「告白」が松たか子主演で映画化される。
いつものごとく映像ではなく活字で物語をおいます。
映画「告白」
監督は中島哲也
中谷美紀主演の「嫌われ松子の一生」も中島作品なんですよね。
嫌われ松子の一生は本を読んでいて映画化を知る。
告白は映画化されたのを機に原作を読む。
ストーリーも作者も全く違う小説なのだが
同じ人(監督)が選んだというだけあってなんとなく共通点らしきものが漂うのだ。
それは「ひたすらに救いようがない!」こと。
不幸の塊に片足を突っ込んでいる人が
周りを巻き込み不幸が雪だるま式に膨らんでいく様を切り取ってゆく。
意図せずに不幸に飲み込まれていく様は時には滑稽だったりもするのだ。
幸とか不幸とかは自分ではなく周囲の客観視できる人たちが判断するのであって
当事者は現実の壁をこえることに必死でそんなことを考えている暇すらないのかもしれません。
不幸だと思って悩んでみたところでそれは些細な枝葉の部分で実は悩みどころすら違うだろという可笑しさ。
結局のところ人は救いようのない状態でも良い状態になるようあがくものなんですね。
時にはそれが蟻地獄の場合もあるのだけど・・・
怪談話よりコワイ話です。
話はどこまでもディープで重いけど
もがく人間の滑稽さとかを上手に物語として切り取ってあるので
それほど疲れる物語にはなっていません。
読み終わった後はある種の感慨と爽快感すら感じるような気がします。
よっぽど椎名誠「ニューヨークからきた猫」で書かれたような
友人たちの死とか作品を生み出す苦しみとかの方がリアルで重い。
当たり前の日常を切り取られるほうが救いようがないのだな。
ジェットコースターは安全が保障されているからあのスピードも急降下も面白いのだろうけど、これから落ちゆく飛行機の中で・・・・となるとスピードも急降下も洒落になりません。
不幸な物語は上質でリアルな小説(空想)で堪能するのが利口なのですね。
何をもって不幸というかをその人次第ですが・・。
不幸を垣間見たい方は「告白」も「嫌われ松子・・・」もオススメ。
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