2018年はエルトン先生で初笑い。
けしからん笑いでアクション映画に風穴を開けた「キングスマン」から約2年。英国紳士スパイが堂々の帰還となった本作。
前作のインパクトを超えることができるのかが最大の関心事だが、壮絶に殉職したはずのC.ファース演じるハリーが出演者に名を連ねている点も見逃せない。
メガホンを取るのは前作に引き続きM.ヴォーン監督であり、期待はいやがおうにも膨らんだ。
その期待に応えるべく、冒頭から超高速のアクションシーンが展開される。
高級テーラー「キングスマン」から出てきたエグジーを襲ったのは、かつて同じ訓練生としてキングスマンへの採用を目指していたチャーリー。あれよあれよという間に「キングスマン」は建物もろとも爆破され、前作で苦楽を共にした仲間のロキシー、友人に飼い犬までも一瞬で吹っ飛ばされる。
本気の証なのか、ストーリーの足かせを除いたのかは何とも言えないところだが、上映開始20分にして前作を引っ張るものは影も形もなくなった。
そんな壊滅状態に陥ったキングスマンに救いの手を差し伸べる役どころとして、キングスマンの兄弟組織であるステイツマンが登場する。
続篇の見どころは、このステイツマンだ。水面下で世界の平和を守るという成り立ちは同じだが、英国と米国の違いさながらにことごとく対照的な両組織。
キングスマンのアジトが英国紳士の象徴であるスーツの仕立て屋ならば、ステイツマンは西部劇によく似合うバーボンの蒸留所。ステイツマンのエージェントは、もちろんテンガロンハットにジーンズのカントリースタイルである。
蒸留所の稼ぎは良いらしく、ステイツマンは快くキングスマンの手助けを引き受ける。この辺りも、かつての大英帝国から世界の覇権を譲り受けた米国の姿と被る。
そして前作の名場面をステイツマンが再現してお株を奪う。ハリーが復活した直後のバーでは、勘が戻らないハリーに代わってステイツマンのエージェント"ウィスキー"が投げ縄アクションでキメる。アメリカ一番、アメリカファースト。USAコールが起こりそうな勢いだ。
しかし、英国と米国の関係はおもしろいもので、いくら米国が世界一の大国であっても英国の誇りはそれを上回る。キングスマンも黙ってはいない。敵の本陣へ果敢に乗り込んで颯爽と相手を蹴散らしていく場面で面目躍如。アクションは全体的に、前作同様テンポが良くビジュアル的に映えた。
ビジュアルでもう一つ言及したいのは、J.ムーア演じる麻薬密売組織のボス・ポピーが作り上げた1950年代の町である。明るい配色と古き良きのどかな音楽をバックにポピーが下す凄惨な裁き。けしからんキングスマンの真骨頂が現れた舞台装置となっていた。
そこに拉致された大スターという設定で登場したのが"サー"E.ジョンであった。前半で「E.ジョンが失踪」という新聞記事が見切れていたので、カメオ出演程度に思っていたのが、後になるにつれ存在感が急拡大。最後はポピーの鼻っ柱を折る活躍で、本作最大の痛快をもたらしてくれた。70歳を過ぎてもまだまだ元気。これからも良い曲をたくさん書き残してほしいと切に望むところである。
ハリーの復活はあり得ない話ではあるが、娯楽映画という前提であればもっともらしく受け取れる範囲だったのではないかと思う。それよりも、他のいろいろな人が退場してしまったのが悲しかった。容赦ないのが持ち味と言えばそれまでだが、次回作ではエグジーが葬られてもおかしくないぞ、これは。
(80点)
けしからん笑いでアクション映画に風穴を開けた「キングスマン」から約2年。英国紳士スパイが堂々の帰還となった本作。
前作のインパクトを超えることができるのかが最大の関心事だが、壮絶に殉職したはずのC.ファース演じるハリーが出演者に名を連ねている点も見逃せない。
メガホンを取るのは前作に引き続きM.ヴォーン監督であり、期待はいやがおうにも膨らんだ。
その期待に応えるべく、冒頭から超高速のアクションシーンが展開される。
高級テーラー「キングスマン」から出てきたエグジーを襲ったのは、かつて同じ訓練生としてキングスマンへの採用を目指していたチャーリー。あれよあれよという間に「キングスマン」は建物もろとも爆破され、前作で苦楽を共にした仲間のロキシー、友人に飼い犬までも一瞬で吹っ飛ばされる。
本気の証なのか、ストーリーの足かせを除いたのかは何とも言えないところだが、上映開始20分にして前作を引っ張るものは影も形もなくなった。
そんな壊滅状態に陥ったキングスマンに救いの手を差し伸べる役どころとして、キングスマンの兄弟組織であるステイツマンが登場する。
続篇の見どころは、このステイツマンだ。水面下で世界の平和を守るという成り立ちは同じだが、英国と米国の違いさながらにことごとく対照的な両組織。
キングスマンのアジトが英国紳士の象徴であるスーツの仕立て屋ならば、ステイツマンは西部劇によく似合うバーボンの蒸留所。ステイツマンのエージェントは、もちろんテンガロンハットにジーンズのカントリースタイルである。
蒸留所の稼ぎは良いらしく、ステイツマンは快くキングスマンの手助けを引き受ける。この辺りも、かつての大英帝国から世界の覇権を譲り受けた米国の姿と被る。
そして前作の名場面をステイツマンが再現してお株を奪う。ハリーが復活した直後のバーでは、勘が戻らないハリーに代わってステイツマンのエージェント"ウィスキー"が投げ縄アクションでキメる。アメリカ一番、アメリカファースト。USAコールが起こりそうな勢いだ。
しかし、英国と米国の関係はおもしろいもので、いくら米国が世界一の大国であっても英国の誇りはそれを上回る。キングスマンも黙ってはいない。敵の本陣へ果敢に乗り込んで颯爽と相手を蹴散らしていく場面で面目躍如。アクションは全体的に、前作同様テンポが良くビジュアル的に映えた。
ビジュアルでもう一つ言及したいのは、J.ムーア演じる麻薬密売組織のボス・ポピーが作り上げた1950年代の町である。明るい配色と古き良きのどかな音楽をバックにポピーが下す凄惨な裁き。けしからんキングスマンの真骨頂が現れた舞台装置となっていた。
そこに拉致された大スターという設定で登場したのが"サー"E.ジョンであった。前半で「E.ジョンが失踪」という新聞記事が見切れていたので、カメオ出演程度に思っていたのが、後になるにつれ存在感が急拡大。最後はポピーの鼻っ柱を折る活躍で、本作最大の痛快をもたらしてくれた。70歳を過ぎてもまだまだ元気。これからも良い曲をたくさん書き残してほしいと切に望むところである。
ハリーの復活はあり得ない話ではあるが、娯楽映画という前提であればもっともらしく受け取れる範囲だったのではないかと思う。それよりも、他のいろいろな人が退場してしまったのが悲しかった。容赦ないのが持ち味と言えばそれまでだが、次回作ではエグジーが葬られてもおかしくないぞ、これは。
(80点)
そうですね。力技でハリーを復活させるくらいだから、
実は地雷が爆発するときに何らかの仕掛けがあったと期待したいです。
M.ストロングが実にかっこいいので。
>他のいろいろな人が退場してしまったのが悲しかった。
いえいえ、死んだところが映っていないので、復活もあり得ると思います。
頭を撃たれたハリーが復活しているんですから。