆除された事件を個別に報じた。いずれの事件も、役人に賄賂を贈ることを迫られた被害者の贈賄を克明に記録した「日記」と「メモ」が汚職役人逮捕の証拠となったのだった。中国で巧みに生きて行くためには権力を握る役人と上手に付き合うことが必要だが、そのためには賄賂が不可欠である。その実態が見て取れる2つの事件の詳細は以下の通り。

1.「贈賄日記」によるトラ退治:
 山東省“徳州市”は省の西北部に位置する560万人の常住人口を擁する地方都市であり、同市に属する“平原県”は人口45万人規模の小都市である。2015年4月2日、“徳州市紀律検査委員会”と“平原県紀律検査委員会”は“照東方紙業集団”を経営する“趙傳水”から提起された贈賄事件の告発を受けて、賄賂を受け取ったとして29人の党員幹部の処分を発表した。さらに翌3日には“徳州市中級人民法院(地方裁判所)”が“平原県政治協商委員会”の元副主席で、同県財政局の元局長であった“宋振興”に対し汚職と収賄の罪により懲役14年、30万元(約580万円)の財産没収の判決を下した。
(続く)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(12)

2015-12-01 00:00:00 | Weblog

■「権限委譲、好都合だった」

 しかしなぜ、コンプライアンス(法令順守)に厳しいはずの日本企業で、こんな不正が可能なのか。寧に毎月、キックバックを振り込むIT関連企業の中国人男性担当者、張建新(36、仮名)との接触に成功した。彼は中国ビジネス社会の常識や裏側を、分かりやすく、丁寧に語り始めた。

 「中国でビジネスをするなら、何かしらの便宜やキックバックは欠かせません。何も無ければ、人は動かない。仕事は永遠にもらえない。ただ、それだけですよ」


中国ビジネスの裏側、実態について話をしてくれた張建新は、「できればキックバックなどはやりたくない」と語った
(9月、広東省)

 張はそう言い切った。張が勤める中国企業は中国では中堅クラスのIT企業。取引先は、ほぼすべてが中国に進出する大手日系企業だ。張によると、取引がある100社の日系企業のうち、約90社の日系企業でこうしたキックバックの裏取引が「中国人同士の間で日常的に行われている」のだという。

 「今のキックバックの相場は5~10%」(張)。だが、「こんな中国ビジネスの常識ですら、日系企業の駐在員の日本人ビジネスマンは良く分かっていません」。張はそう言って話を続けた。「彼ら大手の日本企業のサラリーマンの中国駐在は、おおよそ4、5年と短く、複雑な中国人社会や中国ビジネスをよく理解しないまま、人事異動で日本へ帰国してしまいます」

 「それでいて日本企業は最近、一生懸命、現地化が大切だとか、中国人に権限を委譲すべきだとか、中国になじもうと努力はしてくれてはいるが、それは反面、中国人にとっては非常に都合の良いことだった」と張は話す。

 なぜなら、「中国人に権限を委譲してくれる分、キックバックなど裏取引はやりやすくなる」からだ。「ただ、仮にもし日本人社員が中国人社員の不正に気付いたとしても、日本人はおとなしいからなのか、中国人同士の面倒な事に巻き込まれたくないのか、大抵何も言ってこない」。張は少し苦々しい表情で、こう中国ビジネスの裏側を語った。

■偽領収書で経費水増し

 寧が勤める日系大手自動車部品メーカーの場合も、状況は全く同じだ。IT管理部門で働く寧の上司の部長は、40代男性の日本人。中国駐在歴は約1年とまだ浅く、「中国の事情をあまり良く分かっていないまま、今も仕事を続けている」(張)といい、一見、真面目に見える部下の寧にも、全幅の信頼を寄せているのだという。

 そんな日本人上司の下で働ける寧が喜んでいるのは言うまでもない。「まさか裏でキックバックの取引が行われているとは、日本人の部長は全く思っていない」(同)のだ。


中国では、領収書を不正に販売する業者から、勧誘のFAXが毎日のように、各企業に大量に送りつけられてくる

 張は問題の核心、キックバックの費用をどう会計処理しているかについても語り始めた。

 「一般に中国の民間企業の場合、社員が、家族や友人と食事に行った時、会社名義で領収書をもらうなど、普段から会社全体で領収書をあちこちから集める工夫をしています。それでも、キックバックなどで客先に支払った金額に比べ、到底足りませんから、足りない金額分は、領収書を専門に売る業者のところにわざわざ買いに行って、帳尻を合わせるのです」。実際、中国には、領収書を不正に販売する業者が山ほどある。

