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Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「ラブ&ドラッグ」

2011年11月19日 22時18分21秒 | 映画(2011)
ありのままを受け入れる難しさ。


「ミッション:8ミニッツ」に続いてのJ.ギレンホール

おそらく好みがはっきり分かれる顔だと思うが、今回のように明るい表情で営業トークされると、なんか「いい男だよな」と思ってしまう。

映画全体も、若くしてパーキンソン病に苦しむA.ハサウェイ演じるマギーとの恋愛が軸であり、ともすると重い展開に陥りそうなところを、下ネタ系をふんだんに盛り込み敢えて軽い筆圧で描いてみせる。

この変化球はおもしろい。騙されたまま話に引き込まれてしまう。

かたや軽い日常のアプローチとして、かたや重い日常から少しでも逃れるために性的関係から始めることを選択したはずであった。

そんな言ってみれば対照的な二人の関係が、見えない強い力によって引き寄せられていく。

遊び人を自負するジェイミーだが、根っこにあるやさしさが頭をもたげ、彼女をどう愛すればいいのか苦闘する。

相手を思えばこそのやさしさが通じない。それほどに重い病気という壁。

象徴的な場面は二人でシカゴへ行ったときだった。

マギーは、不意に立ち会えた患者の集まりで心を軽くすることができ、ジェイミーに心からのお礼を述べる。一方でジェイミーは会議場で会った男性から「アドバイスするとしたら別れることだ」と告げられる。

対照的な表情を浮かべ並んで歩く二人。根底が異なる二人はまともに近づこうとしてもかえって行き違うだけなのだろう。

この辺りまでの描き方はよかった。問題はラストだ。

ジェイミーもマギーも何を学んだのか。どうもそれが曖昧なままジェイミーの行動が前のめりに進んでいったように見えた。

全体の軽い画の中で、重い決断をしろというわけではないが、マギーから見て「これなら大丈夫」と思える何かがせめて欲しかった。

それにしてもJ.ギレンホールもA.ハサウェイも随分励む場面が多かった。見た目かなり濃い二人だが暑苦しくなるまでには至らず。

コメディーパートのオチの部分を一手に引き受けた弟役もぎりぎりでウザさを抑えられてたかな。

(75点)
コメント (6)
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「ミッション:8ミニッツ」

2011年11月06日 00時40分21秒 | 映画(2011)
解き放たれた魂は甘き彼岸へ。


「映画通ほどダマされる」というほどではない。

同じシチュエーションを繰り返す演出は「バンテージポイント」を彷彿とさせる。一方で主人公の訳ありな状況には、「これはひょっとすると、あれか?」とだいたいの想像がつく。

ただ、この2つのいわゆる鉱脈はまだまだ枯渇してはいない。この作品にはこの作品なりのおもしろさがあった。

事故現場の光景では、人物や小物の細やかな設定と配置がサスペンス感を盛り上げる。

自分を取り巻く大きな目論見を気にしながらも、制限された時間の中でとにかく糸口を探さなければならないという緊張感がいい。

そして戻された現世で繰り広げられるのは、動きを制限された中での謎めいた指揮系統とのやりとり。

対照的な世界を強制的に行き来させられる主人公はたまったものではないが、観ている側は心地良い触れ幅に強く引き込まれる。

そしてダマされるラストであるが、これは騙す騙さないという括りにはならない気がした。

ひとことで言えば、かなり甘い。

科学者が、過去を体験できても変えることはできないと言っている中での、一つの答えでもあるのだが、信じる者は救われる感じが満載である。

ある意味ファンタジーに片足なり突っ込んでいるような状況に見えた。

と言いながら、ラストの収め方を含めてかなり好きな作品なのではあるが。

(85点)
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「モンスター上司」

2011年10月30日 06時49分33秒 | 映画(2011)
結局単なるバカ騒ぎ。


某製紙会社のhorrible boss容疑が話題となる絶妙なタイミングで公開を迎えた本作。

K.スペイシーJ.アニストンC.ファレルという豪華陣を、敢えて敵役に配置したという点に大きな期待が集まった。

ところが、だ。

結果としては、ノレないコメディ作品の典型となってしまった。

ささいなことを言うようだけど、主役側の3人は確かに上司に虐げられるものの、切実さをほとんど感じない。

コメディでそうそう悲壮感をあおるわけにもいかないだろうが、K.スペイシーに仕えるニックは、冒頭では夜明け前から深夜まで勤める生活が8年続いたはずなのに、劇中では仲間と飲みに行ってばかり。

