今回のエッセイ題材は朝日新聞2016.10.8 別刷「be」 “悩みのるつぼ” の相談内容より引用し、それを論評せんとするものだ。
その我が結論を先に記しておこう。
結局、相談者である66歳女性は、単に“亭主自慢”をしたかっただけじゃないのか??
それでは早速、上記“悩みのるつぼ”の相談内容を以下に要約して紹介しよう。
66歳の女性だが、私の夫はいわゆる一流国立大学の博士課程を出て、大学教授をしている。 「学究肌の人」にひかれて、その頃大学院生だった彼と23歳だった私は結婚した。 しかし、現在60歳半ばを過ぎて、これは大きな間違いだったのではないかと思う時がある。
まず、大酒飲み。 旅行好きでよく一緒に出掛けるが、ツアー旅行の時などいつもチビチビと酒を飲んでいるので、他のツアー客の人達に「あの人は酒好きだ」と知られてしまう。 周りの大学教授達もほとんど「飲兵衛」だ。 普段真面目そうなのに、お酒を飲んで「!?」と私が目が回りそうな事を言ったこともある。 ある先生の奥さんが言うには「主人はATMでお金もおろせない。」 テレビや新聞でよく見る有名教授の奥さんは「気難しくて嫌になる」とこぼしていた。 皆でないと思うが、「夫」としてはダメ人間が多いのでは?
今後の主人の扱い方になど、ご助言頂ければ幸いだ。
(以上、“悩みのるつぼ”相談より要約引用したもの。)
早速、原左都子の私論に入ろう。
相談者女性が66歳とのことは、私より5歳程上。 まあ、大まかに捉えれば、戦後生まれとしてほぼ私同様の教育を受け、大人になられたものと心得る。
23歳で結婚されたとの記述だが、おそらくほとんど社会経験を積まない間にご主人と出会われ、ご成婚に至ったのであろう。
この事実こそが根本的なネックではなかろうか?
要するにこのご婦人の人生に於ける関心事が、いつまでも“学究肌のご亭主”にある事には間違いなさそうだ。 それが証拠に、旅行好きでお二人一緒によく旅行に出かけられているらしい。 その時に見せるご亭主の“酒好き”に嫌気がさし、ついでにまわりの大学教授の酒の醜態にまで話題を拡大して、しかも知り合い奥さんの同じく学究肌のご亭主がATM操作が不能な話題にまで発展してしまっている。
この現実を如何に考察しようと、相談者女性の人生経験の幅が少な過ぎとの結論を導けそうだ。
ご亭主の酒好きが嫌ならば、何も一緒に旅に出ずとて別行動をすれば済む話だ。
しかも婚姻後43年の年月を経ているにもかかわらず、いつまでもいつまでも、ご亭主の事を「学究肌」としか見られないその貧弱さでは、返ってご亭主の方が可愛そうな気すらする。
奥方である相談者女性こそが、もう少しご自身が経験を積む人生を送られて視野を広く持てたのならば、66歳にもなってこのような相談をせずに済んだであろうに……
ここで私事を語るのも嫌味ったらしい事を承知で、少し述べさせていただこう。
そう言えば、我が亭主も“学究肌”であることには間違いないだろう。 (本エッセイ集バックナンバーに於いて我が亭主の事を稀ながら取り上げているため、ご存知の読者の方々もおられることであろう。)
私が亭主と知り合ったのは、お互いに40歳前後の頃にお見合いをした時に遡る。 実は、私も結婚相手の理想として“学究肌”男を求めていた。 それは同じく“学究肌”(?)の私自身と話題の共通項が多く会話が盛り上がるだろうと考えたからに他ならない。 確かにその通りだった。 何故私が最終的に亭主を結婚相手として選択したのかと言うならば、学問に関する共通項が多く一緒にいて違和感が無く暮らせそうだと判断した故だ。
その共通項は今尚続行している。
ただし、その他の分野に関しては日々軋轢が発生するのも当然だろう。 それでも我が夫婦は比較的難なく機能していると私は判断している。
