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山田「債務大国日本の危機」最終、展望は?

2024-05-08 | 気になる本

6章 今後の展望

大企業の内部留保は毎年増え続け、22年度には511.4兆円に達した。投資家も稼ぎまくり、国内の株式配当金で毎年約30兆円、海外投資からも約20兆円の利子・配当金を受け取っている。純金融資産1億円以上持つ富裕層世帯は、364兆円の純金融資産を保有する。だが、全世帯の3割はそもそも金融資産をもっていない。実体経済を脆弱化させ、円安と株高を主導してきたアベノミクスと、それを継承する政権の経済運営の結末である。日本の最大の貿易相手国がアメリカから中国に交代したのに、対米従属外交に固執し、アジアの新時代に対応した展望を見失っている

アベノミクスが始まったのは2013年度であったが、アベノミクスの検証しておこう。

第一に、世界経済における日本経済の地位が低下した。

第二に、アベノミクスは株価や株式時価総額を倍増させ富裕層の資産を倍増させた。しかし3割の世帯が金融資産を保有していない。日本社会では資産格差を拡大した。消費税は5%から8%さらに10%へと2回も引き上げ、国民所得に対する税社会保障の負担率は39.8%から47.5%へ跳ね上げた

第三に、大資本の自由と利益を最優先する新自由主義のアベノミクスは、国内での設備投資や賃金の支払いを渋る企業経営のあり方を放置してきた。大企業は内部留保を1.5倍に増やし511兆円を溜め込んだ

第四に、累積した政府債務(国債発行残高)は日本を世界トップクラスの政府債務大国に転落させた。自国のGDPの2.5倍である。

物価高の背景は、第1に世界金融恐慌のリーマンショック、さらには新型コロナウイルスのパンデミックに直面した各国政府と中央銀行が採用した大規模な財政金融政策である。不況対策や生活支援のための大規模財政出動は必要な対策である。だが各国の中央銀行が世界経済の成長をはるかに上回る大規模の資金供給を生み出したため、実体経済に必要とされる通貨量を超えた過剰な通貨が流通し、通貨価値の下落と商品価格の全般的な上昇=インフレーションが発生したからである。第2の背景は、ロックダウンによるグローバルなサプライチェーンの切断で世界生産が低迷し供給源になったこと、ロシアウクライナ戦争が資源原材料の供給減をもたらしたことである。

円の暴落を加速したのはアベノミクスと現在に至る異次元金融緩和政策である。円暴落が直撃するのは自給率が低く、多くを輸入に依存する石油・天然ガスなどのエネルギー価格、鉱物資源や原材料価格、さまざまな食料価格である。

円安・物価高の連鎖を立切り、物価高から国民生活を守るには、異次元金融緩和政策から脱出し、異常な水準の金利格差と円高を回避しつつ、賃上げ、消費税減税、家計への補助などの政策展開が喫緊の課題になっている。

日本は輸出入ともドル建て決済の割合が異常に高い。公的な外貨準備となるとドルの割合はさらに高い。日本の外貨準備高は中国に次ぐ世界第2位の1.2兆ドルの約8割を閉めるのはアメリカ国債でありその他のドル焼きも含めると9割以上は米ドルで保有されている世界経済の中心はアジアの時代である日本の輸出入総額168兆円の53.1%はアジア経済圏に依存する中国韓国インドASEAN諸国をはじめとしたアジアの国々と平和的に共存共栄する道を選択する仕事でしか日本の経済成長と繁栄はできない時代が到来したといえる。

目先の利益でマネーを暴走させ、バブル経済の膨張と崩壊を繰り返すカジノ型金融独占資本主義は「1%の金融独占資本と株主と富裕層」のための経済である。1%のための経済から持続可能な「99%のための経済」に転換することである。第一に物の取引を伴わない投機的な金融取引には課税し、実体経済から乖離したマネーの暴走を抑え込むことである。第二に国や地域の経済活動の中で稼いだマネーの一定割合は、その国や地域の発展と安定のために再投資し循環させる仕組みを確立することである。第三に中央銀行の独立性を保証し時の政権や経済界の意向に屈服せず「物価安定」の大目標を実現することである。第四に21世紀の人類敵拠点に立ち国連総会で採択された持続可能な開発目標17の目標達成できる各種政策を充実させ実行させることである。

コメント

アベノミクスの異次元金融緩和が日本財政の借金大国にし、利上げで円安を止められない。自給率の低い日本の物価はインフレに向かうであろう。裏金問題、武器爆買い問題、アメリカ従属で中国との対立強化、民主主義の崩壊など日本は危機的状態にある。新自由主義の日本経済、資本主義社会は限界で在り、大企業・富裕層だけが利益を得て、資産のないものと貧富の格差が拡大している。自民党政権は裏金、企業団体献金、政党助成金、官房機密費など金権腐敗政治である。武器の爆買いを止め、消費税減税、大企業など応分の課税、非正規の削減、日米安保廃棄、アジアの友好、9条による平和外交など進めなければ、日本の未来に希望が持てない。それには、市民と野党の共闘で政権交代しかないだろう。当面は円安・物価高を安定させられるか?食料自給率の向上、非正規の改善、少子化ストップを地域から要望を挙げることである。ふるさと納税、成果主義など競争社会から、ポスト資本主義は分かち合いの共生社会も望まれる。

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