歯科衛生技師のデイルは、恋人との婚約を切に願う好青年的な導入から、劇中では3人の中でオチを担う役回りに。ジュリアのセクハラ攻撃を苦にするようにはとても見えない奔放ぶりを発揮する。

そしてK.ファレルの部下であるカートは、どこからか分からないが手当たり次第に女性を口説いちゃうという性格が追加。やっぱり悩みとは無縁な感じが。

つまり、最初10分の人物紹介だけが「モンスター上司」で、残りの時間でやってることは「ハングオーバー!」など他のどたばたコメディと何ら変わらないのだ。

そのほかにも、ニックとカートの区別がつきにくいとか、話の展開やオチに既視感がありありだとか、どうにも不満を挙げればきりがない事態になってしまった。

普通の時間つぶしであればともかくとして、要は、これだけのキャストで期待させといてこれなの?という点に尽きるのである。

(40点)
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「ツレがうつになりまして。」

2011年10月16日 01時20分31秒 | 映画(2011)
心の旅。


私は結構ふまじめな人間だ。

周りでバリバリと仕事をこなす人を見ると、すごいなーと思う一方で、そこまではできないよなと冷めた目で見ていたりする。

このブログも、画像の貼り付けもしなければ点数も気分次第。いい文章を書きたいと常に思いながらも、基本てきとーで済ませている。

でも、だからこそ継続できてるんだよね。

宮崎あおい(「さき」の字、面倒なので出しません。はしごの「高」が出てきてもたぶん同じ)と堺雅人という、「篤姫」のゴールデンカップルが再び競演。

堺雅人は途中、小日向文世に見えることがしばしば。うつの症状が出始めたころからの話なので、ほぼ全篇を通して弱くて痛々しい。

発症する前の、頼もしかったであろうツレの姿も映していれば、この病気が誰にでも起こり得るものだということを明確に伝えられたのではないかな。残念。

原作はまんがのようだが、実写になるとやはり重い。さすがの宮崎あおいの笑顔をもってしても帳消しにはならない。

ただ、この作品は、観るときの気分によって受け止め方が大きく変わるのは間違いない。

うつに陥るかもしれないくらい落ち込んだときだったら、劇中の言葉のひとつひとつが胸にもっと深く刺さったのかもしれない。

今は比較的落ち着いていることもあり、ちょっと物語がベタだよねなんて感想を持ってしまった。

ツレの講演会にやって来た男性の話。あれはたぶん原作にはないでしょう。

(65点)
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「猿の惑星:創世記」

2011年10月09日 00時05分53秒 | 映画(2011)
本当にろくでもない人間たちの世界。


評判がいいとのうわさ。そしてあの印象に残る猿の表情。

この秋いちばんと言っていいほど大きな期待を寄せていたんだけど、正直あまり好きな作品ではなかった。

画はよかった。

主役のシーザーだけでなく、様々な性格の猿たちが心情を含め描き分けられていたし、猿の疾走で葉を散らす街路樹や霧のゴールデンゲートブリッジなど、いわゆる"絵になる"場面も多かった。

でも、物語としてはどうだろう。

何を置いても残念だったのが、人間のほとんどが救いがたい愚か者だったことだ。

収容所の看守はもちろん、研究開発の上司や隣人のパイロット、人間側の主役である科学者のウィルでさえ倫理観の欠如が目立ち、人間的な深みに欠けていた。

あくまでシーザーを中心とした物語であり、人間はむしろ彼を引き立たせる添え物だと言ってしまうこともできるが、そこまで卑下されてもと感じてしまう。

猿の側も頭がよくなったと言いながら、あそこまで暴れ回った目的が「自由への脱出」なのか「人間への復讐」だったのかよく分からない。

目的地への通り道を人間が塞いだからと言えなくはないが、はじめにジェネシス社に寄ってるし、前者というのは無理がある。

そうすると後者なんだけど、大元の原因者のウィルはおとがめなしでいいのか?

