日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

黄金に焼かれに行く旅

2012-11-10 | Weblog
空気はいつも軽い雨滴を含んでいた。
強い日ざしに中にも、しばしば雨滴が舞っていた。
しかし空のどこかには必ず青空が覗かれ、雲はともすると日のまわり厚く、
雲の外周の空は燦爛とかがやいていた。
驟雨の来る前の空の深い予兆にみちた灰黒色は凄かった。
その暗示を孕んだ黒はいちめんの緑のところどころにやしの木を点綴した低い街並みを覆うた。








三島由紀夫 暁の寺より
『バンコックは雨季だった』に続くその文章。
今、あたしはその空の下にいる。
青空を見るにはまだ早く、漆黒の夜が過ぎ去る時間から
甘い、南国の香りがする熱気にやられている。
夏、再び。
『例えば、ワット  ・ポー』と三島の文章は続く。
あたしはそのワット・ポーの黄金に焼かれにバンコクにいる。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 真夜中2時のあられミックス | トップ | バンコクのセーター »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事