■車の中で、札束を

 「私は絶対に足跡が付かないように、銀行口座は使わず、キックバックは、いつも現金で相手に手渡ししています」

 中国内陸部の中核都市、湖北省武漢市。経済発展著しい同市内の中心部で、大手企業向けに通信関連のシステム工事を手掛ける企業のトップ、中国人男性の李金平(50、仮名)はこう打ち明ける。この会社は電子部品や自動車関連メーカー向けに、各種のシステム工事を手掛けているが、やはり「取引先の中国企業はもちろん、大半の日本企業の取引先でも、当たり前のように中国人担当者からキックバックを求められ、裏取引を行っている」という。

 手口はいつも同じだ。 まずは商品を注文してくる先方の日系企業の中国人担当者から、李の会社に、システムの注文段階で合図が送られてくる。例えば「今回はプラス1で」といった具合だ。プラス1とは1万元(約20万円)のこと。プラス6なら6万元(約120万円)だ。それがつまりキックバックの要求金額になる。そのキックバック分の金額を、見積もり金額の中にうまく入れ込み、先方の会社に、正式な見積書として提出するのだ。

 そうして、商品を注文してくれる中国人担当者の“指示通り”に作った見積書を、提出しさえすれば、仕事は予定通りに落札、受注させてもらえる。その後、システム工事が無事完了した段階で、李はいよいよ工事を発注してくれた中国人担当者を、電話で食事に誘い出す。

 2人だけで食事を済ませた後、李が車で相手を自宅の目の前まで送り届けた段階で、誰も見ていない車の中で、資料に札束を入れた封筒をはさんで手渡すのが、李のいつものやり方だという。「相手は何も言わずに黙って受け取ってくれ、次の仕事のチャンスをまたくれる」。いつもがこの繰り返し。キックバックの相場はやはり、工事代金の5~10%だ。

■タイミング良く席を立つ

 日本人がまったく蚊帳の外かというと、そうでもない。

日本人営業マンの高塚克彦は、「中国でキックバックを止めれば、仕事は他の会社に持っていかれるだけだ」と話す

 「もう、私は、中国ビジネスのやり方に、慣れ過ぎてしまいましたけど…」。そう話すのは、広東省広州市に拠点を持つ、ある日系大手の上場企業で営業マンを務める日本人男性の高塚克彦(44、仮名)だ。

 彼には、10年近い長年の中国駐在経験で身につけたちょっとした“技術”がある。中国に進出する日系メーカーを中心に営業をかける高塚の会社では、営業に強い中国人の営業マンと、技術に強い高塚のような日本人の営業マンが、ペアを組んで、客先に営業をかけるのが、社内ルールになっている。

 そんなスタイルで日々営業を重ね、客先の会社でようやく商談がまとまりかけると、日本人の高塚はきまって、携帯電話に電話がかかってきたフリをして、商談中、席を外すのだという。その理由は、「キックバックの相談を中国人同士で話ができる環境をつくってあげる」(高塚)こと。中国ビジネスではそれがマナーで、重要だと言うのだ。

 いくらキックバック慣れした中国人でも、引け目はあるのだろう。「日本人の前で、そういう話はしたくないのは、彼らのせめてものプライドなんです。だから私は、自然な形で席を立ち、中国人のプライドを傷つけないよう心がけている」という。

 もちろん高塚自身、日本人として、思いは複雑だ。取引先の日系企業に勤める若い中国人社員が、自分がもらう給料の何倍ものお金をキックバックで得て、数千万円のマンションを買い、高級車に乗る姿を幾度となく見てきたからだ。

 業種で見ると、広告業界、建設業界、自動車関連業界、IT業界、不動産業界など、扱う商品やサービスの金額規模が比較的大きかったり、商品の価格設定が分かりにくい業界で、やはりキックバックが横行し、腐敗の温床となっている場合が多い。

 しかし、高塚は「この中国のビジネスの世界で、顧客からのキックバックの要求を受け付けずに商売をやることは相当厳しい」と切実に打ち明ける。自らがやめても、やめない会社は中国には無数にあり、「それらの会社に仕事を持っていかれるだけ」だからだ。
(続く)
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