他方、橋の上での「察知」やら「戦友への儀式」など神の域の賢さを見せる場面もあったりして、何かすんなり消化できなかった。

同じ条件の下で、猿は頭がよくなり人類は死に絶える。

確かにいまの世の中の流れを見てると、進化が猿を選ぶというよりも、人間を見捨てる日も近いのかもと思えてくる。

結局本シリーズ全般を通してのとらえどころは、人類の自己反省って点に集約するのかもしれない。

(55点)
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「モテキ」

2011年10月04日 00時11分06秒 | 映画(2011)
恋とカラオケの時は流れて。


カラオケにいちばんよく行ったのは、もう20年前だろうか。

「格好悪いふられ方」は何度か歌った。「今夜はブギーバック」は歌いはしなかったけどよく聞いた。

モテキかどうかはともかく、女性が周りにやや多くいる時期というのは確かにある気がする。そういう時期に恋愛をすると(片思いでも)、心の浮き沈みに必然と音楽が同調してくるという感覚も然り。

昨年のドラマは途中から見はじめた。野波麻帆見たさも多分にあったものの、冴えないうじうじ男子の藤本幸世役を森山未來がこれ以上ないハマり方で演じていて、とにかくおもしろかった。

ただそれはあくまで深夜ドラマというサブカルチャーに近い世界での話だった。それがいきなり東宝系の拡大公開と来たものだから驚いた。

とにかく気になったのが、深夜ドラマとメジャー系映画をいったいどう使い分けるのかということ。

答えを言ってしまうと、ドラマ性を深めるよりも映像や音楽のエンタテインメント性を追求したというところだろうか。

幸世を取り巻く女性たちの人数こそTVと同じ4名に揃えたが、物語の基本線は長澤まさみ演じるみゆきに一本化。

そうして話を端折る一方で、幸世をPerfumeと一緒にミュージカル風に何分もかけて踊らせちゃうなど、娯楽的要素に手間隙お金を注ぎ込んだ感じ。

他の女優さんたちには申し訳ないが、2時間前後という長さを考えればこの選択は妥当だったのではないかと思う。

ずるずる引きずらないラストや、唯一無二のエンドロールも好印象。劇中に結構名ゼリフ多かったんだね。

(75点)
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「リミットレス」

2011年10月02日 10時01分33秒 | 映画(2011)
限界がないとは輪廻にも似て。


脳の機能を100%活かせる薬があったら。「世にも奇妙な物語」的な着想であり、主人公が様々なトラブルに巻き込まれるところも想定内。

主人公エディは元はクズ人間予備軍。それが薬の力に頼ってのし上がろうというのだから、倫理的に見れば彼に肩入れする要素はないのだが、B.クーパーが演じることで何処か応援したくなってしまう。

冴えないエディも「スーパー」なエディも絵になるが、イタリア語や中国語をさらっと話す姿を目の前で見せられたら、そりゃヨリを戻そうという気持ちにもなるって。冒頭の絶体絶命場面と、薬の副作用で記憶が飛ぶというハングオーバー的な演出もご愛嬌。

話の大筋において意外性は少ないが、脳の覚醒を色調で表現したり、物事を見通す力を疾走感あふれるストリートビューで模したりと、映画という媒体ならではの視覚効果で決して中だるみすることはなかった。

あと強いてあげるとすれば、ラストの描き方がおもしろい。

ここで終わるの?エディは本当に限界を超えたのか?そして作品としての彼の裁きは?

「スーパー」になった彼がちょっとした場面(投資の指南か何か)で同じようなことを自ら言っていた記憶があるが、欲望を越えた先にあるのは新たなる欲望でしかない。

薬によって得た成功を到達点とできないかぎり、次の目標に向けて薬を飲み続けなければいけない。

超越した能力は、この終わることのないメビウスの環を支配し管理することができたのか。その先に待つのは、栄光か自らの破滅か。回答を示さないところは、押し付けがましくなく好感が持てた。

