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「人間の経済」

2020-08-07 | 気になる本

 宇沢弘文(2017)『人間の経済』新潮社

 この本の成り立ちは、宇沢が亡くなる前に講演、インタビューを整理したもので、著者の校正はされていない。社会的共通資本など宇沢思想を理解するために役立つという意図で発刊されている。経済は人間が幸せにための学問という哲学や歴史の秘話も感じる。以下、抜粋メモである。(  )内は私のコメント。

 最初に娘の占部まりが宇沢の裏話を、巻頭で書いている。高度成長の時代をアメリカで過ごした。一般市民はそのために犠牲になって良いのか、「混迷する近代経済学の課題」の視点で、ベストセラーになった「自動車の社会的費用」を書いた。

 パウロ2世の返事で「社会主義の弊害と資本主義の幻想」を書いた。医療や教育、自然環境が社会的共通資本である。マーシャルプランについて、世界の政治指導者がアメリカの利益のために働くよう、CIAは動いた。多くの国では失敗したが、日本とギリシャで成功した。日本で買収の対象となったのは、児玉誉士夫と岸信介であった。CIAの資金援助で戦後政治を左右することとなった。マッカーサーは上院軍事外交合同委員会の公聴会で、日本の憲法に9条を入れたのは私だ、幣原がきて、日本は軍隊を持たないと明示的に入れたい、と言いアドバイスした。(9条は米の押し付けではなかった。押し付けられたのは日米安保である。そしてCIAが動いた。)

 ハイエクとナイトは、大戦でヨーロッパの文明が壊された。その原因は、ナチズムと共産主義とした。そして、企業の自由が最大限保障されているときに、はじめて人間の能力も最大限発揮できると言う新自由主義が生まれた。市場原理主義はこれと区別され、市場で利益をあげるためなら法も制度も変えられる、要するに儲けるためなら何をしても良い。

 経済が人間のために役立つには、大切なものは決してお金に換えてはならない(社会的共通資本で、教育、病院、住宅、公園など)ということである。人生最大の目的はもうけること、政府は企業活動をできるかぎり自由にして、もうけのチャンスを多くしよう。それが小泉・竹中改革の基礎にある考え方です。

 ジェイコブスは、アメリカの多くの都市が死んだのは、ル・コルビジェの「輝く都市」を理念とする近代的都市思想あると考えた。ジェイコブスはアメリカの都市を歩き回り、4大原則をまとめた。(まさに日本もル・コルビジェの都市思想をまだ進んでいる。トヨタの未来都市はその延長線上では?)

 京都会議ではアメリカの学者は炭素税すら提案できなかった。戦後最大の日本での国際会議で、日本はアメリカに妥協してしまい。炭素税を提案すらできなかった。

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