水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

連載小説 幽霊パッション 第三章 (第四十五回)

2012年02月23日 00時00分00秒 | #小説

 幽霊パッション 第三章  水本爽涼
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 
    
第四十五回
「それはそうと、ゴーステン効果はその後、どうですか?」
「いやあ~、お恥かしい。これといって進展はありません」
「そうですか…。せめて霊動力を制御していただければ、私としても希望が持てるんですが…」
「ああ、ゴーステンの霊動力制御ですか? それは、近いうちに、なんとかなりそうなんです。私が申しておりますのは、ゴーステンの実態解明のことでして…」
「なんだ。そりゃ、有難いお話です」
 上山は少し希望が湧いたのか、テンションを上げた。幽霊平林との別れは辛いところだが、元の状態に復帰できれば、それに越したことはない、と上山には思えた。
「その研究は、いつ頃、完成するんです?」
「いや、もう間もなくでして…。今は、最終段階の詰めをしておるところです。君達、上山さんに、お見せして…」
 佃(つくだ)教授が一心不乱に念じ続けている二人の助手に言葉をかけると、助手達は突然、スクッ! と立ち上がって、棚の方へ歩きだした。遠目に見えるのは、棚に置かれた奇妙な物体である。そして、棚から妙な装置らしきものが助手達に持たれて近づいてくるのが上山に見えた。それは、上山と佃教授が座る椅子前の机に、ドッシリと置かれた。
「これが霊動制御装置です」
 佃教授は穏やかな声で、そう発した。
「最新のやつ、ですか?」
「ええ、先ほど上山さんが云われた霊動力制御が出来る装置です」
 その機械の先端には、アンテナと思える金属部分が見えた。
「君達、ちょっと、やってくれたまえ」
 ふたたび佃教授が二人の助手に指示した。助手達はコードを延ばし、先端のプラグをコンセントへ接続した。


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