隠蔽捜査シリーズで知られる作家の今野敏さんの座右の銘は「作品の質は量を書かないと上がらないんだ」といいます。親類の漫画家石ノ森章太郎さんが語った言葉だそうです。
それで思い出したのが、新人記者時代、デスクや支局長にことあるごとに言われた「馬に食わせるほど書け」でした。
今から50年前のことです。当時はB5判のざら紙に2行で15文字を書いていました。私も含めて右側に8文字、左側に7文字を書く人が多かったです。新聞記事が1行15文字の時代でした。
書き損じがあったり、原稿が進まなかったりすると、ざら紙を丸めてそばのゴミ箱に放り投げました。ざら紙で顔の汗をぬぐったり、トイレのあと手を拭く人も目立ちました。
振り返りますと、たくさん書いているうちに「こう書けばよいのか」というステージが訪れます。デスクから「原稿がよくなったな」と言われると自信にもなります。その積み重ねで記者として成長していくようです。
「馬に食わせるほど書け」は鯨飲馬食から来た言葉と思うのですが、馬が紙を食べるはずがないのにと思いながら、いつもデスクや支局長の言葉を聞いていました。
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