本日は、朝日新聞2022.12.21付夕刊 “時事小言” 国際政治学者:藤原帰一氏による「安保政策大転換 NATO化する日米同盟」を取り上げる。
以下に、その一部を要約引用しよう。
岸田政権は、自衛隊の新たな装備と態勢拡充を盛り込んだ3文書を閣議決定した。 今後10年を想定した「国家安全保障戦略」を中心に、防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画と呼ばれてきた文書を改訂した「国家防衛戦略」と「防衛力整備計画」をおく構成だ。
3文書は、日本の安保政策を転換するものだ。 国内総生産1%を2%に倍増する規模である。 自衛隊の装備では反撃能力の名の下にミサイル基地を「たたく」、つまり攻撃する手段を持つ方針に転じた。 国産ミサイル、トマホーク購入も計画されている。
反発が生まれた。 基地攻撃能力は専守防衛の骨抜きではないかと懸念され、防衛力整備財源の多くを増税に頼る点にも批判が集まった。
私(藤原氏)は、やや異なる角度から考えてみたい。 今回の安保戦略は抑止力強化を目的に掲げているが、その役にたつのか、戦争を防ぐことはできるのかという問題である。
日本を取り巻く安保環境は厳しい。 中国は通常兵器と核兵器の両方で軍拡を進め、北朝鮮はミサイル発射を繰り返している。 中国、北朝鮮、あるいはロシアによる攻撃を未然に阻止する抑止力の強化は確かに必要だ。
では長射程ミサイル保有が抑止力を強化するのか。 日本単独で攻撃の抑止を試みるのなら、その効果は限られている。 どれほど日本がトマホークを購入しても既に大量のミサイルを保有するギャップは著しい。 日本のミサイルのために北朝鮮が攻撃を思いとどまるとも考えにくい。 日本の戦力は、米国とその同盟国の持つ抑止力の一環として考えなければならない。
既に米国と中国との競合はテクノロジーから郡司まで全面的な対抗に至り、中国脅威論は米国に加えてその同盟国に共有されている。 (中略)
ここで拡大抑止の実行力が課題となる。 有事において米国が日本を守るのか。逆に、日本が米国の戦争に巻き込まれても良いのか。 (中略) 日本は米国と同盟を結びながら、専守防衛に基づき日米協力の範囲に限定を加えて来た。
今回の3文書は日本単独ではなく、米国とその同盟国と連携した抑止力強化の試みとして捉えられる。 これは、いわば米国同名のNATO化である。 専守防衛に基づいて制限してきた日米協力の範囲を広げ、有事に自衛隊と米軍の連携を強め、日米防衛協力をNATOにおける老明国の連携に近づける構想だ。
だが、中国や北朝鮮は以前から自衛隊の戦力を米国、オーストラリアや韓国など米国の同盟国とそれと一体のものと捉えて来た。 日本が戦力を増強しても両国の行動が変わることは期待できないが、西側に対する脅威認識は拡大する。 その結果は米ソ冷戦の時代のような軍事緊張の恒常化である。
侵略に対する抑止は必要であるが、抑止に頼る対外政策は戦争の危険を高めるリスクがある。 このジレンマがあるからこそ、抑止戦略と並んで外交による緊張緩和の可能性を模索しなければならない。
外交によって中国や北朝鮮との緊張を打開することは極度に難しい。 だが、岸田政権には外交の模索をした跡がみられない。 抑止力強化に積極的な政権の、そこが危い。
(以上、朝日新聞「時事小言」より国際政治学者・藤原帰一氏による論評の一部を引用したもの。)
最後に、原左都子の感想を述べよう。
藤原氏が文面の最後に述べられている文章を繰り返すが。
「岸田政権には外交の機会を模索した跡がみられない」
原左都子の感想もその通りである。
岸田政権発足後、この方は時々海外へ出向かれている様子だが。 まさに一国の首相として何らかの「外交」を築きあげた功績を、私は未だ拝見していない気がする。
そんな岸田氏が突如とこれまでの我が国の安保政策を大転換し、防衛費を国内総生産2%の規模まで倍増し攻撃力を持つ方針を発表した事実に、心底驚かされた。
しかもその防衛力整備財源を国民に対する巨額増税に頼ると大々的に発表した。
こんな危い政権の下で、のほほんと生きている訳には行かなくなってしまった。
今後の巨額増税によりこの国の人民もさらなる貧困をつきつけられるのだろう。
力無き一国民として今何をどうすれば岸田政権の暴走を阻止できるのか??
その手だてが探れず、日々先行き不安感・不透明感が強まるばかりだ…