原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

マイナンバー導入に警告を鳴らした年金機構ウィルス感染

2015年06月08日 | 時事論評
 本日(6月8日)昼のNHKニュースによると、つい先だって発生した日本年金機構パソコンウィルス感染による個人情報流出事件を受けて、野党民主党の枝野幹事長が政府に対し以下のような指摘をしたようだ。

 民主党の枝野幹事長は国会内で記者団に対し、日本年金機構のシステムから大量の個人情報が流出した問題を受け、政府の情報管理体制に不安があるとして、来年1月からのマイナンバー制度の運用開始を遅らせることも検討すべきだという考えを示した。
 枝野幹事長は、「国民の中に年金情報の流出に対する不信と不安があるので、マイナンバー制度を予定通り来年の1月1日に施行してよいのか、党内で早急に検討しているところだ。場合によっては、施行期日を延期することも視野に入れた対応をしていかなければならない」と述べ、政府の情報管理体制に不安があるとして、マイナンバー制度の運用開始を遅らせることも検討すべきだという考えを示した。
 また、枝野氏は、参議院で審議が行われている、マイナンバー制度の利用範囲を金融や医療などの分野に広げることなどを目的とした、マイナンバー法などの改正案への対応について、「民主党は衆議院では賛同したが、年金情報の流出という現実が突きつけられたので、それを踏まえた議論ができなければ、到底、採決できる状況ではない。場合によっては、衆参で賛否が変わってもおかしくないくらいの変化だ」と述べた。


 冒頭から原左都子の私論だが、まったくもって枝野幹事長がおっしゃる通りだ。
 国民の巨額の年金保険料を預かっている立場の国家たるものが、世界規模でウィルス感染が常態化している現実を、一体如何程我が事として真剣に受け止めていたのか?

 見聞するところによると、今回のウィルス感染は、メール添付ファイルを(おそらく派遣パート雇用者が)安易に開いた事による失策らしい。
 ウィルス感染に詳しくないこの一庶民の私ですら、メールを開く時には細心の注意を払っている。 別枠で迷惑メールを受け取れる場合、必ずやその措置を施し、まずは送信元を確認する作業は日々欠かしていない。 しかも、迷惑メールに関しては即刻“ゴミ箱”に入れ削除作業すると決めている。 その中には有用メールも存在する可能性があるとしても、ならば必ずや再びメールが来るものと腹をくくっての廃棄処分である。
 
 我が亭主の話によっても大手民間企業に於いては当の昔から、顧客重要個人情報や内部機密情報を扱うパソコンとメール受信パソコンとは別立てにし、決して“企業としての生命線”である顧客情報等々がウィルス感染被害に遭わないよう厳密に対処しているとの事だ。
 それに比し日本年金機構たる巨大組織体が、何故にメール受信と国民個人情報を一緒くたに扱っていたのだろう??  その国民をないがしろにした態度に呆れると共に、何故国家は自らが最新知識習得力がないにも関わらず、民間大手企業から学ぼうとしないのか?  その旧態依然とした組織体質に今更ながら嫌気がさすというものだ。 


 ここで、自民党政権が来年1月に運用開始しようと虎視眈々と狙っている「マイナンバー制度」に関する注釈を、ウィキペディア情報より引用して、入れておこう。
 国民個々に重複しない番号を付与し、それぞれの個人情報をこれに帰属させることで国民全体の個人情報管理の効率化を図ろうとするものである。 氏名、登録出生地、住所、性別、生年月日を中心的な情報とし、その他の管理対象となる個人情報としては、社会保障制度納付、納税、各種免許、犯罪前科、金融口座、親族関係などがあげられる。 多くの情報を本制度によって管理すればそれだけ行政遂行コストが下がり、国民にとっても自己の情報を確認や訂正がしやすいメリットがある。
 一方、国民の基本的人権が制限されたり、行政機関による違法な監視、官僚の窃用や、不法に情報を入手した者による情報流出の可能性があること、公平の名のもとに国民の資産を把握し膨れ上がった政府債務の解消のために預金封鎖を容易にすることを懸念する意見がある。
 日本では、現在、基礎年金番号、健康保険被保険者番号、パスポートの番号、納税者番号、運転免許証番号、住民票コード、雇用保険被保険者番号など各行政機関が個別に番号をつけているため、国民の個人情報管理に関して縦割り行政で重複投資になっている。
 2013年5月、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(いわゆるマイナンバー法)が国会で成立し、2016年(平成28年)1月から番号の利用が開始される運びとなった。開始時期に備え2015年10月以降、氏名・住所・生年月日・性別・個人番号が記載された紙の「通知カード」が、自治体から簡易書留で送付される予定。
 (以上、ウィキペディア情報より、政権が来年1月から導入を目論んでいる「マイナンバー制度」に関する記述を一部引用したもの。)


 そんな状況下に発生した日本年金機構による、(政府よりの公表のみで)百数十件を超える個人情報の流出である。
 年金機構によれば、個人情報漏洩が判明した国民に対しては郵送にてその旨連絡するとのことだが、それが届いたとて、一体全体一庶民として如何なる対策を取ればよいのか!?  今後更なる世の個人情報悪用犯罪に怯え暮らすしか選択肢がないのではあるまいか???


 日本年金機構のウィルス感染不祥事(当該機構は「自分らは被害者」と思っているふしがあるが、今回の事件は明らかに年金機構の不祥事だ!)に押し寄せられている国民からの怒り・不安の数々の声を朝日新聞記事より以下に紹介して、今回のエッセイを締めくくろう。

 「一度ならず、また問題を起こすとはたるみ過ぎている。」 (67歳女性)
 「今回の情報流出は個人に如何なる影響があるのか? みんなの年金なのに、国がきちんと管理しないと年金に悪い印象を持つ。」 (77氏男性)
 「一度情報が流れると取り返しがつかない。自分のナンバーも想像が付かない形で独り歩きするのではないか」 (73歳主婦)
 「一般企業に比して官公庁はセキュリティが甘過ぎる。マイナンバー制度の実施を考えても、今回の年金機構情報流出原因を検証して、データ管理を徹底して欲しい。」 (64歳男性)


 最後に番外編だが…

 「未だ月々多額の国民年金保険料を国家に支払っている身の我が個人情報データも、今回の事件により漏洩したのか?  子供時代より一国民として真面目に学業に励みその後大人に成長した暁にも日々勤勉に労働力を提供してきた我が人生だ。  そんなたかが一庶民が支払った保険料から微々たる額の見返りを期待している年金機構が、愚かにもパソコンウィルスになど感染してしまったのか?  しかも今後政府は今回の年金機構ウィルス不祥事を何も無かったことにして、マイナンバー制度を今まで通りに実行するべく国会で強行採決し、国民弱者達を更にいたぶる魂胆なのか?? 」 (59歳 原左都子)