軋轢が発生する分野に関してはお互いの自主性を尊重すればよい話だ。 要するに、衝突が起こりそうな事象に関してはお互いに独立独歩を基本とするとの暗黙の合意により、距離を置く事で何とか解決するものだ。
ここで、今回の“悩みのるつぼ” 回答者であられる 社会学者 上野千鶴子氏ご回答の一部を以下に紹介しておこう。
(ここで私論だが、現在バリバリに“学究肌”を通されておられる上野氏の視点からのご回答であり、私のような一般人が読んだ場合違和感が否めないのだが……)
そう思いつつ、上野先生のご回答表題から紹介するなら。 「自分の領域にこもってもらえば」
一般人としての原左都子からの意見だが、それは違うんじゃないですか?? と言いたくもなる。
確かに上野千鶴子先生の場合、未だに現役にて“学究肌”を貫いておられ、このように朝日新聞相談コーナーの回答まで任されている「売れっ子」学者であられることだろう。
片や、相談者のご亭主の現在の地位が不明だ。 相談女性が66歳との事を想像するならば、おそらくご亭主は一旦主たる大学教授を退任された後に、(失礼だが)ショボショボと他大学の講師でもされているのではなかろうか? どうせ自らの過去の業績に頼り、低レベル大学にて既に形骸化した自らの専門を語っているものと察する。
結局、元学究肌とは言えども日々の暮らしの世話は妻に頼るしかなく、妻から疎んじられている事も気付かず、哀れな老後を向かえる事が目に見えるようだ。
まあ確かに、妻側は亭主の“学究肌”恩恵により今まで生計を維持して来たのであろう。
上野先生が回答されている通り、その経済力により現在ご亭主が貰っている年金資金にて、ご亭主に早期に有料介護施設へ入居してもらう事が一番の方策であろう。
で、その後、相談者であるご婦人は、本気で自分の今後の人生を単独で渡って行けるのだろうか??
あくまで相談者が言うところの “学究肌”のご亭主に43年間もの長い月日に渡り、ご自身の人生を一存して来たとのこと。
それならば、高齢に至ったご亭主の少しの酒癖など許容してあげる事こそが、貴女に残された一番の仕事なのではあるまいか???
その我が結論を先に記しておこう。
結局、相談者である66歳女性は、単に“亭主自慢”をしたかっただけじゃないのか??
それでは早速、上記“悩みのるつぼ”の相談内容を以下に要約して紹介しよう。
66歳の女性だが、私の夫はいわゆる一流国立大学の博士課程を出て、大学教授をしている。 「学究肌の人」にひかれて、その頃大学院生だった彼と23歳だった私は結婚した。 しかし、現在60歳半ばを過ぎて、これは大きな間違いだったのではないかと思う時がある。
まず、大酒飲み。 旅行好きでよく一緒に出掛けるが、ツアー旅行の時などいつもチビチビと酒を飲んでいるので、他のツアー客の人達に「あの人は酒好きだ」と知られてしまう。 周りの大学教授達もほとんど「飲兵衛」だ。 普段真面目そうなのに、お酒を飲んで「!?」と私が目が回りそうな事を言ったこともある。 ある先生の奥さんが言うには「主人はATMでお金もおろせない。」 テレビや新聞でよく見る有名教授の奥さんは「気難しくて嫌になる」とこぼしていた。 皆でないと思うが、「夫」としてはダメ人間が多いのでは?
今後の主人の扱い方になど、ご助言頂ければ幸いだ。
(以上、“悩みのるつぼ”相談より要約引用したもの。)
早速、原左都子の私論に入ろう。
相談者女性が66歳とのことは、私より5歳程上。 まあ、大まかに捉えれば、戦後生まれとしてほぼ私同様の教育を受け、大人になられたものと心得る。
23歳で結婚されたとの記述だが、おそらくほとんど社会経験を積まない間にご主人と出会われ、ご成婚に至ったのであろう。
この事実こそが根本的なネックではなかろうか?
