水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

連載小説 代役アンドロイド 第121回

2013年02月24日 00時00分00秒 | #小説

    代役アンドロイド  水本爽涼
    (第121
回)
今の…、ちょっと、人間っぽくなかったな・・と思えたが、保は、まっ! いいか…と無視することにした。壮大な考えは、ひとまず自分の記憶にとどめ、とりあえずは沙耶の今後を見極めながら暮そう…と保はテンションの昂(たかぶ)りを抑えた。そのとき、玄関のチャイムが鳴った。沙耶が走って保の部屋へ駆け込んできた。
「俺が出る。君は、ここにいろ」
 沙耶は無言で頷(うなず)く。保は部屋ドアを閉じ、玄関へ出た。ドアスコープを覗(のぞ)くと、マンション管理人の藤崎達蔵がボケ~っとした顔で通路に立っていた。
「はい! 今、開けます」
 保はチェーンを外し、ドアをゆっくりと開けた。
「あっ! どうも…。実はですね、月々、お支払頂いておるお家賃なんですが、徴収日ば毎月25日に変えさせてもらおうて思いまして、回っとるようなことなんですわ。いろいろご都合もあろうかと思いますが、そこんとこ、宜しくお願いしますけん」
「はあ、25日ですか…。いいですよ。別に構いませんので…。お持ちする時間は夜の7時でよかったんですよね?」
「はい。時間の方は、そんままで…」
「そうですか。じゃあ、そういうことで…。態々(わざわざ)、恐れ入ります」
「では…」
 藤崎はドアを閉じようとしたが、急に手を止めた。


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