(70点)
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「スマーフ」

2011年09月19日 09時48分05秒 | 映画(2011)
原作同様、息の長い戦略を期待。


6月にNBAファイナルの中継があったとき、盛んに宣伝されていたのを憶えている。

全身が青い小さな妖精たち。

どこかで見覚えがあるような、でも名前を含めて詳しくはまったく知らない。というのがわが国での一般的な印象ではないだろうか。

そうした点からみると、北米とわずか2か月の時差で公開されるというのは結構イレギュラーだし、それなりに力を入れている様子がうかがえる(アニメの「Rio」なんて邦題まで付けておきながら公開中止だし)。

スマーフのデザインは、日本人の好みとちょっとズレている気もするし漫画の方がかわいいと思うが、まあ悪くない。

キャラクターについては、個性的なスマーフたちに加えて、更にまんが的な敵キャラや人間社会の人たちも含めて非常に楽しい。

ストーリーは、主役のクラムジーのドジぶりがあまりに酷過ぎてイラつきそうになるが、当然の大団円が十分に救ってくれている。

最大の懸念材料だった吹替えに関しても、Hey!Say!JUMPの2人が思った以上に器用にこなしておりまったく気にならなかった。

故に、前半からすぐに物語の世界に入り込んで、キャラクターと一緒に笑ったりはらはらしたりすることができた。ファミリー映画としては文句のつけどころがないと思う。

他方、映画館内はよく見ると若年、というより年少の女子の姿が多く目に付いた。

ひょっとするとこれは、「ファミリー」ではなく「ジャニーズ」の括りで見に来ているということか?確かに「スマーフ」とだけ言われても、なかなか劇場に足を運ぶことはないかもしれないし。

本業じゃない声優の起用にはいろいろ議論があるが、こうした現実を目の当たりにすると、売る側の立場としては仕方がないのかと思ってしまった。

続篇の製作も決定とのこと。主役の人たちには、更に技量を磨いて末永く付き合う覚悟でいてほしいと思う。

(75点)
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「インシディアス」

2011年09月18日 00時12分07秒 | 映画(2011)
悪魔の椅子取りゲーム。


久しぶりに「技あり」なホラー映画を観た気がした。

まずオープニングがいい。神経質な弦楽器の音色をバックに、点々と映し出される映像で映画全体の空気を的確に伝える。

影が?足跡が?少しずつ気配を漂わせた先に、ばーんとタイトルが。本編の期待も高まるってもの。

話の方は、家に憑り付いた悪魔というよくある話かと思わせておいてから意外な展開を見せる。何事も初めて観るものは新鮮でいい。

登場人物は、不安を一身に背負う妻と逃げ気味の夫。普通なら、その妻が勇気を振り絞って立ち上がるところだが、これもちょっと違う。

悪魔祓いなのか何だか分からない老女と、やや滑稽でもある弟子(?)2人の存在も、映画の空気同様に治まりが悪い(ほめ言葉)。

要は、絵の見せ方や話の進め方の至る所でズレを作ることで、観る側の不安感を煽ったり意外な驚きをもたらしたりしているわけだ。

あと忘れちゃいけないのは、ホラーでありながら人間様に誰一人犠牲者が出ないままずーっと進んでいくこと。血すらほとんど出ていないのはお見事。

考えればいろいろアイデアが出てくるものなんだと改めて分かった次第。

そうしてみると、最後のダルトン(息子)も怪しいもんだよね。人が変わったように食べる場面があったし。

(85点)
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「ピラニア3D」

2011年09月01日 23時56分13秒 | 映画(2011)
アトラクションだから。


脚本がどうとかいう映画じゃないし、もはやピラニアでもなんでもないというツッコミも不要。

ちぎれた人間の体を見て「よく作ってるなー」と思ったり、R.ドレイファスC.ロイドを見て「年とったなー」と思ったり。

そういうものであると割り切って見ないと。文句をつけるのであれば、それは見た方が悪い。

でも、こういう迷いのないおバカものって、見た後ですっきりするのがパターンだと思うんだけど、何か非常に後味が悪かった。

やっぱり趣味が悪いにもほどがあるってことなのかも。バカ映画監督の局部ネタなんて、その最たるものだったね。

来年早々「ピラニア3DD」なんて言ってたけど、もういいかな。やっぱり3D疲れるし。

(40点)
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