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まちべん、「豊田市の将来都市構造」 その1

2019-01-18 | 都市計画・まちづくり

 「都市構造」という言葉に惹かれ、豊田市都市交通研究所の88回目の「まちべん」に、1月16日初めて参加した。研究所は都市交通だけでなく住宅、店舗、工場配置など広く都市問題を、行政と独立して研究すべきであると思っている。やや自動車に特化した都市交通の実験に思え、成果が市民に利用されているとは感じられない。しかし、公開で発言自由な「まちべん」の姿勢は評価できる。

 30分は「豊田市の目指す将来都市構造」の説明で、そのあとは質疑・意見交換であった。短時間であり、過去・現在の都市構造の確認、検証はなかった。3点ほど質問し議論を踏まえ、改めて豊田市の都市構造について考えメモした。

1 「都市の広域化、スプロール化」では、これまで「人口増加時代では広域化しスプロール化が進んだ」とレジュメにある。

 広域化、スプロール化は事実である。なぜ進んだのか?私の考えは、高度成長では市外から労働力が流入し、住宅は地価の安い所を購入した。郊外地の下山であり、藤岡であった。行政なども保育園、学校建設、住宅建設を進め、民間も郊外地の団地開発を進めた。豊田市は岡崎市と比べて時間のかかる区画整理事業は行ってこなかった。交通など利便性の良い中心市街地は敬遠され、開発者は郊外地で新規の造成費が安い、購入者は車通勤を前提にする。既存市街地の地主は賃貸アパートや貸駐車場に資産活用(「恩恵」)した。さらに、合併が繰り返され、「低密度の分散型市街地が形成された」(佐藤圭一)。なぜ、市街化調整区域や都市計画区域外(藤岡は編入)は開発制限がされなかったのか?既存の権利、農家の分家、沿道サービス、集落店舗、公共施設など、線引きの目的をスルーしてきた。これがスプロール化の要因であった。(石田頼房に倣って歴史的な区分を整理してみたい。)区域区分と現在の立地適正化計画との関連、コンパクトシティ論との関連を明らかにすべきである。市街化区域も虫食い的に乱開発されてきたが、現在の豊田市の立地適正化計画では市街化区域では虫食いがない、人口密度はあり住宅開発の余地がないとしている。

 駅前再開発の超高層マンションをはじめ、建築規制の緩和で不揃いの高層マンションがあちこちに乱立している。(都市の魅力や価値を下げるものである。)

2 人口の将来展望

 国立社会保障・人口問題研究所の人口推計と豊田市の人口の将来展望が違うことは、私も気づいていた。2030年には430423)千人、2040年は424409)千人である。国などは人口減少社会、「成熟社会」を想定しているが、県内の多くの市も根拠なしに「夢のある」人口増加にしていている。つまり成熟したまちづくりは想定していない。

 発表者は将来の目標人口を達成するために、2つにまとめている。1つは、現在の区画整理事業での人口増加。2つは。駅周辺の人口維持である。(市の立地適正化計画では新市街地を拡大し区画整理を行う、調整区域の地区計画推進で住宅地供給策である。新市街地の拡大方針は県の区域マスタープランでは実現しなかった。)

 これに対して、新市街地の拡大はもちろん、区画整理事業は時代遅れ(「過去のもの」西村幸夫)である、というのが私の意見である。理由は人口減少期にある。毎年出生数の総数は減少している。人口の社会増減は産業の盛衰に関わる。自動車も先行き不透明である。豊田市は社会人口が名古屋市、岡崎市、みよし市に多く転出している。魅力的な子育て支援の政策を打たなければ、人口増加はない。(非正規を減らし正社員の定職に就かなければ定住できない。さらに給料が良くなければ好条件の住宅は取得できない。)岡崎市の区画整理事業の施行率は高くすでに終わっている。地価の上がらない時代に減歩率が高くては区画整理は進まず市施行が多くなる。(それに国家財政は破綻寸前であり、富裕自治体の法人税は国にピンハネされるなど、財政事情は厳しくなる。)豊田市の住宅マスタープランでは、地価は他市と比べて高くないとしている。

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