日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

ハーブ&ドロシー

2010-11-21 | Weblog

チョコレートの箱に入っているのは決してチョコレートとは限らない。
最初はチョコレートだったかもしれないが。

面白いドキュメンタリー映画に出会う。
「Harb&Dorothy」

半世紀近くをかけてアートを収集し続ける夫婦の軌跡。
軌跡いや奇跡かも。

大富豪でもない公務員の夫婦が人生の全てと情熱をかけて集めた作品群は
類まれなコレクションとなりました。

夫 ハーバート ヴォーゲル
妻 ドロシー ヴォーゲル

彼らが買うアート作品は
ひとつ、自分たちの収入で買える値段であること
ふたつ、小さなアパートに収まるサイズであること。
これだけ。

ドロシーの図書館司書としての収入で生活をしてハーブの給料の全てでアート作品を買う。
その確かな審美眼をもって選ばれた作品はやがて大御所のアーティスト作品として
価格も価値も高騰していく。
そのなかの数点を売るだけで夫婦は大富豪になれるのにだたの一つも売ることなく
ナショナル ギャラリーにすべてを寄贈してしまう。
その時、集めに集めた作品は彼らのNYの1DKのマンションに4000余点にもなっていたのだ。
ある作家の作品はチョコレートの箱に納められ、有名な作家の作品はバスルームの壁を飾る。

そのコレクターとしての情熱は時に奇特で清貧です。
アーティストを友人とし
作品を子供の様に慈しむ。

アーティストが彼らについて語るのが印象的。

アートで飢えをしのぎ
アーティストの思考過程をこっそり覗いているような親密感があるコレクションだと。

旅行にも行かず、大きな犠牲にもとにつくられたコレクションとも評されるが
彼らににとってはアートが生活の全てを占めているから全然、犠牲とも苦痛とも思っていない。
確固たる信念と充実の人生なわけです。

価値観ってこういうことなんだなと思わせるドキュメンタリーです。
無機質だと思っていたミニマルアートやコンセプチュアルアートの見方も変わります。

分からなくてもいい、それが好きならば。
理由はいりません、それがただ好きならば。

ただ今、渋谷 イメージフォーラムで上演中。
ごく普通の夫婦がおこした大きな奇跡を体験してください。
価値観というものがどういうことかがわかるような気がします。

 

 

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