日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

旅は恋に似て

2013-07-11 | リブレリア
もう7年も旅をしていない。
出来ないんじゃない。
しなくなっていた。
旅をするのを怖がるようになっていた。
 
 
その感覚の出処は初めてのデートに似ている
かつては何も考えずにできていたことができなくなっていた
そんな現実を突き付けられた時のショックは
初めてすることがうまく出来なかったときよりも大きい。
デートの経験くらいに人並みにある
同じくらい旅の経験もあった。
でもそれをしなくなったのは
機会が減るにつれ、いざ「出来る」となったときに過剰の期待をするようになってしまったから。
過剰の期待は過剰の不安と変わり、いっそ「しないで」いい!と
赴く前から白旗を揚げるかたちで私は旅と疎遠になっていった。


まったく旅は恋に似ている。




JAL機内誌 2012 November SKYWORD
木村綾子 本と旅のエッセイより抜粋









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あのトキメキもドキドキも楽しさも
面倒くささもひっくるめて確かに旅は恋は同じだ。
 
周到に準備したって
その通りにいくことなんてないし、
それが楽しいこともあるし
不安になることもあって嫌な思いもあるけど
剥き出しな本音の感情は後々まで残るもの。
旅の記憶はいいこと、嫌なことを含め、ちゃんと思い出に昇華していく。
 
旅は恋に似てしていないと縁遠くなるし。
 
縁遠くなるとそれを手繰り寄せるのにはことのほか体力をつかうのだ
行き違い、思い込み、空回り。
予期せぬ出来事も加わって赤い糸はより細く、頼りなくなってしまう。
恋愛を日常に惚れっぽいのもめんどくさいけど
旅も常日頃、逃げ癖では困るけど
私はいつでも飛びこめる状態でありたいと切に願う。
 
なるほど旅は恋に似て
確かに恋は旅に似ていて
ああ、だから狂おしいほど旅に行きたくなるのだと気が付かされた。
どこかに行きたくなるたび思い出すこのエッセイ
旅は恋だから止められぬ。
いろいろ想像しながら片思いしている恋が一番楽しい。
旅もいっしょ。


さて、冒頭のエッセイ「本と旅」 
副題はバックの隙間に忍び込ませたい一冊。
そのタイトル通り旅と一冊の本が紹介されている。

角田光代 著 『恋愛旅人』



まったく旅は恋に似ていると木村綾子に言わしめた一冊。
読みたいけど暫しの我慢。
本に旅にと片思いを楽しむつもり。
積もった思いを吐き出すのも恋と旅の醍醐味。

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