豊田の生活アメニティ

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「老いた家 衰えぬ街」

2019-05-09 | 気になる本

野澤千絵(2018)「老いた家 衰えぬ街 住まいを終活する」講談社現代新書

 著者の「老いる家 崩れる街」で書いた、人口減少社会での住宅飽和による現状と将来予測にたいする解決策を示した本である。全国の事例を具体的に取り上げ、問題を先送りしないための巻末にある住まいの終活ノートも興味深い。気になった点、今後役立ちそうなポイントは以下の3点である。

1 財政破綻したデトロイトでのランドバンクに移管された空き家や空き地をトリアージする対策である。今は絶好調の収益をあげるトヨタ自動車が豊田市にあるが、産業構造の変化で下請けや派遣労働者は先行き不安であり、定住できなかったり中堅層が市外に転出している。豊田市でも山間地の空き家バンク制度はある。また老朽住宅を解体する場合には助成制度もある。人口減少社会は望まないが、少子高齢化が進行し具体策がない状況から避けられない。古い団地を見ていると、2つに分割し40坪ほどで売っている。車2台分のスペースで庭の部分はない。近い将来地価が下がるから、運よく隣が空けば買い増すことも可能であろう。

2 「毛呂山町では無秩序な宅地開発に歯止めをかけるために、規制緩和政策を大幅に見直したり、立地適正化計画の実現に向けた先進的な取り組みをしている」と紹介している。一方で、「世帯数の減少幅が小さい、新築信仰が根強い、開発できる土地が見当たらないからと、居住地を焼き畑的に広げながら、虫食い的な開発を許容している」。豊田市の計画は今後10年は成長すると期待し、業界や議会の声に押され後者の発想に近い。

3 江津市波子町では地域コミュニティが空き家バンクを持つ事例である。空き家住宅を解体すると固定資産税が数倍になることから放置も多い。田辺市では空き家の跡地利用も考慮していることを、先進事例としている。

 私としては、耐震改修と共にリフォームの助成制度も必要であると考える。コミュニティレベルでは、歩いて暮らせるまちづくりや、年金で入れる介護施設も課題である。

 

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