要するにこのご婦人の人生に於ける関心事が、いつまでも“学究肌のご亭主”にある事には間違いなさそうだ。 それが証拠に、旅行好きでお二人一緒によく旅行に出かけられているらしい。 その時に見せるご亭主の“酒好き”に嫌気がさし、ついでにまわりの大学教授の酒の醜態にまで話題を拡大して、しかも知り合い奥さんの同じく学究肌のご亭主がATM操作が不能な話題にまで発展してしまっている。
この現実を如何に考察しようと、相談者女性の人生経験の幅が少な過ぎとの結論を導けそうだ。
ご亭主の酒好きが嫌ならば、何も一緒に旅に出ずとて別行動をすれば済む話だ。
しかも婚姻後43年の年月を経ているにもかかわらず、いつまでもいつまでも、ご亭主の事を「学究肌」としか見られないその貧弱さでは、返ってご亭主の方が可愛そうな気すらする。
奥方である相談者女性こそが、もう少しご自身が経験を積む人生を送られて視野を広く持てたのならば、66歳にもなってこのような相談をせずに済んだであろうに……
ここで私事を語るのも嫌味ったらしい事を承知で、少し述べさせていただこう。
そう言えば、我が亭主も“学究肌”であることには間違いないだろう。 (本エッセイ集バックナンバーに於いて我が亭主の事を稀ながら取り上げているため、ご存知の読者の方々もおられることであろう。)
私が亭主と知り合ったのは、お互いに40歳前後の頃にお見合いをした時に遡る。 実は、私も結婚相手の理想として“学究肌”男を求めていた。 それは同じく“学究肌”(?)の私自身と話題の共通項が多く会話が盛り上がるだろうと考えたからに他ならない。 確かにその通りだった。 何故私が最終的に亭主を結婚相手として選択したのかと言うならば、学問に関する共通項が多く一緒にいて違和感が無く暮らせそうだと判断した故だ。
その共通項は今尚続行している。
ただし、その他の分野に関しては日々軋轢が発生するのも当然だろう。 それでも我が夫婦は比較的難なく機能していると私は判断している。
軋轢が発生する分野に関してはお互いの自主性を尊重すればよい話だ。 要するに、衝突が起こりそうな事象に関してはお互いに独立独歩を基本とするとの暗黙の合意により、距離を置く事で何とか解決するものだ。
ここで、今回の“悩みのるつぼ” 回答者であられる 社会学者 上野千鶴子氏ご回答の一部を以下に紹介しておこう。
(ここで私論だが、現在バリバリに“学究肌”を通されておられる上野氏の視点からのご回答であり、私のような一般人が読んだ場合違和感が否めないのだが……)
そう思いつつ、上野先生のご回答表題から紹介するなら。 「自分の領域にこもってもらえば」
一般人としての原左都子からの意見だが、それは違うんじゃないですか?? と言いたくもなる。
確かに上野千鶴子先生の場合、未だに現役にて“学究肌”を貫いておられ、このように朝日新聞相談コーナーの回答まで任されている「売れっ子」学者であられることだろう。
片や、相談者のご亭主の現在の地位が不明だ。 相談女性が66歳との事を想像するならば、おそらくご亭主は一旦主たる大学教授を退任された後に、(失礼だが)ショボショボと他大学の講師でもされているのではなかろうか? どうせ自らの過去の業績に頼り、低レベル大学にて既に形骸化した自らの専門を語っているものと察する。
結局、元学究肌とは言えども日々の暮らしの世話は妻に頼るしかなく、妻から疎んじられている事も気付かず、哀れな老後を向かえる事が目に見えるようだ。
まあ確かに、妻側は亭主の“学究肌”恩恵により今まで生計を維持して来たのであろう。
上野先生が回答されている通り、その経済力により現在ご亭主が貰っている年金資金にて、ご亭主に早期に有料介護施設へ入居してもらう事が一番の方策であろう。
で、その後、相談者であるご婦人は、本気で自分の今後の人生を単独で渡って行けるのだろうか??
あくまで相談者が言うところの “学究肌”のご亭主に43年間もの長い月日に渡り、ご自身の人生を一存して来たとのこと。
それならば、高齢に至ったご亭主の少しの酒癖など許容してあげる事こそが、貴女に残された一番の仕事なのではあるまいか???