日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

島は結界   ー犬島と犬島精錬所美術館ー

2017-03-11 | Weblog
岡山から電車で西大寺へ。

はだか祭りの準備で大わらわを横目でみながら、はだか祭り当日にここにいるなんて、なんたる偶然、なんたる幸運、さすが私、何かを持ってるかもと鼻息荒くする。
男たちが締め込み姿でぶつかりあうという勇壮な奇祭が今夜なんて。
でも妄想だけ。
妄想でお腹いっぱいにふくらんで、陽の高い西大寺地区を抜け、宝伝港を目指す。
バスの運転手さんに拍手を贈りたいほど、なぜこの道をこの図体(車体)で行くというようなアトラクションのようなバスに乗って目指すのは宝伝港から船にのって先、犬島。
犬島のアートを目指して。







船をまるでバスやタクシーのように乗りこなす瀬戸内海住民の生活に驚きつつふれてちっさい犬島を目指す。
昨今、犬派より猫派の方が増えていて猫(に触れ合える)島を売りにするところが多いけどそれより遥か昔、犬派猫派なんてなくて生活のそばにもっと動物がウロウロしていたに違いない頃より犬島とよばれていたこの島でみられるのは犬でなく、猫でなく、アート。


島の生活のに溶け込むようにアートがある。
隣の家から漏れ聞こえるTVの音や近所の人との会話、洗濯機の音がBGMの家プロジェクト。
小さな島の小さな集落をまわるという展示の仕方も良い。
島を散歩するきちんとした口実と目的になる。
もし同じところに固まってその家があったなら、多分他には行かないだろう。
きっとそういうことなんだと思う。点在の意義。



そしてメインは近代化産業遺構である犬島精錬所を美術館にした犬島精錬所美術館。



廃墟のようにひっそりとした空間に近代の象徴として三島由紀夫をモチーフにした柳 幸典の作品群。
暗く、静謐に潜む意志の強さと警鐘の三島由紀夫。


ここで三島由紀夫に逢おうとは、つゆほどにも予期せぬことでなんの因果で犬島と三島由紀夫が結びつくのかを問えば、美術作家 柳幸典は近代化に対する警鐘として三島由紀夫をイデアとし、近代産業の遺産にそれを配置したのだという。



それら作品群はイカロス セル と名付けれた暗く、厳しい風音がする通路をぬけると、ひろがるソーラー ロックという空間。
奥のイカロス・タワーと同様ここには三島由紀夫が実際に住んでいた松濤の家の廃材がつかわれ、三島由紀夫を感じられる作品となる。
さらに生身の三島由紀夫を感じてのち、作品は三島由紀夫が三島由紀夫たる世界へ誘う。
襖をあけると三島文学が滴る血のような映像で映し出されるミラー・ノート
三島家の一室のような空間に三島由紀夫の最後の声明文 「檄文」が金色に羅網のように下げられた ソーラー・ノート。


これらを総じて「ヒーロー 乾電池」と呼ぶ。


もうアートすぎて外界ここで言うなれば島の外にはもう戻れない。
犬島精錬所美術館という空間だけでなく島全部がアートに覆われていて、普段の生活に島という概念がない身にはさらに隔離された特別感が半端ない。

そもそも島というのは海に護られ区切られた結界であって、さらに凡人ごときが思いつきもしない世界に迷いこまされるともう何が何やら。
島と芸術はすごく相性がいい。島は結界。
作品は結界に護られたお宝となる。
非現実と現実が交差する島とアートの旅。 ここは犬島。





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