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スペインと日本人

2013-09-08 | 気になる本

 福岡スペイン友好協会・川成、坂東編(2006)『スペインと日本人』丸善
 Ⅰ部はドン・キホーテの出版400年記念のシンポの記録で、それをどういう角度からどう読むか、幾つかの参考になる意見が載っています。ドン・キホーテは青年の頃読んだ漫画か絵本かで、あらすじを知っている程度です。気になった幾つかのポイントを以下に拾いました。書かれた時代背景を理解すること、文盲が8割で言論の自由がなかった。戯言で本音を代弁した。読んでいない方は全編第1章と、後編最終74章のみ読むことを薦めています。また、本田(2005)『セルバンテスの芸術』水芸社で、キリスト、イスラム、ユダヤ教の共生の時代から、セルバンテスの「対立の時代」、「言葉による平和の道」(坂東)を紹介しています。宗教対立と戦争、大航海時代(無敵艦隊敗北1588)、スペイン内戦とゲルニカが今の私の大きな興味となっています。
 Ⅱ部では各界関係者がエピソードを交えたスペイン論を語っています。日本との関わりで教科書にも載っているフランシスコ・ザビエルがあります。天正遣欧少年使節団(1582~90)もあります。日本では弾圧されたクリスチャン、衰退した仏教、新興宗教と政治など大きなテーマがあります。川成の第15国際旅団の炊事兵・ジャック白井も興味深いです。「第2次政界大戦の前哨戦」とも言われた「スペイン内戦(1936~39)の緒戦段階で、ドイツとイタリアの両ファシスト政権から援助を受けたフランコ反乱軍」を説明しています。アメリカのイラク侵攻と諸外国、そしてシリアへの派兵中止の英議会、ドイツ、イタリアの派兵反対態度など、歴史に学ぶ態度は日本との違いでしょうか。共和国の成立背景、国際旅団の経過など興味が湧きます。坂東は南蛮の道で、司馬の「街道をゆく」、ピレネーの向こうはアフリカ、ヘミングウェイの生誕地パンプロナ(バスク、牛追い)など紹介しています。堀田善衛の『ゴヤ』や『スペインの断章』と、その歴史分析等紹介されています。プラド美術館でゴヤの作品が見られることも楽しみです。
 2020のオリンピックは東京に決まり、マドリッドは外れました。スペインは経済危機に苦しんでいるようです。日本も財政危機で、福島原発汚染水も抱えています。アベノミクスの経済効果は大企業、資産家の一部のみでどこまで続くのでしょうか。日本とスペインの歴史、文化、経済、政治、生活等、少しづつ比較しながら勉強しようと思います。
(写真は産廃計画地付近の一色町生田です。記事とは関係ありません。)
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